RocBox 2

自分の持っているR&B、Rapアルバムを聴いての感想を偏見で綴る。音楽に関する知識はほぼ無し、雰囲気で語る。

09 2017
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プロフィール

Queen

Author:Queen
生年月日:1983年11月28日
星座:射手座
性別:男
血液型:A型
趣味:古典的推理小説読書
    黒音楽に浸る

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LeToya Luckett「Back 2 Life」
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元々はDestiny's Childのメンバーとして活躍した、LeToya Luckettの通算三作目となる『Back 2 Life』を御紹介。Destiny's Childでは2nd『The Writing's On The Wall』まで参加、その後は脱退しソロに転向しております。当然僕なんかはDestiny's Child世代なので(と言っても僕なんかは歴が浅いから三人編成の印象の方が強いが)、これまでのLeToya作品(それこそこれまではLeToya名義だった筈)も全て持って聴いているんですが、なかなかタイミングが合わずにこれがLeToya初レヴューとなります。最近ではその美貌も手伝って女優業も忙しいらしいLeToya Luckett(以降はLeToyaと表記)、今年の8月には企業家のTommicus Walkerとの婚約も発表し、まさにノリに乗っている年でのリリースで御座います。金髪のショートヘアとばっくり開いた胸元のジャケットがいたく素晴らしく、こういう素晴らしいジャケットの為にCD蒐集しているのです(眼福)。
それでは肝心の中身がどんな風かを早速書き出してみると・・・・・・霧氷のように澄んで白んだメロディにブリザードのようなビートが煌めくクールミッド「I'm Ready」でスタート、制作はD'Mileが担当。LeToyaのヴォーカルは女性らしい艶かしさもありつつ、でもどこかひんやりと脆く尖ったような繊細さがあってまるで硝子細工のよう。キラキラと青白く輝く氷点下のようなLeToyaのクールで美しいヴォーカルが、妖しくも艶麗に響く結露系のひんやりミッド「B2L」はJoseph "Jo Blaq" MacklinとYBZが共同で制作を担当。サンプリングにSoul II Soul「Back To Life (However Do You Want Me)」を使用したトラックは、透明感のあるLeToyaのヴォーカルは凍てつく程の零下で、それがトラックにキメ細かな霜のような輝きを施していてたまらない(痺)。ファンクなベース弦のグルーヴ振動に合わせて水飛沫をあげるようなクリアブルーなアッパー「Show Me」、制作はAnthony SaundersとJoseph "Jo Blaq" Macklinが共同で担当。バチバチにライトアップされたように鮮烈で眩いシンセが交錯する明度抜群なアップチューンは、LeToyaの潤んで瑞々しいピチピチのヴォーカルが気持ち良く泳ぎ戯れて、終いには溢れて聴き手を飲み込んでしまうのが痛快。だんだんと白んでゆく夜空のようなゆっくりとスローモーションで移ろうメロディがまろやかに美しい「Used To」、制作はJoseph "Jo Blaq" MacklinとJ Whiteが共同。