RocBox 2

自分の持っているR&B、Rapアルバムを聴いての感想を偏見で綴る。音楽に関する知識はほぼ無し、雰囲気で語る。

08 2017
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プロフィール

Queen

Author:Queen
生年月日:1983年11月28日
星座:射手座
性別:男
血液型:A型
趣味:古典的推理小説読書
    黒音楽に浸る

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Sampha「Process」
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UKの名門レーベル“Young Turks”が新たに送り出す才能、Samphaの記念すべきデビューアルバム『Process』を御紹介。これがデビュー盤となる新人ではあるんですが、この時点でもはや説明不要な超大型新人がSampha。早くにはSBTRKTのデビュー盤の多くの楽曲でヴォーカルを務めたり、Drakeの「Too Much」に参加。最近でも、Kanye West『The Life of Pablo』の収録曲「Saint Pablo」、Frank Ocean『Endless』の収録曲「Alabama」にも参加していたのだそう。ここらはフィジカル専門の僕は触れられないままなんで、やはり僕としてのSamphaの功績は、傑作と名高いSolange『A Seat At The Table』収録の「Don't Touch My Hair」ですね(鳥肌)。これはきっとSampha抜きでは絶対に創出できなかった世界観、この時から僕はSamphaのデビューを心待ちにしていたのです。
それでは拙い文章で心苦しいのですが感想をひらひらと・・・・・・本作の楽曲は全てSamphaが制作しております、これだけでもSamphaの才能の片鱗がどデカいのがわかりますね。まずは琴のような音色がはらはらと舞い散るミッド「Plastic 100°C」で幕開け、光の屈折に似たトラックの転回の中で、モフモフとなんだか毛玉のような感触のSamphaのヴォーカルがドリーミーで、トラックの持つ光沢を毛玉のようなヴォーカルが隙間から柔らかに漏らしていてなんとも綺麗。しっかりしたドラムビートにカウベルがチカチカと点滅するように鳴る「Blood On Me」は、そんなバツバツと棘立ったトラックに追いかけられるように、Samphaの毛玉のようなヴォーカルがころころ転がるアップチューンでスリリング。カリカリとバンジョーの様な弦音が空気を鋭く振動させる「Kora Sings」はスパイシーで、中盤からは電磁波のような音色とビートがビリビリと通電するように交錯し、Samphaのヴォーカルはその電撃で光る豆電球のようでミステリアス。本作で最も僕が愛しているのが珠玉のピアノバラード「(No One Knows Me) Like The Piano」で、もうこの一曲を聴くだけの為にこのアルバムを愛せる一曲。なにもない空を眺めていると、なんだか空がふわりと落ちてきて、途端にふと自分が空に包まれて溶け込んでしまうような、ぽつんと佇むようなあの感覚。眩し過ぎる陽光を掌でそっと柔らかに遮ると、指先から光が透けて、鮮烈さも滲んで、じんわりと涙を温める感触。それをこのバラードに、感じるのです(曖昧)。Samphaの毛玉ヴォーカルがファルセットにより、ふわふわとほつれる様に響くのが優美な「Take Me Inside」も光芒のような鍵盤音が素晴らしく、もしも僕が光に触れられるならこの感触だと実感。「Reverse Faults」は夏の海を泳いで水の中から水面を見上げ、溶けた陽光に青が滲むような、あの幻想的な輝きにも似た潤んだ美しさ(溜息)。琥珀の持つあのキャラメル色の不可思議な輝きに似た「Under」、Samphaのヴォーカルが鉱物のような歪な輝きを魅せるのもなかなか乙なもの。あのKanye Westがソングライトに関与した「Timmy's Prayer」では、The Chi-Lites「The Coldest Days of My Life」をサンプリングに使用しており、原曲の持つほのぼのとした温かなメロディを、もっと標高を上げてすっきり鮮明に冷たく澄み切った音色に変化させたような一曲でグッド。「Incomplete Kisses」はとろとろでプルンとした弾力の寒天トラックに、Samphaのホイップクリームのような甘美ヴォーカルが乗っかる糖度高めのメルヘンメロウ。最後を飾るのはハープのような音色が水のせせらぎのように奏でられる透明感溢れる清涼スロウ「What Shouldn't I Be?」、なんともフローラルなトラックは小春日和の如く柔らかく暖かで、ここでSamphaのヴォーカルは毛玉ではなく綿毛となって、ふわふわと春のそよ風に乗って彼方へと消えてゆくのが夢見心地で素晴らしい(感涙)。

