RocBox 2

自分の持っているR&B、Rapアルバムを聴いての感想を偏見で綴る。音楽に関する知識はほぼ無し、雰囲気で語る。

09 2017
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プロフィール

Queen

Author:Queen
生年月日:1983年11月28日
星座:射手座
性別:男
血液型:A型
趣味:古典的推理小説読書
    黒音楽に浸る

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Dreezy「No Hard Feelings」
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“Princess of Chicago Rap”と称されたりもする大型新人、Dreezyの記念すべきデビューアルバム『No Hard Feelings』を御紹介。その渾名の通りにDreezyはChicago出身の23歳、早くからMixtapeをリリースして話題になっていたらしく、そのラップを聴いて同郷の先輩であるCommonが見初めたのだとか(凄)。という訳で僕のDreezy初見はやはりCommon『Nobody's Smiling』収録の「Hustle Harder」で御座います。この時は正直あまり耳には引っ掛からず、名前だけを覚えているという状態で御座いました(恥)。という訳で早熟なRap愛好家からは待ちに待たれていたであろうDreezyのデビューアルバムは、大手レーベルInterscopeからの配給となっております。このジャケットからしてなんとも素敵、ジャケットが違っていたらもしかしたら買っていなかったかも(笑)。
それではどんなアルバムになっているのか聴いて書いて・・・・・・まずはSouthsideが制作し、Gucci Maneが客演で参加した濃密ギトギトな脂身ラップチューン「We Gon' Ride」で幕開け。Southside手製のトラックはズブズブと鉛玉のようなビートが上下するいつもの重ため、そこにDreezyの蝶のように舞い蜂のように刺す女性らしい軽妙なラップと、Gucci Maneの重たく引きずるような念仏ラップが響き沈殿するのが面白い。売れっ子のBryan "TM88" Simmonsが制作の「Spazz」も現行トラップを模った振り子ビートが催眠をかけるトラックで、Dreezyのミシン目のように正確細やかに打つラップがクールに鼓膜をチクチク刺激。BloodPopが制作を担当した「Body」では、客演にJeremihが参加しておりもはや鉄板な仕上がり。歌とラップの両刀使いであるDreezyのヴォーカルが活きた甘酸っぱいフルーティミッドで、果肉のようなJeremihのヴォーカルにツブツブ感触のDreezyのラップが美味しさを倍増させるトロピカル風味。「Wasted」はDetailとDre Butterzが共同制作(Co制作にGreg Kurstin)しており、火照った体を優しくクールダウンさせる夕暮れのような鍵盤音トラックに、Dreezyのちゅっぴり汗ばむように潤んだキュートなラップが単純に可愛い。本作でも要注目なのがTerrace MartinとLarrace "Rance" Dopsin、1500 or Nothing(!)と豪華な面子が共同制作した「Afford My Love」ですね。90年代R&Bを彷彿とさせる(もっと言えば黄金期のJanet Jackson)優しい雨音のようなトラックがビタースウィートにソウルフルで、しとやかにトラックの中を泳ぐ熱帯魚のようなDreezyのミルキーなラップも素敵ですし、器用者なWaleが客演参加することで余計にほろ苦さという旨味が凝縮されているエスプレッソ的美しさ。Larrace "Rance" Dopsinと1500 or Nothingが共同制作の「Don't Know Me」は、深い河を漕いで渡るようなドープなウェットサウンドが波打つ一曲で、Dreezyの弾力と丸みのあるラップが音を弾いて遊泳します。「Bad B*tch」はDwane "Key Wane" Weirが制作を担当、水気を含んだ潤んだDreezyのラップをも一気に氷結して白くしてゆく氷結トラックがクールでカッコイイ(凍傷)。J. Hillが制作(Co制作にDrew Fridge)した「Worth It」が僕的には本作の白眉曲でして、カラカラと触れては崩れる角砂糖のような鍵盤音がまずとてつもなくジャジーですし、そんなトラックの隆起のあいだを縫ってしっとりと滴るような、Dreezyのヴォーカルも織り交ぜた結露ラップも艶やかで唯一無二。「See What You On」はRon "Cardo" La Tourが制作を担当、これも水を潜らせたようなウォータリーなトラックがジャブジャブと鼓膜を洗い、Dreezyの瑞々しくフレッシュなラップがパチパチと弾けるのが爽快でウェット。Terrace MartinとLarrace "Rance" Dopsin、1500 or Nothingの豪華トリオが再び制作した「Close To You」ではT-Painが客演参加です(嬉)。静けさをそっと濡らして破る真夜中の雨のようにしとやかセクシーなスロウで、雫のように光の粒を連ねるDreezyのラップもさることながら、やはりオートチューンを使って漂うT-Painのヴォーカルは雨に煙る月光のように妖しくとろけて輝くのです(痙攣)。Fayo & Chaillが制作した「Ready」はRoy Ayers Ubiquity「Everybody Loves The Sunshine」をサンプリングし、もはやスチームにも近い湿度で聴き手をぼんやりと包み込む極上スロウジャムでDreezyも妖艶。Christian Davis制作の「Break The News」はボスンボスンと落ちてゆく乾いた部族ビートが土着化トラックで野性味があり、だけれどDreezyの華やかなラップ&ヴォーカルがそこに咲く強く儚い花のように輝きます。最後はDeputy & ZthePROが共同制作した「Invincible」で、これは撃ち抜くような太く先の尖ったビートと平行に、Dreezyの次々繰り出す薔薇の棘のようなラップが鋭く美しい、本作中で最もハードで華麗な一曲でラストに相応しい。

