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RocBox 2

自分の持っているR&B、Rapアルバムを聴いての感想を偏見で綴る。音楽に関する知識はほぼ無し、雰囲気で語る。

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プロフィール

Queen

Author:Queen
生年月日:1983年11月28日
星座:射手座
性別:男
血液型:A型
趣味:古典的推理小説読書
    黒音楽に浸る

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N*E*R*D「No One Ever Really Dies」
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Pharrell WilliamsとChad Hugo、Shay Haleyの友人三人で構成されるグループ、N*E*R*Dの通算五作目となる『No One Ever Really Dies』を御紹介。前作『Nothing』からなんと6年ぶりとなる本作、まさかまたこうしてN*E*R*Dのアルバムを聴ける日が来ようとは、と当時はなかなか驚きました(感涙)。というのもPharrell WilliamsとChad Hugoの制作チーム“The Neptunes”での仕事はほとんど無くなり、元々客演もこなし表舞台が好きだったPharrellが単独で活動を始め、極め付けには彼のソロ曲「Happy」が全世界で特大ヒットをしたから。やはりそこは高校時代からの友人ということで、繋がりはあったのでしょう(憶測)。そんなPharrellがまたN*E*R*Dとしての新作を、しかも“誰も本当の意味では死なない”というグループ名をセルフタイトルにして戻ってきたんだから興奮です。
なんやかんやと言わずに感想書きます・・・・・・まず本作を書く上で特筆すべきなのが、全曲の制作をPharrell Williamsが単独で担当しているという事。僕個人としてはこんな時ぐらい、 Chad HugoとのThe Neptunesとしての制作曲を聴きたかったですが、Chad Hugoが今回はあまり制作には関与したくなかったのでしょうか(疑問)。本作からのシングル曲となったのが「Lemon」でスタート、客演にはRihannaが参加という事でこれだけで価値あり。Pharrellらしいパキンパキンとプチ折る様に鳴る小気味良い音色に機械的なビート、元々このトラックはPuff Daddyへの献上用だったのだそう。そこにそれこそ絞り出すようなPharrellのレモン果汁のごとき酸っぱいヴォーカルが迸ってグッドだし、後ろに重心を置いてネットリと絡みつくRihannaの妖艶なヴォーカルもまた刺激的でたまらない。これぞN*E*R*Dな独特なブルージーさが滲むロック調な疾走チューン「Deep Down Body Thurst」は、少し曇ったオルガンのような鍵盤の跳ね方が土埃に似て乾き、Pharrellの鋭く尖って柔らかく空を裂くカイトのようなヴォーカルが心地良くて、こういう時にPharrellのヴォーカルの有り難みを知る。AppleのCMでもここ日本でガンガン流れていた「Voila」(BassにはThundercat)では前半部分にGucci Mane、後半部分にWaleを客演として配していて、この前後半が全く違うという(そしてこれはアルバム全体を通してあちこちで)面白い仕掛け。ゼリー状のサウンドとビートをグシャグシャと潰した様なカラフルなトラックに、Gucci Maneのプルンプルンの弾力あるラップ(いや音色)が最高のトッピング。後半部分は夜通し踊る祈祷儀式のようなトロピカルな舞踊曲に、Waleがもったりとしたラップを呪術的に乗せるのがグッド。「1000」ではもうただただ激しく弾けて燃え上がるようなエーテルアッパーで、そこに客演のFutureが降臨した途端に超強力な磁場を形成して曲をガチガチに固形化するのが面白い(妙技)。ゆったりとレイドバックした冒頭から、徐々にヒリヒリとスリリングに加速する「Don't Don't Do It!」では、Kendrick Lamarが客演参加(ソングライトにはFrank Oceanが参加)。緩やかな時間が突如として緊迫し、その瞬間にPharrellが叫び訴える、そしてKendrick Lamarがハリケーンのように荒く刺々しくラップを暴走させるのもクール。「ESP」でようやくChad HugoがAdd制作の形で参加、弾力性のあるゴムボール的なビートを跳ねさせたトラックが無機質だからこそ印象的。本作中で最も気に入って入るのは、これぞPharrell流メロウの極みとも言える「Lighting Fire Magic Prayer」(鳥肌)。曲線を帯びたメタリックシルバーなトラックは正にStarTrak産で壮麗でクールですし(前半)、と思えば流水音の中でタイムワープするようにビートが捻れる遊び心(後半)、こういう時のPharellの線の細い流星のようなヴォーカルは映える。Pharrell解釈の全速力なロックでありファンクな気もする「Rollinem 7's」では中盤でそのトラックをネバネバなスライム状に一旦変形させ、またビートを戻したところでAndre 3000を召喚して美しきビッグバンを眩く起こす仕掛けがグッド。Kendrick LamarにM.I.A.が客演参加した「Kites」(Add VocalではA$AP RockyとMary J. Bligeの名も)はブツ切りチョップして飛び散るシンセが神経を刺激しっ放し、でも音数が極端に少ないから騒々しさはなくシンプル機能美。「Secret Life Of Tigers」では女優のCara Delevivingne、それからBillie Idle @よりSummer UikaとMomose Momoも参加、だけれどこれ自体は単純すぎて面白さはゼロ。最後を締め括る「Lifting You」ではEd Sheeranが客演参加、こういういなたいダウン気味のトロピカルチューンはThe Neptunesの十八番ではあるし聴いた事もある感満載。ピコポコ音なんかは懐かしく単に嬉しくなるけれど、Ed Sheeranがちょっとアクセントになっているかなという程度。

嫌いじゃないし良い曲も勿論あるけれど、単純にこれをN*E*R*D名義でやる必要は無かったかなというのが正直な感想。これならばもうPharrellのソロアルバムにしていい、N*E*R*Dでしかやれないサウンドを目指すべきだったかな。N*E*R*Dは純粋にバンドだと僕は思っているので、そのバンド部分を削ぎ落とした感のあるこのアルバムは、今後また聴くかどうか微妙かもしれません。








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Goapele「Dreamseeker EP」
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ベリーショートの髪型も馴染んできた異彩、Goapeleの通算六作目となる『Dreamseeker EP』を御紹介。幅広いR&B/Soulの世界の中でも独自の形態で進化を遂げている感のあるGoapele。前作『Strong As Glass』もなかなか素晴らしく、それからおおよそ三年ぶりとなる本作はEPというコンパクト盤。まあ、あまりにもボリュームが多過ぎると満腹感も強くなるし、アルバムとしての機能美を考えたらば、GoapeleならばEPぐらいでも十分かとも思いますが。Goapeleの凛とした後ろ姿を写したジャケットも素晴らしく、この夏の夜のような情景も美しい(溜息)。
という訳で今回もこざっぱりとした感想をちょこっと・・・・・・まず本作もクレジットが無くて製作陣の情報が僕には皆無、もうデジタルが主流になってしまって CDのブックレットは省略されがちで悲しい限り(涙)。まずはシングルカットされていた「$ecret」でスタート、どことなく滴り落ちる雫のように鳴る音色のせいか、夜中にずっと降り続く小雨のようなサウンドが味噌。そんなそぼ降るようなサウンドにシンクロするようにして、Goapeleの潤んで艶っぽい歌声がポツポツと鼓膜に振動するのがまたドラマチック。どこか南国の夏の夜を思わせるトロピカルなメロディと、パーカッシヴなビートの融合がまるで、熟れた果実に詰まった種のような感触を残す「Power」も、Goapeleの良い意味で涼しげで酸味のあるヴォーカルがマッチしていてグッド。Goapele解釈な霧散にも似たEDMが聴き手を妖しく楽園へと誘う「Take It Over」の足元フワフワな感覚も心地良くて、けしてこのリズムで舞い上がることなく肉感的な重力をもって柔らかさを体現するGoapeleのヴォーカルが素晴らしい(吐息)。「Stay」では嬉しいことに期待の若手、BJ The Chicago Kidとのデュエットが実現(鳥肌)。夢と現のあのトロトロとした境目を泳ぐ様なメロディと二人のヴォーカルの溶け合いが絶妙で、Goapeleは優しく甘く朧げ(夢)でBJ The Chicago Kidはビターでくっきり凛と響く(現)歌声。眠りに落ちゆく時の微睡みというよりは、眠たいけれど眠れない時の紫色の夜更けに似た色彩でグッド。アコースティックギターを爪弾く音がそよ風のように鼓膜を撫でる「Stand」なんかも、やはりどこか真夜中の海辺のように潮風と夜風が混じったような、そんな明るい夜みたいな不思議な魅力の滲む一曲。それこそ夏の夜の熱気に似たもわんとした弦音に、冷えたアルコールグラスに汗ばむように濡れたGoapeleのヴォーカルが滴る「Cool Breeze」も最高の一言に尽きます。