あれだけの前評判を集めながらも、蓋を開けると思ったほどそこまで話題になっていない気がするSampha『Process』、気のせいですかね(笑)。じゃあ僕はどうかというと、これが結構好きで繰り返し夜中に聴いてしまっているんです。あの毛玉のようなヴォーカルとじゃれあう冷たく無機質な電子音の違和感がなんとも心地良く、どうしても夜中に聴きたくなる一枚。僕の中ではJames Blakeと近い感触で、R&Bとするかどうかは微妙かもしれませんが、もはやジャンル分けが困難な時代ですから。しかし、Samphaの本作をなにか称するならば、僕としてはやはり毛玉ソウルと称したいのです(意味不明)。とにかくSamphaの魅力の詰まった素敵な一枚、「(No One Knows Me) Like A Piano」の一曲狙いで購入しても充分に元を取れます(太鼓判)。








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The Weeknd「Starboy」
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ネット世界から突如として出現したR&B界の異端児、The Weekndの通算三作目となる『Starboy』を御紹介。もはや現代R&Bを代表するSSWとも言えるThe Weeknd、14年『Kiss Land』傑作と名高い15年『Beauty Behind The Madness』と、その勢いは全く止まることを知りません。彼はその特異なヴォーカル&楽曲で世界を席巻し、客演依頼も後を絶ちませんね。音楽だけでなく女性関係も順調で、あの美人モデルのBella Haditと浮名を流したかと思えば、次はあのSelena Gomezとのロマンス勃発なんですから、なかなかの伊達男のようです(驚)。そんなThe Weekndが一部からはダサいと好評(?)だったドレッドヘアをばっさりカットし、新たな境地を魅せたのが本作『Starboy』。David Bowieの「Starman」をモチーフしているそうで、本作はDavid Bowieの影響を滲ませているのだとか。あとThe WeekndはあのPrinceとも一緒にレコーディングする予定があったとか話しているようで、実現しなかったけれどそれもなんだか聴きたかった。ちなみに本作のアートワークを手掛けたのはNabil Elderkin、要注目です。
という訳でボリュームたっぷりな内容について書きますと・・・・・・まずはあのDuft Punkを客演に迎えた表題曲「Starboy」で幕開け、制作はDaft Punk(Add制作にDoc McKinney、Cirkut、The Weeknd)で冷ややかにして滑らかなメタリックチューンがまるで宇宙を駆ける宇宙船のようで、浮遊感のあるThe Weekndの銀色なヴォーカルもミステリアスでクール。Ben BillionsにDoc McKinney、The Weekndが共同制作した「Party Monster」はキューブチックな光がゴロゴロと転がるように鳴る電子音が不可思議で、そんな光を透けさせて薄く閃きそよぐThe Weekndのヴォーカルもナイス。一聴すると単純にダンスチューンで華やかに感じるも、あちこちに危険な音色が潜み爆発し、ヒリヒリさが絶えず鼓膜を脅迫する「False Alarm」はDoc McKinney TheとThe Weeknd(Add制作にCirkutとMano)が制作を担当し、The Weekndの狂気に満ちたヴォーカルが膿んで破裂するのが鋭利(まるでひしゃげた様なヴォーカルエフェクトも効果的)。「Reminder」はDoc McKinneyにMano、Cirkutが共同制作をしたサイケメロウで、静かに星が瞬くようにチラチラとシンセとビートが囁くのがひっそりと美味。あのMax MartinとThe Weekndが制作を担当した「Rockin'」は小気味良いダンスチューンで、真夜中に光る携帯電話の画面みたいな、そんなセクシーで情緒のある光が疾走するトラックに、夜風みたいにスマートにしなやかにヴォーカルを躍らせるThe Weekndと共に舞い上がるのみ。