僕はDreezyのMixtapeは聴いたことがなかったので、Dreezyがこれほどまでにラップと歌の巧みな両刀使いだとは知りませんでした(驚愕)。まあ最近はこうやって歌との二段構えのMCは多い訳ですが、Dreezyは本当にその使い方が上手でバランスがすごく良い。歯切れのいいラップでハードな曲も、キュートな歌声のおかげでメロウな曲も自然にすんなりと鼓膜に届ける器用者で御座います。僕的にずっと推しているしアルバムを待っているDej Loafが足踏み状態な今、Dreezyの出現はかなりの脅威ですね。なんだかんだで気に入ってよく聴いている一枚、制作陣もハッキリ言って死角無しですし、もしかしたら年間Top10にもさらりと食い込むかも。








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Nicki Minaj「The Pinkprint」
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Rap界のバービー人形こと、Nicki Minajの通算三作目となる『The Pinkprint』を御紹介。その奇抜なキャラクターと、久々の女性MCの台頭で世間を湧かせたNicki Minajももう三作目ですか。Lil Wayne率いるYoung Moneyに所属しているんですが、このLil Wayneが親元のBirdmanと揉めたりして、Young Money一派の活動も鈍るかと心配しましたが、その余波は活動には無い様ですね。さてさて、本作はNicki Minajがデビュー作から続けている、アルバムタイトルに“Pink”を冠するしきたりに従って『The Pinkprint』。しかし、こうなるとそのPink縛りというよりは、Jay-Zの名作『The Blueprint』を彷彿とするリスナーも少なからずではないでしょうか。つまりRapミュージックにおいての金字塔を打ち立てたい、そんなNicki Minajの本気をこの題名から勝手に僕は汲み取ったり(笑)。
それでは気になる内容はどうなっているのか・・・・・・まずは、鉱山でキラキラ光る鉱石を採掘するような神秘的な煌めきを帯びたミッド「All Things Go」で幕開け、制作はBoi 1daとVinylzが共同で制作。すーっと冷たく硬い輝きを放つトラックに、Nicki Minajのキュートで壮麗な歌フックも上手く機能した一曲。朝靄のように白く霞んで潤んだメロディがしっとりと鼓膜を包み込む「I Lied」、制作はMike Will Made-It(Co制作にSkooly)が担当。Mike Will Made-Itらしからぬ透明感のある静寂ミッドに、じんわりとウェットに結露するようNicki Minajのラップもナイスザラザラと掻き鳴らすエレキ弦の音色が、ダウナーなメロディに程よい波打ちで微細な色味を持たせる「The Crying Game」。制作は@popwanselと@oakwudが共同制作し、Jessie Wareが歌フックを担当したダークなR&B寄りの一曲。「Get On Your Knees」はDr. LukeとCirkutが共同制作した、ポタポタと暗澹とした水面に雫を落とすようなピチョンピチョンビートが印象的なミッド。その中を潜るようなNicki Minajの沈殿気味のラップと、妖艶なミストのように辺りを漂うAriana Grandeのナイスコンビ。上下し彷徨うピューイ音と、ボムボム重たく弾むゴム製ビートのシンプルなコンビネーションが面白い「Feeling Myself」はHit-Boy制作。