流石はGoapeleといった感じで夢幻に満ち満ちた素晴らしいドリーミー盤、だからこそやはりもっと収録曲数が欲しかった(強欲)。紹介こそしませんでしたがInterludeの4曲も本当に素晴らしかったし、本当に3分強の曲があと2〜3曲でも収録されていたら、確実に年間Top10に名を連ねていたと思います(惜)。Goapeleも他に替えの効かない特殊なシンガーだと思うので、このまま我が道を突き進んで素晴らしいアルバムを届けて欲しいですね、次は必ずフルアルバムをお願いします(懇願)。全編を通して僕には“夏の夜”を感じさせたこのアルバム、もう終わろうとしている夏の夜に聴いて頂きたいです。






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Stalley「New Wave」
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Ohio出身の長い髭が特徴的な若手MC、Stalleyの通算二作目となる『New Wave』を御紹介。StalleyといえばあのRick Ross率いるMMGに所属し、そのMMGからデビューアルバムとなる良作『Ohio』を出したのも記憶に新しいMC。その後もMMGに所属しながらMixTapeを出し続けていたらしいのですが、二作目となる『New Wave』はなんと通なら唸るReal Talk Ent.からのリリースとなっております。前作『Ohio』は巷ではなぜかあまり話題にならなかったんですが、僕はとても好きでその年の年間Top10で第六位に選出したほどのお気に入り。という訳で本作も全く話題になっていませんでしたが、サクッと購入はしていた次第です。
という訳でなかなか好きなこのアルバムについて徒然なるままに・・・・・・まず本作に関してはブックレットに全くクレジット記載が無いために、Producerやネタ元などが全く不明、なので僕の稚拙な感想のみで突っ走ります(暗中模索)。まずは澄んだ水の中を泳いで揺蕩うような波紋トラックが心地良い「Absence」、Stalleyのラップはとても滑らかで自由度も高く、こういう遊泳感のある曲線的なトラックもそつなく泳ぎ切る技術。表題曲である「New Wave」は彼らしいソウルフルなフレーズを延々と煙たくループしたトラックで、その中でもリフレインさせて共振させるイマドキも感じるStalleyのラップは、絶妙な湿度を保っていて鼓膜にしんなりと馴染む。ドス黒いホーン音をどっぷりと水底に沈めたようなくぐもったサウンドがドープな「Madden 96」も、Stalleyがなかなか水を切るような鋭いラップで進水する様が滑らかで美しい。キャラメルの様にどろりと空気を甘く溶かす「Kevin Hart」もソウルフルで燻し銀でナイスで、そんな黄金色のトラックをStalleyの静かな高温ラップがほろ苦く焦がすのがこれまた美味でたまらない(痺)。ざらざらとした砂利ビートに海風のように湿り気あるサウンドが吹き抜ける「Let's Talk About It」にも、軽やかエアリーで澄んだブルーのようなStalleyのラップはお似合いで、壮麗でいてハードさも兼ね備えた抜け感抜群な好ミッド。と思えばドブドブと濁流に飲まれるような重たいシンセが蠢くトラックに鼓膜も沈んでゆく「Soul Searching」では、どこか錆にも似た鈍色の輝きをザラザラとして放つStalleyのラップがイル。J. Cole辺りを思わせる薄暗くもシャレオツな「Sativa Break」なんかも、夜の帳のようにシンプルな色彩のビートとメロディだけにStalleyの鮮やかなラップスキルが映える一曲。星が瞬く様にメロディがちらちらと輝くのが美しい「Stock Up」も、Stalleyのシルクの様に滑らかなラップはまるで流星群のように滑っていて綺麗の一言に尽きる。最後は夜霧のようなしとやかさとミステリアスなひんやり感が楽しめる「What I Like」で幕切れ、闇夜の遠く彼方で散りゆく打ち上げ花火のようなぼんやりした光度を保つStalleyのラップも神秘的。

いや、確かに地味かもしれませんが、単純にStalleyって格好良いMCの一人だと思うんです。流行スタイルとかとは無縁な王道タイプな分、多分だけれど息の長いMCになるんじゃないかな(予測)。MMGから離脱したのはとても残念ですが、このままソウルフルなトラックを得意としながら悠々と活動して欲しいです。誰か腕のある(そして名の通っている)Producerとガッツリ一枚丸ごと組んで作ったりしたら、話題になるかと思うんだけどな。



