RocBox 2

自分の持っているR&B、Rapアルバムを聴いての感想を偏見で綴る。音楽に関する知識はほぼ無し、雰囲気で語る。

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プロフィール

Queen

Author:Queen
生年月日:1983年11月28日
星座:射手座
性別:男
血液型:A型
趣味:古典的推理小説読書
    黒音楽に浸る

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Mali Music「The Transition Of Mali」
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デビューして瞬く間にR&B界に旋風を巻き起こした、Mali Musicの通算二作目となる『The Transition Of Mali』を御紹介。Mali Musicと言えばMiguelも所属するBystorm Entertainmentに所属している点と、やはりグラミー賞にノミネートされた1st『Mali Is...』が大絶賛されたのが記憶に新しいですね。しかしよくよく調べていると、あのAkon率いるKonvick Musicとも契約していた過去もあるそうで、本当に引く手数多な逸材だったのですね。前作もそうでしたがMali Musicはジャケットセンスが秀逸で、本作もジャケットだけで言えば年間順位で三指に入る出来映えかなと。
それでは誠に僭越ながら感想を書かせてもらいましょう・・・・・・まずは、昇る朝陽の眩さに眠った大地がゆっくりと目醒めるような、壮大オーガニックなミッド「Bow Out」。制作はHarmony "H-Money" SamuelsとMali Musicが共同で、Mali Musicのちょっぴり熱で灼けたようなヴォーカルが、このトラックにピッタリでじんわりとハートを温めて焦がしてくれます。冒頭のTake 6「Spread Love」のサンプリングの妙技がとてつもない切れ味を生み出している「Gonna Be Alright」、制作はSalaam Remiという事で納得の技術。あとはIke & Tina Turner「Cussin' And Carryin' On」も同時サンプリングし、はらはらと舞い散るような鍵盤音と乾いたシックなビートでキメて、Mali Musicの焦がしキャラメルみたいなほろ苦いヴォーカルが優しく鼓膜に溶ける美曲でグッド。Kortney "Mali Music" PollardとDernst "D'Mile" Emileが共同製作の「Loved By You」では、客演のJazmine Sullivanとの切なくも艶やかな共演が実現。男女がじれったい距離で重ねる吐息のように奏でられる柔らかなストリングスに、どちらもほんのりとビターなヴォーカルで共振しながらひらひら堕ちてゆくのが切なく素晴らしい。それこそポロポロと涙を零すようにアコースティックギターの弦音が溢れる「Cryin'」、制作はButta-N-Bizkitが担当。トラックは中盤で転調してHip Hop調ビートに砕けるのも面白いし、Mali Musicのどこかレゲエ風味にレイドバックした日暮れのようなヴォーカルが響きます。美しく旋回しながら熱を奔放に放出する「Dolla」はDernst "D'Mile" Emileが制作した、ピリリとスパイシーなトラックがWyclef Jean的なミッドで、これも焙煎されて黒光りするMali Musicのヴォーカルがばっちり似合っていて鼓膜が気持ち良くヒリつきます。満天の星空を眺めるような壮麗さがたまらないクラシカルなバラード「Still」、制作はMali MusicとDernst "D'Mile" Emileが共同で担当。ファルセット混じりにキラキラと歌い上げるMali Musicの、夜空を焦がすように昇る夜明けヴォーカルがまた静かに鮮やかでグッド。キーボードを打つようなカチカチ音に、強いアルコールで意識がトロトロと淡く揺れて歪曲するようなメロディが刺激的で艶っぽいスロウジャム「Contradiction」。レゲエテイストなこの曲は制作をSunnyが担当し、客演にはこれまでにない感じでJhene Aikoを起用しており、いつもより輪郭のキリッとした色香たちこめるパルファム声で妖しく支配。再びDernst "D'Mile" Emileが制作の「My Life」は野太く硬いビートが荒涼としたトラックを弾けさせ、嗄れた声でシャウトするMali Musicの焦がしキャラメルヴォーカルがビターで美味。粉雪が深々と舞う白銀のバラード「Sit Down For This」はPeter "Baxsta" Martinが制作、Seal風味なのが僕的には完璧に好み。雪景色を窓に見ながら暖炉に火を焼べたように、メラメラ煌々と響き鼓膜を温めるMali Musicのヴォーカルがなんとも優しく心地良い(溜息)。冷たい水の中を揺蕩うようなウォータリーなミッド「Worth It」はDJ Khalilが制作を担当、熱っぽいMali Musicのヴォーカルが水を浴びて熱を失い青く染まってゆくのがとても鮮烈で鼓膜を潤します。Mali Musicの出自を思わせる最もゴスペルチックな「I Will」はHarmony "H-Money" Samuelsが制作、H-Moneyらしい光に満ち溢れた透明感のある眩い美曲で、Mali Musicのそっと羽ばたく様に奔放なヴォーカルがまた素敵。最後はMali MusicとDernst "D'Mile" Emileが共同制作した「What You Done」、ゆったりと木漏れ日の下で転寝するようなトロミがなんだかドリーミーで気持ち良過ぎます。