Nicki Minajのドールチックな無機質ラップと、客演参加の女王Beyonceの舐め上げるような挑発的なフックも聴き手をゾクゾクさせてたまらない(鳥肌)。再びDr. LukeとCirkutが共同制作した「Only」は間の抜けた単調なエアートラックながら、Lil WayneとChris Brown、Drakeがマイクリレーする事でなんとか間を繋ぐことに成功。売れたFutureのサウンドスタイルを模したような「Want Some More」は、ZaytovenにHitmaka、Metro Boominが共同制作という事でしょうがない結果か。The NeptunesというよりPharrellの単独仕事を思わせる「Four Door Aventador」、制作はParkerなる人物が担当。シンセ一音の瞬きとスナップ音のみで、ボヤけた彩光をヘロヘロと放ち、そこにダラダラと垂れ流すNicki Minajのラップが堪能出来て面白い(中毒)。モヤモヤと輪郭のない電子音が滲んで広がる、甘美で官能的なネットリスロウジャム「Favorite」は素晴らしい(絶賛)。制作はDarhyl "Hey DJ" Camperが制作したトラックも最高ながら、浴室を艶っぽく染める湯気のような、しっとりと濡れた客演のJeremihのエコーのかかった歌フックが素晴らしい(失神)。Arch Tha BossとHitmakaが共同制作した「Buy A Heart」では、(元?)恋人のMeek Millが客演参加。奔放で開放的な電子音とパーカッションの交錯に、Meek Millのラップも入る事でカッチリ引き締まった印象を受けるメロウアッパーで、相性はなかなか良いんですよね。竹で編んだような乾いたビートが炸裂する「Trini Dem Girls」はまたもやDr. LukeとCirkutが共同制作、客演にはLunchmoney Lewisが参加。亜熱帯トラックがジワジワと鼓膜を熱して焦がすスパイシーチューンで、こういう灼熱系のホットなビートも上手く乗りこなすNicki Minajはナイス。先行シングルとしてヒットした「Anaconda」はPolow Da DonとAnonymousが共同制作(Co制作にDa Internz)で、サンプリングにSir Mix-A-Lot「Baby Got Back」を使用。Nicki Minajのムチムチなアマゾネスラップがしなりを効かせて鼓膜をぶち、この奇天烈が爆発したこのトラックは全盛期のLudacrisのような馬鹿馬鹿しさ寸前で上手い。得意のEDM調ながらも瑞々しいボタニカル調なトラックで聴いていて清々しい「The Night Is Still Young」、制作はDr. LukeとCirkutが共同制作。夜露のように潤んだ光を放つ電子チューンもアッパレながら、ネオン電光のように鮮やかでしっとりと眩いNicki Minajのラップとヴォーカルがやはり冴えています。エスニカルな打楽器ビートに雄壮なメロディが広がる「Pills And Potion」もDr. LukeとCirkutが共同制作、ソングライトにEster Deanが関与している事も特筆しておきたい歌モノ。Kane BeatzとJmikeが共同制作した「Bed Of Lies」ではSkylar Greyが客演参加、白く透き通ったトラックながらSkylar Greyが色を蹴って付け過ぎかも。最後はピアノ弾き語りでNicki Minajが最後までしっとりと歌い切ってしまう「Grand Piano」、制作はまさかのwill.i.amとKeith Harris、Kane Beatzが共同で制作。大真面目なこのバラードを暴挙ととるかどうかで、このアルバムの評価は二分されるでしょうね。