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DMX「Redemption Of The Beast」
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Rap界の永遠の狂犬であり番犬、DMXの通算八作目(?)となる『Redemption Of The Beast』を御紹介。やはり自分のような三十路世代には最強に近いMCなのがこの、Dark Man XことDMX。Swizz Beatz率いるRuff Rhydersの看板MCとして数々の大ヒットを飛ばしました。Swizz Beatzこそまだ現役感がギリギリありますが、それ以外のRuff Rhydersの面々は見なくなってしまいました(悲)。DMXも宗教に目覚めたり紆余曲折ありながら、こうして届いたアルバムも復活作である前作『Undisputed』からおよそ二年後の2014年。しかもこのアルバムはどうも正規リリースではないみたいで、DMXの公式なアルバムかどうかも謎。しかしそこは永遠のアイドルDMXなので、買うしかありませんでした(一択)。
それではもう錆びついている感想を恥ずかしげもなく書くと・・・・・・まずは本作のブックレットにはクレジットの詳細が無く、その辺りはWikipediaを参考に書かせて頂いております。まずはDivine Barsなる人物が制作した「Spit That Shit」で華々しくも荒々しくスタート、もうこれが当時のRuff Rhydersを彷彿とさせるエッヂの効いたシンセのうようよビヨビヨ跳ねなバウンスチューンで僕はアゲアゲ(死語)。単純に平たく研磨した電子音を二枚刃仕立てでビートと共に繰り出すシンプルさながら、そこはDMXの全てを破る咆哮ラップで痛快に突き抜ける戦法でグッド。続く「Built Like A Bitch」はやはり瓦礫チックに荒廃させた電子音が鋭く突き刺さる中で、DMXの咆哮がジグザグに反響するのが頼もしい。Divine Bars制作の「On And On」は稲光のように鋭く響くエレキギターの音色と乾いたビートのみのシンプル構築ながら、そんなギターの通電によってDMXの金属より硬いラップがギラギラと鈍く輝くのが格好良く、低く唸る地鳴りのようなフックも鼓膜を捻じ伏せる静かな剛力があって素晴らしい。続く「Get Up And Try Again」もDivine Bars制作でギター弦が燻っては散るちょっぴりブルージーさも滲むミッドで、なかなかの曲線を終始描くなだらかなトラックは情感もあり、フックでの歌うようなフロウも健在でDMXの柔軟さを物語る一曲。Elicitなる人物が制作した「Solid」では、Busta Rhymesが率いたFlipmode Squadの手練れだったRampageが客演参加(懐)。ピコピコと跳ねるキメ細かい微粒電子音にスチール製の尖ったビートがザックザックと刺さるトラックが90年代なテイストですし、その中でDMXとRampageという頑丈MCがマイクを回す為に聴き手は耐震ゼロ。ド派手なホーンが飛び散りピアノ鍵盤が角張って流れる「I'm Gonna Win」なんかも当時のRuff Rhydersを踏襲した作りで、すべてをぶっ叩き引き千切り噛み回すDMXの獰猛さを楽しむのみなアッパー。もはや痙攣するように震えて昇天しているエレキギターの弦音とぶっといビートのみで進行する「It's A Problem」はKashmirとStan Spitが客演参加、こういうゴシックでエクソシスト的なロックカットなトラックとDMXの相性の良さは神懸かりで震える。本作のハイライトとも言えるのが「It's Goin' Down」で、遠くで鳴って響く雷鳴のような不可思議なあの感触。DMXが雨音のようにしとやかで切ない歌フックを響かせる哀歌で、強さと柔らかさが溶け合ったこのほろ苦さを演出できるのは、たぶん2pacとDMXだけなのでは(比肩)。きめ細かく鍵盤音を散りばめた「Shout It」も歌フックがなかなか効いていて、それでいて言葉を詰め込み弾丸のように吐き出すDMXの迫力も味わえる一曲。星空の下に吹き抜ける冷たい夜風のようにしとやかな「One More Night」なんかは90年代のセクシーなRapチューンをそのまま復刻(興奮)。DMXのゴツいのにスムースなラップの疾走感はまるで、黒く光るアスファルトの上を優雅に駆ける漆黒のランボルギーニのように流麗。そんな90年代のRuff Rhydersっぽいんサウンドの中で、本家本元で盟友のSwizz Beatzが唯一制作した「56 Bars」では、逆にホーンが瞬いて弾けるソウルフルなトラックを準備。盟友Swizz Beatzだからこそ、DMXの電撃のようなラップはこういうサンプルングっぽいソウルフルなトラックでも映える事を顕示したかったのは(憶測)。それを図ってかこれまた旧友であるDame Greeseもブレイクビーツを爆発させたオールドスクールなアッパー「Where You Been」で応戦、しかも客演にはFreewayが参戦という鉄壁布陣。単純明快なトラックに乗せてDMXの電撃とFreewayの火薬が反応し発破、二人揃って百万馬力の圧倒的パワーで痛快に突破。女性シンガーのJannyceが客演参加した「Right Or Wrong」ではアラームの様に鳴り響くシンセとストリングスのように斬れ味鋭いシンセの交錯と、全盛期のRockwilderを思わせるサウンドが最高にホット(死語)で、イケイケな女性と絡んでラップするという構図も90年代仕様な気がして嬉しい。再びDame Greeseが制作した「Gonna Get Mine」は完璧ロックチューンなアッパーで、鋼鉄の箱の中でバリバリと放電しぶつかり反響するようなDMXの正に電撃のラップが味わえる一曲で最高(痺)。最後は再びJannyceが客演参加した「Love That Bitch」で〆、やっぱりこういう哀愁も漂うシンセ曲って90年代の遺産な気がするし、このブルージーさを吠えて演出できるのはこの先もDMXほどのMCは出ない気がする。

やっぱりDMXは格好良い、一辺倒かもしれないけれど伝家の宝刀で斬れ味は今も健在です。最近のマンブルラップが悪いとは思わないけれど、こういう男臭くてマッチョなラップはやはり惹かれる。宗教的な動きなんかもしているDMXだけど、こうしてラップを聴いたらラッパーとして復活してほしい思いがムクムクと大きくなりますね。Swizz Beatzと全面的に組むか、それか自分はDJ Premierとかとがっつり組んだらもっと違う魅力を出せる気がします。


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Anderson .Paak「Malibu」
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あのDr. Dreが惚れ込み突如として出現した新星、Anderson .Paakの記念すべきデビューアルバム『Malibu』を御紹介。CaliforniaはOxnard出身のAnderson .Paakは、黒人と韓国人の間に生まれたのだそう。その昔はSa-RaのメンバーであるShafiq Husaynのアシスタントとして働きながら、ドラムやラップ、歌の活動を始めたのだとか。Knxwledgeと共にやっているグループNxWorriesの「Suede」を聴いて気に入ったDJ Dahiから、進行中のDr. Dreとのプロジェクトに誘われ、そのままあのDr. Dre『Compton』に6曲参加する事になったのだとか。
それではちょこっとだけこの感想を書きたいと思います・・・・・・まずはAnderson .Paakが制作した「The Bird」で幕開け、このメロディとAnderson .Paakの描く柔らかな放物線は、じんわりと沈んでゆくオレンジ色の落陽のような美しさと眩さで素晴らしい。それこそ全編を通して感じるのはAnderson .Paakの海鳥の啼き声のような、潮気を含んだ軽やかなヴォーカルの持つ、彼独特なファンクの心地良さ。「Heart Don't Stand A Chance」はDJ Khalilが制作を担当しており、半ばラップ仕込みで滑走するAnderson .Paakの酸味のあるヴォーカルが最高で、べったりと打ち込むビートに潮風のようなトラックがなびいて鼓膜に絡まるのが気持ち良い。なんとあのMadlibが制作を担当した「The Waters」では、若手の中でもド渋い味わいで突出しているBJ The Chicago Kidが客演参加。ここでも小気味良く乾いて弾けるラップ歌唱を聴かせるAndeson .Paakが最高で、そこにBJ The Chicago Kidがカラメルのような甘美なハーモ二ーを重ねるので極上のビタースウィーツに(美味)。「The Season/Carry Me」は9th WonderとMatthew "Callum Connor" Merisolaが制作を担当、前半はトラックを繊維質に分解してキメ細かに紡いだような感触が面白く、後半はほんのりとレゲエな風味を利かせた濡れた汗も乾く焙煎チューンで、Anderson .Paakの気化熱にも似たヴォーカルが余計にジリジリと鼓膜を灼いてくれる一曲。奏でるギターに跳ねた鍵盤音がなんともスモーキーな「Put Me Thru」はAndesron .Paakが制作、これは途中で多重エフェクトで進行しフローラルな輝きも放つゴスペルっぽい一曲。Pomoが制作した「Am I Wrong」ではSchoolboy Qが客演参加していて、銀色の絢爛な光をキラキラと展開させるディスコブギーなトラックはベタだからこそ最高で、ネオンライトのように妖艶でいてノスタルジックなAnderson .Paakの歌声に、時として奇怪でもあるSchoolboy Qのもはや流星群と化して降り注ぐラップが最高に痺れるアッパー。再び9th Wonderが制作の「Without You」ではRapsodyが客演参加しており、これが9th Wonderらしいソウルネタを粉砕して欠片で装飾品にしたような煌びやかさで、そこにRapsodyのキュートな啖呵ラップが合致した燻し銀なメロウチューン。「Parking Lot」は制作をAnderson .PaakとJose Riosが担当しており、星空を見上げたときに星がちらちらと瞬くようなトラックの華やぎとヴォーカルのシンクロが気持ち良い一曲。「Lite Weight」はこれまた気鋭のKaytranadaが制作を担当しており、浜辺に吹く夜風のように温度が混じったような混濁した感触がサイケさを増幅させた疾風チューン。LIKE制作の「Room In Here」ではThe GameとSonya Eliseが客演参加しており、室内で聴く雨音のようにくぐもって湿ったAnderson .Paakのヴォーカルエフェクトも素晴らしいし、そんな湿り気に絡まるThe Gameのスモーキーなラップがこれまた最高に渋くてグッド。DJ Khalilが再び制作した「Your Prime」は陽光に照らされて青に金色を溶かしたように揺れる海面のようなトラック上を、海鳥のように軽やかに悠々と羽ばたくAndeson .Paakのヴォーカルに乗っかり心地良くなるのみ。聴いた途端にThe Neptunesの仕業かと思ってしまった「Come Down」はまさかのHi-Tekが制作で嬉しい驚き(降臨)、いかにもHi-Tekらしいエッヂーでいて真っ黒で硬質なグルーヴが美しくも突進するトラックが最高で、塩っ辛いAnderson .Paakのヴォーカルにもバッチリとマッチ(融合)。「Silicon Valley」なんとDem Jointzが制作を担当しており、静と動を美しくスウィッチングしたトラックが異常な程に妖艶で、そんな熱の急勾配にもきっちりと対応して、切なく激しくよじれては吸い込み放出するAnderson .Paakの色っぽいヴォーカルに息も絶え絶え(悶絶)。Anderson .PaakとVicky Farewellが共同制作した「Celebrate」のほんわかとした温もりたっぷりのミッドもナイスですし、最後のTalib KweliとTiman Family Choirが客演参加したMatthew "Callum Connor" Merisola制作の「The Dreamer」は、「Get By」の焼き直し的な一曲なのでTalib Kweliと眩く輝いて太陽をも溶かすこの得策以外は有り得ない(笑)。