本当にMali Music独特のR&Bに仕上がっていて唯一無二、前作よりも洗練されてサッパリとして聴き易かった印象も受けました。製作陣も僕の好きなProducerばかりなのでやはりツボ、とにかくMali Musicの焦がしキャラメルみたいな絶妙なほろ苦さの歌声に痺れるばかり。本作もグラミー賞にノミネートされ念願の獲得までしてしまうか、とっても楽しみですね。






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Big Sean「I Decided.」
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気難しい(?)Kanye Westにも認められたDetroit出身の急成長MC、Big Seanの通算四作目となる『I Decided.』を御紹介。これまで『Finally Famous』『Hall Of Fame』と立て続けに出していたんですが、僕の中では全く引っ掛からずに正直聴き流していたのがBig Sean。その評価を一気に180度変えさせられたのが3rdとなる『Dark Sky Paradise』で、ルックスと違わずに壮絶クールな仕上がりでその年の第三位に選出した程の個人的大逆転劇に脱帽でした。その3rdからおよそ二年ぶりとなる本作はやはり楽しみになっている自分がいましたし、Big Sean本人曰くあのAndre 3000に聴かせると“ひとつのラインも無駄にしていない”と褒められたと言うから俄然期待しちゃいます。
という訳で全体をじっくり聴いてみての感想を・・・・・・まず本作のExecutive ProducerにはBig SeanとKanye Westが名を連ね、Kanye West制作の楽曲こそ無いもののかなりの影響を受けているとBig Seanは話しています。まずはAmaire JohnsonとBig Seanが共同制作した「Light」は、サンプリングにEddie Kendricks「Intimate Friends」を使用した夜露のようなしっとりメロウ。ぼんやりと浮かぶ薄い月明かりのように、妖しくもしとやかに射し込む静寂トラックが綺麗。Big Seanのポツポツと呟くようなラップは長雨のようで、客演のJeremihの甘ったるい歌声はそれに揺れる草木のよう。Hitmaka(Yung Berg)とMetro Boominが共同制作した「Bounce Back」は酸があちこち溶かすように虫食う齲蝕トラックに、Big Seanの速度や発音の緻密で端正なラップがプログラミングされた様に繰り出されて、美しく整列した異様なバウンスを生み出しています(独特)。WondaGurl制作の「No Favors」では、同郷DetroitよりまさかのEminemが客演参加、静かに揺らめく水中にゆっくりと宝石が沈んでゆくような煌めきトラックに、流線形なのにキリリとしたBig Seanのラップと、Renegade常習犯のEminemが殺人ウイルスみたいなラップを蔓延させるのがやはり肝。暗闇の中で光を培養するように、ウジウジとサウンドが波立つのが鼓膜をゾワゾワさせる「Jump Out Window」はKey WaneとHey DJ Camperが共同で制作。少しずつ培養した光はBig Seanのネオンのようなラップと反応し、なんともいえない摩訶不思議な発光をして聴き手を幻惑してくれます(恍惚)。808 Mafiaが制作を担当した「Moves」は、仄暗い水の底から砂金を掬うように、キラキラとしてキメ細かなBig Seanのラップが品良くさらさらと輝くのがたまらなく美しいし中毒性も抜群(虜)。Amaire Johnsonが制作し恋人であるJhene Aikoが客演参加した、二人のTwenty88名義の「Same Time Pt. 1」は、真っ暗な浴室でピチャピチャと滴る雫の音色をエコーさせたようなトラックの中で、二人のクールでウェットなヴォーカルが官能的に絡み合うのがグッド。ドボドボと濁水を注ぎ込むような暗澹としたトラックの中で、Big Seanのラップの浄化作用で濁った部分と透明な部分がマーブ模様を彩る、DJ Mustard制作の「Owe Me」も病み付き度高い。「Halfway Off The Balcony」はAmaire Johnson制作で、妖しく歪んだ色で明るさを滲ませる明け方の夜空みたいなトラックで、Big Seanのカフェインみたくキリリと苦味のあるラップが輪郭を覚醒させるのが心地良い。「Voices in My Head / Stick To The Plan」はDJ DahiとMetro Boominが共同制作しており、どこか歪な美しさがたまらない深海魚チューンでやはり耳に残るのは確か。Amaire Johnsonが制作したメロウ「Sunday Morning Jetpack」では、客演に僕の大好物のThe-Dreamが参加。Big SeanとThe-Dreamのヴォーカルの溶け合いはまるで、夜空と朝焼けがほつれてゆくのを眺めるような美しさ。夜の静けさに胸の鼓動が浸透して甘い耳鳴りがするような、そんな甘美はメロウチューンで間違いなく本作のハイライト(昇天)。言葉を紙のように薄く研いで、ペラペラと捲り飛ばすようなBig Seanのラップがなんだかサクサクと鼓膜に刺さる「Inspire Me」。Detailが制作したトラックも黒薔薇のような色味でフローラルで芳しく、花弁を舞わせたようなBig Seanのラップの花吹雪でなんだかとてもエレガントで絢爛。Metro Boominが再び制作を担当した「Sacrifices」では17年を代表するMC三羽烏、Migosを客演に迎えて言葉の弾丸をバツバツと撃ちまくるのが痛快。最後を飾る「Bigger Than Me」は、客演にFlint Chozen ChoirとStarrahが参加。制作はRobGotBeatsとAmaire Johnsonが共同で担当しており、サンプリングにはSteve Jeffries, Tommy Blaize and Juliet Roberts「Get the Feelin'」を使用。真夜中と静寂と明け方の層のコントラストが描き出す紫やオレンジの混ざった鮮やかな一曲で素晴らしい。