彼女の出自を思わせる歌モノ「Grand Piano」、お下劣でふざけた「Anaconda」、これまでの得意技を活かしたEDMな「The Night Is Still Young」、トリッキーで現行サウンドをきっちり捉えた楽曲群。最初こそ歌モノの多さに辟易しそうになったけれど、これがNicki Minajがこれまでに試した魅力の数々を全て繰り出したような一枚。なかなか総まとめで、意外にもこれまでで一番まとまった一枚かもしれません。三十路の僕からしてあと一欠片ピースが足りないとしたら、やはりハードコアな路線のトラックが見つからない。これでDJ Premierなんかを連れてくることが出来たら、ああいうシンプルに黒く太いトラックとも可愛く戯れられたなら、完璧に近かったかもしれません。そういう意味では水と油状態だった前作では、Cam'ronやNasやJeezyを迎えた分だけハードコアの部分も補えていたし。






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Iggy Azalea「The New Classic」
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オーストラリアはNew South Wales出身の24歳の新星、Iggy Azaleaの記念すべきデビューアルバム『The New Classic』を御紹介。16歳頃に両親に“旅行に出掛ける”と嘘を吐き家を出て、そのまま単身アメリカへと渡りそのまま移住したというファンキーな経緯のIggy Azalea。アメリカで磨いたラップで徐々に頭角を顕し、ネットを中心に話題を集め、2011年のミックステープ『Ignorant Art』で知名度を得たのだとか。その高評価を受け、2012年にはあのXXLの名物企画(にして新人の登竜門)“10 Freshman Class”に、女性として初(にして唯一)選出されました(衝撃)。追い風そのままに、その年にはT.I.のGrand Hustleと契約しEP『Glory』をリリース。そしてようやくメジャーデビューアルバムである本作、『The New Classic』をリリースした訳です。そうです、デビュー盤にして“New Classic”と銘打つあたり、やはりかなりの勝ち気娘で御座います(笑)。
それでは内容はどんなもんなのかというと・・・・・・まずはThe Invisible MenとThe Arcadeが共同制作した「Walk The Line」、荒涼として乾いたザラザラトラックの上を猛々しく突き進むIggy Azaleaのトルネードさながらなラップのつんのめりがクール。同じくThe Invisible MenとThe Arcadeが共同制作した「Don't Need Y'all」はボワンボワンと偏頭痛を起こした時のような、脈動に近いドクンドクンと波打つ静寂トラックの上を、氷水みたく冷たく滑らかに流れるIggy Azaleaのラップが麗しく尖っています。Watch The Duckが制作と客演で参加した、なんとも南部らしい泥臭さとザクザクしたファンクネスが炸裂する「100」もカッコ良い。ジャカジャカと掻き鳴らすスパイシーなギターカッティングがスクラッチよろしく敷かれているのも良いし、水を得た魚状態で泳ぎ跳ねるIggy Azaleaがホット。The Messengersなる人物が制作した「Change Your Life」は、親玉T.I.が援護射撃に回った相当クールでメタリックな鋼鉄チューン(興奮)。これだけ二枚目なT.I.を相手にしながらも“格好良さ”で負けていない男前なIggy Azaleaに乾杯、ただ変則自在で僕の鼓膜を細やかに切り刻むT.I.の器用なラップ運びがやはり素晴らしい(貫禄)。本作からの特大ヒットとなったのが、Charli XCXを客演に迎えた「Fancy」で御座います。The Invisible MenとThe Arcadeが共同制作した、このミニマムでスカスカな電子音だけビヨビヨうねるビートが、白人女子なIggy AzaleaとCharli XCXのキュートだけど小生意気な空気感と相俟って、病的ポップを創出していてやはり中毒性は高いと思います。この曲の底辺にはCrunk的なノリがあると僕は感じています、つまり南部産なすれすれポップな訳です。またもやThe Invisible MenとThe Arcadeが共同制作した「New Bitch」なんかは80年代のポップを彷彿とさせる、なんともメルティでミルキーなポップ曲なんだけれど、ガムを噛むようにねちっこく唸るIggy Azaleaのラップで跳ね過ぎずに羽衣トランスを表現していてグッド(軽微)。よく見ればThe Invisible MenとThe Arcadeが大半を制作していて、続く辺り構わず跳ね飛ぶ印度風味ポップなカラフル飛沫アッパー「Work」や、鉱石洞門系のしんみりクリスタルな流麗ミッド「Impossible Is Nothing」、Kanye West的な荘厳かつダートで悪結社な鋭利ビートが烈しく交錯する「Goddess」、あのMavadoを客演に招いて鮮やかで小粋な熱放射を浴びせるサンシャインアッパー「Lady Patra」、最後を飾るUKグライムとM.I.A.的混沌を掛け合わせた鮮烈アグレッシヴな喧騒狂想曲「Fuck Love」と、どれも一定の高水準をキープしハズレ無しと好相性で御座います。あと本作で注目すべきは、同郷UKよりRita Oraが客演参加した「Black Widow」でしょうね。北欧よりStarGateが制作を担当し、パチパチと閃光瞬く先鋭チューンに仕上がっていてカッコ良いですね。