ハッキリ言います、僕の平成最後の大失敗はどう考えても、このAnderson .Paakの素晴らしさに気付かないまま過ごしてしまった事(恥)。Bilalをこよなく愛する僕は、Bilalを強く愛しているばかりに、Anderson .Paakをふわっと聴いて“Bilalっぽくないか”と思ってあまり聴かずじまいでした。しかし本当に素晴らしいSSWだと今更ながら脱帽しっぱなし、音楽に浸かる時間が極端に少なっていたので、一聴してあんまりだと置きっ放しの状況だったとはいえ、Anderon .Paakの3rd『Ventura』を聴くまで素通りしていたのは、愚の骨頂でした(天邪鬼)。だから『Ventura』から『Oxnard』、そしてこの『Malibu』と遡っていまして、このブログの為に聴き直して本当に心底から気持ち良くなっています。Rap隆盛の今、ソウル/R&Bの救世主になるのはAnderson .Paakでしょうね。


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Alicia Keys「Here」
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気品溢れる美しき歌姫、Alicia Keysの通算六作目となる『Here』を御紹介。Swizz Beatzとの電撃結婚から早九年、もっと早くに別離するかなとか心配もしたのですが、二人は子供達と共により絆を強固なものにしているみたいですね。近年のAlicia Keysといえばやはりノーメイクで過ごしているのが大きい、これだけのスターでここまで完璧スッピンな女性も皆無というレベル。僕は単純にメイクをした女性の顔が大好きなので、出来ればばっちりメイクしたAlicia Keysも見たいのだけれど、Alicia Keysの正直な気持ちに生きる為のノーメイク主義は応援しています。そしてすっぴんであろうこのジャケットでのAlicia Keysの美しさ、やはり彼女が端整な顔立ちであることを証明してくれていますね。
それでは今更ながら内容について触れさせて・・・・・・まずはAlicia KeysとSwizz Beatz夫妻に加え、Mark Batsonで構成されるThe Il'lminariesが制作した「The Gospel」で幕開け。Alicia Keysらしいストリート感のある荒涼とした打ビート(このビートの硬質さはSwizz Beatzらしい強度)と、それに煽られて舞う土埃のような鍵盤音がクール。Alicia Keysの少しくハスキーなヴォーカルが乱反射して滑走するのもグッドで、それこそAlicia Keys節なゴスペルが炸裂。どろりとしてドリップした様に響く低めの鍵盤音に骨太なHip Hopビートが重なる「Pawn It All」、制作は同じくThe Il'lminariesが担当。シンプルなループで進行しつつAlicia Keysの低音の効いたビターなヴォーカルがじわじわトラックと共に焙煎されてゆくのが芳醇で素敵。からりと乾いたアコースティックギターの爪弾きが小気味良く響く、カントリーテイストも光るドライでブルージーなミッド「Kill Your Mama」。制作はAlicia Keys(ソングライトにはEmili Sande)が担当しており、これも本当に素朴な進行だからこそAlicia Keysの褐色で艶やかなヴォーカルが弾ける一曲で素晴らしい。弦が軋んで高音を弾くのに呼応して、Alicia Keysの歌声も光を絞るように細く強く鼓膜を穿つのがグッド。それこそ朝靄に包まれて青白く煙ったようにして輝くN.Y.の大都会を思わせる感触のシティミッド「She Don't Really Care」、制作はAlicia KeysにSwizz Beatz、Tyron "Musicman Ty" Johnsonが共同制作。ナチュラルなトラックのAlicia Keysも良いけれど、A Tribe Called Quest「Bonita Applebum」をネタ使いしたこういう都会チックでキュービックなサウンドに囲まれ反響するヴォーカルが格好良い(痺)。と思いきやそのままThe Il'lminaries制作で、Nas「One Love」をネタ使いした「1 Luv」の流れが最高で、喧騒が夜景に溶けて熱を失ってゆくような青白さが、Alicia Keysの凛々しさにたまらずフィット。またまたThe Il'lminariesが制作の「Illusion Of Bliss」はAlicia Keysの咆哮が神々しく響き渡る直球ブルースで、ゆっくりじっくり燃え尽き灰になるようなダウナーなテンポ、思わず鼓膜が縺れるようなモーション。The Il'lminaries制作の「Blended Family」では家族の多様性を歌い上げ、心なしかほろ苦さの奥にこそ感じる甘みを感じて、こういう愛に満ち満ちてビターさを際立たせるAlicia Keysの焦がしキャラメルのようなヴォーカルが一際美しい。それもこのメンツがサンプリングネタにEdie Brickell & New Bohemians「What I Am」を選ぶ事で、曲全体にどこかブレンド感を滲ませる妙技のおかげ。そして本作唯一の客演であるA$AP Rockyもいつもの御洒落でイケイケな雰囲気でなく、洗いざらしのように清々しく優しいラップを聴かせていて素敵。「Work On It」は聴いてすぐと分かるPharrell Williams制作、彼らしいプラスチック玩具のようなシンセが合唱するように共振するキュートな一曲。「Girl Can't Be Herself」はまたまたThe Il'lminariesが制作を担当、案外こういうトロピカルなサウンドも好んでいるAlicia Keysが(いやSwizz Beatzの差し金か)、雨上がりに架かった虹のように潤んだ温もりと眩さを思わせる歌声を響かせます。ハンドクラップを背景に木漏れ日のような温かさが弾ける「More Than We Know」、飾り気のない王道ソウルという感じで心地良さは抜群。The Il'lminariesが制作を担当した「Where Do We Begin Now」もやはり、鍵盤音と膨れては弾けるビートの混じり方がなんだか歪だけど、でもすごく科学的で整列もしていて、その中で囁きながら綻んで咲くAlicia Keysのヴォーカルが現代アートのように美しい(溜息)。「Holly War」はあのCarlo "Illangelo" Montagneseが制作しており、ここまで薄氷のように白く透けたAlicia Keysのヴォーカルは聴いたことがなく新鮮で、そしてその歌声の切っ先は清冽で眩い。Jimmy NapesとAlicia Keysが共同制作した「Hallelujah」も黒さは無いけれど、立ち上がっては倒れまた空を掴むような抑揚がドラマチック。再びCarlo "Illangelo" Montagneseが制作の「In Common」も素晴らしい仕上がりで、トロピカルサウンドを澄み切った深層水でキンキンに冷やしたような水溶性なトラックと、ビートにぶつかって弾けて滴るヴォーカルも艶っぽく綺麗。