Doc McKinney、The Weeknd、Cirkutが共同制作した「Secrets」もやはり銀河の上を滑降するようなギャラクシーなアッパーで明度抜群、The Weekndのサワークリームのように甘酸っぱい歌声も乗っかり心地良い。Benny BlancoにCashmere Cat、The WeekndにJake OneにSwishと名だたるメンバーが制作に名を連ねた「True Colors」は、ピアノ鍵盤の音色が遠く聴こえる波の音で、夏の夜の海に花火が散ってゆくような、あの光に似たThe Weekndの切なく甘いヴォーカルが鼓膜を焦らすのがなんとも美しい(溜息)。Doc McKinneyになんとLabrinthが共同制作した「Stargirl Interlude」ではLana Del Reyが客演参加、もうこれはLana Del Reyの錆びた三日月のような尖って切っ先の光るヴォーカルを堪能するばかり。「Sidewalks」ではあのKendrick Lamarが客演参加、Doc McKinneyとBobby RapsにAli Shaheed Muhammad(!)が制作に加わることで、焙煎された香ばしくもほろ苦いトラックが仕上がり、熱で輪郭を歪める様なThe Weekndの蜃気楼ヴォーカルと、Kendrick Lamarの的確でスキルフルなラップが秘孔を突くのもグッド。Doc McKinneyにCirkut、そしてMetro Boomin(!)にBen Billions、The Weekndが共同制作(ソングライトでFutureが参加し、少し声も足している)した「Six Feet Under」は、Metro BoominとFuture組の味気が強い、微睡みと毒を調合したようなパルファムミッドでじわじわと蔓延します。Max MartinとAli Payamiが共同制作した「Love To Lay」は、Max Martin関与らしい直線的な光線が交錯する閃光ポップで、そこにカラーセロハンのようなThe Weekndのヴォーカルが貼られ艶やかな色彩を溢れさせる好曲。続く「A Lonely Night」もMax MartinとAli Payamiが共同制作のレトロディスコな一曲で、この辺りはThe WeekndのMJフォロワーぶりが窺えます。熱が急激に冷やされ夜更けへと色が滲み暗くなってゆくような「Attention」は、Benny BlancoとCashmere Cat、Frank Dukes、The Weekndが共同制作。Doc McKinneyとCirkutが共同制作した「Ordinary Life」は従来型のThe Weekndに近く、夜の闇が寂しさも愛も切なさも熱も奪って膨れては萎んでゆくような暗澹メロウ。DiploにBen BillionsにThe WeekndにCirkutが共同制作した「Nothing Without You」はDiplo色強め、光を練って捏ねて造ったようなトラック&ヴォーカルがなんとも妖しくも綺麗。飲み込まれそうな暗闇を斬っ裂く無数の光のような、The Weekndのヴォーカルが眩く美しい「All I Know」は、Ben BillionsとCashmere CatとThe Weekndが共同制作しており、暗闇を轟々と燃やし尽くす強烈な青や赤の混じった光と熱を放出するFutureのラップがこれまた見事で幻想的で麗しい(溜息)。Doc McKinneyとCirkutとThe Weekndが共同制作(Add制作にCashmere CatとPrince 85)の「Die For You」は、ホーンを鳴らしつつどことなくRogerを華奢にしたような煌めきサウンドが壮麗なミッドで甘く優美。最後を飾るは、もはやThe Weekndのお家芸ともなりそうなMichael Jackson再生術で仕上げた「I Feel It Coming」。制作と客演には再びDuft Punkが関与して清涼で凛々しい電子音を紡ぎ、その電子蚕糸の上を軽やかにThe Weekndのサワークリーム風のヴォーカルが優しくステップする一曲。