ポップなんだけど厭味もなく、Iggy Azaleaの持つ鋭利な格好良さ(タフさ)はバッチリと活きていて良い塩梅。あまりにポップに走り過ぎたNicki Minajの失敗(?)を巧く処理した、現代的なHip Hopアルバムでなかなか聴き応えあります。ハマって何度も聴くかというと現段階ではそうとまで言いませんが、年間を通すとひょっとすると化けるかもしれませんね。これからも頑張って欲しいな、なんかカッコ良いしね。


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Eve「Lip Lock」
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全盛期のSwizz Beatz率いる“Ruff Ryders' First Lady”として華々しく登場し、女性MCとして確固たる地位を築いたEveの通算四作目となる『Lip Lock』を御紹介。いやーーーーーーー長かった、っていうぐらいの待望の復帰作で御座います(疲労)。Eve自身は立て続けに映画出演を果たし、女優業を順調にこなしていたのでそんな不在感ってのは無かったのですが、やはりファンとしてはEveの斬れ味抜群なラップでザックザク斬られたくてウズウズしておりました(ドM)。完全に離れていれば諦めもしたでしょうが、Swizz Beatz制作の「Tambourine」やLudacris「My Chick Bad (Remix)」で全く衰えない格好良いラップを繰り出していて、絶対に音楽シーンにカムバックするだろうと信じておりました(涙目)。アイメイク濃くはみ出ているこのジャケットは、Eveの鋭い美しさが損なわれていて残念ですね、モノクロ調にしたのは大成功なのにな(悔)。
まあジャケットに対する不満は中身には無関係ですからね・・・・・・まずは残念なお知らせを、本作にはSwizz Beatzが関与しておりません(絶叫)。さてまずまずはMiss Kittyを客演に招いた「Eve」で勢い良く飛び出して幕開け、制作はR8D!Oなる人物が担当。グオングオンと大きく捩れながらグラインドする大蛇シンセに、Eveのザクザクとした食感のラップが粗い盛りつけでサーヴされる一曲。本作からの先行シングルとなった「She Bad Bad」はJukeboxが制作を担当、レゲエっぽいダルい節回しのテロテロな“おーしばっばっ♪”歌フックがなんだか耳に残ってしまう。基本はビタビタと叩くクラップビートに、バフバフと空気を含んだシンセが浸食し、Eveがお構い無しにサクサクと真空ラップで鼓膜を切り裂く感触。Jon Jonが制作し、Cobra StarshipのGabe Saportaが客演参加した「Make It Out This Town」。これは最近のトレンドスタイルな清涼ポップロック風味のアッパーで、颯爽と駆け抜ける柔らかなメロディにミントみたくツーンとするEveのラップと、Gabe Saportaの甘酸っぱい歌声が香り立つナイスコラボ。「All Night」も制作はJon Jonが担当しており、客演には人気ソングライターのClaude Kelly(Co制作にも関与)とPropainが揃って参加。ブオーンと唸る荒いホーンとバスンバスンと蹴り込む重厚ビートのループはシンプル、なだけにラップ巧者なEveの鮮烈なラップが飛沫を上げるアグレッシヴな一曲。