FC2ブログ

RocBox 2

自分の持っているR&B、Rapアルバムを聴いての感想を偏見で綴る。音楽に関する知識はほぼ無し、雰囲気で語る。

11 2018
SUN MON TUE WED THU FRI SAT
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
プロフィール

Queen

Author:Queen
生年月日:1983年11月28日
星座:射手座
性別:男
血液型:A型
趣味:古典的推理小説読書
    黒音楽に浸る

ブログランキング
人気ブログランキングへ にほんブログ村 音楽ブログ HIPHOP・ラップへ
にほんブログ村 音楽ブログ R&B・ソウルへ
Q's Tumblr
http://rocqueen.tumblr.com/
Twitter
ブログ内検索
月別アーカイブ
ブロとも申請フォーム
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
音楽
217位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
洋楽
50位
アクセスランキングを見る>>
訪問者数
現在の閲覧者数
Coming Soon
QRコード
暇潰しに携帯でどうぞ
QR
国カウンター
free counters
Category: 女性R&B  Tags: ---

Comment: 0  Trackback: 0

SZA「Ctrl」
CTRL.jpg

現状最も勢いのあるレーベルと言っても過言ではない“Top Dawg Entertainment”の紅一点、SZAの記念すべきデビューアルバム『Ctrl』を御紹介。SZAは日本読みでは“シーザ、もしくはシザ”なのですね、僕はずっと“スーザ”と思っていたんで今だに間違って読んでしまいます(苦笑)。昔は大学で海洋生物学専攻をしていたという才女で、このアルバムの前に発表されたEP『S』、『Z』、『See.SZA.Run』でかなりの高評価を受けておりました。つまりかなり待ち望まれていたアルバムであり、第60回グラミー賞ノミネーションで最優秀新人賞、『Ctrl』が最優秀アーバン・コンテンポラリー・アルバム部門に、「Supermodel」は最優秀R&Bソング、「The Weekend」は最優秀R&Bパフォーマンス、「Love Galore」が最優秀ラップ/歌唱パフォーマンス部門の候補となり、計5ノミネートを受けました。第60回グラミー賞主要部門女性最多ノミネートという、期待値通りの結果を受けましたね。ちなみにタイトルの『Ctrl』は彼女のインタビュー曰く、”本当はコントロールしたいのにコントロールできない溢れ出る感情”を指しているのだとか。
それでは気になってしまう内容をようやく書き出し・・・・・・水のせせらぎみたく乱反射して湛える、水面のような弦の音色がなんだか悲しく悩ましい「Supermodel」。Scumが制作(AddVocalにはPharrell Williamsも関与)したトラック上をこれまた悩ましげにゴロゴロと寝そべって転げるような、SZAのキュートでとろけたヴォーカルが魅力的。Thankgod4codyとCarter Langなる人物が共同制作した「Love Galore」では、Travis $cottが客演で参加。ゆっくりじっくりとベッドに沈んでは浮かびを繰り返すように、なんだか密着感のある温度が漂うトラックは幻想的で卑猥(賛辞)。SZAの蜂蜜のようなヴォーカルがとろーり鼓膜に絡まるのも良いし、Travis $cottのふわふわと歌って夢見心地と虚ろが混じってようなフックもグッド。Cam O'biが制作の「Doves In The Wind」では、レーベルメイトであるKendrick Lamarが客演で参加。Redman「Let's Get Dirty (I Can't Get in Da Club)」とBusta Rhymes「Turn Me Up Some」をネタ使いしたこの曲は、SZAの蜂蜜ヴォーカルを足した事で、ネタ元をトロトロ甘いジャム状にスロウダウンさせた事で熟した美味を堪能できる仕組み。Carter LangとScumが共同制作した「Drew Barrymore」は、そのどこか毛羽立ったようなサウンドが独特なフォーキーさを生んでいるミッドで、長閑に進行する牛歩ビートにまったりと溶けるSZAのヴォーカルが白昼夢のように虚ろに響きます。Scumが制作を担当した「Prom」はふわふわと浮いたカラーセロハンみたいな音色がポップでキュートな一曲で、こうなるとSZAの甘ったるいシロップのようなヴォーカルもドリーミー倍増。Thankgod4codyが制作した90年代っぽい極上スロウジャム「The Weekend」が最高で、蜂蜜のようなSZAのヴォーカルがまるで汗ばんだようにしっとりと鼓膜に絡みつき、重なってゆっくりと深くうねって震えて果てるのがどうにもたまらない(恍惚)。ゼンマイ仕掛けのようにきめ細かにチタチタと進んで動くトラックがATCQっぽい「Go Gina」は、Scumと Caretr Langが制作(Add制作にFrank Dukes)しており、ブリキのようにレトロで角張ったメロディラインで転がるSZAもキュート。BBkonが制作の「Garden (Say It Like Dat)」はとても流麗で、SZAのヴォーカルが花蜜となってその周囲を、音色は花園をひらひらと飛ぶ蝶々のように色彩と輝きをはためかせるのが幻想的。水面の波紋のようにゆらゆらと揺らぎを広げてゆくメロウ「Brken Clocks」はThank4codyが制作で、River Tiber「West」をサンプリングしており、静かにゆっくりと沈殿してゆくようなSZAの砂金ヴォーカルが繊細で美しい。Donna Summer「Spring Affair」を下敷きにした「Anything」はScumが制作を担当、シャボン玉のようにフワフワと浮かんで遊離する音色に、まるでSZAの蜂蜜のようなメレンゲのようなヴォーカルまで乗っかりフワフワは最大限に。Thank4codyとProphitが共同制作した「Wavy (Interlude)」ではJames Fauntleroyが客演参加しているのですが、これまでの彼の客演でもこれほどバッチリ輪郭ハッキリな甘酸っぱい歌声を確認できるのは初かも(驚)。Carter Langが制作の「Normal Girl」もなだらかに音色とビートが転げてゆく、花園のようにフローラルでドリーミーなミッドで、SZAの澄んで輝く蜂蜜ヴォーカルの甘さと絶妙マッチング。ScumとCarter Lang、Josef Leimbergが共同制作した「Pretty Little Birds」では、レーベルメイトであるIsaiah Rashadが客演で参加。この曲も霞みがかった薄桃色の空をひらひらと鳥が飛んでいるように、幻想的なトラックにSZAの開放的に弾けるヴォーカルがドリーミー。最後を飾るのはScumとCarter Langが共同制作した「20 Something」で、アコースティックギターをポロポロと奏でるトラックは、静かな緑の生い茂る原生林に深々と滴る雨音のようで、SZAの潤いたっぷりなヴォーカルに心を綺麗に洗われます。

ぼってりとしてトローリ甘い歌声はまるで蜂蜜そのもの、金色に輝き澄んだSZAの蜂蜜ヴォーカルにゆっくりと身を委ねるばかりです。なんて言えばいいだろう、この独特の間延び寸前のビート感触とか、それを甘くコーティングするトロトロのSZAのヴォーカルなどが、感情の微細な揺れや躊躇いや飲まれるように進む感じを、つまりコントロール出来るか出来ないか寸前の情動を絶妙に表現している気がします。ちなみに本作は昨年度の年間ランキングにおいて、第八位に選出しておりました。