もともとThe Weekndが持っていたあの暗さ、暗澹、これにぼんやりとぼんやりとした光を混ぜてほんのりと明度を増した本作。The Weekndのヴォーカルは真夜中に妖しく光るネオンサインのような、良い意味で少しいやらしい闇を演出しているんだけれど、本作はそんな夜空を超えて宇宙近くまでサウンドを上昇させています。とはいえ、僕はそこまでThe Weekndのヴォーカルが好きという訳ではないので、皆様ほどには手放し賞賛してはいないのが本音(愚)。でも完璧にこれまでのThe Weekndの世界観とは一線を画しているのは、そんな僕でも分かるので凄いと思います。









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Joe「#Mynameisjoethomas」
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90年代R&Bを語る上で欠かせない大人気シンガー、Joeの通算十二作目となる『#Mynameisjoethomas』を御紹介。Joeも本当に息が長くてずっと人気があるシンガーで、特にここ日本での愛され方もずば抜けているR&Bシンガーという印象があるのは僕だけでしょうか。いつでもすっきり清い正統派なR&Bを存分に楽しませてくれるJoeですので、メジャーからだろうがインディ(本作も自身のレーベル“Plaid Takeover”からリリース)からだろうが、いつだって高水準なアルバムを届けてくれています。そんなJoeの本作タイトルは、Joe最大のヒットアルバム(300万枚セールス記録だからその筈?)『My Name Is Joe』とも繋がっていて、Joe的には続編的な一枚なのでしょうか(疑問)。
という訳でみんなが大好きな本作の感想を惜しげもなく・・・・・・前作でもほぼほぼ全曲を制作していたDerek "DOA" Allen、そしてDamo FarmerとGerald Isaacで組んだ三人の制作チーム、DGD Efectでの制作がほぼほぼとなっているのでその曲群から。オープニングを飾る「Lean Into It」からもうJoeのあの甘ったるくも凛としたヴォーカルが炸裂、真夜中のベッドルームで揺れるキャンドルの灯みたく、チロチロと熱を舐めるようなJoeの繊細なファルセットがエロくも紳士。どこか部族的なネイティブなビートが乱舞する「Don't Look Me Out」は、その骨太にも思えるビートと原生的なメロディと裏腹に、Joeの滑らか清涼なペパーミントのようなヴォーカルが颯爽と吹き抜けるのが気持ち良い。まるで頬を涙が伝うように細く濡れて響くピアノ戦慄に胸が震える「So I Can Have You Back」では、Joeの哀願するようなヴォーカルが熱を放出し、反して微弱いメロディの冷たさに触れて結露するような悲哀バラード。外は雨が吹き荒れて窓を叩いて、それを部屋から眺めているような、くっきりとうるささと静けさが分かれたミステリアスさを感じる「Hurricane」、悲しくひび割れるメロディにJoeの優しいヴォーカルがシンクロするから起こる錯覚かな。「Can't Run From Love」は清らかに澄んだ雫が静かな水面に波紋を広げるようなミッドで、Joeのミントグリーンな清冽ヴォーカルとの相性が抜群。「Tough Guy」はストリングスとピアノ鍵盤の音色が寂しく木枯らしのように吹き抜ける、切ないスロウで泣けてくる。Joeの甘美でスッキリ微炭酸なヴォーカルが心地よい刺激をくれる「Lay You Down」も、王道のR&Bスロウジャムといった具合で聴いていて心底ホッとします(馴染)。Michael Jackson『Off The Wall』期を彷彿とさせるディスコブギーなダンス曲「Ceelebrate You」は、それこそJoeもMJばりにエッヂーなファルセットを翻しながら華麗に駆け抜けるのが爽快。とここまでがDGD Efectチームでの制作曲たち。砂塵混じりに吹く乾いた風のようなアコースティックギターの音色と、エキゾチックなパーカッションがどこか幻想的な「Wear The Night」はDerek "DOA" AllenとGerald Isaacの共同制作で、Joeのシルキーなヴォーカルが滑らかにはらりと脱ぎ去るドレスのように悩ましい。ゆるゆると時計の針をしなやかな指先で巻き戻すような、そんな儚さと胸の痛みがこみ上げる悲哀バラード「No Chance」はDerek "DOA" AllenとGerald Isaacの共同制作。ヒンヤリと氷結アイシーなシンセが結晶化しながらトラックを造形する「Happy Hour」はDamo FosterとGerald Isaacが共同制作、客演には復活したGucci Maneが参加。こういうアイシーなトラックには淡く透けてまるで結晶みたいなJoeのヴォーカルは当然映えるのだけど、ここにGucci Mane起用というのは僕にとって意外、だけどもこの氷結サウンドにGucci Maneのボムボムと跳ねる弾力ラップがバッチリ似合うのも意外(だけどGucciは思えば、頬にアイスクリームのタトゥーがあるから彼もアイシーか)。僕的に好みだったのがZach Crowellが制作の「Hollow」で、眩い蒼色が悠々と移ろうような壮大なカントリーロックテイストの空色ミッドで、風に乗ってどこまでも自由に羽ばたくようなJoeのヴォーカルがただただ胸を透くんです。ゼラチン質な電子音がボムンブムンと瞬く「I Swear」はDamo FarmerとGerald Isaacが共同制作、クールでグッド。Derek "DOA" AllenとGerald Isaacの共同制作の「Love Centric」は、王道まっすぐなレトロソウル曲でほっこりすること確実。朝露に濡れた花園のように、しっとりと湿やかに輝く香りを漂わせるレトロソウルな「Our Anthem」はDerek "DOA" AllenとGerald Isaacが共同制作で、途中ではOtis Redding「Try a Little Tenderness」の一節も飛び出します。最後を飾る「Hello」はAdeleの絶品カバー、Adeleとはまた一味違ったひりひりと悴むような切なさがこみ上げるナイスカバーに仕上がっています。