ここで聴かせるエフェクト万全のClaude Kellyのケロケロ歌フックもさることながら、Propainの斜に構えた骨太トリッキーなラップ(どことなくT.I.っぽい)が最高にクールで要注意。Sander Van Der WallとDJ Surgeが共同制作した「Keep Me From You」は、四つ打ちでだんだんとボルテージを溜めて一気に発光するエレクトロ風。Dawn Richardが参加しているんですがソウルっぽい艶が皆無で残念、肝心のEveがラップする場面もビートの飛び散り具合が中途半端で物足らない(辛口)。Missy ElliottとNachoを客演に招いた「Wanna Be」は、あのBlac Elvisが久々の制作で登場。んートラック的には展開もそう派手でないし、Missy Elliottはヘンテコ声に加工されてて悲しいし、少々肩透かしだったと言わざるを得ない点数かも(惜)。そういう意味ではSnoop Doggが客演し、きちんとゲストが持ち味を爆発させてナイススパイス機能を果たしているのは「Mama In The Kitchen」か。Jukebox制作の直角ホーンと硬質ドラムスをネジで止めた様な、バキバキキュービックな造りはEveのシャープで冷たく刺さるラップにお似合い、Snoop Doggのゆるーくも充満して暴発するフックも最高。Felix Snowなる人物が制作した「Grind Or Die」はEveの十八番っぽいボコバキ打撃系のアッパー、とにかく散弾銃のように散らかるビートの雨霰の中でEveがすべてを辻斬る快感。Sander Van Der WallとDJ Surgeが共同制作した「Zero Below」はんーーーー微妙、もっと奇天烈にピコポコやってしまえば面白かったのに。「Forgive Me」はSalaam RemiとRico Loveが共同制作したトロピカルスウィートなアッパーで、カラフルなパステルメロディもEveにはとってもお似合いでなんだか懐かしい。Shoddyなる人物が制作したは、ピアノ鍵盤の切なく脆いメロディに、ポコスカと乾いたパーカッションが湿り気を飛ばす調節具合が素晴らしい鮮麗なミッド。しかもここに柔らかくて棘のあるふくよかな歌声を挿すのは、Chrisette Micheleという事で文句無しの仕上がりになっております。最後はオマケ的な感じかと思いきや、まさかのjuicy JとPusha Tという勢いたっぷりなMC二人が援護射撃した「She Bad Bad (Remix)」。トラックはなにも弄られていないのですが、やはりこの個性ある二人が脇を固めて曲の魅力が13倍に膨れ上がっています(笑)。

いいね、衰えてないね、尖ってるね。ただ制作陣が今一歩、Eveの旨味(つまり魅力)を発揮させる事が出来ていない気のする一枚。Eve自体の鮮度が落ちたって印象は無いんだけど、違うのかな、Eveの腕が落ちたのか?やっぱりSwizz Beatzと共にバキバキと暴れた印象が強いから、Swizz Beatzの不参加は痛かったかなー(邪推)。ただやっぱりEveのカムバックはすっごく嬉しいですね、このシャキシャキ感はEveにしか出せない、啖呵の切り方が最高で御座います。クールビューティとは正にEveのことですね、なのにジャケットがなー(執拗)。


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Ebony Eyez「7 day Cycle」
7 Day Cycle (Explicit)

