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RocBox 2

自分の持っているR&B、Rapアルバムを聴いての感想を偏見で綴る。音楽に関する知識はほぼ無し、雰囲気で語る。

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プロフィール

Queen

Author:Queen
生年月日:1983年11月28日
星座:射手座
性別:男
血液型:A型
趣味:古典的推理小説読書
    黒音楽に浸る

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Joey Bada$$「All-Amerkkkan Bada$$」
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New YorkはBrooklyn出身の実力ある若きMC、Joey Bada$$の通算二作目となる『All-Amerikkkan Bada$$』を御紹介。前作でありメジャーデビュー作となる『B4.Da.$$』も素晴らしかったJoey Bada$$、およそ二年のスパンを空けてのアルバムがこれ。Joey Bada$$といえば今は亡きCapital STEEZと共にクルー“Pro Era”の設立メンバーとして知られ、他にもKirk Knight、Nyck Cautionらも注目されている様ですね。ちょっと前に“俺は2Pacより上手い”とか発言したのも話題になりましたが、そこまで批判的には書かれていなかった気もします。実力は折り紙つき、といった事でしょうか。
それではちょこっとだけどう感じたかを拙くも・・・・・・まずはDJ Khalilが制作を担当した「Good Morning Amerikkka」で幕開け、トラックはどこか朝露に濡れたようにしとやかで、朝冷えするように青く漂う街の排気ガスのようなJoey Bada$$のラップがやはり渋い(痺)。DJ Khalilと1-900が共同制作した「For My People」も空気や話し声やクラクションがスクランブルする雑踏を思わせるトラックが最高で、少しざらっとしてギラギラと輝くJoey Bada$$のアスファルトの様なラップが走ります。サンプリング曲っぽいレトロな作り90年代っぽい「Temptation」は1-900とKirk Knightが共同制作、柔らかな風が湿った空気を乾かすようにメロディが翻るのが綺麗で、これほどまでにJoey Bada$$のラップが澄んでいてエアリーだという事に驚かされる壮麗ミッド。同じく1-900とKirk Knightが共同制作した「Land Of Free」水面の波紋のように柔らかく響き渡るトラックが憂いを帯びていて美しく、となればJoey Bada$$の絞った果汁の様に甘酸っぱくて、水煙のように儚く広がるミストみたいなラップもグッド。1-900とKirk Knight、Powers Pleasantが共同制作した「Devastated」は、OutKast「SpottieOttieDopaliscious」をネタ使い。ゆっくりとスローモーションのように流れるサウンドと、一気に華やぎ溢れるサウンド(そしてJoey Bada$$が高らかと突き抜ける様に歌い上げるフック)の対がまるで、降り注いだ雨が陽光に照らされ一気に蒸発するような、通り雨の感触にも似た不思議なプリズムの一曲。「Y U Don't Love Me? (Miss Amerikkka)」は1-900とPowers Pleasantが共同制作した、ゆらゆらとスチームみたく夢現なとろけるミッドで、少しく曇って響くJoey Bada$$のラップはシナモンのような独特の苦味と甘味が混じっていてナイス(糖度的確)。Chuck Strangersと1-900が共同制作した「Rockabye Baby」はJanko Nilović「Blue Stone」をサンプリングし、極細に切られたピアノループをひらひらと舞わせたシリアスな一曲で、こうなるとジメジメと日陰のようなJoey Bada$$と客演のSchoolboy Qが水を得た魚。 Kirk KnightにNyck CautionのPro Eraの面々と、Flutbush Zombiesの、Meechy Darkoでマイクリレーする「Ring The Alarm」はKirk Knightと1-900が共同制作、いかにもPro Eraらしい陰湿ダークでひんやりと冷たいトラックに、殺伐として乾いたPro Eraの面々の銃声のようなラップが響きます。そこにMeechu Darkoが登場することでおどろおどろしさが加味され、どこか妖気に似た空気を帯びるのもグッド。Tunesville Inc「Voice on the Wind」をネタ使いした「Super Predator」はStatik Selektahが制作しており、彼らしい燻し銀ソウルフルな一曲でギュルギュルと巻き込むトラックがド渋い。冷たく暗い鉛色の空を動かすようにエアリーに踊るJoey Bada$$の最高だけれど、客演参加のStyles Pが絡むことでより鋭利な木枯のようになって聴き手の鼓膜をくすぐるのがたまりません(痺)。レゲエシンガーのChronixxを客演の「Babylon」はLike(Pac Div)が制作を担当しており、どこかカラメルの様にビターな美味になっているのはChronixxの尽力によるもの。再びStatik Selektahが制作した「Legendary」はAndile Yenana「Thembisa (The People)」をネタ使いし、ホーンとピアノが滑らかで艶やかな輝きを放つ高貴な一曲で、客演のJ. Coleの助演男優賞でよりシックで上品な正統派でドレッシーなトラックに仕立てられていてナイス(端麗)。最後を締め括るのはDJ Khalil制作の「Amerikkkan Idol」で、やはり雨上がりの晴れ間に吹く風のように晴れやかで軽やかなトラックと、Joey Bada$$の身軽に跳ねて走るエアリーな(だけれど落ち着いていて静かな)ラップが印象的。