うーーーん、結局はやっぱりBig Seanが男前だからこそ、このダークなサウンドも凛々しく端正に聴こえてしまう魔法が本作も発動しております(惚)。最初はスマートがゆえにあまり個性の無いように感じていたけれど、ここまでダウナーなトラックの中で御洒落に格好良く聴かせられるのは大したものです。ただBig Seanはラップのアクセルも自在で疾走感あるアッパーな曲もバッチリなので、そろそろそういう曲も聴きたいかも。最後に注文つけたけれどとにかくカッコイイ、Big Seanイコールスタイリッシュを公式化してしまいました。












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Snoop Dogg「Neva Left」
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音楽だけでなく様々な話題を振りまく西海岸のレジェンド、Snoop Doggの通算十五作目となる『Neva Left』を御紹介。デビューからもう15作も出しているSnoop Dogg、昨年リリースされた前作『Coolaid』も本当にすこぶる快作で、年間Top10入りもギリギリまで迷ったほどでした。そんなSnoop Doggが一年ほどの短いスパンでまたまた新作をリリース、ジャケットの若かりし頃の殺気立って尖ったSnoop Doggが懐かしいですね(涙)。このジャケットから見ても分かる通り、本作の内容もなかなかデビュー当時のSnoop Doggを彷彿とさせるものになっているのです(予告)。
それではなんとも質素にはなりますが感想を書き書き・・・・・・まずは、煙を吐くようにモワンモワンと柔らかなトラックが充満して聴き手を包み込む「Neva Left」、製作はMike & Keysでサンプリングにはもはや大ネタのThe Charmels「As Long As I Got You」をネットリ使用。飾り気のないソウルフルで滑らかなトラックは地味ですが、だからこそ年季の入ったSnoop Doggの紫煙ラップがより美しく品良く際立ちます。客演にRick Rockを迎えた「Moment I Feared」は勿論Rick Rockが製作、これはもうシンプルに西海岸産のビヨンビヨン跳ねるトラックで水を得た魚状態のSnoop Doggがジャブジャブと泳ぐ快感。流れるように切れ目の無いなだらかなラップ運びで、不穏な空気を鼓膜まですんなり注いでくれます(痺)。サンプリングにA Tribe Called Quest「Check The Rhyemから、のQ-Tipの声ネタループを繰り出すだけで反則スレスレで興奮してしまう「Bacc In Da Day」は、J-Massiveが制作を担当。これも若い世代が単純にQ-Tipの声を挿したら薄っぺらいだろうけれど、同じ黄金期を歩んだSnoop Doggだからこそ(しかもどちらもラップが柔らかくも鋭い)の相乗効果。アメーバのように四方八方に変形するトラックも、西海岸ならではの変形エッジでかなりグッド。Dupriなる人物が制作した「Promise You This」は、沼地の様なグチョグチョしたサウンドの泥濘の中で、毒蛇のように冷徹に牙を剥くSnoop Doggがヒリヒリしてカッコイイ。Musik Majorxが制作した「Trash Bags」では客演にK Campが参加しており、K Camp世代が得意とする音色の沈殿気味なトラップ風トラックでのK Campのクリーミーなフックもナイスですし、Snoop Doggのそれを優しく撹拌してマーブル模様を描くようなラップも催眠効果抜群。無数の結晶が集まり固まったような鉱物系のトラックが硬く尖って輝く「Swivel」はRick Rock制作、客演にStresmaticを起用しブリザードのようにラップを突き立てます。