St. Louis出身の美人系MC、Ebony Eyezの記念すべきデビューアルバム『7 Day Cycle』を御紹介。St. LouisといえばNellyが全米規模で特大ヒットを放った事で一気に注目度が急上昇した中西部の都市、その頃に登場したのがEbony Eyezですね。St. Louis出身は他にもChingyやJ-Kwonが居る訳ですが、そんなSt. LouisのMCに多くの楽曲を提供しているTrackboyzが主宰するレーベル、“Trackboyz Entertainment”からの配給になっているみたいですね。
それではザックリした感想を書かせて頂きますね・・・・・・まず本作ではほぼ全ての楽曲をMark "Tar Boy" WilliamsとJoe "Capo" Kentで構成されたThe Trackboyzが担当しておりまして、そちらから触れてゆきます。ズルズルと引き摺る様なシンセのざらついたメロディと、凍えそうなブリーズ音がクールで尖った印象を助長させる「In Ya Face」、Ebony Eyezの貫禄あるどっしりしたラップが脂乗っています。ブピブピとヘンテコなガス漏れビープ音が連打され、その中で上下に振れるチープな電子音がキチガイじみている「Drop It」も、なんだかアジアンな声ネタループなども相俟って毒性の強いスカスカ曲になっています。はーはー吐息とピュンピュンとどこか彼方へ飛んでゆくシューティングシンセが面白い「Stand Up」は、スカスカ隙間の空いた宇宙空間トラックながら、なんだか聞き覚えのあるメロディが混じっている気がして気になります(判別不能)。Trackboyzの片割れであるCapoが参加している「Broken Wings」は哀愁漂うメランコリックなギター爪弾きに、重たくシリアスでドラマチックなメロディが絡み付き、Ebony Eyezの無表情なラップとCapoの線の細いナヨっとした歌フック(これが中々イケるではないか)がジワジワと効いて来るボディブロー曲。ヘイヘイと煽る掛け声とキンコンカンとトボけて鳴らされる金属音の無機質な構築ビートが耳に残る「Act Like A Bitch」も、Ebony Eyezのヘヴィーでドスの効いたラップでけして浮かずに鼓膜にズシンと重たく響くからイイ。サクサクと爪弾くスパイシーで刺激的なアコースティックギターの弦音が悩ましい、笛音もヒュルリと吹き抜ける爽やかメロウ「Hot Chick」では、なんとあのTrey Songzが客演参加。Trey Songzの官能的なんだけれど甘酸っぱく青いヴォーカルが香り立つミントチューンで、Ebony Eyezとの相性も抜群でバランスがとても良いですね。しかも続く「Take Me Back」では、あの112よりSlimとQの二人が揃って客演しているという嬉しい驚き。ここでもギター弦を基調にしたちょっぴり哀愁漂うアコースティックなミッドを展開、SlimとQのクリアで紺碧のハーモニーが胸にすーっと沁み込む透明度の高い一曲。やわらかで華やかな流線形のデジタルメロウ「Good Vibrations」、ゴリゴリな野太い電子バウンスで砲撃みたいなリズムを繰り出すアッパー「Lame Ass」、哀愁たっぷりなバラード調の一曲「Dear Father」と、どれもなかなかバラエティに富んでいて聴き応えアリ。最後を締め括る「In Ya Face (Remix)」では新たにMiamiの女王Trinaを援護射撃に招集、どちらも負けず劣らずな斬れ味鋭いラップが交錯していて圧巻ですね(危険)。ここまでがTrackboyzの制作曲で、どれも非常に彼ららしい仕上がりとなっています。あとはあのJonathan "J.R." Rotemが制作を担当し、Trey Songzが客演で参加している「Heart Of A Soldier」なんかも注目に値しますよね。ピリピリと緊張の走る冷ややかな電子曲に、Trey Songzの妖艶なファルセットフックが不穏に漂うダークな一曲でグッド。あとは今や売れっ子のDr. LukeとThe Beatstazが共同で制作した「Real Life」も、同郷のJ-KwonとTarboy(Trackboyzの片割れ)が参加し、ジャラジャラとした寂寞感溢れるメロディを展開。「Right Back」はXP Muzikが制作しているのですが、どうも音の鳴り方(音程のとり方)がThe Neptunesっぽさを感じる一曲に。

Trackboyzの創るサウンドって僕は好きだったので、今またこうやって聴き返してもカッコイイ光るものがありますね。Ebony Eyezも充分にカッコイイ、とても真っ直ぐ勝負でエロさもなければクレヴァーな感じでもなく、良い意味でも悪い意味でもスッキリしているというか、でもそれが聴き易さに直結していますね。