夜更けからだんだんと陽が漏れて夜明けを迎えるように温度が移ろい、ビートを二段切り替えで敷きフックでは朝焼けトロピカルな雰囲気に包まれる逆光メロウで素晴らしく、LeToyaのヴィヴィッドでクールな歌声にもばっちりフィット。Rihannaみたいな妖しげダークな黒塗りソリッドな鉄甲チューン「Middle」はFirst BornとOh Goshが共同制作、鉄甲のように硬い輝きを鈍く放つトラックの中で、ひらひら舞うクロアゲハのようなLeToyaのヴォーカルが毒々しく体を巡るのもまた粋狂でグッド。個人的に速攻でヤラレタのがJoseph "Jo Blaq" MacklinとAndre Harris(!)が共同制作した「Grey」、その理由はAndre Harris関与なのとLudacrisが客演参加しているから(明白)。夜空の漆黒に銀色に輝く星を溶かして造ったような甘いグレーはとてもシルキーで滑らか、だからこそ声そのものがドレッシーで艶っぽいLeToyaの絢爛なヴォーカルがキラキラと映えるし、Ludacrisの相変わらず骨太ながらもビターでセクシーな味わいで昇天確実です(骨抜)。湧き水のようにきりりと清冽な岩清水ミッド「In The Name」、制作はなんとWarryn Campbellが担当。マイナスイオンが放出されている波紋トラックが聴き手の鼓膜を浄化してくれるし、水面に揺れてキラキラと輝くようなLeToyaのヴォーカルもなんとも透明感と潤いがあって清らかに美しい(溜息)。ちょっぴりベチャっとした癖のあるビートが跳ねるホイップクリームのようなキュートなミッド「My Love」、制作は同じくWarryn Campbellということで興奮。少し抜け感のある電子音のほんわかした連なりは黄金期のThe Neptunesサウンドを思い出させるけれど、LeToyaの歌声がやはり硝子細工みたく透明で煌びやかなのでばっちりシンクロ。Joseph "Jo Blaq" MacklinとAndre Harrisが共同制作した「Worlds Apart」はブルージーさが滲むダークモカな一曲ながら、LeToyaのヴォーカルが凛として甘美なためにいい塩梅でビタースウィートに仕上がっているのが聴き易い。ポタポタ滴る雫のような音色にダークに染み入り蠢く曲線ビート、時折と光瞬く鉱石シンセが混じった地下水脈ミッド「Weekend」、制作はJoseph "Jo Blaq" MacklinとBrandon BlackとGNBが担当。空気の薄いほどの高山の頂にいるような感覚の音色が漂う雲海ミッド「Higher」、制作はJoseph "Jo Blaq" Macklinが担当しており、白く霞んでじわりじわりと広がるLetoyaのミストヴォーカルにうっとりするばかり(昇天)。First BornとOh Goshが共同制作した「Loving You」は、ジャブジャブと水の中を転げて泳ぐようなトラックが潤いたっぷりなドリーミー曲で、水中のモーションに似たはらはらと揺らめくLeToyaの人魚ヴォーカルも幻想的で素晴らしい。最後を飾るのはLeToyaのステンドグラスのようなヴォーカルを透かせて光り輝くピアノバラード「Disconnected」、制作はJoseph "Jo Blaq" Macklinが担当。細く紡いだ光をそっときゅっと結んだようなメロディとヴォーカルがたまらない、印象派の絵画みたいな優しい光の溢れる一曲です(感涙)。