スポンサーサイト

テーマ : HIPHOP,R&B,REGGAE    ジャンル : 音楽

Category: 男性Hip Hop  Tags: ---

Comment: 0  Trackback: 0

Joey Bada$$「All-Amerkkkan Bada$$」
joeybadassallamerikkk.jpg

New YorkはBrooklyn出身の実力ある若きMC、Joey Bada$$の通算二作目となる『All-Amerikkkan Bada$$』を御紹介。前作でありメジャーデビュー作となる『B4.Da.$$』も素晴らしかったJoey Bada$$、およそ二年のスパンを空けてのアルバムがこれ。Joey Bada$$といえば今は亡きCapital STEEZと共にクルー“Pro Era”の設立メンバーとして知られ、他にもKirk Knight、Nyck Cautionらも注目されている様ですね。ちょっと前に“俺は2Pacより上手い”とか発言したのも話題になりましたが、そこまで批判的には書かれていなかった気もします。実力は折り紙つき、といった事でしょうか。
それではちょこっとだけどう感じたかを拙くも・・・・・・まずはDJ Khalilが制作を担当した「Good Morning Amerikkka」で幕開け、トラックはどこか朝露に濡れたようにしとやかで、朝冷えするように青く漂う街の排気ガスのようなJoey Bada$$のラップがやはり渋い(痺)。DJ Khalilと1-900が共同制作した「For My People」も空気や話し声やクラクションがスクランブルする雑踏を思わせるトラックが最高で、少しざらっとしてギラギラと輝くJoey Bada$$のアスファルトの様なラップが走ります。サンプリング曲っぽいレトロな作り90年代っぽい「Temptation」は1-900とKirk Knightが共同制作、柔らかな風が湿った空気を乾かすようにメロディが翻るのが綺麗で、これほどまでにJoey Bada$$のラップが澄んでいてエアリーだという事に驚かされる壮麗ミッド。同じく1-900とKirk Knightが共同制作した「Land Of Free」水面の波紋のように柔らかく響き渡るトラックが憂いを帯びていて美しく、となればJoey Bada$$の絞った果汁の様に甘酸っぱくて、水煙のように儚く広がるミストみたいなラップもグッド。1-900とKirk Knight、Powers Pleasantが共同制作した「Devastated」は、OutKast「SpottieOttieDopaliscious」をネタ使い。ゆっくりとスローモーションのように流れるサウンドと、一気に華やぎ溢れるサウンド(そしてJoey Bada$$が高らかと突き抜ける様に歌い上げるフック)の対がまるで、降り注いだ雨が陽光に照らされ一気に蒸発するような、通り雨の感触にも似た不思議なプリズムの一曲。「Y U Don't Love Me? (Miss Amerikkka)」は1-900とPowers Pleasantが共同制作した、ゆらゆらとスチームみたく夢現なとろけるミッドで、少しく曇って響くJoey Bada$$のラップはシナモンのような独特の苦味と甘味が混じっていてナイス(糖度的確)。Chuck Strangersと1-900が共同制作した「Rockabye Baby」はJanko Nilović「Blue Stone」をサンプリングし、極細に切られたピアノループをひらひらと舞わせたシリアスな一曲で、こうなるとジメジメと日陰のようなJoey Bada$$と客演のSchoolboy Qが水を得た魚。 Kirk KnightにNyck CautionのPro Eraの面々と、Flutbush Zombiesの、Meechy Darkoでマイクリレーする「Ring The Alarm」はKirk Knightと1-900が共同制作、いかにもPro Eraらしい陰湿ダークでひんやりと冷たいトラックに、殺伐として乾いたPro Eraの面々の銃声のようなラップが響きます。そこにMeechu Darkoが登場することでおどろおどろしさが加味され、どこか妖気に似た空気を帯びるのもグッド。Tunesville Inc「Voice on the Wind」をネタ使いした「Super Predator」はStatik Selektahが制作しており、彼らしい燻し銀ソウルフルな一曲でギュルギュルと巻き込むトラックがド渋い。冷たく暗い鉛色の空を動かすようにエアリーに踊るJoey Bada$$の最高だけれど、客演参加のStyles Pが絡むことでより鋭利な木枯のようになって聴き手の鼓膜をくすぐるのがたまりません(痺)。レゲエシンガーのChronixxを客演の「Babylon」はLike(Pac Div)が制作を担当しており、どこかカラメルの様にビターな美味になっているのはChronixxの尽力によるもの。再びStatik Selektahが制作した「Legendary」はAndile Yenana「Thembisa (The People)」をネタ使いし、ホーンとピアノが滑らかで艶やかな輝きを放つ高貴な一曲で、客演のJ. Coleの助演男優賞でよりシックで上品な正統派でドレッシーなトラックに仕立てられていてナイス(端麗)。最後を締め括るのはDJ Khalil制作の「Amerikkkan Idol」で、やはり雨上がりの晴れ間に吹く風のように晴れやかで軽やかなトラックと、Joey Bada$$の身軽に跳ねて走るエアリーな(だけれど落ち着いていて静かな)ラップが印象的。

これまでのJoey Bada$$と言ったら90年代前半のRap作品を思わせる、陰鬱でザラザラと荒涼としたトラックの中で砂塵のようなラップを聴かせるMCといった印象。それに比べると本作でのJoey Bada$$は、晴天の下で吹くからっと乾いた風のようで、なんだかとてもエアリーでこれはこれでグッド。ですがそのエアリーさの中でもJoey Bada$$のラップとフロウが流れると、木陰のようにはっとさせられる輪郭のくっきりとした冷たさが感じられてそれも最高。という訳で昨年度の“僕が選ぶ2017年アルバムTop10[Rap部門]”でも第九位にランクインした一枚、結局はこういうサウンドとラップをずっと後年でも聴いている気がします。