Brody Brownが制作を担当した「Go On」が個人的にはナイスで、こういう星空を思わせるしとやかなトラッでは、夜風のようにウェットで流麗なSnoop Doggのラップがお似合いだし、客演のOctover Londonがなんとも滑らかな流星のようなファルセットな歌フックを光らせるのもナイス。刺々しいドラムスがあちこちに弾け飛び散る破片トラックがゾクゾクする「Big Mouth」は、西の大御所であるDJ Battlecatが制作を担当。かなりシンプルにザクザクとした音色を詰め込んだトラックの中で、若かりし頃のSnoop Doggの静かなる殺気が蘇っている一曲でハード。Dnyc3が制作を担当した「Toss It」では、Too $hortとNef The Pharohが客演参加。ゆっくりトロトロと弱火で煮込まれたGファンク仕込みのトラックも三十路にはたまらない感触ですし、そこにSnoop DoggとToo $hortのユルユル軟体なラップがトラックと鼓膜を這うのが超クール。水面に映る波紋のように広がってゆくトークボックス混じりの音色がなんともいえない哀愁を漂わせる「420 (Blaze Up)」、制作はDJ BattlecatとMars(1500 Or Nothin)が共同で担当。しなやかウェットな水煙チューンも滑らかで素晴らしいし、そこに客演でDevin The DudeとWiz Khalifaの朧三人衆で揃い踏み、うっすら透けるスモーキーで儚いラップを充満させる燻製メロウ。BADBADNOTGOODとKaytranadaが制作&客演した「Lavender (Nightfall Remix)」も、彼ららしい真夜中の空気感を纏ったサウンドがSnoop Doggの夜の静寂に似たラップにシンクロ。DJ Battlecatが制作した「Let Us Begin」では客演にKRS-One御大が登場、もう一語一音全てが弾丸のように鋭く破壊力抜群、相変わらず教鞭のごとくスパルタなラップをふるいます(殴打)。ビカビカに火花散らして研磨するような金属チックなトラックも秀逸で、燻し銀な両者のラップが骨の髄に響きます。Dr. Evo制作の「Mount Kushmore」では、RedmanにMethod Manの名コンビに加えて、B-Realまで引っ張り込むという念入りに火薬を搭載した大暴発チューン。シームレスに煙たく紡ぐSnoop Dogg、火を吐くRedman、鋭く八つ裂きにするB-Real、黒煙で支配し飲み込むMethod Manと、もう誰も止められない団体芸で息を呑むばかり。2nd『Tha Doggfather』収録曲をDJ Battlecatが焼き直しした「Vapors (DJ Battlecat Remix)」もやっぱり色褪せぬ格好良さが滲んでいて、じっくりと充満して絞め殺すような煙たいSnoop Doggのラップがイル。冒頭にKedrick LamarがSnoop Doggを讃える「Still Here」はトロピカル要素を足した爽やかなメロウで、こういう甘いトラックで聴くSnoop Doggのふわふわと柔らかなラップもグッド。客演参加のBig Bubの重厚なバリトン声でしっとり濃厚に仕上がっているシルキーソウルフルな「Love Around The World」はBig Bub制作、サンプリングにBrenda Lee Eager「When I'm With You」を使用し、大人なビターテイストでばっちりキメます。最後はJhalil BeatsとDon Cannonが共同制作した「Transition」で、殺人ウイルスのように細胞に侵入し破壊するようなメロディがビリビリとカッコイイ一曲(冒頭の語りはBiggieか?)。