これまでのJoey Bada$$と言ったら90年代前半のRap作品を思わせる、陰鬱でザラザラと荒涼としたトラックの中で砂塵のようなラップを聴かせるMCといった印象。それに比べると本作でのJoey Bada$$は、晴天の下で吹くからっと乾いた風のようで、なんだかとてもエアリーでこれはこれでグッド。ですがそのエアリーさの中でもJoey Bada$$のラップとフロウが流れると、木陰のようにはっとさせられる輪郭のくっきりとした冷たさが感じられてそれも最高。という訳で昨年度の“僕が選ぶ2017年アルバムTop10[Rap部門]”でも第九位にランクインした一枚、結局はこういうサウンドとラップをずっと後年でも聴いている気がします。








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Lil Uzi Vert「Luv Is Rage 2」
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現Hip Hopシーンの新たなファッションアイコン、Lil Uzi Vertの記念すべきメジャーデビューアルバム『Luv Is Rage 2』を御紹介。その小さな身長とカラフルなドレッドヘア、ロックスターを標榜する奇抜でクールなファッションでも注目を集める小さな巨人ことLil Uzi Vert。Philadelphia出身の94年生まれの24歳、本格的にラップを始めたのは20歳前後と言われているみたいですから、あっという間に結果を出している様です。ちなみに名前の由来なのですが、“マシンガンみたいなラップ”という意味の“Uzi”(小型マシンガンの愛称)と“頂点まで真っ直ぐ登りつめる”という意味のVert(ヴァーティカルの略)を合わせたものなのだそう(又聞)。
という訳で薄味な感想を例に漏れず書きますと・・・・・・まずはLil Uzi VertとDon Cannon、Lyle Leduffが共同制作した「Two®︎」でスタート、どことなく漏れ出るようにジワジワと光るスライム状のトラックがなんとも美しくもグロテスク寸前で、だからこそどこか悪戯っぽくウイルス的な感染をするLil Uzi Vertのラップが魅力的。「444+222」はMaaly RawとIke Beatzが共同制作した明滅アッパーで、フックなどは分かり易いリフレインを練り込んだトラップ風も、声色の高低差やマシンガンのごとく的確に撃ち放つLil Uzi Vertのラップ技術で、ザクザクとした食感で美味な中毒曲に仕上がっています。「Sauce It Up」はDon Cannonが単独で制作した鉱石のように硬く輝くゴツゴツした一曲ながら、Lil Uzi Vertのキラキラと輝く研磨された宝石のような24カラットのラップが美しく乱反射するのが見事。またまたDon Cannonが単独制作した「No Sleep Leak」も闇夜のように漆黒のトラックの中を、音波を発しながら器用に怪しく滑空する蝙蝠のようなLil Uzi Vertのラップがダークでカッコイイ(痺)。Ike BeatzとDon Cannonが共同制作した「The Way Life Goes」は、夏の夕暮れに染まる波間のように揺らめくトラックがスウィートなメロウで、ここでもヴォーカルレンジが広くしっかり歌えるLil Uzi Vertの光を水に溶かしたようなフロウが最高に心地良い(賛辞)。ビヨビヨとして弾力のあるグミみたいなシンセが転がる「For Real」はDJ PluggとBobby Kriticalが共同制作、このポップでカラフルで無邪気なトラックの中でじゃれて戯れるウイルスみたいなLil Uzi Vertのラップが気付くと体中を毒し蔓延。