テーマ : HIPHOP,R&B,REGGAE    ジャンル : 音楽

Category: 男性R&B  Tags: ---

Comment: 0  Trackback: 0

Ty Dolla $ign「Beach House 3」
DFN171006-009.jpg

本名はTyrone William Griffin, Jr.で85年生まれのSSW、Ty Dolla $ignの通算二作目となる『Beach House 3』を御紹介。以前にも御紹介しましたが、彼の父親は「Fantastic Voyage」で知られる70年代のアメリカのファンクバンド、LakesideのメンバーであるTyrone Griffinなのだそう。だからかTy Dolla $ignは作詞作曲でメキメキと頭角を現し、楽器もベースギターにドラムやギター、キーボード、電子音楽機器のMPCなども習得しているというのだから驚き。前作でありメジャーデビューアルバムである『Free TC』から、およそ一年の短いスパンでリリースされた本作は、MixTapeで人気を博した“Beach House”シリーズの三作目となっております。
それでは遅ればせながら感想をちょこっと書きますと・・・・・・まずはJason "Poo Bear" BoydとThe Audibles、Sasha Sirota、Ty Dolla $ign(以降はTD$と省略)が共同制作したアコースティックギター一本で聴かせるミッド「Famous」で幕開け。僕はTD$の歌声をこれまでオリーブオイルと表現していた訳ですが、ここでの素朴で軽やかな風合いは正にサラダのようなフレッシュさで、TD$の優しく乾いたヴォーカルが潮風のように鼓膜を撫でます。しかも終盤にはあのJohn Mayerのヴォーカルが滲んで消えるという、まるで雨上がりの虹のような美しさ。Dijon "DJ Mustard" McFarlaneとTwice as Niceが共同制作した「Love U Better」では、Lil WayneとThe-Dreamという軟性ヴォーカルを配置する面白さ。Peabo Bryson「Feel The Fire」をサンプリングしたトラックは程よく甘酸っぱくて色鮮やか、Lil Wayneのチロチロと舌を出す様な爬虫類ラップは相変わらずの原始的な中毒を起こすし、The-Dreamの汗ばんだ様に甘く濡れたヴォーカルと、灼け焦がす陽光のようなTD$のヴォーカルの対比が最高に面白い。Christian "Hitmaka" WardとBongo ByTheWayが共同制作した「EX」ではYGが客演参加、112「Only You(Bad Boy Remix)」をネタ使いしている時点で反則。この果肉ゴロゴロといった具合に弾力のある甘味が炸裂するビートが肝なトラックは西海岸風でグッドだし、だからこそ鉄球のように重たく黒光りするYGのラップが美しく映えるし、TD$のオリーブオイルのようにナチュラルに滑らかに輝くヴォーカルが色っぽい(痺)。ゆっくりと褪せて色味を失うように、色彩が結露し雫となって音色とシンクロする「Droptop In The Rain」はChristian "Hitmaka" WardとLee On The Beatzが共同制作し、客演にはこれまた曲者なTory Lanezが参加。TD$のスコールのようにボタボタと響くラップと、遠くで静かに止んでゆくようなTory Lanezの雨上がり的ヴォーカルの遠近感覚が、天気雨のような不思議なマーブル模様を演出していて不安定で美しい(溜息)。Mike Will Made-Itと30 Rocが共同制作の「Don't Judge Me」では、客演にFutureとSwae Leeが揃って参加。 コバルトブルーの海のように冷たく澄んだトラックをすいすい泳ぐ様な三者のシンギンラップが滑らかにレイドバックして、TD$のザクザクと抑揚ある歌唱がまるで細波のように乱反射して輝くのが素敵だし、Futureの夏雲のように重厚で勇壮に漂うラップと、Swae Leeの潮風のように甘酸っぱいフックもグッド。Mike Will Made-ItとPlussが共同制作した「Dawkin's Breek」ではJeremihが客演参加し、いかにもMike Will Made-Itらしいドテッとしたビートをごろごろと転がした平坦なトラックで、だからこそヴォーカルの癖が強い二人で彩ります。再びFutureと24hrsが客演参加した「Don't Sleep」は、SouthsideとJake One、Sam Wishが共同で制作。夏の海のように暑さと冷たさの温度が入り混じった様なサウンドが波紋のように広がり、そこに油分であるTD$のオリーブオイルのようなヴォーカルがぷかぷか分離して浮かぶのが面白い。Pharrell Williamsが制作した「Stare」では、そのPharrell WilliamsとWiz Khalifaが客演参加。ぐんぐんと深海に潜ってゆくように響くビートの反復のみでシンプルそのもの、PharrellもWiz Khalifaもマイクを回すも、もうTD$のオリーブオイルなヴォーカルと塩味のみで召し上がるヘルシーなミッド。「So Am I」はJason "Poo Bear" BoydとSkrillex、Sasha Sirotaが共同制作し、Damian MarleyとSkrillexが客演参加。Damian Marley参加なので当然レゲエテイストな灼熱焦んがりなミッドながら、Skrillex仕込みなデジタルノイジーなエッヂも少しあり、TD$のオリーブグリーンなヴォーカルが味付けを決めるボタニカルな一曲で爽快。ただその爽快感だけで終わるところを、Damian Marleyの焙煎された苦味のあるヴォーカルが混じる事で刺激的にもしているの最高。Christopher "Chrishan" DotsonとFloyd "A1" Bentley、Christian "Hitmaka" Wardが共同制作した「Lil Favorite」では、MadeinTYOが客演で参加。トロピカルソーダの様に色鮮やかに発泡するトラックは、澄んだ海のようにエメラルドグリーン色に輝くTD$のヴォーカルにバッチリシンクロ。Fifth HarmonyのメンバーでTD$の恋人でもあるLauren Jaureguiが客演参加した「In Your Phone」はDun Deal制作で、二人の密着感と溶け合うフィーリングが如実に反映されたとろけるミッドで、その清冽な青さも含めると、海底の沈没船に静かに眠る宝石箱のような神秘さも感じたり(浪漫)。「All The Time」はJohn James StokesにFloyd "A1" Bentley、Christian "Hitmaka" Wardが共同制作しており、青い海にダイブして潜るような壮麗なミッドでやはり気持ち良い。Sons Of SonixとJason "Poo Bear" Boydが共同制作した「Side Effects」も南国を思わせる灼熱感のあるダンストラックで、TD$の焦んがりビターなヴォーカルと絶妙なマッチング。「Massage In A Bottle」はDarhyl "DJ" Camper, Jr.が制作を担当したアコースティックなスロウで、生野菜と果実をぎゅっと搾ったような繊維質なグリーンスムージー的なスロウジャムで心地良いのです。あと細かくは書かなかったですが、ブリッジとして「Famous Lies」「Famous Excuse」「Famous Friends」「Famous Amy」「Famous Last Words」が配置されていて、そのどれもが良い味を出しています。

全部で20曲という大ボリュームながら、どこか前作に比べるとかなりコンパクトにまとまっている様に感じるのはなぜ。最初はサウンドアプローチが集約されているからかなとかも思いましたが、単に僕の耳がTy Dolla $ignをきちんと処理できるように慣れたのかもしれません(笑)。ただ本作はTy Dolla $ignの自然味溢れるオリーブオイル的な旨味を存分に引き出した良作で、きっちりと時代の先端も捉えた歴たるR&B盤だと思っております。あとはしれっと活躍している、本作でも数曲に関与したChristian "Hitmaka" Wardが、あのYung Bergだというのも追記しておきたいです。












テーマ : HIPHOP,R&B,REGGAE    ジャンル : 音楽

Category: 女性R&B  Tags: ---

Comment: 0  Trackback: 0

Kelela「Take Me Apart」
kelelatma.jpg

エチオピア系アメリカ人の移民二世である新世代R&Bシンガー、Kelelaの記念すべきデビューアルバム『Take Me Apart』を御紹介。デビューアルバムではあるのですが初の作品ではなく、これまでに発表したMixTape『Cut 4 Me』、EP『Hallucinogen』の二作品を発表しており、特に後者に収録の「Rewind」はニューヨーク・タイムズ紙で“これからの音楽の方向性を感じさせる25曲”に選出されるなどして、一気に知名度を上げておりました。その後はSolangeやDanny Brown、Gorillazなどの楽曲に客演参加するなどして、リスナーの期待値をぐんぐん上げての本作となります。R&BやJazz、Bjorkなどを聴いて育ったという彼女、奇しくもそのKelelaの才能をそのBjorkが絶賛しているというから驚きです。
という訳で遅まきながら感想を書いてみたいと思いまして・・・・・・まずはJam Cityが制作した宵の明星のような妖しい光を放つ「Frontline」でゆっくりジワジワと幕開け、冷たく青い夜空のようなトラックにKelelaの満天の星空みたく煌めくヴォーカルが、見事なまでの美しさと神々しさ。同じくJam Cityが制作を担当した「Waitin」は黄金期のJanet Jacksonを彷彿とさせるミント系の壮麗ミッドで、柔らかくビートを弾ませるトラックに共振して、流星群のように抜けて光りながらも、どこか肉感と曲線を感じさせるヴォーカルがグッド(艶美)。表題曲となる「Take Me Apart」はAl ShuxとJam Cityによる共同制作で、Kelelaの潤んで弾くヴォーカルが最高で、冷たく濡れた樹海を駆け抜けて降って落ちるような星空に出逢うような一曲。夏の夜の海をVHSで撮影して映したようなざらつきとウェットさの混濁が美しい「Enough」はArcaが制作を担当、少し歪で尖った音色をも濾過して澄み切ったものに変えるKelelaのヴォーカルの成せる芸術。Aaron David Rossが制作した「Jupiter」はそれこそ宇宙を思わせる壮大で静かなスロウジャムながら、それはあくまで肉眼で見上げる落ちてきそうな夜空で、それはKelelaの歌声が夜の雨音となって鼓膜にそっと降るから感じるまで。MockyとBok Bok、Arielが共同制作した「Better」はもはや静かなる宇宙空間、その中をゆっくりと銀色の衛星が漂うように、緻密に金属的な音色とヴォーカルが転回するのがクールで幻想的。Jam Cityが制作した「LMK」はそれこそ彼女がポストAaliyahと謳われるのが分かる一曲で、ザクザクと尖って屈折する妖しいネオン光のようなトラックの中で、妖艶にくねくねと曲がりながら色香を発するKelelaのツヤツヤした銀色の歌声が素晴らしい。同じくJam Cityが制作した「Truth Or Dare」はボタボタと零れ落ちるビートが骨太で、だけどそれを溶かすメロディは海月の漂う海のようにミステリアスに輝いて、だからこそ鋭利に輝くメタリックなKelelaのヴォーカルも綺麗に反射。「S.O.S.」はKingdomが制作を担当した美スロウジャム、静かな青い湖面に映る月光のように、やはりKelelaのヴォーカルは冷たい輝きのようで美しい(溜息)。Dubble Dutchが制作を担当した「Blue Light」もやはり真夜中を思わせる一曲で、細く射し込んだ青白い月光が夜の闇を裁断し、その闇がひらひらと舞い上がっては飲み込むようにメロディが歪曲するのが凄まじい魔力(圧倒)。そんな夜の闇がどういうわけか細胞分裂を起こして沸々と踊り出すような感触がサイケな「Onanon」は再びArcaが制作、これも下手すればサイケ過ぎるのをKelelaの柔らかで艶やかなヴォーカルが戯れ、指先で弄ぶように歌うからセクシーに鳴る。またもやArcaが制作した「Turn Ta Dust」はストリングスなど挿入し、なんともキメ細かなメロディが紡がれたシナプス的メロウで、それがKelelaの薄明かりのような神秘的な歌声をより魅力的にしています。Jam Cityが制作した「Bluff」は広大な宇宙にポツンと銀色の宇宙船が遊泳しているような宇宙交信的メロウ、何万光年を思わせるKelelaのヴォーカルがまた幻想的な伸びでグッド。最後を飾るのもJam Cityが制作した「Altadena」で、花園のようなフローラルさに冷たく硬いメタリックな味わいも混じったSFメロウで(銀河戦争終戦後の兵器が散らばった荒れた大地に、何百年の後に花が咲いたよう)、鉄から花を咲かすようなKelelaの淡く甘いヴォーカルが素晴らしいのです(涙)。とここまでが本編の内容で、国内盤にはこれらに加え、AaliyahとTimbalandの蜜月を彷彿とさせる「A Massage」と、光と共に疾走して瞬くヒット曲「Rewind」も収録しております。