さすがはJoe、全16曲というボリュームながら全くダレることなく聴かせてくれます。16曲も入っているので全方位型のアルバムになっていて、R&Bからレトロソウル、ポップっぽい曲やカントリー風味までなんでもござれ。Joeのヴォーカルは良い意味で癖がないので、どの楽曲でもすんなりフィットしているのが素晴らしい。しかしJoeはやはりバラディアーの印象が強いので、レトロソウルの曲はなくてバラード増やしてもらったら嬉しかったかも。とにかく抜群の安定感、シンプルに良い、その一言。








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Charlie Wilson「In It To Win It」
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還暦を超えた今もなおR&Bの最前線に陣取る叔父貴、Charlie Wilsonの通算八作目となる『In It To Win It』を御紹介。この歳で(1953年生まれ)これだけバリバリに歌声衰えずに歌えて、しかもきっちりと需要があるというのがただただ凄い。2000年の『Bridging The Gap』から始まり、05年の『Charlie, Last Name Wilson』09年の『Uncle Charlie』10年の『Just Charlie』13年の『Love Charlie』15年の『Forever Charlie』と、本当にノンストップで立て続け。R&Bシンガーは数多くいれど、これほど頻繁に出せているシンガーは2000〜2010年代で他にそういないのでは。という訳で前作からでもおよそ二年ぶりとなる本作、最近ではBruno Mursの特大ヒット曲「Uptown Funk」がCharlie Wilsonの所属したThe Gap Bandの「Oops Up Side Your Head」を引用しているとして、結果Charlie Wilsonが「Uptown Funk」の作者にクレジットされるなんてこともありましたっけ。
それでは関係のない話はもうよして感想を書き書き・・・・・・まずはEmile GhantousとKeith Hetrick、Steve Dalyが共同制作した「I'm Blessed」で幕開け、しとやかな音色がまるで気泡のようにシュワシュワと消えるシャンパンゴールドなメロウで御洒落、Charlie Wilsonの芳醇なヴォーカルもやはり健在で濃厚スウィートですし、客演のT.I.はこういうドレッシーな曲にはバッチリな男前でシルクのように滑らかラップ。鍵盤音とストリングス、指スナップに電子音がキラキラとラインストーンのように小粒に輝く「Chills」は、Gregg PaganiとCharlie Wilsonの共同制作。キラキラに眩いスワロフスキートラックもナイスですがこの曲はフックが周到で、多重に録音したハーモニーと山なりにグラインドするメロディがなんとも癖になります。Emile GhantousとKeith Hetrick、Steve Dalyが共同制作の「Good Time」では、なんとあのPitbullが客演参加。バリバリと弾けるように鳴るホーンやビートが爽快なディスコファンクなアッパーで、やっぱりCharlie Wilsonの金管楽器のような咆哮ヴォーカルが鮮烈で美しいし、途中で参入するPitbullの熱いラップも曲をこんがりと焦がしてくれて甘さを際立たせます(高揚)。