「Feeling Mutual」はシンデレラガールことWondagurlが制作を担当しており、グニャグニャと融解する金属のような音色がマーブル模様に広がるトラックは素晴らしく、だからこそウイルスチックに感染に蝕むLil Uzi Vertの無邪気なラップが映えます。Pharrell Williamsが制作&客演した「Neon Guts」なんかもネオンというよりは夜光虫のようなジワジワ妖しい輝きで、Lil Uzi Vertの滑空して散るようなバイ菌ラップもグッド。Maaly Rawが制作した「Early 20 Rager」は淡々と超音波のようなラップを飛ばして反響させる、読経チックな催眠効果抜群な反芻チューン。Jason "DaHeala" QuennevilleとAbel "The Weeknd" Tesfaye、Don Cannon、Maaly Rawが共同制作した「Unfazed」では、濃い夜霧で冷たく夜空を濡らすようにThe Weekndのヴォーカルが響く一曲で、そんなミステリアスでダークな空間でLil Uzi Vertのラップが歪んだ月光のように射すのがクール。「Pretty Mami」はDon Cannonと!llmindが共同制作しており、蝕まれてうなされるようにグルグルと回る微熱トラックに、Lil Uzi Vertのラップが崩壊錠のように溶けてゆくのが鋭利。再びWondagurlが制作を担当した「How To Talk」では、色鮮やかな閃光のような音色が放射線状に散らばり、その閃光に乗っかり花火のように弾けるラップが面白い。Metro BoominとPierre Bourneが共同制作した「X」はどこかトロピカルなスウィートで眩いトラックで、Lil Uzi Vertのラップもドロドロのフルーツジュースのような喉越し(鼓膜越し)でナイス。「Malfunction」は三度目登場のWondagurlが制作でやはりどこか宝石チックな色めきを魅せる電子トラックはラグジュアリーで、変異型のウイルスとなってジワジワと侵食してゆくラップも高揚感を煽ります(病的)。Maaly RawとRex Kudoが共同制作の「Dark Queen」の雨降りのようなウェット感も、TM88とJ.W. Lucasが共同制作の「XO Tour Life3」の天体観測のような光の瞬きも、ピッチを自在に変化させ聴き手の細胞を愉快に破壊するLil Uzi Vertの新種ウイルスラップが最高に痛快。D. Rich制作の「Skir Skirr」はトラックからしてもう酩酊状態にさせられる平衡感覚麻痺の一曲で、ビートを少し外しながらも気持ちよくフロウで蝕むLil Uzi Vertがやはり巧者。TM88が制作(Co制作をS1)の「Loaded」は鉱石ビートに共鳴して輝くラップが幻想的で、Bobby Kriticalが制作の「Diamonds All On My Wrist」はボトボトと重たく鳴る重油系のビートがタフでカッコイイ。Honorable C.N.O.T.E.が制作した「20 Min」はR&Bマナーなねっとりと甘い音色が寝られたミルキーミッドで、光をも培養するヴォーカルがなかなかイケるLil Uzi Vertにただ身と鼓膜を任せるばかりです(遊泳)。

本当に全く期待しておらず、最近流行りの有象無象の中の一人だと舐めていたLil Uzi Vert。しかし、どうやら最近になって流行のトラップスタイルのラップに移行したらしい彼の、それだけに止まらない変幻自在なフロウの虜になってしまいました(謝罪)。結局は昨年度の年間Top10でも、第七位にランクインさせた程のお気に入りとなったアルバムで御座います。異論はあるだろうけれど僕的には、全盛期ちょっと前のLil Wayneを聴いた時の感覚に近い刺激がありました(厳密に言うとLil Wayne『Tha Carter』から『Tha Carter II』頃)。