すっごく良い、R&Bかどうか問われると難しいのですが、僕は凄くこのアルバムを気に入って聴いていました。その結果、昨年の“僕が選ぶ2017年アルバムTop10[R&B部門]”においても、第六位という好成績を収めたほどです。巷では“ポストAaliyah”と称されているらしいし、それに関して僕も異論はないのですが、僕なんかは一時期のJanet Jacksonを感じる場面も多かった一枚。なかなか特殊な立ち位置に居るし、次回作にも大いに期待したい美人シンガーで御座います(結局)。








テーマ : HIPHOP,R&B,REGGAE    ジャンル : 音楽

Category: 男性Hip Hop  Tags: ---

Comment: 0  Trackback: 0

Lil Uzi Vert「Luv Is Rage 2」
liluzirage20075678659249.jpg

現Hip Hopシーンの新たなファッションアイコン、Lil Uzi Vertの記念すべきメジャーデビューアルバム『Luv Is Rage 2』を御紹介。その小さな身長とカラフルなドレッドヘア、ロックスターを標榜する奇抜でクールなファッションでも注目を集める小さな巨人ことLil Uzi Vert。Philadelphia出身の94年生まれの24歳、本格的にラップを始めたのは20歳前後と言われているみたいですから、あっという間に結果を出している様です。ちなみに名前の由来なのですが、“マシンガンみたいなラップ”という意味の“Uzi”(小型マシンガンの愛称)と“頂点まで真っ直ぐ登りつめる”という意味のVert(ヴァーティカルの略)を合わせたものなのだそう(又聞)。
という訳で薄味な感想を例に漏れず書きますと・・・・・・まずはLil Uzi VertとDon Cannon、Lyle Leduffが共同制作した「Two®︎」でスタート、どことなく漏れ出るようにジワジワと光るスライム状のトラックがなんとも美しくもグロテスク寸前で、だからこそどこか悪戯っぽくウイルス的な感染をするLil Uzi Vertのラップが魅力的。「444+222」はMaaly RawとIke Beatzが共同制作した明滅アッパーで、フックなどは分かり易いリフレインを練り込んだトラップ風も、声色の高低差やマシンガンのごとく的確に撃ち放つLil Uzi Vertのラップ技術で、ザクザクとした食感で美味な中毒曲に仕上がっています。「Sauce It Up」はDon Cannonが単独で制作した鉱石のように硬く輝くゴツゴツした一曲ながら、Lil Uzi Vertのキラキラと輝く研磨された宝石のような24カラットのラップが美しく乱反射するのが見事。またまたDon Cannonが単独制作した「No Sleep Leak」も闇夜のように漆黒のトラックの中を、音波を発しながら器用に怪しく滑空する蝙蝠のようなLil Uzi Vertのラップがダークでカッコイイ(痺)。Ike BeatzとDon Cannonが共同制作した「The Way Life Goes」は、夏の夕暮れに染まる波間のように揺らめくトラックがスウィートなメロウで、ここでもヴォーカルレンジが広くしっかり歌えるLil Uzi Vertの光を水に溶かしたようなフロウが最高に心地良い(賛辞)。ビヨビヨとして弾力のあるグミみたいなシンセが転がる「For Real」はDJ PluggとBobby Kriticalが共同制作、このポップでカラフルで無邪気なトラックの中でじゃれて戯れるウイルスみたいなLil Uzi Vertのラップが気付くと体中を毒し蔓延。「Feeling Mutual」はシンデレラガールことWondagurlが制作を担当しており、グニャグニャと融解する金属のような音色がマーブル模様に広がるトラックは素晴らしく、だからこそウイルスチックに感染に蝕むLil Uzi Vertの無邪気なラップが映えます。Pharrell Williamsが制作&客演した「Neon Guts」なんかもネオンというよりは夜光虫のようなジワジワ妖しい輝きで、Lil Uzi Vertの滑空して散るようなバイ菌ラップもグッド。Maaly Rawが制作した「Early 20 Rager」は淡々と超音波のようなラップを飛ばして反響させる、読経チックな催眠効果抜群な反芻チューン。Jason "DaHeala" QuennevilleとAbel "The Weeknd" Tesfaye、Don Cannon、Maaly Rawが共同制作した「Unfazed」では、濃い夜霧で冷たく夜空を濡らすようにThe Weekndのヴォーカルが響く一曲で、そんなミステリアスでダークな空間でLil Uzi Vertのラップが歪んだ月光のように射すのがクール。「Pretty Mami」はDon Cannonと!llmindが共同制作しており、蝕まれてうなされるようにグルグルと回る微熱トラックに、Lil Uzi Vertのラップが崩壊錠のように溶けてゆくのが鋭利。再びWondagurlが制作を担当した「How To Talk」では、色鮮やかな閃光のような音色が放射線状に散らばり、その閃光に乗っかり花火のように弾けるラップが面白い。Metro BoominとPierre Bourneが共同制作した「X」はどこかトロピカルなスウィートで眩いトラックで、Lil Uzi Vertのラップもドロドロのフルーツジュースのような喉越し(鼓膜越し)でナイス。「Malfunction」は三度目登場のWondagurlが制作でやはりどこか宝石チックな色めきを魅せる電子トラックはラグジュアリーで、変異型のウイルスとなってジワジワと侵食してゆくラップも高揚感を煽ります(病的)。Maaly RawとRex Kudoが共同制作の「Dark Queen」の雨降りのようなウェット感も、TM88とJ.W. Lucasが共同制作の「XO Tour Life3」の天体観測のような光の瞬きも、ピッチを自在に変化させ聴き手の細胞を愉快に破壊するLil Uzi Vertの新種ウイルスラップが最高に痛快。D. Rich制作の「Skir Skirr」はトラックからしてもう酩酊状態にさせられる平衡感覚麻痺の一曲で、ビートを少し外しながらも気持ちよくフロウで蝕むLil Uzi Vertがやはり巧者。TM88が制作(Co制作をS1)の「Loaded」は鉱石ビートに共鳴して輝くラップが幻想的で、Bobby Kriticalが制作の「Diamonds All On My Wrist」はボトボトと重たく鳴る重油系のビートがタフでカッコイイ。Honorable C.N.O.T.E.が制作した「20 Min」はR&Bマナーなねっとりと甘い音色が寝られたミルキーミッドで、光をも培養するヴォーカルがなかなかイケるLil Uzi Vertにただ身と鼓膜を任せるばかりです(遊泳)。