「Us Trust」はRob KnoxとEric Hudsonが共同制作しており、客演にはWiz Khalifaが参加。ピアノ鍵盤がふわふわと花弁を散らすように鳴るフローラルなミッドで、Charlie Wilsonのビターだからこそ甘み引き立つアダルトなヴォーカルが魅力的。そしてこれまたWiz Khalifaの細身でしなやかなラップもこういう御洒落なトラックにうってつけで、相変わらずなゆるく煙いラップで艶っぽく華を添えます。Emile GhantousとKeith Hetrick、Charlie Wilsonが共同制作した「Precious Love」も、絹糸のように繊細な瞬きを結んで飾ったような星座メロウで、Charlie Wilsonのホットチョコのようなヴォーカルがとろけるのが心地良いビタースウィートな一曲。Gregg PaganiとCharlie Wilsonが共同制作のオールディーズなサザンソウル風の「Smile」では、こういう古めかしいスタイルを得意とする客演のRobin Thickeと共に、コーヒーとミルクを混ぜるようにほろ苦で甘いカフェオレ風味になっていてとにかく美味。表題曲となる「In It To Win It」はGregg PaganiとCharlie Wilsonが共同制作、黄金色に輝くメロディに放射線状に広がる光芒のようなCharlie Wilsonのヴォーカルも煌びやかなシャイニーミッド。Rob KnoxとEric Hudsonが再び共同制作した「Dance Tonight」は、最近ではJustin Timberlakeなんかがやりそうなレトロなダンスチューンで、生バンドが演奏するような息吹がレッドカーペットの上を滑るような優雅なトラックに、ゾクゾクとさせられる大人アッパーな一曲で好き(体動)。本作で最も重要だといえるのがWirlie MorrisとCharlie Wilsonが共同制作した純朴バラード「Made For Love」で、Lalah Hathawayが客演で参加しているのです。恋人同士の指先がそっと触れるか触れないかの距離感で揺れるような、そんな絶妙な温もりをシンクロさせる二人のビターな掛け合いが素晴らしく、繊細で柔らかでもうたまりません(溜息)。アコースティックギターの弦音が優しく溢れる「Better」はRob KnoxとEric Hudsonが共同制作で、ギター弦の音がナチュラルでまるで森の雫のようにポロポロと潤いを含み、Charlie Wilsonの渋く深いヴォーカルでマイナスイオンが放出されるスロウジャム。盟友というより甥であるSnoop Doggが客演参加した「Gold Rush」はまたまたRob KnoxとEric Hudsonが共同制作、ランバダ風味なトラックに陽射しみたく鋭く眩いCharlie Wilsonの歌声と、砂漠の中の木陰かオアシスのように冷涼なSnoop Doggのゆるゆるラップのコントラストが絶妙な一曲。踊り勇むような鍵盤音とクラップに鼓舞される晴れやかなゴスペル風味の「New Addiction」はなんとJ.R. Rotemが制作を担当、こういう曲でのギラギラ燦々と輝く太陽のようなヴォーカルも素敵。最後はWirlie Morrisが制作した「Amazing Good」で、全てを洗い流す聖水のようなメロディがとにかく神々しい透明感溢れるバラードで、ただただうっとりとして天に召されるばかりです(昇天)。