あの頃のサウンドを引っ張り出しながらも、衰えは全く無いまま格好良さを顕示してみせるSnoop Doggの圧倒的現役感に頭が下がるばかり。やはり三十路過ぎた僕にはこういうGファンクサウンドの中でギラつくSnoop Doggは無条件に堪りませんね、全17曲のこれだけのボリュームなのに全く途中で飽きを来させないのも流石の腕前です。






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Wale「Shine」
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ワシントンDC出身でナイジェリア南西部のヨルバ人系である、Waleの通算五作目となる『Shine』を御紹介。Rick Ross率いるMMGの実質二番手であると言えるWale、毎作きちんとカッコイイアルバムをドロップしてくれて流石です。本作のタイトルである『Shine』は、“Still Here Ignoring Negative Energy(ネガティヴなエネルギーは無視して今ここに立っている)”の略なんだそう。1st『Attention Deficit』2nd『Ambition』3rd『The Gifted』4th『The Album About Nothing』と、Waleは毎度と結構ジャケットが格好良くて好きなんですが、そういう意味では本作のジャケットはそこまで好きじゃない僕がいます(無駄口)。
さあ感想をちょこまかと書きたいなと思います・・・・・・まずは僕の大好きなCool & Dreが制作を担当した「Thank God」は、Donald Byrd「Wind Parade」をサンプリングした一曲でもうスタートでグッと来ます。花吹雪のように鮮やかに吹くトラックはとても華麗でソウルフル、音程も剛柔の質感も変幻自在に変えるWaleの汎用型フロウは万華鏡の様でこれまた秀麗(途中で聴こえるRotimiのヴォーカルも素敵)。Spinz Beatsが制作した風船のような音色がプカプカ浮かぶ「Running Back」では、なんだか久しぶりに感じるLil Wayneが客演参加。春の陽気のように誘われて花園に彷徨うようなトラックがなんだかドリーミーで、Waleのモゴモゴとした欠伸みたいなラップと、Lil Wayneのトロトロとした“春眠暁を覚えず”なラップが微睡んで響く一曲。Go GrizzlyとDreamlifeが共同制作した「Scarface Rozay Gotti」(これはあの三人のことなのか?)は、シャンパンゴールドでラグジュアリな宝飾ミッドで煌びやか、Waleのラップもスルスルと滑らかシルキーで歌うようなフックもお洒落。Major LazerにWizkid、Dua Lipaと豪華な客演陣が鮮やかに華を添える甘酸っぱいトロピカルなナンバー「My Love」(Back VocalにはEric Bellingerも参加)もやはり巧い、制作はDiploとThe Picard Brothersという事でここも鉄壁ですね。火照るように踊るWaleやWizkidの陽光ヴォーカルで鼓膜は疼き焦がれて、そこにDua Lipaの波しぶきのような涼しいヴォーカルが跳ねて火照りを鎮めてくれるのがまた気持ち良い、これはもう客演の妙でもあるけれどそれを乗りこなすWaleも器用。乾いたビートがパキパキとへし折れる様に鳴り土煙舞う土着アフロなトラックがなんともファンキーで格好良い「Fashion Week」、制作はChristian RichでサンプリングにKenna「Kharma Is Coming」を使用。竹細工のようにしなって打つビートと踊るWaleのラップに、伊達男G-Eazyを客演に迎えて彼もまた鋭く尖ったラップで鼓膜をくすぐってくるのが痛快クール。Don Cannonが制作を担当した「Colombia Heights (Te Llamo)」ではJ Balvinが客演参加、透き通った水の中にゆっくりと静かに沈んでゆくようなトラックはなかなか深遠で、その中で自由に泳ぐ金魚のようなWaleのライムがなんだか幻想的で美しいアクアリウムチューンでクール。Maxwell「Till The Cops Come Knockin」をネタ使いしているだけでも興奮モノの「CC White」はCedとDreamlifeが共同制作、優しくてなだらかなトラックの中でWaleのラップが空を切っては溶けるバターみたく鼓膜に甘さを残すのが美味。「Mathematics」はKane Beatzが制作を担当したシリアスな一曲で、石の礫のように硬く尖ったWaleのラップが静かに降ります。Nez & Rioが制作した「Fish N Grits」ではTravis Scottが客演で参加、WaleもカッコイイんですがこれはやはりTravis Scottが自由に滑空できるように闇を生み出し、言葉の黒い翼を闇にバサバサと羽ばたかせるのを聴くのみ(不気味)。Marce Reazonが制作し、客演にDavidoとOlamideが揃って参加した「Fine Girl」は、沈む太陽のオレンジと微熱をキラキラと散りばめた様なサンセット美曲。Super Miles制作でYuna「Lullabies (Adventure Club Remix)」をサンプリングした「Heaven On Earth」では、客演にChris Brownが参加。やはりどこかトロピカル風味なトラックにWaleのラップと、相変わらずキラキラとして甘酸っぱいChris Brownのヴォーカルが混じって喉越し抜群のカクテルチューンに仕上がっています。Michael Jackson「P.Y.T. (Pretty Young Thing)」とMarvin Gaye「Sexual Healing」をダブルサンプリングした反則スレスレの「My PYT」はThe Dope Boyz制作、フルーツをぎゅっと絞ったような果肉食感の残るトラックがフルーティで甘美。Lee Majorが制作の「DNA」は途中で入るドラムブレイクなんかにオールドスクールを感じるし、空を眺めるように弧を描くWaleの歌う様なフロウがなんだか心地良い。それよりももっとオールドスクールにビートを撒き散らす、Pro Reeseが制作の「Smile」で、客演にはPhil Adeと愛娘Zyla Moonが参加。Marvin Gaye「I Wanna Be Where You Are」をネタ使いしたトラックはクラシカルな美しさがキラリ光っていて、まるで花束を握りしめ踊るように微笑ましく温かなWaleのラップも優しく沁みます。