本当に全く期待しておらず、最近流行りの有象無象の中の一人だと舐めていたLil Uzi Vert。しかし、どうやら最近になって流行のトラップスタイルのラップに移行したらしい彼の、それだけに止まらない変幻自在なフロウの虜になってしまいました(謝罪)。結局は昨年度の年間Top10でも、第七位にランクインさせた程のお気に入りとなったアルバムで御座います。異論はあるだろうけれど僕的には、全盛期ちょっと前のLil Wayneを聴いた時の感覚に近い刺激がありました(厳密に言うとLil Wayne『Tha Carter』から『Tha Carter II』頃)。








テーマ : HIPHOP,R&B,REGGAE    ジャンル : 音楽

Category: 女性R&B  Tags: ---

Comment: 0  Trackback: 0

Leela James「Did It For Love」
leela-james-did-it-for-love.jpg

その抜群の歌唱力でR&Bファンを漏れなく虜にしている稀有なシンガー、Leela Jamesの通算五作目となる『Did It For Love』を御紹介。ジャケット含め素晴らしかった前作『Fall For You』から、おおよそ三年ぶりとなる本作。入れ替わりの激しい(最近ではもうHip Hopのポップ化が凄くてR&Bの新陳代謝は遅れ気味だが)R&B界で、特にドデカいヒット曲など無くとも、長く活躍してアルバムをリリース出来ている事が凄い(賛辞)。僕の中ではLeela Jamesのアフロヘアが大好きなので、それを拝めない被り物はちょっと減点対象ですが(笑)。
でも肝心なのは中身じゃんって事で感想を・・・・・・まずはEvan Briceが制作を担当した「Hard For Me」でなんともほろ苦くスタート、シャキッとするような熱さのトラックは程よく刺激的で、まるで濃いエスプレッソのようにビターな香りが立つLeela Jamesのヴォーカルを引き立てます。Calvin "Tubby" Frazierが制作を担当した「Don't Mean A Thang」なんかもやはりコクの深いソウルフルでダークビターなミッドで、ジャリジャリとしたビートは珈琲豆を挽くかのようで、そこにLeela Jamesの力強くも艶やかなヴォーカルが注がれて美味。「Don't Want You Back」はLeela JamesとJ Hammondが共同制作したとてもフローラルで芳しいスロウジャムで、シルクというよりはヴェルヴェットのように重みのある光沢がラグジュアリなLeela Jamesの歌声が品良く御洒落(惚)。同じくLeela JamesとJ Hammondが共同制作した、透け感のあるドリーミーなスロウ「I Remember」も秀逸で、キラキラと夜空に星が瞬き星座を象るように連なるメロディと、星空のようにしとやかな濃紺にも似たLeela Jamesの歌声が美しい(溜息)。Leela JamesとJ Hammondが共同制作の「Good To Love You」ではDave Hollisterが本作唯一の客演で参加、まるで春風のように優しく吹き抜けるトラックは爽やか一点で、だからこそビタースウィートが魅力の両者のハーモニーがほろ苦く絡んで美味。カリッと香ばしいちょっぴりファンク風味な疾走ミッド「There 4 U」はButta-N-Bizkitが制作を担当、本作中で最もスモーキーにど渋いヴォーカルで鼓膜を燻してくるLeela Jamesもグッド。Jarius "JMo" Mozeeが制作を担当した「This Day For You」は木漏れ日のように柔らかく暖かなトラックに思わず溜息が漏れるナチュラルグリーンな好ミッド、Leela Jamesの潤んだヴォーカルはまるで朝露のように澄んで清らか。Leela JamesとJ Hammondが共同制作したブルージーなスロウ「Take Me」のゆっくりと醸造させるような味わいも素晴らしく、そんなソウル酵母の中でふわりと香るLeela Jamesの芳醇なヴォーカルがまたこの上ない美味です(酔)。同じくLeela JamesとJ Hammondが共同制作した壮麗な透明ピアノバラード「All Over Again」は、トラックの持つ明度にLeela Jamesの潤んだ歌声が重なり、まるで雨上がりの空のような色彩と肌触りが生まれ、涙腺を優しく撫でます(沁)。ベシベシと叩くドラムビートがエッヂーで乾いて響く「Our Love」もLeela JamesとJ Hammondの共同制作で、こういうHip Hopソウルみたいな楽曲はカフェインたっぷりでダークビターなLeela Jamesの歌声にぴったりマッチング。最後はPhil BeaugreauとDawaun "D Park" Parkerが共同制作した、これまたHip Hopソウルな重厚ミッド「Did It For Love」、黒檀のように黒光りするLeela Jamesの艶っぽいヴォーカルでビリビリと痺れるばかり。

毎回なんだけれども、何故に本作を昨年度の年間Top10に入れなかったのだろうか(阿呆)。Leela Jamesって僕の中で“良くて当然”な感じが強過ぎるのでしょうね(遡れば前作も年間Top10の最終候補で終わらせているみたい)。本作ではJ Hammondと主に楽曲を制作していますがこれも吉、すごく相性が良くてすんなり聴き易いです。このブラックコーヒーにそっとミルクを垂らしたような、ほろ苦いLeela Jamesの歌声に万歳三唱です。