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Eminem「Revival」
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Rap界の永遠の神童にして悪童、Eminemの通算九作目となる『Revival』を御紹介。様々な話題を振りまきながら(良し悪しも愛嬌)ずっと最前線に立ち、ベテランMC達も口を揃えて最高のMCだと賞賛されるのが、この神懸かりなまでにスキルフルなEminem。前作は原点に立ち返るような続編『The Marshall Mathers LP2』だったのですが、次なる本作は『Revival』と来ました。本作の発売前にはトランプ政権を批判するキレキレのサイファーでも話題になり、全員の期待値もガンガンに上げて、かなりサプライズに近い形で発表された覚えがあります。
それではざっくりと感想を書いてみたいなと思います・・・・・・まずは伝説のProducerであるRick Rubinが制作を担当した「Walk On Water」では、Beyonceが客演で参加といういきなり豪華な幕開け。Johnny Cashも手掛けたRick Rubinならでは仕込みな鍵盤音とストリングスが清廉と響き渡るトラックは、どこまでも澄んだ水面のように滑らかに輝きを湛えます。その上を静かに説くよう繰り出すEminemのラップはまるで雫のようだし、Beyonceの神々しく優しい歌フックはまさにオアシスそのもの(潤)。Eminemが制作した「Believe」はやはり彼らしい氷雨のように冷たくチクチクと尖ったシリアスな鍵盤チューンで、その雨の中を弾丸のようにヒュンヒュンと音を立てて突き刺すEminemのラップが超絶とクール。Mr. Porterが制作を担当した「Chloraseptic」では客演にPhresherが客演で参加しており、少しノイジーにのたうつ様に響くダークシンセがEminemの毒々しいラップと共に、聴き手の神経に侵入し蝕み破壊するのが痛快。Phresherの歪で破壊的なラップがフックで骨まで砕いてくるのも最高。EminemにMr. Porter、Mark Batson、Emile Haynieが共同制作した「Untouchable」では、The Cheech & Chong「Earache My Eye」やら何やらをサンプリングしまくった継ぎ接ぎなアッパー。ガリガリにエレキギターを鳴らして電撃の様に鼓膜を感電させて痺れさせるEminemは最高で、かと思えばMasta Ace「Born To Roll」をネタにズルズルと擦ってビートダウンしてEminemもメルトダウンし、終盤ではオカルトみたいな仄暗いガクガクの鍵盤をバックに鋭利なラップで真空斬りしてくる始末。Emile Haynieが制作した「River」ではEd Sheeranが客演参加、ツタツタと叩く降りしきる雨音のようなドラムビートに、冷たく悴む様にヒリヒリと痛いEminemの深く刺さるラップと、横殴りの風のように鼓膜を叩き吹き抜けるEd Sheeranのヴォーカルもグッドで、やがて痛みがうねり大河となり氾濫するのを鼓膜で感じるのみ。大ネタ中の大ネタであるJoan Jett and the Blackhearts「I Love Rock 'n' Roll」を使用した(かつてファンだったBritney Spearsへの目配せか?)