混じりっ気の無い純粋なR&Bアルバムといった趣で、やっぱり自然と再生回数が伸びているのが本作です。LeToyaのヴォーカルは昨今のR&B業界の中でも珍重な、とても輪郭のくっきりした光を纏った硝子細工のような性質でなかなか異彩を放っております。Executive Producerとして全編に渡って関与したJoseph "Jo Blaq" Macklinのサウンド指揮も素晴らしく、様々なタイプのR&Bを取り揃えながらも統一感バッチリでなかなかの死角無しアルバムだったと思います。






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Kehlani「SweetSexySavage [Deluxe Edition]」

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鳴り物入りでデビューを待たれていた女性SSW、Kehlaniの記念すべきデビューアルバム『SweetSexySavage』を御紹介。アフリカ系アメリカ人、白人、ネイティヴ・アメリカン、スペイン人、フィリピン系ネイティヴ・アメリカンと多くの混血であるKehlani、全身タトゥーだらけのルックスもですがやはり独特な雰囲気を醸し出しているのはその影響もあるのでしょう。Kehlaniはその昔、14歳の頃にあのTony! Toni! Tone!のDwayne WigginsがプロデュースするPoplyfeなるグループにフロントマンとして所属していた経歴があるのだとか。その後二作のMixTapeを出してその名を馳せたKehlaniですが、特に二作目となる『You Should Be Here』は第58回グラミー賞で“最優秀アーバンコンテンポラリー・アルバム”にノミネートされるなどし大活躍し、このメジャーデビューはR&B愛好家にとっては皆が待ち望んだ作品と言えますね。
それではサクサクと感想をここに書いてゆくとしますか・・・・・・まずはPop & Oakのコンビが制作した「Keep On」はゴクゴクとミネラルウォーターを飲み干すように鳴るディープなビートと、軽妙にパチンパチンと弾ける音色がまるで微炭酸テイストなミッド。とても色味の少ない透明に近いトラックながら、Kehlaniの甘みのある歌声と後半のトークボックス使いがジューシーで程よい鮮やかさを演出。同じくPop & Oakの制作となる「Distraction」はどことなくオリエンタルな音色が漂う滑らかミッドに、Kehlaniのヴォーカルが華麗に棚引く桃源郷的な桃色ミッドで、やはりKehlaniのフレッシュでジューシーな歌声が糖度を持っていて鼓膜が美味さを感じます。まるでオアシスで沐浴をするように音色が優しく飛沫を上げる「Piece Of Mind」もPop & Oakが制作を担当し、もはやマーメイドのように滑らかに泳ぎ回るKehlaniのヴォーカルが優雅で幻想的。Charlie Heatが制作を担当した「Undercover」なんかはまるで90年代後半のMariah Careyを彷彿とさせるピチピチ感があるミッドで、色とりどりなフルーツゼリーのようにプルンプルンとした弾力のあるトラックにぴったりマッチ。「Crzy」はBrittany Chi Coneyが制作を担当、うっすらとした茜空のように眩いトラックの中で、鳥が飛び回るようにしゃくりあげて独特な歌い回しをするフックが印象的。Jahaan Sweetが制作した「Personal」は、Aaliyah「Come Over」をサンプリングに使用。ちょっぴり冷たくて暗い水の中を思わせるウォータリーメロウなトラックが潤んで時折溢れるのが美しく、そんなちょっぴり冷たく感じるウォータリーなトラックの中で、ヒラリヒラリと泳ぐKehlaniのヴォーカルはまるで鮮やかな色味の熱帯魚みたく綺麗。