よくよく聴けば想像以上に濃いHip Hopアルバムだなと驚き、Swizz Beatzの関与が巧く作用している気がします。Alicia Keysがあまりに正統派で凛々し過ぎるため、あまり突飛に遊び過ぎると似合わなく感じてしまう欠点(?)もあるので、程よくビートを散りばめてAlicia Keysらしいタフさが光った一枚になっています。ノーメイクナチュラルなAlicia Keysが歌い上げるに相応しい、なんだか天然無添加なオーガニックアルバムで美味でした。







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僕が選ぶ2018年アルバムTop10[Rap部門]
前回に続いて、今回は僕が選ぶ2018年アルバムTop10[Rap部門]を紹介。
もはや世界で最も売れている音楽ジャンルとなったRap、どんどん勢力も拡大中。
それに伴ってSNSベースなどでも阿呆なラッパーがあちらこちらで出現。
多様性はあっても良いと思うけれど、聴く前から興味を削がれるMCもちらほら。
でも、ここまでジャンル内で爆発的に進化しているジャンルは他に無し。
そういう意味では、毎年とても楽しませてくれているこのTop10選考です。



第十位 Migos『Culture II』
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やはりここ最近のMigosの破竹の勢いは凄まじく無視できない、史上最高のグループとまでは言わないが、Rapの歴史を振り返った時には必ず名前が挙がるであろうシーンへの影響力。あの三連符フロウが誰のオリジナルかは不明だけれど、それをこの兄弟トリオが美しくフォーメーションを替えて繰り出すというのが味噌。やはりMigosならではの中毒性が光るし、それをこの脂の乗っている時に二枚組で出す辺りも策略的。あとはこの三人がそれぞれソロとして成功するのかどうか、やはりMigosは単体でなくトリオでないと威力半減な気がするのも払拭して頂きたい。

第九位 Stefflon Don『Secure』
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英国はバーミンガムから突如として出現したなんともパワフルな女性MC、Lil' Kim『The Notorious K.I.M.』をモチーフにしたであろうジャケットからして僕のハートをズドンと射止めた。なかなか骨太なラップとフロウながらも言葉の切っ先は鋭利で、其処彼処で聴かせるレゲエテイストな歌い回しなんかも彼女ならではの技でグッド。ルックス的にもなかなかの美形な気がするし、並み居る女性MCの中でも目立つ存在になれる事請け合い。Cardi Bが同時期に出現し売れたのが少し残念だけれど、サウンドもフロウもキャラ立ちしているので問題無し。

第八位 Flatbush ZOMBiES『Vacation In Hell』
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トリオとして同世代にMigosが出現したことが災いしている気がするFlatbush ZOMBiESだけれど、この2ndではその奇怪で独特な三者三様のマイクリレーで僕の鼓膜を毒々しく侵食。Migosが同じ様な三連符フロウを重ねつつ合いの手でシンクロ率を高めるのに反し、Flatbush ZOMBiESはゴツゴツ凸凹なマイクリレーで全員が個性たっぷり。沈殿気味のトラックも丁度良い塩梅の重たさで心地良く、それでいてトラックの毛色は様々で聴いていて飽きない仕上がり。全員がソロ作を期待できるMCだと思うけれど、急先鋒はやはりMeechy Darkoで決まりか。

第七位 J. Cole『KOD』
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デビュー時から僕のお気に入りのMCの一人なので、この順位はいささか低過ぎる気もしなくはない。ただJ. Coleはその作風がだんだん難解になるにつれて、少し疾走感が落ちている気がしたりしてそこが僕的には減点要素。ただ、そうは言っても作品の完成度はやはりズバ抜けて高くて高尚、どの部分を切り取って聴いてもエネルギーに満ちて圧倒的な言葉の重み。客演も無し(kiLL edwardはJ. Cole自身であるし)で、ひたすらと言葉をビート上に紡いでゆく様は先達のNasをガッチリと追っていて頼もしい限り。

第六位 Black Eyed Peas『Master Of The Sun, Vol. 1』
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Black Eyed Peasのずっとの強み(それはつまりwill.i.amの強み)はやはり、シンプルでいてポップさとコアさの絶妙な匙加減。大ネタ使いをしたとしてもけっして下品にならずに、どこかクラシカルに滑らかに輝かせる。それでいてどこか洗練されていてクール、それはwill.i.amのビートメイカーとしてのセンスと、メンバーそれぞれの(意外にも)熟練した骨太でシックなラップの調和でこそ成せる技。本作ではBEPの立役者とも言えるFergie不在ではあるけれど、だからこそ三人で原点回帰しシンプルにやりたい音を見つめ直す良い機会になった筈で。それが功を奏している。

第五位 Nipsey Hussle『Victory Lap』
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ようやくのメジャーデビューアルバムとなったNipsey Hussleだけれど、これほどまでインディな作風からガッツリとメジャー臭プンプン(その客演の豪華さもそう)な作風へと切り替えながらも、全く以ってしてこれまでのコアなファンを離さずより多くのファンまで獲得できたMCはいない気がする。それだけNipsey Hussleの燻し銀でいて軽やかなラップが際立っていて、そのラップにサウンドも客演も引っ張られているという証拠。惜しくも凶弾に倒れてしまったけれど素晴らしいMCである事はもう証明済みであったし、だからこそ今後の活躍がもう聴けないのは残念でならない。

第四位 Jim Jones『Wasted Talent』
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やはり三十路の僕としては(いやもはや四十路も近い)、Dipsetに対する愛着というのは凄まじいものである。しかしそんなDipsetの中でも、僕にとってJim Jonesは三番手ぐらいに好きなMC(一番はやはりCam'ronで、二番にJuelz Santana)。しかしDipsetの中でも一番アルバムを量産しているし、そのせいか聴く回数も多くなり結構好きなMCに成長。久々の本作でも現行シーン寄りのトラップっぽい曲もやりながら、やはり鼓膜を奪うのは Dipset仕込みな大ネタ使いっぽく大きく振り回したソウルフルなトラック。Cam'ronやJuelz Santanaを招集している点も熱いし、新人との絡みも全てグッド。

第三位 The Carters『Everything Is Love』
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Carter夫妻による初のタッグアルバムは、どちらかというとBeyonceのラップスキルが光っていたという点でRap部門で選出。思った以上にJay-Zは一歩下がった出演という感じで、世の夫婦としての絶妙なバランスも提示していて面白い。この二人が揃った時点でクレジットは恐ろしく豪華になるのは当然、それぞれがこの王族夫婦の為にあれやこれやとサウンドの忠誠を尽くしまくり。若者の中で流行る三連符なフロウもトラップっぽい掛け声やノリも、この貫禄ある二人がやると途端に貴族の優雅な戯れと化す狡さと巧さ。