結構、歌ネタモノな楽曲が多いのでR&B好きも素直に楽しめそうな一枚。考えるとMMGに加入する前の1stに近いポップな感覚の一枚で、Waleの振り幅の大きさを再確認することが出来ます。ハードなのもソフトなのも難なく(違和感無く)やれてしまう汎用型のWaleなので、良い意味で全方位守備な手堅いアルバムに仕上がっていると思います。








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Big Boi「Boomiverse」
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Atlantaをラップの聖地にした張本人、Outkastの片割れであるBig Boiの通算三作目となる『Boomiverse』を御紹介。どちらかと言えばOutkastというとAndre 3000のイメージが強い気もしますが、芸術家なAndre 3000に比べてBig Boiはそれこそ客演なども多くて仕事人といったイメージ。Outkastとしての活動も最近は少なくなり、すると意外にもBig Boiの方がソロ活動を早速と開始し、1st『Sir Lucious Left Foot: The Son of Chico Dusty』2nd『Vicious Lies and Dangerous Rumors 』と立て続けに良作を発表しております。特に最近では2ndで組んだPhantogramと本格的にグループを組み、Big Gramsと名乗ってEPまでリリースしていました。そんな感じで今なお走り続けるBig Boiのおよそ五年ぶりとなる新作、宇宙を思わせるジャケットがなんだかOutkastの延長線上にある気がして良い。
それでは怯まずに感想をババッと書いてしまいますと・・・・・・まずは同胞であるOrganized Noizeが制作を担当し、Big Rubeが客演に参加した「Da Next Day」で幕開け。大振りなストリングスのスイングの中で、バツバツと叩くビートは宇宙で起こるビッグバンのようで、電撃のように走るBig Boiのラップが体を突き抜けるのが痛快なアッパー。ここ日本でも話題になった(?)初音ミクの声をサンプリングした「Kill Jill」、制作はBig BoiとOrganized Noize、Young Caliが共同で担当。ダークなトラックの中でひらひらと切り刻まれた初音ミクのヴォーカルは夜桜が散る様な情景で、その中で客演のKiller MikeとJeezyの甲冑装備の強靭で鋭利なラップが空を裂くのはかなりカッコイイけれど、どうしても初音ミクの声が聴こえるとゲンナリするのは僕だけでしょうか(笑)。ScarにSleepy BrownというBig Boi率いるPurple Ribbon軍に加えて、Maroon 5のAdam Levineまで招聘するという豪華さにヨダレが止まらない「Mic Jack」はDJ DahiとDJ Khalilが共同制作。ベッタリとした電光がピカピカと明滅するSFチックなトラックはディスコ風味で軽快でいいし、だからこそBig Boiの流星のように滑らかで一瞬に駆け抜けるラップがクールに冴え、Adam Levineのスウィートでいて洒脱な歌フックも素敵。Cory MoにTM 88、Organized Noizeの濃厚な面子が共同制作した「In The South」では、Gucci Maneに加えて今は亡きPimp Cを客演で迎え濃厚そのもの。そのものズバリ南部仕様な泥臭くて重厚なトラックで肉弾戦よろしく三者が戯れるのが最高にホット。ちょっぴりスロー気味にラップを煙らせるGucci ManeとPimp Cを煙幕にして、Big Boiが10万ボルトのラップを走らせるのが痛快。