「Remind Me」は、やはりこういう王道ロックのブレイクビーツでRun DMCを大成功させたRick Rubin御大が制作を担当。やはりここまでべったりな大ネタサンプリングだとEminemと言えども単調に感じてしまい、自分的にはこれがアルバムを失敗と印象付けた気がしたり(文字通りリバイバルなのだろうけれど)。「Like Home」はまさかのJust Blazeが制作を担当し、客演にはAlicia Keysが参加。やはりこういうキラキラと輝きを加速させる夜明けのようなトラックで、Alicia Keysの品格漂うヴォーカルで高らかと歌い上げると、どこかJay-Z「Empire State Of Mind」の二番煎じみたいになってしまう恐ろしさ(惜)。と文句を付けつつもこの布陣が弱い訳もなく、追い風を受ける様にぐんぐんと上昇して光を裂くEminemの不死鳥のようなラップは燃え盛り美しい。Alex Da Kidが制作を担当した「Bad Husband」ではX Ambassadorsが客演で参加しており、このコンボがなかなか格好良くて本作でもお気に入りの一曲。やはり凍えるように冷たい零下ミッドでのEminemの悲しくて刺々しいラップもシンクロしているし、X Ambassadorsの木枯らしのように寂しげなヴォーカルもナイス。Alex Da Kidが制作し、もはやEminemお抱えになっているSkylar Greyが客演参加した「Tragic Endings」も既定路線で、淡々と行進するようなドラムビートにザクザクとメッタ刺しするようなEminemのラップが悲劇的で美しい。本作でも唯一Eminemが狂人化していてビリビリと鼓膜が痺れるのが、FredWreckが制作した「Framed」で、音程やピッチをくるくると変化させる事で挙動不審で火花めいたラップを体現するサイコなEminemの独壇場。Rock MafiaとHit Boyが共同制作した「Nowhere Fast」では、Kehlaniが客演参加。躍動感溢れるストリングスの金色の波の中で、Eminemの鋭くスピーディなラップで華やかなKehlaniの歌フックが舞い散る様が美しい。Run DMCとThe Beastie Boysをダブルでネタ使いした「Heat」はRick Rubinが制作を担当、これは王道過ぎてチープ寸前に感じてしまう辛さ。Illadaproducerが制作でCharles Bradley「In You (I Found A Love)」をサンプリングした「Offended」は、まるでマシンガンかミシンでバツバツと裁縫するように秒速で撃ち続けるEminemがキレキレ。Alex Da Kid制作でP!nkが客演参加した「Need Me」は、P!nkのラフでざらっとしたヴォーカルがヴィンテージな風合いを出す放浪ミッドで、こういう乾いた大地を踏み割るようなトラックにもEminemは合う。Scram Jonesが制作を担当した「In Your Head」は曇天に雨粒が吹き晒すようなコールドミッドで、ゆっくりと捻れてドリップするようなEminemの濃厚で毒々しいラップが硬いビートと共に侵食する「Castle」はDJ Khalilが制作を担当。最後を飾るのはRick Rubinが制作を担当した「Arose」なんですが、これがここ日本では結婚式なんかで流れやすいBette Midler「The Rose」のサンプリングで、確かに素敵な曲だけれどなんだか拍子抜けしてしまう(Eminemが使うと余計に)一曲。ただ後半に転調するところはいいんだけれど、時すでに遅し。