第二位 YFN Lucci『Ray Ray From Summerhill』
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ATL出身のこの若手を僕は完全にノーマークにしていて、なんとなく購入して聴いたらかなりお気に入りとなった驚異の追い上げ盤。ATL出身らしいゆったりとして伸びやかなフロウは、放物線を描いて消える飛行機雲のような柔らかさがあり、メロウな中にもYFN Lucciならではのバウンシーさが光っている。最近の若手とは一線を画すメロディアスさとキーの高さで、トラックもソウルフルなものなんかもあって三十路の僕でも異様に聴き易い。中堅から若手まで客演も豪華に参加しているけれど、YFN Lucciがきちんと主役として際立っており将来有望株。

第一位 Travis Scott『Astroworld』
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果たしてサウンドとその独特で闇に光る星のようなフロウだけで、ここまで完璧に異空間なアミューズメントパークを開園できるラッパーが何人いるだろうか。そういう意味ではこのTravis Scottは、かのKid Cudiに比肩するほどの幻想世界の創造者になったと思う。ゆっくりと暗澹にも絢爛にめくるめく音世界、宵の明星のように闇夜にぼそりぼそりと呟くように煌めくTravis Scottのラップは、じわりじわりと聴き手の平衡感覚を奪って堕落させて昇天もさせる。そういう意味でもアートワークは当初に発表された、真夜中の遊園地のようなジャケットの方が採用されるべきだった。



.........僕が選んだ10枚は、2018年の年末当時はこういう並びでした。
しかしRap部門に関しては、年を越してからあれこれと買い足したアルバムも多数。
その中でもTop10漏れをさせて、後悔しているアルバムもあったりします。
ここに挙げているアルバムに関しては、早くこのブログで感想を書きたいな。
コメント嬉しいです、ありがとうございます。

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僕が選ぶ2018年アルバムTop10[R&B部門]
とにかく本当に久々のブログ更新。
遡れば2005年頃からずっと更新していたこの“RocBox 2”ブログ。
それこそ当初は毎日更新していたものですが、結婚し子供が出来てからは数日に何度か。
しかし、子供が二人になってからはだんだんと音楽を聴く時間も無くなって。
そんなこんなで、この“RocBox 2”を放置したままでした。
確認したら最後の更新は2018年の11月18日。
もう半年も更新出来ていませんでした、もちろんこれは最長です。
で、ちょっとブログのことを思い出したので、書いてみようと。

年末年始にブログを書いていなかったので、恒例記事を書けていなかったです。
そう、年間Top10で御座います。
実は僕のやっているTwitter上では、年間Top10は発表していたんです。
それをこのブログに書き起こせていなかったので、肩慣らしに最適かなと。
遅ればせながら昨年度、2018年のTop10[R&B部門]をここできちんと発表致します。
例年よりもやはり購入枚数も減っていますが、かえって本当に聴きたいアルバムのみ買うことに。
まあザックリした感想も添えて、ランキングを発表致します。



第十位 Toni Braxton『Sex & Cigarettes』
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やはり最初に出会った頃からToni Braxtonは好きな女性シンガーの一人なので、こうやって新譜が出ると素直に嬉しくなるんです。本作は全8曲となかなかコンパクトながらも、Toni Bratonらしい芳醇ビターがしなやかに煙るように味わえてる、Toni Braxtonでないと演出できないであろう大人の色香が漂う全く飽きがこない一枚。完全に淑やかなミッドで構築した無駄の無い設計も秀逸で、真夜中か夜明け前に毛布に包まって穏やかな体温を交えて聴きたい素敵なアルバム。

第九位 Ne-Yo『Good Man』
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どうしても優等生な印象を拭えないNe-Yoだけれど、実は毎作と様々なサウンドを準備して挑戦しているアグレッシブなシンガーだというのが僕の印象。そのキラキラと爽やかなヴォーカルを武器に軽やかに駆け抜けるのはNe-Yo節だけれど、そんな中にも変態ヘドロな「Breathe」や、R. Kelly的な濃密な粘液ハーモニーを繰り出す「Apology」など変化球も多数。だけれどBebe RexhaとStefflon Donを迎えて、レゲトンなアッパー「Push Back」なんかも据えてきっちり自身の旨味も出している辺りは憎き優等生かな。

第八位 Leon Bridges『Good Things』
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Leon Bridgesのデビューアルバムに関して言えば、あまりの懐古主義に四十手前の僕は少し尻込みしてしまい買わないまま(と言っても気になっていて、金銭的な理由からずるずると買えないままと言った方が正しい)。本作は噂ではそのデビューアルバムよりもよりR&Bチックになっていたとの事ですが、僕的にはやはりヴィンテージなソウル感触の強いアルバム。ただLeon Bridges自体はそこまで重厚過ぎず柔らかくしとやかなヴォーカルなので、素直に仕事も言えよう“ソウルフル”にゆったり浸かりながら聴き入る事が出来、入浴時間で再生回数を増やしました。

第七位 Mariah Carey『Caution』
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いい意味でこれまでのMariah Careyの作品(特に00年代)の焼き直し、しかもイマドキな新しい製作陣を敷きながらのこのサウンドなので、あえて策を弄さずのかなりな直球勝負でそこがグッド。というか製作陣も“Mariah Careyってこういう感じじゃん?”と言わんばかりで制作した気がして、そこにポツポツとTy Dolla $ignやGunna、Blood Orangeを配置して刷新感はちょっとだけ演出(だけれどSlick Rickに鼓膜を持っていかれるのが僕)。そんな単純な罠に喜んで捕まってしまったリスナーはきっと多いし、こうやってシンプルに聴かせ続けるMariah Careyのキュートさが嬉しい。

第六位 Victory『The Broken Instrument』
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Jay-Z率いるRoc Nationからのデビュー、というだけで前情報なしにただただ購入してしまったVictory。ほんのりと暈けた優しい歌声はなかなか独特で魅力があり、黒真珠のような音色がキラキラと輝くUKっぽい空気感を含んだ一枚かと。ジャズとフォークを融合させたシンガーと呼ばれているらしく、R&Bという感じではないけれどそのスモーキーなヴォーカルはソウルフルそのもの。昼下がりの陽だまりのような温もりが心地良く、気付いてたら再生回数が伸びていたのが本作。

第五位 Me'Shell Ndegeocello『Ventriloquism』
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Me'Shell Ndegeocelloを聴くといつも、どこか人知れない神秘的な秘境へと迷い込んでゆく感覚に陥る。彼女のヴォーカルが、音楽性が、とにかう深淵かつ神々しくて、この様々なシンガーの曲をカバーする事で、余計に異質な彼女の才能が引き立っている。PrinceにSade、TLC、Janet Jacksonなど僕にとって耳馴染みの深い楽曲ですら、すぐとカバーと気付けない程にMe'Shell Ndegeocelloの独創的なエッセンスで味変させられているのがグッド。普段ならばこういうカバーアルバムはTop10からは外すのですが、これはもはやオリジナルアルバムだと言い切れる程に、Me'Shell Ndegeocello独自のトリップ感が味わえる至高の一枚。