テーマ : HIPHOP,R&B,REGGAE    ジャンル : 音楽

Category: 男性Hip Hop  Tags: ---

Comment: 0  Trackback: 0

Eminem「Revival」
eminemreviv.jpg

Rap界の永遠の神童にして悪童、Eminemの通算九作目となる『Revival』を御紹介。様々な話題を振りまきながら(良し悪しも愛嬌)ずっと最前線に立ち、ベテランMC達も口を揃えて最高のMCだと賞賛されるのが、この神懸かりなまでにスキルフルなEminem。前作は原点に立ち返るような続編『The Marshall Mathers LP2』だったのですが、次なる本作は『Revival』と来ました。本作の発売前にはトランプ政権を批判するキレキレのサイファーでも話題になり、全員の期待値もガンガンに上げて、かなりサプライズに近い形で発表された覚えがあります。
それではざっくりと感想を書いてみたいなと思います・・・・・・まずは伝説のProducerであるRick Rubinが制作を担当した「Walk On Water」では、Beyonceが客演で参加といういきなり豪華な幕開け。Johnny Cashも手掛けたRick Rubinならでは仕込みな鍵盤音とストリングスが清廉と響き渡るトラックは、どこまでも澄んだ水面のように滑らかに輝きを湛えます。その上を静かに説くよう繰り出すEminemのラップはまるで雫のようだし、Beyonceの神々しく優しい歌フックはまさにオアシスそのもの(潤)。Eminemが制作した「Believe」はやはり彼らしい氷雨のように冷たくチクチクと尖ったシリアスな鍵盤チューンで、その雨の中を弾丸のようにヒュンヒュンと音を立てて突き刺すEminemのラップが超絶とクール。Mr. Porterが制作を担当した「Chloraseptic」では客演にPhresherが客演で参加しており、少しノイジーにのたうつ様に響くダークシンセがEminemの毒々しいラップと共に、聴き手の神経に侵入し蝕み破壊するのが痛快。Phresherの歪で破壊的なラップがフックで骨まで砕いてくるのも最高。EminemにMr. Porter、Mark Batson、Emile Haynieが共同制作した「Untouchable」では、The Cheech & Chong「Earache My Eye」やら何やらをサンプリングしまくった継ぎ接ぎなアッパー。ガリガリにエレキギターを鳴らして電撃の様に鼓膜を感電させて痺れさせるEminemは最高で、かと思えばMasta Ace「Born To Roll」をネタにズルズルと擦ってビートダウンしてEminemもメルトダウンし、終盤ではオカルトみたいな仄暗いガクガクの鍵盤をバックに鋭利なラップで真空斬りしてくる始末。Emile Haynieが制作した「River」ではEd Sheeranが客演参加、ツタツタと叩く降りしきる雨音のようなドラムビートに、冷たく悴む様にヒリヒリと痛いEminemの深く刺さるラップと、横殴りの風のように鼓膜を叩き吹き抜けるEd Sheeranのヴォーカルもグッドで、やがて痛みがうねり大河となり氾濫するのを鼓膜で感じるのみ。大ネタ中の大ネタであるJoan Jett and the Blackhearts「I Love Rock 'n' Roll」を使用した(かつてファンだったBritney Spearsへの目配せか?)「Remind Me」は、やはりこういう王道ロックのブレイクビーツでRun DMCを大成功させたRick Rubin御大が制作を担当。やはりここまでべったりな大ネタサンプリングだとEminemと言えども単調に感じてしまい、自分的にはこれがアルバムを失敗と印象付けた気がしたり(文字通りリバイバルなのだろうけれど)。「Like Home」はまさかのJust Blazeが制作を担当し、客演にはAlicia Keysが参加。やはりこういうキラキラと輝きを加速させる夜明けのようなトラックで、Alicia Keysの品格漂うヴォーカルで高らかと歌い上げると、どこかJay-Z「Empire State Of Mind」の二番煎じみたいになってしまう恐ろしさ(惜)。と文句を付けつつもこの布陣が弱い訳もなく、追い風を受ける様にぐんぐんと上昇して光を裂くEminemの不死鳥のようなラップは燃え盛り美しい。Alex Da Kidが制作を担当した「Bad Husband」ではX Ambassadorsが客演で参加しており、このコンボがなかなか格好良くて本作でもお気に入りの一曲。やはり凍えるように冷たい零下ミッドでのEminemの悲しくて刺々しいラップもシンクロしているし、X Ambassadorsの木枯らしのように寂しげなヴォーカルもナイス。Alex Da Kidが制作し、もはやEminemお抱えになっているSkylar Greyが客演参加した「Tragic Endings」も既定路線で、淡々と行進するようなドラムビートにザクザクとメッタ刺しするようなEminemのラップが悲劇的で美しい。本作でも唯一Eminemが狂人化していてビリビリと鼓膜が痺れるのが、FredWreckが制作した「Framed」で、音程やピッチをくるくると変化させる事で挙動不審で火花めいたラップを体現するサイコなEminemの独壇場。Rock MafiaとHit Boyが共同制作した「Nowhere Fast」では、Kehlaniが客演参加。躍動感溢れるストリングスの金色の波の中で、Eminemの鋭くスピーディなラップで華やかなKehlaniの歌フックが舞い散る様が美しい。Run DMCとThe Beastie Boysをダブルでネタ使いした「Heat」はRick Rubinが制作を担当、これは王道過ぎてチープ寸前に感じてしまう辛さ。Illadaproducerが制作でCharles Bradley「In You (I Found A Love)」をサンプリングした「Offended」は、まるでマシンガンかミシンでバツバツと裁縫するように秒速で撃ち続けるEminemがキレキレ。Alex Da Kid制作でP!nkが客演参加した「Need Me」は、P!nkのラフでざらっとしたヴォーカルがヴィンテージな風合いを出す放浪ミッドで、こういう乾いた大地を踏み割るようなトラックにもEminemは合う。Scram Jonesが制作を担当した「In Your Head」は曇天に雨粒が吹き晒すようなコールドミッドで、ゆっくりと捻れてドリップするようなEminemの濃厚で毒々しいラップが硬いビートと共に侵食する「Castle」はDJ Khalilが制作を担当。最後を飾るのはRick Rubinが制作を担当した「Arose」なんですが、これがここ日本では結婚式なんかで流れやすいBette Midler「The Rose」のサンプリングで、確かに素敵な曲だけれどなんだか拍子抜けしてしまう(Eminemが使うと余計に)一曲。ただ後半に転調するところはいいんだけれど、時すでに遅し。

本作のEminemのラップは喩えるならば、勇者の聖剣といった感触なんです。僕としてはやはりまだどこか、愉快犯の振り回す刃物のような危なかしいラップが聴きたくて、その点が人間として円熟味を増したEminemでは物足らなくなるという僕のワガママ(苦笑)。大ネタ使いするのはEminemならば毎作とそうですが、本作ではその大ネタがあまりにも大ネタ過ぎて、狂人度が薄まったEminemと相まって面白みを下げた気がします。いや、けしてRick Rubinが悪いわけではないのです、けして(頑)。サウンドアプローチ的には僕のお気に入りのアルバム『Recovery』と非常に近い気がするのですが、なぜだか僕も世間様と同じく本作はそこまで聴かなかったという不思議(『Recovery』も世間様の(特にEmihemファンからの)評価は低かった気がする)。先日サプライズでリリースされた『Kamikaze』はいろんなMCを攻撃しまくる事でリスナーも興奮し高評価みたいなので、その点は世間様もそうなのかな。ただ、そうは言ってもEminemですから、本作も余裕でカッコイイのは確か。