本作のEminemのラップは喩えるならば、勇者の聖剣といった感触なんです。僕としてはやはりまだどこか、愉快犯の振り回す刃物のような危なかしいラップが聴きたくて、その点が人間として円熟味を増したEminemでは物足らなくなるという僕のワガママ(苦笑)。大ネタ使いするのはEminemならば毎作とそうですが、本作ではその大ネタがあまりにも大ネタ過ぎて、狂人度が薄まったEminemと相まって面白みを下げた気がします。いや、けしてRick Rubinが悪いわけではないのです、けして(頑)。サウンドアプローチ的には僕のお気に入りのアルバム『Recovery』と非常に近い気がするのですが、なぜだか僕も世間様と同じく本作はそこまで聴かなかったという不思議(『Recovery』も世間様の(特にEmihemファンからの)評価は低かった気がする)。先日サプライズでリリースされた『Kamikaze』はいろんなMCを攻撃しまくる事でリスナーも興奮し高評価みたいなので、その点は世間様もそうなのかな。ただ、そうは言ってもEminemですから、本作も余裕でカッコイイのは確か。








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Amine「Good For You」
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Oregon州はPortland出身の新人MC、Amineの記念すべきデビューアルバム『Good For You』を御紹介。エチオピア人とエリトリア人の移民の両親の間に生まれたというAmine、ずっとバスケットに専念したところ、相手チームをラップでディスしたのが周囲にウケ、ラッパーになることを志したのだそう。14年から15年にかけてミックステープなど三作を発表し、いまや毎年恒例の超重要な新人登竜門の“XXL Freshman Class 2017”にも選出されました。と書きましたが僕の中でAmineは全く記憶に無く、本作もなんとなく前情報無しに店頭に並んでいたから買ったという為体で御座います。というのも、大好きなNellyが客演参加していたからという。
という感じですのでライトな感想にはなりますが・・・・・・まずはJahaan SweetとPasqueが共同制作した「Veggies」では、Ty Dolla $ignが客演で参加。これが朝露を思わせる凛として瑞々しい音色を繋いだ前半部分と、軋むような金属的な板金トラックの二部構成で面白い。Amineの良い意味で脱力して柔らかなラップがブリキのように軽やかに響き、そこに例のオリーブオイルみたいなTy Dolla $ignのピュアグリーンな歌声がとろーりとかかる事でコクが生まれてグッド。まさにAmine色とも言える「Yellow」はFrank DukesとMetro Boominが共同制作(Co制作をMurda Beatz)し、客演にはNellyが参加という面白い人選。チューブから黄色の絵の具を練り出して、ぶりっとはみ出し塗ったようなべったりのカラフルさが輝く電子チューン。AmineのどこかLEGOブロックのように原色で角張った単語結合を思わせるラップも遊び心満載ですし、Nellyのあまりにもキュートでジューシーなフロウにも思わずニヤリ。全米11位を獲得する大ヒットとなった「Carline」はAmineとPasqueが共同制作、これはまずジェリービーンズみたく甘くて粒々としたAmineのラップが無条件に面白いんだけれど、ゼリー状の電子音をブアッブアッとだけ鳴らしカラカラとビートを転がすという、どこか全盛期のThe Neptunes的な抜け抜けスカスカなトラックの世界観が実に素晴らしい(虜)。そのPasqueとAmineが共同制作した「Hero」もやはり音数は少なくシンプルループ、そんなシンプルなギター弦の音色はまるで飛行機雲のように伸び、Amineのラップはどこまでも暢気に浮かび流れる綿飴みたいな雲のよう。ピカピカと瞬くシンセに抹香のように妖しく漂い広がるアジアンテイストな笛音がスパイシーな「Spice Girl」、Frank Dukes制作のこのトラックはやはりキレキレで、その癖にも負けないAmineのピリリと辛い刺激的なラップも妙味。「STFU」はVegynとAmineが共同制作しており、まるで水の中で聴く泡のコポコポ音にも似た電子音が浮かんでは消えるのが幻想的で、Amineのエフェクトも駆使しつつ歌ったり早口で駆けたりするラップも水と戯れ滑り泳ぐようで気持ちがいい。J Grammが制作した「Wedding Crashers」ではMigosよりOffsetが客演参加、こういう単純に可愛くおどけるトラックで聴くOffsetの三連符はまた違った味わいでナイス起用。またまたFrank Dukesが制作を担当した「Sundays」もトラックが凄く精巧で、湿度の高い異国のホテルの一室でレモネードを飲む様に、ビート後にもたれてラップをとろけさせるAmineの微睡んだラップも綺麗。「Turf」ではまさかのMalayが制作を担当したミッドで、遠くで聴こえる真夜中の海鳴りのようなトラックに、頬を撫でる潮風のように柔らかなAmineのラップが情緒豊か。Guy Lawrenceが制作を担当した「Blinds」はまるでATCQみたいなビートでこれも素晴らしく奥が深い、ぶるんと弾力のある鍵盤音を連ねたトラックの中で、Q-Tipを彷彿とさせる鼻にかかって甘美なAmineのラップがクール。再びMalayとPasqueが共同制作した「Dakota」には、なんと御大のCharlie Wilsonが客演参加。Malayらしい魔法が炸裂でまるで鉱石が輝くような不思議な光芒の中をAmineと進み、Charlie Wilsonの芳醇な歌声がぶっとい光の道を作るのが楽しい。「Slide」はJahaan SweetとAmineが共同制作しており、やはりゼリー状の電子音をボムボムと弾ませてAmineのジェリービーンズ的なラップが弾けるポップな一曲。PasqueとAmineが共同制作した「Money」は、だだ広い青のシンセの中をクールに遊泳するコズミックな一曲でやはり美しい。またまたFrank Dukesが制作を担当した「Beach Boy」も鍵盤音がパチパチとシャンパンの泡のように弾けるのがオシャレで、どこかPharrellにも通じるポップで色鮮やかなヴォーカルも最高にシンクロ。最後はボーナス曲扱いながら、あのKhelaniを客演に迎えた「Heebiejeebies」を準備。Jahaan Sweetが制作のトラックはやはり炭酸ジュースのようにカラフルできりりと冷えた感触のR&Bマナーなミッドで、AmineとKhelaniの透明感のある水彩絵の具のようなヴォーカルの混じり合いもナイス。