最初聴いた時はなぜか一曲一曲が散らばっている印象だったのですが、何度か聴いたらそんなことなかった(笑)。制作陣においても前作とほぼほぼ同じメンバーが起用され、歌とトラックともに安定した仕上がりとなっております。やっぱり秀逸だなと思ったのは、Lalah Hathawayとビターな歌声を溶け合わす「Made For Love」で、この一曲のためにこのアルバムを聴くでも十分と思えるぐらい。




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PARTYNEXTDOOR「PX3」
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Drake率いるOVO Sounds所属のSSW、PARTYNEXTDOORの通算二作目となる『PX3』を御紹介。現代において最強のラッパーといったら多分、Kendrick LamarかDrakeの二択になるんではないでしょうか。そのDrakeが認め自身のアルバムでも要所要所で起用するのが、このPARTYNEXTDOORで御座います。このPARTYNEXTDOORはそんなDrake作品だけではなく、Rihanna「Work」や「Sex With Me」Usher「Let Me」などのソングライトにも名を連ねるなどソングライターとしても優れた才能の持ち主なのです。そういう優れた裏方作業もしながら自身の二作目もきちんとドロップしてくれました、これは嬉しい限りです。
という訳で簡単にではあるけれど感想をぜひ書きたい・・・・・・まずは、じっとりと鼓膜から肺まで濡れて息苦しくなりそうな、濃霧のようなサウンドが蠢く止まるを繰り返す「High Hopes」はPARTYNEXTDOOR(以降はPNDと表記)が制作。停滞してどんどんとサウンドをドロドロの塊にしつつ、その泥濘んだトラックにPNDのネットリしたヴォーカルが塗れて鼓膜にへばり付くダークチューン。スローモーションで動くダークでノイジーな映像を見つめるような錯覚に陥る「Don't Run」、制作はSevn Thomasが担当(Co制作にLarry Sanders)。一点の黒いシミがジワジワと真白を侵食するようなトラックとヴォーカルが幻想的で、PNDのヴォーカルも幻影たっぷりに深淵で濃厚ビター、そんな芳醇なヴォーカルと共にゆっくりと深みにはまってゆくのが乙。PND制作の「Nobody」はリズムビートの鳴り方はどこかトロピカルっぽくもあり、だけど色味は少なくどことなく重たいのにも関わらず、なんだかウォータリーで瑞々しくもあるPNDのヴォーカルにここは浸るのみ(遊泳)。Drakeにも多用させてヒットさせた(Drakeのダンスホール寄りはRihanna発信かPARTYNEXTDOOR発信のきっとどちらかだと思う)リディム使いながらも、その風味は陽が落ちて夕闇に染まり、次第に熱が冷めてゆき肌寒くさえ感じるような情緒に似ている。そんなサンセットみたいなトラックの中で、焙煎されて香ばしいヴォーカルを疾走させるPNDが胸を清冽に透いてしまう「Not Nice」は、Nineteen85が制作(Co制作にDwayne "Supa Dups" Chin-Quee)。これまたトロピカルなサウンドを焦がすようにして鳴らす「Only You」は、Drakeみたいにべったり甘くなく濃厚ビターで香ばしいPNDのヴォーカルがほどよい微熱混じりなのがとても心地良く、まるで砂を踏んで歩くような柔らかくサラサラとした感触で素晴らしい(恍惚)。まるで流氷がじわりじわり流れるような青白く冷たい電子音が滑らかで幻想的なスロウ「Don't Know How」、制作はBizness Boiなる人物が担当。ここで聴かせるPNDの時折ひらりと翻るファルセットのヴォーカルは素晴らしく、冷たい水の中を泳ぎ光をキラキラと鱗で反射させる銀色の魚のよう(流麗)。