第四位 Jacquees『4275』
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Birdman率いるCash Money Recordsが久々に送り出したR&BシンガーがこのJacquees、数あるMixTapeの中でも『Mood』が素晴らしかったJacqueesがようやくリリースに漕ぎ着けることが出来たのがこのデビューアルバム。その多くが既発曲で聴いたことのあるものなのですが、どれもが高水準なのでそれでも全く構わない。ボソボソと平坦にラップっぽく歌い上げる若手シンガーが多い中、Jacqueesはそのルックスとは裏腹にじっくりと抑揚を武器に歌い上げる、まさに90年代的なシンガーでそこが高得点。歌声もけして透き通り綺麗とかではなく、どこかミルキーな感触の甘さが独特で素晴らしい注目株。

第三位 Blood Orange『Negro Swan』
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ずっと素晴らしいアルバムを創り続けていたBlood Orange、ようやく僕の鼓膜が彼に追いついたというのが正直な感想。そのデジタルとアナログが溶け合った不思議とノルタルジー漂うサウンドの秀逸さは当然として、そんな幻想的なサウンドの中でただただ泳いだり、時にはゴスペルチックにファルセットを張り上げるなど、錬金術のようにヴォーカルを駆使するBlood Orangeに鳥肌が止まらなかった。これまでは自分の中でサウンドが先行していたけれど、そのヴォーカルの素晴らしさにも気付かせてくれた一枚。

第二位 Lloyd『Tru』
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元々ナヨ声の男性シンガーがそれほどまで好きという訳でもない自分だけれど、やはりLloydのナヨ声は存在感抜群でとても滑らかで美しく鼓膜を優しくとろけさせる。久々の新作というのも手伝って聴いている時の高揚感は抜群だったし、逞しい裸体に瑞々しい森林という、あまりにも透明感溢れるナチュラルさが弾けていて痺れた。サウンドも僕世代が愛した90年代テイストなR&B曲を、その甘酸っぱくて潤んだヴォーカルで浸透させるというLloydならではの離れ業で聴かせてくれた珠玉の一枚に昇天。

第一位 Tinashe『Joyride』
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かなり早い段階からリリースを発表しながらなかなかリリースされず、もはやお蔵入りも覚悟していた中でようやくのリリースで発狂したのを覚えている。内容的にはTinasheがMixTapeなどで繰り出していたものよりも、多少ポップで聴き易く(悪く言えば大人しく)なった感は否めず、端々でRihannaの二番煎じギリギリな感触もあったり。しかしTinasheはRihannaよりももっとスウィートで可憐な聴き易いヴォーカルと、業界屈指なほどにバキバキに踊れるスキルがあるので、ヴィジュアル的なアプローチがもっと戦略化されたら、更に強力なアルバムになる可能性大かなと。二番煎じとか大人しいとか勝手な事を言ったが、製作陣や客演も旬でこだわった人選が光っているし、充分にこの世代では鋭いエッヂを最も輝かせていたR&Bライクな一枚だったと思う(賞賛)。“Joyride”と称しつつもそこはさほど無謀でもなく、やはり計算され尽くした感のあるところがメジャー作品たる所以。



.........僕が選んだ10枚は、2018年の年末当時はこういう並びでした。
とか言いつつも、まあ今見返してもこの順番でいいかなと思います。
これからもっと買う金銭的余裕も、聴く時間的余裕も少なくなってくると思います。
それでもたまーーーーに、ごくたまーーーーに、ブログを更新したいです。
そろそろ新譜に拘らずに、昔の作品を紹介したいなとも思うのですが。
まあ、兎にも角にも、皆様の昨年度の年間Top10が何だったのか気になります。

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SZA「Ctrl」
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現状最も勢いのあるレーベルと言っても過言ではない“Top Dawg Entertainment”の紅一点、SZAの記念すべきデビューアルバム『Ctrl』を御紹介。SZAは日本読みでは“シーザ、もしくはシザ”なのですね、僕はずっと“スーザ”と思っていたんで今だに間違って読んでしまいます(苦笑)。昔は大学で海洋生物学専攻をしていたという才女で、このアルバムの前に発表されたEP『S』、『Z』、『See.SZA.Run』でかなりの高評価を受けておりました。つまりかなり待ち望まれていたアルバムであり、第60回グラミー賞ノミネーションで最優秀新人賞、『Ctrl』が最優秀アーバン・コンテンポラリー・アルバム部門に、「Supermodel」は最優秀R&Bソング、「The Weekend」は最優秀R&Bパフォーマンス、「Love Galore」が最優秀ラップ/歌唱パフォーマンス部門の候補となり、計5ノミネートを受けました。第60回グラミー賞主要部門女性最多ノミネートという、期待値通りの結果を受けましたね。ちなみにタイトルの『Ctrl』は彼女のインタビュー曰く、”本当はコントロールしたいのにコントロールできない溢れ出る感情”を指しているのだとか。
それでは気になってしまう内容をようやく書き出し・・・・・・水のせせらぎみたく乱反射して湛える、水面のような弦の音色がなんだか悲しく悩ましい「Supermodel」。Scumが制作(AddVocalにはPharrell Williamsも関与)したトラック上をこれまた悩ましげにゴロゴロと寝そべって転げるような、SZAのキュートでとろけたヴォーカルが魅力的。Thankgod4codyとCarter Langなる人物が共同制作した「Love Galore」では、Travis $cottが客演で参加。ゆっくりじっくりとベッドに沈んでは浮かびを繰り返すように、なんだか密着感のある温度が漂うトラックは幻想的で卑猥(賛辞)。SZAの蜂蜜のようなヴォーカルがとろーり鼓膜に絡まるのも良いし、Travis $cottのふわふわと歌って夢見心地と虚ろが混じってようなフックもグッド。Cam O'biが制作の「Doves In The Wind」では、レーベルメイトであるKendrick Lamarが客演で参加。Redman「Let's Get Dirty (I Can't Get in Da Club)」とBusta Rhymes「Turn Me Up Some」をネタ使いしたこの曲は、SZAの蜂蜜ヴォーカルを足した事で、ネタ元をトロトロ甘いジャム状にスロウダウンさせた事で熟した美味を堪能できる仕組み。Carter LangとScumが共同制作した「Drew Barrymore」は、そのどこか毛羽立ったようなサウンドが独特なフォーキーさを生んでいるミッドで、長閑に進行する牛歩ビートにまったりと溶けるSZAのヴォーカルが白昼夢のように虚ろに響きます。Scumが制作を担当した「Prom」はふわふわと浮いたカラーセロハンみたいな音色がポップでキュートな一曲で、こうなるとSZAの甘ったるいシロップのようなヴォーカルもドリーミー倍増。Thankgod4codyが制作した90年代っぽい極上スロウジャム「The Weekend」が最高で、蜂蜜のようなSZAのヴォーカルがまるで汗ばんだようにしっとりと鼓膜に絡みつき、重なってゆっくりと深くうねって震えて果てるのがどうにもたまらない(恍惚)。ゼンマイ仕掛けのようにきめ細かにチタチタと進んで動くトラックがATCQっぽい「Go Gina」は、Scumと Caretr Langが制作(Add制作にFrank Dukes)しており、ブリキのようにレトロで角張ったメロディラインで転がるSZAもキュート。BBkonが制作の「Garden (Say It Like Dat)」はとても流麗で、SZAのヴォーカルが花蜜となってその周囲を、音色は花園をひらひらと飛ぶ蝶々のように色彩と輝きをはためかせるのが幻想的。水面の波紋のようにゆらゆらと揺らぎを広げてゆくメロウ「Brken Clocks」はThank4codyが制作で、River Tiber「West」をサンプリングしており、静かにゆっくりと沈殿してゆくようなSZAの砂金ヴォーカルが繊細で美しい。Donna Summer「Spring Affair」を下敷きにした「Anything」はScumが制作を担当、シャボン玉のようにフワフワと浮かんで遊離する音色に、まるでSZAの蜂蜜のようなメレンゲのようなヴォーカルまで乗っかりフワフワは最大限に。Thank4codyとProphitが共同制作した「Wavy (Interlude)」ではJames Fauntleroyが客演参加しているのですが、これまでの彼の客演でもこれほどバッチリ輪郭ハッキリな甘酸っぱい歌声を確認できるのは初かも(驚)。Carter Langが制作の「Normal Girl」もなだらかに音色とビートが転げてゆく、花園のようにフローラルでドリーミーなミッドで、SZAの澄んで輝く蜂蜜ヴォーカルの甘さと絶妙マッチング。ScumとCarter Lang、Josef Leimbergが共同制作した「Pretty Little Birds」では、レーベルメイトであるIsaiah Rashadが客演で参加。この曲も霞みがかった薄桃色の空をひらひらと鳥が飛んでいるように、幻想的なトラックにSZAの開放的に弾けるヴォーカルがドリーミー。最後を飾るのはScumとCarter Langが共同制作した「20 Something」で、アコースティックギターをポロポロと奏でるトラックは、静かな緑の生い茂る原生林に深々と滴る雨音のようで、SZAの潤いたっぷりなヴォーカルに心を綺麗に洗われます。