Rhian Sheehan「Waiting」をサンプリングした「Not Used To It」は、Some Randomsが制作を担当で、これこそなんだかAaliyahみたいなトラックとヴォーカルのシンクロの感触が懐かしい。ゆらゆら浮かんでは沈みを繰り返すローションみたく粘液チックなトラックに、柔らかな曲線を描くKehlaniの歌声がダイブし、その溝に緩やかに艶っぽく音色を落としてゆくのが鼓膜を伝う感覚。「Everything Is Yours」は"Downtown" Trevor BrownとZaire Koaloが共同制作しており、静寂に小さな穴を開けるようにポツンポツンと滴る音色とビートが、Kehlaniのヴォーカルに伝染して次第に線を描いてトラックを細く紡いでゆくのが幻想的。波紋のように広がってゆくメロディが潤んでいる「Advice」はPop & Oakが制作で、Kehlaniのスーッと澄み切って冷たいミネラルウォーターみたいな歌声がたまらなく渇きを癒す壮麗なミッド。現行のトラップをもっとシロップ足して糖度を上げたような甘美スロウ「Do U Ddirty」、制作はThe Featherstonesが担当しており、こうなるとKehlaniのプルンプルンとした果肉のような歌声が良いアクセントになっていてグッド。乾いたアコースティックギターの音色が涙を拭う風のように淡く爽やかな「Escape」は、Pop & OakとAutoro "Toro" Whitfieldが担当。一時期のNe-Yo(もしくはBryan Michael Cox)を彷彿とさせるギターと鍵盤音とビートスナップの三種の神器的なポップバラードで、Kehlaniの真っ直ぐで水彩絵具のようなヴォーカルがすーっと綺麗に広がるのがなんとも美しい。Picard Brothersが制作の「Too Much」はビートの鳴らし方や歌声の多重エフェクト、その歌声に乗せられた重さと沈殿加減なんかが、昔のAaliyahとTimbalandコンビのような質感でたまらなく興奮する。と思って聴いていたらそれもそのはず、Aaliyah「More Than A Woman」が使用されているのですね。なんだか水浴びをしてるように潤んだ音色が跳ねるSven Thomas制作の「Get Like」も、Kehlaniのヴォーカルが可愛くて、艶やかでいてヴィヴィットな感触が映えてグッド。搾りたてのフルーツジュースのように甘酸っぱくて色鮮やかでフレッシュなミッド「In My Feelings」はPop & OakとAutoro "Toro" Whitfieldが制作を担当、ちょっぴりEDMっぽいテイストもあって尖り過ぎずの種っぽいツブツブ感ビートがグッド。夏の日の水辺みたいにきめ細かな眩さをキラキラと反射させるよう天然水仕込みのさらさらしたミッド「Hold Me By The Heart」、制作はPop & OakとAutoro "Toro" Whitfieldが共同で担当。Kehlaniの清水のように冷たくキリリと澄み切ったヴォーカルも美しく溶け合い、鼓膜を伝って体中に駆け巡るのが心地いい(浸透)。「Thank You」はPop & Oakが共同制作したこれまた瑞々しいポップ風味の清涼ミッドで、Kehlaniの清流のように自由に透明に流れを変えるヴォーカルが壮麗でまるで湧き水のよう。とここまでが本編の内容で、ここからは豪華盤のみの収録曲が二曲収録。P-Loが制作を担当しSasha「Dat Sexy Body」をネタ使いしたトロピカルテイストの「I Wanna Be」なんかも、キュートでいてピチピチと弾けるKehlaniの歌声がなんとも美味でグッド。最後はJMIKEとDjembaが共同制作した「Gangsta」で、漏電するようにビリビリダラダラと鳴るシンセの中で、妖しく揺らめく毒の華のような歌声がじわじわと聴き手を麻痺させます。