なんだこのアルバム、めちゃめちゃカッコイイじゃないですか(不意打)。AmineのLEGOブロックのようにカチリと結合させるカラフルなラップも良いんですが、やはり結構な芸術点を誇る(特にFrank Dukes!)トラック群が素晴らしい。そんな色鮮やかで多様なトラック群に臆せず、乗っかり並走し寝そべり泳ぐとAmineもなかなかの曲者でグッド。なんとなくMac Millerあたりを楽しめる方は、素直に面白いと感じるんじゃないでしょうか、聴いていない方は是非とも。






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2 Chainz「Pretty Girls Like Trap Music」

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Playaz Circleを休止(解散)してから放ったデビューアルバム『Based On A T.R.U. Story』2nd『B.O.A.T.S. II: Me Time』、そしてLil Wayneを全編に客演に迎えたほぼコラボアルバムと言える3rd『ColleGrove』と、順調にヒットを伸ばし着実にキャリアを積んでいる人気者の2 Chainz。その人気とは裏腹に、僕の中では今一歩2 Chainzの魅力が掴めないままに、彼がキャリアを積み重ねています(笑)。昨年に音楽界を席巻しまくっていたTrapをガッツリとタイトルに冠した本作、2 ChainzはLudacirs傘下にいましたがGeorgea出身の様ですね。
という訳でどんな感じの作品か僕の乏しい文章で書くと・・・・・・・・・まずはMike Will Made ItとDucko Mcfliが共同制作した「Saturday Night」で幕開け、これがエレキギターの捩れて悶えるような音色が背景で柔らかに燻るのがまず最高にブルージーで、その中で靄を裂く様に鈍く飛んでくる2 Chainzのラップがまたド渋くて素晴らしいスタート。鈍く重たいノイズに近い電子音が沈殿し、そこに繊維質に細い霊気にも似た音色が絡む「Riverdale Rd」はManoとMike Deanが共同制作。これがまたトラック的にはなかなか単調で音数も少なくて下手するとチープなんですが、そこは音色とビートの隙間感がなんとも絶妙で面白く、そこにボトボトと2 Chainzの粘度の高いラップが滴るのがまたグッド。またまたMike Deanが制作を担当した「Good Drunk」では、客演にGucci ManeとQuavoという絶妙過ぎる布陣を実現。ゆらゆらと音色をアルコールに溶かして酔わせたような、歪にして美しい曲線でマーブル模様を描く酩酊チューンは最高。2 Chainzの沈殿気味に回るラップも最高ですが、Quavoの残像のように移る陽炎のようなフックも、Gucci Maneのアルコール度数高めで灼けるように熱くも心地良いラップも最高にホット。宵の明星のように冷たくも煌々と光るビートをあちこちに散りばめた「4 AM」は、Murda BeatzとCuBeatzが共同制作。客演には夜明け前の青白い温度と色彩を抜群に表現できるTravis $cottが参加することで、2 Chainzの持つ真夏の夜の湿気のように重たいラップに、切れ味カットを与えているのが素晴らしい。Buddah Blessが制作を担当した「Door Swangin」もストリングスなどを用いながらどこかホラー趣味、怪しさ抜群の重曹トラックの中でぼんやりと光る鬼火のような2 Chainzのラップ。FKiが制作を担当した「Realize」ではNicki Minajが客演参加、夜の水面のようなキラキラ感と飲み込まれそうな深い静けさを湛えたトラックも秀逸ながら、この瑞々しいトラックにNicki Minajを置いてよりウェットで滑らかに仕立てたのも巧妙。