ぼってりとしてトローリ甘い歌声はまるで蜂蜜そのもの、金色に輝き澄んだSZAの蜂蜜ヴォーカルにゆっくりと身を委ねるばかりです。なんて言えばいいだろう、この独特の間延び寸前のビート感触とか、それを甘くコーティングするトロトロのSZAのヴォーカルなどが、感情の微細な揺れや躊躇いや飲まれるように進む感じを、つまりコントロール出来るか出来ないか寸前の情動を絶妙に表現している気がします。ちなみに本作は昨年度の年間ランキングにおいて、第八位に選出しておりました。










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Joey Bada$$「All-Amerkkkan Bada$$」
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New YorkはBrooklyn出身の実力ある若きMC、Joey Bada$$の通算二作目となる『All-Amerikkkan Bada$$』を御紹介。前作でありメジャーデビュー作となる『B4.Da.$$』も素晴らしかったJoey Bada$$、およそ二年のスパンを空けてのアルバムがこれ。Joey Bada$$といえば今は亡きCapital STEEZと共にクルー“Pro Era”の設立メンバーとして知られ、他にもKirk Knight、Nyck Cautionらも注目されている様ですね。ちょっと前に“俺は2Pacより上手い”とか発言したのも話題になりましたが、そこまで批判的には書かれていなかった気もします。実力は折り紙つき、といった事でしょうか。
それではちょこっとだけどう感じたかを拙くも・・・・・・まずはDJ Khalilが制作を担当した「Good Morning Amerikkka」で幕開け、トラックはどこか朝露に濡れたようにしとやかで、朝冷えするように青く漂う街の排気ガスのようなJoey Bada$$のラップがやはり渋い(痺)。DJ Khalilと1-900が共同制作した「For My People」も空気や話し声やクラクションがスクランブルする雑踏を思わせるトラックが最高で、少しざらっとしてギラギラと輝くJoey Bada$$のアスファルトの様なラップが走ります。サンプリング曲っぽいレトロな作り90年代っぽい「Temptation」は1-900とKirk Knightが共同制作、柔らかな風が湿った空気を乾かすようにメロディが翻るのが綺麗で、これほどまでにJoey Bada$$のラップが澄んでいてエアリーだという事に驚かされる壮麗ミッド。同じく1-900とKirk Knightが共同制作した「Land Of Free」水面の波紋のように柔らかく響き渡るトラックが憂いを帯びていて美しく、となればJoey Bada$$の絞った果汁の様に甘酸っぱくて、水煙のように儚く広がるミストみたいなラップもグッド。1-900とKirk Knight、Powers Pleasantが共同制作した「Devastated」は、OutKast「SpottieOttieDopaliscious」をネタ使い。ゆっくりとスローモーションのように流れるサウンドと、一気に華やぎ溢れるサウンド(そしてJoey Bada$$が高らかと突き抜ける様に歌い上げるフック)の対がまるで、降り注いだ雨が陽光に照らされ一気に蒸発するような、通り雨の感触にも似た不思議なプリズムの一曲。「Y U Don't Love Me? (Miss Amerikkka)」は1-900とPowers Pleasantが共同制作した、ゆらゆらとスチームみたく夢現なとろけるミッドで、少しく曇って響くJoey Bada$$のラップはシナモンのような独特の苦味と甘味が混じっていてナイス(糖度的確)。Chuck Strangersと1-900が共同制作した「Rockabye Baby」はJanko Nilović「Blue Stone」をサンプリングし、極細に切られたピアノループをひらひらと舞わせたシリアスな一曲で、こうなるとジメジメと日陰のようなJoey Bada$$と客演のSchoolboy Qが水を得た魚。 Kirk KnightにNyck CautionのPro Eraの面々と、Flutbush Zombiesの、Meechy Darkoでマイクリレーする「Ring The Alarm」はKirk Knightと1-900が共同制作、いかにもPro Eraらしい陰湿ダークでひんやりと冷たいトラックに、殺伐として乾いたPro Eraの面々の銃声のようなラップが響きます。そこにMeechu Darkoが登場することでおどろおどろしさが加味され、どこか妖気に似た空気を帯びるのもグッド。Tunesville Inc「Voice on the Wind」をネタ使いした「Super Predator」はStatik Selektahが制作しており、彼らしい燻し銀ソウルフルな一曲でギュルギュルと巻き込むトラックがド渋い。冷たく暗い鉛色の空を動かすようにエアリーに踊るJoey Bada$$の最高だけれど、客演参加のStyles Pが絡むことでより鋭利な木枯のようになって聴き手の鼓膜をくすぐるのがたまりません(痺)。レゲエシンガーのChronixxを客演の「Babylon」はLike(Pac Div)が制作を担当しており、どこかカラメルの様にビターな美味になっているのはChronixxの尽力によるもの。再びStatik Selektahが制作した「Legendary」はAndile Yenana「Thembisa (The People)」をネタ使いし、ホーンとピアノが滑らかで艶やかな輝きを放つ高貴な一曲で、客演のJ. Coleの助演男優賞でよりシックで上品な正統派でドレッシーなトラックに仕立てられていてナイス(端麗)。最後を締め括るのはDJ Khalil制作の「Amerikkkan Idol」で、やはり雨上がりの晴れ間に吹く風のように晴れやかで軽やかなトラックと、Joey Bada$$の身軽に跳ねて走るエアリーな(だけれど落ち着いていて静かな)ラップが印象的。

これまでのJoey Bada$$と言ったら90年代前半のRap作品を思わせる、陰鬱でザラザラと荒涼としたトラックの中で砂塵のようなラップを聴かせるMCといった印象。それに比べると本作でのJoey Bada$$は、晴天の下で吹くからっと乾いた風のようで、なんだかとてもエアリーでこれはこれでグッド。ですがそのエアリーさの中でもJoey Bada$$のラップとフロウが流れると、木陰のようにはっとさせられる輪郭のくっきりとした冷たさが感じられてそれも最高。という訳で昨年度の“僕が選ぶ2017年アルバムTop10[Rap部門]”でも第九位にランクインした一枚、結局はこういうサウンドとラップをずっと後年でも聴いている気がします。








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