最近はダウナーが流行しているせいか、囁くようにとか静かになだらかに歌うR&Bシンガーが多い中、Kehlaniは跳ねるようにキュートでピチピチとしたヴォーカルで全編を彩っていて色鮮やか。アルバムの大半の楽曲をPop & Oakが担当しているのも手伝って、全19曲とこれだけのボリュームながら統一感はあって、なおかつ90年代のR&Bを彷彿とさせるサウンドの連続でがっちり三十路のハートを掴んでくれました。








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Niia「I」
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ジャズを基調としたヴォーカルとピアノ演奏で魅せるSSW、Niiaの記念すべきデビューアルバム『I』を御紹介。LAを拠点に活動しているというNiia、僕は彼女のことは全く知らないつもりでいました。しかし、彼女との出逢いはWyclef Jean「Sweetest Girl」での客演だと後に判明、浅はかだった僕は(今も浅はかなのだが)Niiaの名前も歌声もまったく覚えていないという始末でした(懺悔)。New Yorkのオフブロードウェイで話題を集めているパフォーマンス“Sleep No More”なるものにも出演し注目は集めていたらしいNiia、何も知らない僕は美しいジャケットとRobin Hannibalが制作に関与ということで購入を決意。 Robin Hannibalと言えば、RhyeQuadronなどの活動でも知られる敏腕Producerで、やはり彼のプロダクションともなれば聴かずにはいられないのです。
それではお粗末で申し訳ないのですが感想を書いてみたいと思います・・・・・・まず本作の全曲の制作を手掛けるのはRobin Hannibal、そしてソングライトは全てNiia Bertino本人という二人で手製の一枚となっていて素晴らしい。やんわりとした飴細工のような音色が甘く伸びて花園を作り上げる「Prelude」、もうこの1分半の始まりでNiiaの彫刻のように滑らかに彫りの深いヴォーカルに胸を打たれます。そんなNiiaのふっと吐息を吹きかけるような甘美で線の細いヴォーカルが、聴き手の鼓膜を優しく絡め取って縛る「Hurt You First」も素晴らしい(溜息)。Robin Hannibalが織りなすシフォンのように薄く透けて柔らかな音色、そこから見え隠れするNiiaのスーッと伸びた白いヴォーカルが、水を蹴る爪先のように艶やかにして清冽。しとしとと降る長雨のように聴き手の鼓膜を濡らす「Sideline」、サンプリングにはChristine McVie「And That's Saying A Lot」とAl Green「I'm Glad You're Mine」を使用。雨に濡れたアスファルトのようにブルージーに色を暗くするメロディに、Niiaのヴォーカルは時に激しく呼応し、まるで空を仰いで雨粒を飲むような躍動感ある場面を思わせる濡れたモノクローム。Edwin Birdsong「Rapper Dapper Snapper」を下敷きにした「Nobody」では弾け跳ねる弦音の上を、まるで踊るようにして散る花吹雪のようにNiiaのヴォーカルがひらひらと落ちてゆくのが印象的。本作で最も好きなのが「Last Night In Los Feliz」で、夜明け前の空のようにうっすらと薄幸が微熱と共に滲んでゆくトラックに、Niiaの微睡みにも似た柔らかく曲線を描き揺らぐヴォーカルがなんとも幻想的で美しい(儚)。Robin HannibalのSade趣味が垣間見えるような「Girl Like Me」も中盤では、彼らしい電気的な断線ブレイクダウンが挿入されて聴き手のじんわり汗ばんだ熱を逃して巧いし、NiiaのヴォーカルはSadeほどに陰影を持たなくて、むしろ音色に対する反射光のように艶やかなプリズムを生んでいてとても綺麗。細く絡まり弾ける弦音がまるで夜空と朝焼けを結ぶ光の線のように綺麗な「Day & Night」、まるで朝露のようにキラキラと澄んだ輝きを放つNiiaのヴォーカルがなんとも麗しい。夜の雨のようにしとしとと静かにそぼ降る音色が潤んで消えるスロウジャム「Constantly Dissatisfied」、そんな潤いを含んだメロディの中を悠々と泳ぐNiiaの曲線ヴォーカルがまたしなやか繊細でグッド。遠くへ吹き渡る風のように壮大なメロディがそよぐ「California」も、美しい大理石の彫刻のような滑らかで透き通った光と流線を纏うNiiaのヴォーカルが映えます。秋になり葉が落ちるようにメロディが悲しげに散る「All I Need」、胸を震えて締め付けるNiiaの歌声は秋風のように、乾いて色を奪い、寂しげで、誰かをきゅっと抱きしめたい気持ちにさせる美曲です。1分半のインスト曲である「Mulholland」もやはり絶対に必要な一曲で、ここでこれまでを振り返り、光や影や匂いや色が断片的に蘇り褪せてゆくのが心地良いのです。最後はボーナス曲的な位置付けかと思われますが、新たにJazmine Sullivanを客演に迎えた「Sideline」が再び登場。Niiaの白く細い歌声とJazmine Sullivanの黒くふくよかな歌声が綺麗に混ざり、カフェオレのようにほろ苦な旨味を出していて素晴らしい化学反応を起こしています。