ゆらゆらと揺れるトラックがリキュールのように心地良いほろ酔い気分にさせてくれるミッド「Order Of Operations」は、最近また復調気味のScott Storch(Co制作にDiego Ave)が制作を担当。本当にしっとりと滴るようなまろやかなトラックでも、Big Boiの速射式のラップが乗っかると炭酸のようにアクセントが出来てとても綺麗で美味。Dr. LukeとCirkutが共同制作した「All Night」なんかは、どこかの酒場で陽気に弾き鳴らすようなオルガンに乗っかって、珍しくヘベレケ気味にラップを飛び散らす(でも撃ち所はもちろん正確)Big Boiが面白い。客演にSnoop Doggを迎えて、ゴボゴボと波に飲まれるようなG-Funk風味なトラックで燻し銀に暴れる「Get Wit It」はOrganized Noizeが制作を担当。これはもうSnoop DoggありきなんだけれどBig Boiは全く喰われないし、Snoop Doggの脱力しながらも殺気を放つラップに対比し、バチバチと電撃を繰り出すのがカッコイイ。デビューが待たれる(本当にいつなんだろうか)Eric Bellingerを客演に迎えた「Overthunk」はOrganized Noizeが制作、どこかTVゲームっぽいチープな電子音がピコポコと鳴るSF趣味なトラックに、光線銃のようにピュンピュンと鼓膜を突き抜けるBig Boiのラップが超クール。本作で最もお気に入りなのはやはり、Trozeを客演に招いたJake Troth制作のエレクトロファンクな「Chocolate」で決まり。ボムボムと跳ね回す野太いビートはエレクトロなのにアフリカンで血湧き肉踊るし、そのビートに合わせて暗闇の中で鮮烈な光で放電しまくるBig Boiがまた眩くて眩暈して感電死してしまいます(鳥肌)。Siege MonstrocityとBeat Butchaが共同制作した「Made Man」では、Killer MikeとKuruptという通好みな客演にまず痺れる。これは魔界侵略でのSEみたいなトラックがなんとも安っぽいんだけれども、やはり役者の巧さでガッチリ引き締まっている一曲。Ian Kirkpatrickが制作した「Freakanomics」がなんとも妙味で、フランス映画に挿入されるようなメロディをぶつ切りにして捏ねたような不思議なコラージュチューンで、この継ぎ接ぎ感がBig Boiの速射式のラップのミシン目と見事にマッチしていて綺麗。最後はCurren$yとKiller Mikeを客演に迎えた「Follow Deez」で幕切れなのですが、これがなんとあのMannie Freshが制作という嬉しい驚き。いかにもMannie Freshらしい鼓膜がヒリヒリする程にスパイシーなトラックは依存度が高く、Curren$yがかろうじてクルーミーさを加えてBig BoiとKiller Mikeのパンチのあるラップ(とMannie Freshのトラック)をまろやかにしています。

あれ、おかしいな、元々はあまり好きでないなと思って辛口な感想になるかなと思っていたけれど、案外このアルバムが好きなんだと思ってしまう僕がいました(驚)。なんだか客演やらトラックやらが、Big Boiとチグハグしている気がして違和感を覚えていた筈が、慣れると“相変わらずBig Boiは自由に音楽で遊んでいるな”とにやついている自分。まあしかし、それもこれもやはりBig Boiがなによりラップ巧者だからという理由に尽きるのですが。とにかく「Chocolate」の格好良さが半端じゃなく、この一曲だけ聴きたくて買っても損はしないってぐらい。








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