Mike WiLL Made ItとDucko McFliが共同制作した「Poor Fool」では、Rae SremmurdのSwae Leeが客演参加。ドロドロとした2 Chainzのラップが湿って鼓膜に張り付くも、Swae Leeのスウィートで無邪気なフックのおかげで、これもやはり真夏の夜の夢のようにじんわりと熱く幻想的に変化。Murda BeatzとG Koopが共同制作した「It's A Vibe」が最高に贅沢豪華でカッコ良く、客演にTy Dolla $ignとTrey Songz、Jhene Aikoが揃い踏みで参加しているという100%天然甘美。このトラックもまるで夏の浜辺をアルコール片手に散歩するような、どこかトロピカルを火照らせたような情緒で、その中で響く汗ばんで鼓膜に纏わり付く、ほろ酔い千鳥足のような2 Chainzの柔らかくも鈍いラップが最高。そこに三者三様で夜の潮風のように火照りを冷ましてくれるヴォーカルが吹き抜けるのが美しい(溜息)。夜の波の音に似た音色が鼓膜を鮮やかにさらってゆく「Rolls Royce Bitch」はHonorable C.N.O.T.E.が制作、やはりこのトラックには2 Chainzの熱帯夜の湿度に似たラップがお似合い。深酒して二日酔い状態の真夜中にも似た鈍い痛みビートが響く「Sleep When U Die」、Young Jeezy「Get Right Ya Mind」とT.I.「A.S.A.P」を二刀流使いでサンプリングした「Trap Check」はBuddah Blessが制作を担当。特に後者なんかは僕みたいな三十路にとっての“純度の高い真作Trap Music”を体現していて、体の中に眠っていた自分のTRAP細胞が活性化しました(失神)。現代の三種の神器的なトリオ、Migosを客演に迎えた「Blue Cheese」はK Swishaが制作を担当。この曲を聴いて痛感したのが、そうそのブルーチーズのカビ臭さの中にあるまろやかで癖のある旨味こそ、もっさりとした2 Chainzのラップを如実に表現した単語なのではないかと(合点)。Migosの相変わらず三連符で周波数を合わせて繰り出すフロウは面白い。「OG Kush Diet」はiLL Waynoが制作を担当、ちょっと炭酸の抜けたコーラのような重たい甘味がじわじわと鼓膜を濡らすトラックとラップが上手くシンクロ。最後を飾るのはあのMonicaを客演に迎えた「Burglar Bars」、制作はMike DeanにM-16 Beats、Wonder Arilloの三人。サンプリングにBarbara Jean English「You're Gonna Need Somebody to Love You」をべったり使用したトラックは甘美そのもので、少しキツイぐらいに濃厚フローラルな香りのする2 Chainzの芳しいラップが、スローモーションに色移ろうドラマチックなトラックにマッチしていて、そこにMonicaの清廉として品のあるヴォーカルが響くことでより華やかに仕上がっています(惚)。

すっごく2 Chainz好きだ、とまではやはりなりませんでしたが、Trapミュージックと2 Chainzの相性はなかなか良くて、本作もこれまでの2 Chainz作品の中では最も好きなアルバムになりました。いや、というかこの作品に限って言えば凄く2 Chainzが格好良いしセンス抜群、でもこのサウンドと客演陣の効果もデカイかなと思い敢えてこの評価(辛口)。ただ、自分は熱帯夜の続く今頃に聴きながらブログに書いている訳ですが、本当に夏の夜に聴くのはお薦めってぐらいに、夏の夜の湿度に似たどこか甘酸っぱさのある2 Chaiznのラップが、とても空気にシンクロします(個人的見解)。昨年のベストには結局入らなかったけれど、こうして聴くとランクインしてもちっとも不思議でない魅力の一枚。










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