テーマ : HIPHOP,R&B,REGGAE    ジャンル : 音楽

Category: グループHip Hop  Tags: ---

Comment: 0  Trackback: 0

Wu-Tang Clan「The Saga Continues」
wutangsaga.jpg

Hip Hop界最強のクルーであろう、Wu-Tang Clanの通算七作目となる『The Saga Continues』を御紹介。2014年に発表された前作、六作目『A Better Tomorrow』からおよそ三年ぶりとなるのが本作(この『A Better Tommorow』が素晴らしく、その年の年間第九位に選んだほど)。レーベル移籍を繰り返しながら結局は、統帥RZAが立ち上げた自身のレーベル"36 Chambers Alc"からのリリースで落ち着いた模様です。
それではザックリと今更な感想を書いていきますと・・・・・・まず本作はWu-Tang Clan名義のアルバムなんですが、実はRZAではなく、これまでも沢山のWu-Tang Clan楽曲の制作をし活動を共にしてきたRonald "Mathematics" Beanが全曲のプロデュースをしています(MathematicsはあのWu-Tang Clanの“W”のロゴのデザインをした人物でもある。RZAはExecutive Prouducerとしてクレジットされていますが、RZA以外のプロデューサーが全曲プロデュースしているWu-Tang Clanアルバムはこれが初めての事なのだそう。まずは「Lesson Learn'd」で幕開け、ここではInspektah DeckとRedmanが参加。サンプリングにDavid Porter「I'm Afraid the Masquerade Is Over」を使用しており、いかにもWu-Tangサウンドなヒリヒリと冷たく鋭い氷雨のようなトラックとピアノの旋律、その中で雨の飛沫をあげて空を切り裂くInspektah DeckとRedmanの的確に突くラップが無骨でカッコイイ。「Fast And Furious」ではHue HefなるMCとRaekwonが参加、せせらぎの音のように鳴るピアノ鍵盤と流水のように滑らかな速度で進行するトラックの中では、あのごつい図体ながらもその流れに呼応しつつ弱点(鼓膜)を涼しげに圧迫してくるRaekwonの巧者っぷりが際立ちます。「If Time Is Money (Fly Navigation)」ではMethod Manが単独で参加、夜風に舞う花吹雪のように淡く軽やかな鍵盤音に、流麗しなやかにラップで空を切るMethod Manの演武術のようなラップがもはや芸術品の域。「Frozen」ではMethod ManにKilla Priest、Chris Daveが参加しており、絶対零度で凝結したような鍵盤音のゴツゴツしたトラックに、三者の拳骨のように尖った鈍いラップが絡み合うのが痛快。「Pearl Harbor」ではGhostface KillahにMethod Man、RZA、そして今は亡きSean Priceが参加しております。ねっとりと繰り出されるホーンとビートはまるで、鉛のように重たい曇天とその遠くでゴロゴロと呻く雷鳴のようで、そのトラック上でまるで涙を流す様にド渋いラップの雨を降らし、黒く濡れる彼らは最高に燻し銀(痺)。Wu-Tang Clan名義(Method Man→Raekwon→Inspektah Deck→Masta Killa→最後の語りをOl' Dirty Bastard)で、Redmanが客演となっている「People Say」は、サンプリングにThe Diplomats「I've Got the Kind of Love」を濃厚に使用。 フックは原曲をそのまま拝借しギラギラに発酵させて昇華し、その円熟味を武器に末梢神経まで研ぎ澄まし金剛のような艶と硬度をもって繋ぐマイクリレーは永遠の輝きを放ちます。静かに暗躍するWu-Tang Clanの面々の中に、火薬仕掛けのRedmanが飛び込むことであちこち発破するのもアクセントで醍醐味。「Why Why Why」ではRZAが単独で登場、歌フックには女性シンガーのSwnkahが参加し囁くようにしてうっすらとした艶を演出。ヒリヒリするような静寂の中を、騒ぐ血を漲らせて鼓動を打つ様な脈拍ビートの中で暗躍するRZAの暗殺拳法ラップが最高にイル(痺)。筋張って腱のような鍵盤音と鍛錬された曇ったビートが煙る「G'd Up」は、Method ManにR-Mean、Mzee Jonesが客演参加。淡々と仕事をこなす漆黒のMethod Manと甲高いラップで刺すR-Meanもなかなかの手練。Wu-Tang Clan名義で盟友(舎弟)のStreetlifeが客演参加した「If What You Say Is True」は、剣が鎬を削る音と共に暗澹たるホーンが血の様に流れ出る功夫チューン。永遠の悪童デュオことMethod ManとRedmanがタッグを組んだ「Hood Go Bang!」では、シンプルにピアノループを繰り続けることでシンプルな演武曲を実現。Steven Latorreの甘ったるい歌フックがトラックに憂いと湿り気を与える「My Only One」は、サンプリングにRenaldo Domino「Nevermore」を単調ループさせたほろ苦いソウルミッド。ここでマイクを回すのもGhostface KillahにRZA、そして準レギュラーなCappadonnaという劇渋で芳醇なマイクリレーでまるで墨汁で書いた書物のようなラップを披露。最後を締め括るRZAの「The Saga Continues Outro」も、淡々と語るようなRZAの有り難い説法のようなラップが神経を研ぎ澄ましてくれるナイスアウトロ。

蓋を開ければ「People Say」と「If What You Say s True」の二曲のみがWu-Tang Clanの名義で、あとはソロ曲の寄せ集めのような一枚でやはりそこは残念。GZAとU-Godが参加していないのは不和のせいなのか、それとも法的な問題なのか僕はちょっと覚えていません。Masta KillaがBillboard誌に明かした情報によれば、デビュー25周年に向けて制作中のアルバムがあり、そのアルバムではRZAが監督という立場で、Ghostface Killahが楽曲制作を担当しているという情報もあるので、そこでの全員揃い踏みに期待したいですね。








テーマ : HIPHOP,R&B,REGGAE    ジャンル : 音楽

Category: グループR&B  Tags: ---

Comment: 0  Trackback: 0

112「Q Mike Slim Daron」
12qmik.jpg

Bad Boy Records黄金期を支えた男性ハーモニーグループ、112の通算六作目となる『Q Mike Slim Daron』を御紹介。もう僕みたいな三十路はBad Boy Recordsにはお世話になりっぱなしだった訳で、だからこそ112が金銭問題で揉めて解散した時には悲しくて仕方ありませんでした(号泣)。それ以降はそれぞれがソロ活動を行い、このRocbox 2でもSlimの『Love's Crazy』『Refueled』Q Parker『The MANual』などを御紹介しております。そんな紆余曲折を経ながら、Bad Boy Records20周年の式典でリユニオンしたのをきっかけに、なんとまさかの12年ぶりの新作を聴ける運びとなりました(興奮)。
それでははたまた懲りずに感想を打ってみますと・・・・・・まず本作では大半の楽曲の制作を、Elvis "Blac Elvis" Williamsが担当しており、これはこれで期待してしまいますね(胸躍)。そのElvis "Blac Elvis" Williamsが制作した楽曲から触れると、「Without You」がそう。澄み切った水面が波紋を揺らして広げるような、静けさと瑞々しさが112の透明感のあるハーモニーにばっちりシンクロして、きりりと冷えたミネラルウォーターのようなトラックを鼓膜がゴクゴクと飲み干してしまいます(潤)。本作からの先行シングルとなった「Dangerous Games」は、ヴェルヴェットのような重量感のある光沢がなんとも美しいクラシカルミッドで、夜の街や乾杯するグラスの輝きに煌めいて、御洒落で気品漂うドレッシーな112のアダルトハーモニーでウットリ恍惚すること必至です(骨抜)。ズブズブと深水のようなビートの中で泳ぐ「Still Got It」は不思議な感触で、この深層水のようなトラックの中を泳ぐ112のハーモニーは性別違えどマーメイドのような滑らかさ。112のハーモニーは相変わらず繊細でキメ細やかながら、TimbalandやThe Neptunes的な金属的に尖ったファンクトラックがスリリングさを生み出す「Lucky」も最高で、フラッシュのように鮮烈な閃光を放って駆け抜けるのが痛快過ぎます。波を打つ様に煌びやかなシンセが輝く雲海メロウ「1's For Ya」は、ちょっぴりラップっぽい歌唱で抜ける炭酸みたいな112のハーモニーが清涼でグッド。ダークで濃厚ビターなストリングスで始まる「Simple & Plain」はゴスペルライクなバラードで、これはもうただただ眩く鮮烈な112の光芒ハーモニーに鼓膜を照射して除菌してもらうのみ。とここまでがElvis "Black Elvis" Williamsが制作した楽曲群で、残りは違うProducerが制作しております。「Come Over」はMelloTheProducerとThe Exclusivesが共同制作しており、まるで凝縮してドリップするように滴るトラックがとてもディープで、その中でゆらゆらと熱気のように立ち上る112の艶やかなハーモニーがなんとも美しく刺激的。112とJagged Edgeという名グループ二組八名で挑んだ総力戦の「Both Of Us」は、制作をBrianとBrandonのCasey双子とBrian Michael. Coxという鉄壁な布陣。濃厚ビターなJagged Edgeと柔らかミルキーな112のコーラスが溶け合う事で絶妙なほろ苦さが美味なハーモニーを演出。どこで切り替わっても両者が認識できるのは持ち味が全く違うからで、境目を味わうのがこのバラードの妙味(途中でBabyface「Soon As I Get Home」ラインの拝借もグッド)。「True Colors」はKen "K-Fam" Fambroが制作を担当、乾いた弦音に触れて波紋を広げるようなトラックに、トークボックスを使って熱波のように揺れる112のハーモニーも官能的に骨を溶かします。盟友Faith Evansが優しい雨音のような歌声を重ねる「Wanna Be Intelude」を経て流れ込む、Marcus "Daheatmizer" Devineが制作の「Wanna Be」はアコースティックギターを切なげに爪弾く色褪せミッドで、112の澄み切って清冽なハーモニーが(特にSlim)乾いた心にスーッと沁み込んで離さない美しさ(溜息)。The ExclusivesとEdimahが共同制作した「My Love」もギターの音色がひらひらと枯葉のように落ちて響くしんみりミッドで、こういう淡く切ない寒空のような透明感のトラックに、112の澄んで冷たいハーモニーがなんともシンクロしていて沁みます(胸締)。最後を飾る「Residue」は、Marcus "Daheatmizer" Devineが制作のシンプルなピアノバラードで、涙の乾いた跡のようにうっすらと残るメロディラインが秀逸で、112の悲しくも優しく深いハーモニーが胸に響きます(感動)。