Robin Hannibalらしいまるで大理石で造られたギリシャ彫刻のような壮麗さ、完璧なまでの美しさでそこにNiiaの麗しく端正なヴォーカルが滑らかに響くのだから最高の一言に尽きます。Robin Hannibalが関与するとどうしてもSadeが引き合いに出るのですが、NiiaはSadeとはまた違う、ウィスパーな中にも力強さや筋のある隆起がそのヴォーカルにきちんとあって、そういう意味でも白く逞しい女神の彫刻を思わせる一枚だったなと感じたり。






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Syd「Fin」
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The Internetのシンガー、Syd Tha Kydの記念すべきソロデビューアルバム『Fin』を御紹介。個性派揃いのOFWGKTAから男女デュオとしてデビューし、瞬く間にR&B愛好家にその魅力が伝染したのがThe Internet。これまでに発表した『Purple Naled Ladies』『Feel Good』『Ego Death』と軒並み高評価を得ていたThe Internetですが、ここにきてフロントマン(ウーマン)であるSyd Tha Kydが待望のソロデビューを果たしました。Syd Tha Kydが正式だと思うのですが、このソロ作ではSydとのみ名乗っている様です。
それでは簡素で質素な感想にはなりますが書きましょう・・・・・・まずはHitboyが制作を担当したメタリックな板金シンセが続々と折り重なりツヤツヤと輝く「Shake Em Off」でスタート、この板金加工な硬度高めのトラックにあって、Sydのコケティッシュな絹糸ばりに細くしなやかなヴォーカルが刺繍を施すのが歪で美しい。Nick Greenが制作の「Know」は昔のAaliyahを思い出さずにいられない(つまりTimblanadサウンドを思い出さずにいられない)刺刺とした通電チキチキビートが最高にクールで、Sydのシフォンみたく透けてひらひら揺らめくヴォーカルも幻想的でいて艶かしい。「No Complaints」はSydが制作を担当したアジアンな音色がはらはらと捲れるトラックに、Sydの曇ったエフェクトの施されたヴォーカルが陰気にも美しく溶けていきます。同じくSydが制作を担当した「Nothin To Somethin」は、乾いたキメ細かな白砂のようなSydのヴォーカルが、液体チックな潤い音色と潤いビートをゴクゴクと飲み干すようなポーションミッドで刺激的で美しい。夜霧のように冷たくしっとりと辺りを薄暗く支配する、ちょっぴりトラップっぽいトラックの「All About Me」はSteve Lacyが制作を担当しており、Sydの夜の帳みたいなヴォーカルがひっそりと忍び寄るのもミステリアスでクール。チタチタと叩くドラムスがまるで汗ばんだグラスの水滴みたいに滴る、Syd制作の「Smile More」も速度を落としてドロリとさせつつも、Sydの透明感のあるヴォーカルで深い水中へと沈む密閉感とシンクロしていてグッド。HazebangaとIsiah Salazarが共同制作した「Got Her Own」も、月も星も光っていない真っ暗な夜を踏みしめるようなトラックに、ふわふわと霧散して鼓膜を支配するミスト状のSydのヴォーカルが妖艶でいて不思議でツボ(中毒性)。「Drown In It」はAnthony KilhofferとJGrammが共同制作、ここでのSydのヴォーカルは、夏の真夜中に水を溜めた洗面台にそっと顔を沈めるような、そんな暗闇と清冽が混じり合うウェットチューン。本作中でも最も素晴らしいと感じたのが、Melo-Xが制作を担当した銀河系エロスロウジャム「Body」(極上)。いかにもMelo-Xらしい宵の明星を点々と繋ぐような芸術的静寂と、そこにあの華奢なSydのヴォーカルが柔らかな肉感としなやかさを生み出し、微熱を漏らしながら絡まる官能的な緩やかな曲線抑揚がたまらない(痙攣)。弾力もあり静かなる狂気も密かに感じるOdd Future印な「Dollar Bills」はFlipとSteve Lacyが共同制作(客演にはSteve Lacy参加)、こういう肉食なトラックでもSydのヴォーカルが響けば途端に生ハムサラダのようにあっさりと美味くなる。再びHazebangaが制作を担当した「Over」では新進気鋭の6lackが客演参加、黒瑪瑙ソリッドなビートが硬質な輝きをちらつかせ、客演の6lackと共にしとしと降る雨のようにビートを濡らし黒く染めてゆくのがウェットで美しい。最後を飾るのはRahkiが制作したアンティーク調でおしゃれなミッド「Insecurities」で、コーラスを重ねた光のミルフィーユチューンで中盤のギラギラした転調もグッドですし、こういう淡い明度のSydのヴォーカルは稀な気がするけれどさらりと木綿の白シャツみたくとても素敵。

The InternetでやっていたR&Bサウンドとは違う、Syd Tha Kydソロとしての世界観がきっちり提示されていて凄い。これまでのSydといえば朧げで幻影のようなヴォーカルだったのが、本作では輪郭も綺麗に生身となり、実態を伴い触れてきたような感触がしてより艶かしく美しい(個人的見解)。失礼を承知で毎度と触れてしまいますが、このヴォーカルとルックスの乖離さえなければもっと好きになれるのに、と。買うだけ買ってあまり聴いていなかったんですが、結構気に入ってしまってこれも夜にリピートが続いております。