G Ryが制作を担当した「Problems & Selfless」もやはりモヤモヤとし充満するトラックが印象的で、じれったくなるような熱に上気して、スチーム状のサウンドとPNDの敗退的で甘美なヴォーカルが蒸せるスロウ。ザワザワと波打ちながら彼方へと消えゆく夜の海のような黒に溶けゆく「Temptations」はPNDが制作、鈍痛のようにじわじわと重たいトラックの中で、PNDのビターなカフェインヴォーカルがゆっくりと意識をクリアにしてゆくような、鈍色と精彩のマーブル模様がなんとも歪で美しい(溜息)。キリキリと鳴って鼓膜を絡め取るギター弦の音がスパイシーなフォーキーな「Spiteful」はPND制作、PNDの直線的に広がるヴォーカルが壮麗でやはりなかなかの美味。これまでの暗澹としたシンセトラックとは全く違う、PNDとNoah "40" Shebibが共同制作の爪弾くギターで聴かせる「Joy」は間違いなく本作のハイライト。夕間暮れの海辺で風を聴きながら微睡むような、淡く涼しいメロウチューンにPNDのほろ苦いカフェインのようなヴォーカルがきりりと神経を柔らかに刺激するのが最高に気持ち良く、良い意味でのピンボケ感がポートレイトのような趣(溺愛)。Sean "Neenyo" SeatonとAdeyinka "FWDSLXSH" Bankole-Ojoが共同制作の「You've Been Missed」も、繰り返すけれどやはり朦朧にも似た深淵メロウ。絶え間なく揺れる青黒い闇で塗り潰す夜の海のようトラックの中で、やはりPNDの鎮痛剤ヴォーカルがシャープ。PNDのヴォーカルに反応してユラユラと光の波を漂わす夜光虫のようなシンセサウンドも抜群にクールで、神秘的な冷たさに鼓膜の先まで浸かってしまう。金剛のように硬い反響を利用したような「Brown Skin」はPNDとNoah "40" Shebibの共同制作で、直角的に右往左往するPNDのプラチナのようなヴォーカルがキラキラと硬く美しい。「1942」はPNDが制作を担当した鈍痛のようなトラックと鎮痛剤のようなヴォーカルの対比が見事な一曲で、彼ならではの味わい。親玉であるDrakeが客演参加した「Come And See Me」はNoah "40" Shebibが制作を担当、しとしとと降る長雨のようなトラックがほんのりの濡れて優しい(溜息)。これはトラックも勿論素晴らしいけれど、そんな静寂なトラック背景にシンクロしてPNDの甘い雨音のようなヴォーカルがポツポツと滴り溶けてゆくのがたまらなく美しく繊細、こうなるとDrakeさえ霞むほど。最後はPND制作(Co制作にNoah "40" Shebib)の「Nothing Easy To Please」がここにきてまた毛色の違うトラックで、バキバキとへし折るようなビートが空気を振動させ、その中で陽炎のように揺れるPNDのヴォーカルがぼんやりと虚ろに輝くのがたまらないくカッコイイしやられた(痺)。

僕的にはやはりOVO一派はみんな似ていて、誰かを聴けたらそれでいいかなという感じに思っているんです。となるとやはり皆はDrakeを聴くことになるだろうけど(僕も嫌いでないけど)、この一派の中でならば絶対に僕はPARTYNEXTDOORを好きだし彼は格別。いやOVO一派として片付けるのは失礼で、これからのR&B界ではこれからもっと重要な逸材になってゆくと思います(確信)。結構ヴォーカルにエフェクトが施されているからイマイチ分からないけれど、アコースティック背景で歌ってるのを聴いてみたいシンガーで、なかなか素直に上手いのかもしれない(推測)。トラックこそ重たくじわじわと侵食するような鈍色のものが多いんだけれど、それをもきりりとクリアにして清冽さを与えるPARTYNEXTDOORのカフェインのようなヴォpカルが秀逸で、低く優しく鈍く冴えてゆく感触は一種独特の鎮痛剤R&Bといった感じかな(確率)。昨年のTop10に入れなかったのを最も後悔した一枚、Drake無しで十分にやっていけます。






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