やはりの抜群な安定感で昨年度、僕が選ぶ2017年アルバムTop10[R&B部門]でも第十位にランクインさせていた本作。単純に112がリユニオンしてくれたってだけでだいぶ加点もありますが、この純正なR&Bを、抜群にクリアなハーモニーで聴かせる112は最高です。ひとつだけわがままを言うならば、やはりBad Boy Recprdsお抱えだった制作チーム、The Hitmenが関与している曲があれば最高だったんだけどなー。




テーマ : HIPHOP,R&B,REGGAE    ジャンル : 音楽

Category: 女性R&B  Tags: ---

Comment: 0  Trackback: 0

Demetria McKinney「Officially Yours」
demeatoff.jpg

New MexicoはAlbuquerque出身のシンガー兼女優、Demetria McKinneyの記念すべきデビューアルバム『Officially Yours』を御紹介。Demetria McKinneyはは出身こそNew Mexicoですが、現在はAtlantaを拠点に活動しているシンガー。その経歴は意外にも長く、これまでにMusiq Soulchildとの「Still Believe In Love」やDa Bratとの「100」、Lyfe Jennings「Talkin About Love」に客演するなど、なかなか渋い結果を残している苦労人だったりします。そういった2011年のデビューから数えると本作は苦節六年にもなり、この美貌ながら年齢も38歳なのだとか(驚愕)。とは言いつつも僕は彼女をあまり知らず、単純に美しいジャケットと、Executive ProducerにあのKandi Burruss(元Xscape)が名を連ねていたのに惹かれ、さらりと購入しておりました。
という訳でザックリにはなりますが感想を書いてみますと・・・・・・まずは本作のほぼほぼの楽曲をTravis Cherryが手掛けておりまして、これがとても功を奏していてDemetria McKinneyとの相性も良く聴き易い一因になっております。そのTravis Cherryの制作曲から触れてゆきますと、まずは男性シンガーのDemarcoを客演に招いた「Set It Off」がそう。なかなかメタリックにビカビカと輝くシンセの尖ったアッパーで銀色クール、Demetria McKinneyの艶っぽく微熱混じりに滑るヴォーカルがまた最高にクールですし、どこかトロピカルなジューシーさを放つDemarcoのヴォーカルも濡れてグッド。やんわりと冷たく潤んだピアノ鍵盤の音色が、どこか雨上がりの空のような色彩で美しいバラード「All Or Nothing」は、トラックと聴き手の鼓膜に虹を架けるようにDemetria McKinneyのヴォーカルがキラキラと響くのがすごく優しく眩いのです。これぞA-Townな角切りゼリーのようなプルプル感が味わえるアッパー「Kissin」では、やはりA-Town味を濃くするためにかJazze Phaが客演参加。これはもうモロに昔のCiaraがやりそうなトラックでもはやAtlantaに伝わる伝統芸、プルプルと鼓膜触りのいい角切りゼリー様のシンセとスカスカなビート、その中を品良くカラフルに彩るDemetria McKinneyのセクシー過ぎるヴォーカルがたまりません(病付)。弦のキュルリと軋む音がとてもナチュラルグリーンで清々しいボタニカルミッド「Is This Love」は、そんなトラックの中でそよ風のように淡く甘く吹き抜けるDemetria McKinneyの歌声を、胸いっぱいに吸い込んで寝転がるだけでOK(癒)。燦々と真っ直ぐに降り注ぐ陽光のような温かさに包まれるゴスペル風味な純白バラード「Happy」も、レース地一枚で作ったドレスのようにシンプルなトラックに響く、すっきりと芯の通った彼女のヴォーカルはまるで一輪の花のように可憐でいて力強い。まるで水の中に響く泡音のようにサッパリしたフィルターのかかった音色が美しい「Sextraordinary」は、どこか初期のBeyonce的なアプローチも感じる一曲。トラックとヴォーカルがジャブジャブと鼓膜に流れ込んであっと言う間に浸水して、そのまま泳ぎ出してしまうような深層水メロウで素晴らしい(自由)。最後を飾る「You Give Good Love」はWhitney Houstonの同曲カバーなのですが、ここでの神々しいほどの伸びやかな歌声は原曲に迫る素晴らしさで、改めてDemetria McKinneyのシンプル且つ圧倒的な歌唱力を呈示しています(納得)。とここまでがTravis Cherryの制作曲でして、あとは違うProducerも楽曲提供しております。アルバムスタートを飾っている「Caught Up In The Moment」はGoodguysが制作で、真夜中の濡れたアスファルトを思わせるダークブルーなシンセミッドでクール、静かに滑らかに曲線を描き漂う夜風のようなDemetria McKinneyのヴォーカルも青白く輝いていてシンクロ率100%。Lakordrick Hillが制作を担当した「Easy」では、Loleatta Holloway「Cry To Me」をサンプリング使用。秋の舗道に鮮やかな色を落とした葉が落ちて鳴るようなトラックは繊細にして儚げで、しっとりと濡れて沈んで艶やかな褐色の、Demetria McKinneyのダウナーな歌声がもう胸をキュンキュンと締め付けます(刹那)。水が伝って流れて零れて滴るように変化しながら響くトラックとヴォーカルがなんともセクシーなステンレス製スロウ「Stay」、R&Bの持つリキッドな魅力を存分に発揮したMichael Snoody制作のこの曲は本当に素晴らしい出来映え(痺)。「No, No, No」はKid Classが制作を担当したA-Townらしいバウンスチューンで、歌唱力のある彼女が敢えてする必要もなかったかなと思うのも本音。最後はボーナス曲扱いでStephanie Millsがミュージカル『The Wiz』で歌ったという「Home」をカバー、もうとにかくDemetria McKinneyが往年の名シンガーに負けず劣らずの実力者だと素直に感じ入るばかり。

実は本作は毎年年末の恒例企画、“僕が選ぶ2017年アルバムTop10[R&B部門]”でも(あのSZAを抑えて)第七位に選出した程のお気に入りだったりします。アンビエント以降のR&Bアルバムは良い意味でトーンが統一されているのですが、本作はどこか90年〜00年代らしい、バラエティに富んだ小粒感のある一枚でそれが妙にツボでした。歌声も容姿も美しく華のあるDemetria McKinneyの歌声を存分に活かした、シンプルながらも上品なミッド曲の配分も素晴らしい。まだ聴けていないという方は損している、そう言いたくなる良質な一枚でした。








テーマ : HIPHOP,R&B,REGGAE    ジャンル : 音楽