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M.I.A.「AIM [Deluxe Edition]」
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自身のルーツ音楽をアップデート昇華し続ける才媛、M.I.A.の通算五作目となる『AIM』を御紹介。前作『Matangi』よりおよそ三年ぶりとなる本作、いまだに父親は見つかっていないのでしょうか(ちなみに“Matangi”とは彼女の本名であるMathangi Arulpragasamから)。M.I.A.といえば政治的、宗教的な内容から、最近では環境問題にも関心を示し活動するなど多岐に渡る才媛といった印象。噂によるとM.I.A.は本作を以って引退(音楽アルバムという形式では最後と宣ったそう)としているらしいですが、これほど強烈なアーティストが本当にそうならばなんとも残念で仕方ありません。
それでは前置きは終わらせて本題に行きましょう・・・・・・まずはトラックの制作に関しては、ほぼ全曲をM.I.A.自身が制作しているようですね。まずはM.I.A.のヨレヨレと立ち昇る抹香の煙のようなヴォーカルが妖しい「Borders」でスタート、まるで蛇でも呼び寄せ踊らせそうなスパイシーな音色も抜群の中毒性。ギコギコと砕くように鳴る弦音に、ボスボスと投下する爆弾ビートが聴き手にも風穴を開けて、その穴を通過させM.I.A.のエキゾチックなラップが共鳴する「Go Off」も面白い(制作にSkrillexとBlaqstarrが関与)。「Bird Song (Blaqstarr Remix)」はブピーブピーと草笛のような扁平なエフェクトが面白いウェスタンっぽくもある一曲で、熱っぽく乾いて静かに舞うM.I.A.の継ぎ接ぎラップがコラージュで面白い。これまたM.I.A.のラップとヴォーカルを切り貼りしてカラフル且つ大胆にばら撒いた「Jump In」も、機械的ながらもどこか民族的で原始的なエネルギーも沸々と感じる一曲。家族がパキスタン出身であるZayn Malikが客演参加した「Freedom」(Polow Da Donが制作に関与)はインディゴブルーのような染料シンセがなんとも鮮やかで美しく、M.I.A.の奔放に風をに絡み舞い上がるようなヴォーカルに、Zayn Malikの陽光のように眩くて清涼な歌フックも重なりまさにフリーダムなミッド。ジャマイカ出身シンガーのDexta Dapsが焦げ付くほどに熱いシャウトで聴かせるフックが印象的な「Foreign Friend」は、そんな熱っぽさとは裏腹に木陰のように揺れるサウンドとM.I.A.のヴォーカルが冷感部分を作っていてクール。なんともスパイシーな音色を焙煎しながらも、電子的な音色に変換させることで発色こそ派手なれど辛味の抑えたエキゾチックチューンに仕立てられている「Finally」も、ラフにゆるふわと踊るM.I.A.のヴォーカルが蜃気楼のように聴き手を幻惑します。「A.M.P. (All My People)」ではNicki Minajにも匹敵するベチンベチンと鞭打つような力強くしなやかなラップで、インド音楽をザクザクに裂いたようなエッヂーな感触で特攻します。続いてもインド音楽のような音色が充満するターメリックアッパー「Ali R U OK?」(BlaqstarrとRichard Xも制作関与)も、そういう民族音楽的なトラックをぶった切ってチョップして妙なコラージュ感を出し、M.I.A.の念仏のように唱えるヴォーカルが踊り薫るという異国情緒とエキセントリックさがグッド。垂直に振り下ろすようなM.I.A.のラップが鼓膜をゴンゴンと打つ「Visa」もエキゾチック、香辛料をドバドバと入れたようなスパイシーなアッパーで、ピリピリ来そうなビートの中でくねくねとラップして魅せるマハラジャ感。サイレン音と泡のように弾け飛ぶビートが四方八方に降り注ぎ、その中でリフレインを多用しもう言葉の氾濫で聴き手を飲み込む「Fly Pirate」も奇天烈でいて愛しやすい。M.I.A.なりのトロピカル風味という味わいで癖のあるスウィートさがたまらない「Survivor」(Justusが制作関与)は、まるで陽の光を照らし返す海原のような粒々の煌めきが美しく、そこにM.I.A.のまったりとリラックスして溶け出す甘美なヴォーカルが飴色で美しい。とここまでが本編の内容で、ここからは豪華盤のみの追加曲となります。まずは盟友であるDiploが新たに手を施した「Bird Song (Diplo Remix)」、いかにもDiploらしい雑多ながらもその中で鋭角を見出し独特な輝きを乱反射させるゴツゴツアッパー。Rihannaのお株を奪いそうな「The New International Sound (Pt. 2)」はSurkinが制作を担当、ダークでサイケなメロディをマーブルさせた黒光り先鋭的トラックに、濃厚スパイシーなM.I.A.のヴォーカルがねっとりと絡み回すのが中毒性抜群。剣と剣がキンキンとぶつかる音をメロディに取り入れた「Swords」、んぱんぱと呼吸を発してリズムに練り上げたような軟体アッパー「Talk」、海底に眠る金銀財宝のような濡れた煌めきを漂わせる「Platforms」と、どれもがM.I.A.にしか出来ないスパイス調合で美味。

相変わらずの香辛料たっぷりな刺激的エキゾチックポップの連発、聴き手の鼓膜にビリビリと振動する感覚がやはり病みつき。そろそろ暑くなってきて夏本番になりますし、これからサマーアンセムにしてしまってもいいかなと(昨年発売のアルバムなんですが)。冒頭でも書きましたがかなり個性的なキャラクターだしカッコイイので、是非ともどういう形であれ音楽も続けて欲しいです(願)。






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