RocBox 2

自分の持っているR&B、Rapアルバムを聴いての感想を偏見で綴る。音楽に関する知識はほぼ無し、雰囲気で語る。

09 2015
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プロフィール

Queen

Author:Queen
生年月日:1983年11月28日
星座:射手座
性別:男
血液型:A型
趣味:古典的推理小説読書
    黒音楽に浸る

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Raheem DeVaughn「Love Sex Passion」
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R&B界を代表する“愛の伝導師”、Raheem DeVaughnの通算五作目となる『Love Sex Passion』を御紹介。ムスリムであるRaheem DeVaughnの魅力はやはり、濃密な愛を紡ぐソウルと生音のトラックですね。本ブログではまだ『Love Behind The Melody』前作にあたる『A Place Called Love Land』しか紹介出来ていませんが、当然すべての作品を僕は持っている訳で、Raheem DeVaughn信者であります。
それではそそくさと拙い感想を書き上げますと・・・・・・まずはどろーりとスクリューを部分的に使って、濃厚でビターなダークモカチョコみたいな大人味のメロウに仕上げた「Black Ice Cream」で幕開け。The Colleagues制作のこの濃厚なトラック上で、ひらひらと翻るように仰け反るRaheem DeVaughnのヴォーカルで早くも昇天状態。続く「Pretty Lady」はなんとあのChucky Thompsonが制作を担当した糖度高めのファンクチューンで嬉しい驚き。Raheem DeVaughnのスウィートでキレのあるヴォーカルに、客演参加のTrombone Shortyのホーンがナッツのようなアクセントのある香ばしい食感を生んでいるのがなんとも美味。スベスベとしたストリングスや鍵盤音がエレガントに流れる「Queen」も再びChucky Thompsonが制作を担当、ハリのあるファルセットで細やかにシャウトするRaheem DeVaughnの唱法がたまらなくセクシーで、どこか女性的なたおやかなヴォーカルでグッド。落葉を散らす木枯らしのような、寂しげでセピア色に滲んだトラックが切ない「Nothing Without You」は、Raheem DeVaughnにZachariah McGant、そしてAaron Hardinが共同制作。Cartier BeatsとRaheem DeVaughnが共同制作した「When You Love Somebody」は、クラシカルなメロディがしんみりと心に沁みるブルージーな一曲。「All I Know (My Heart)」はThe Colleagues制作のジャジーな一曲で、月明かりに揺れる夜風のようにしっとりしたトラックに、衣擦れの音のような静かで繊細で艶やかなRaheem DeVaughnのヴォーカルが鼓膜にそっと寄り添います。同じくThe Colleagues制作の「Terms Of Endearment」は、アコースティックロックでこれもやはりPrince風味がほんのりあり、Raheem DeVaughnの優しく深みのある颯爽と吹き抜けるヴォーカルがとっても印象的(優美)。濃密に愛し合う二人の体温がちょっとずつ熱を帯びながら溶け合う、悶える恋人の艶かしい姿がスローモーションで脳内に焼きつくような極上スロウ「Miss Your Sex」はJ. Oliverが制作で、この輪郭が朧げで滲ませたような音色の明滅はたまらなくセクシー(昇天)。夜通しゆっくりじっくりと恋人が肌を絡ませるような、生温かでしっとりと優しいメロディーとヴォーカルに気絶しそうになる「Baby Come Back」は、Jarius MozeeとBrian "BJ The Cicago Kid" Sledge(!)が共同制作。この曲こそ一時の隆盛期を彷彿とさせる極上のネオソウル主義曲で、生音と艶美が緻密に息をピッタリ重ねた一曲です(感涙)。恋人とベッドの中で迎える朝の陽射しをメロディーに変えたなら、こんなに澄んで眩く鮮やかだろう、とそんな妄想をかき立てる「Never Never Land」はFederico Penaが制作を担当。そんな閃光をRaheem DeVaughnの絹糸のようなヴォーカルが遮り、美しい漏光を演出していてドリーミーなんです(溺愛)。どこか肉感に似た弾力のあるトラックの上で、悶絶するようなRaheem DeVaughnのファルセットが捩れてグラインドする「Temperture's Rising」はTravis Cherryが制作を担当。Patrick "Guitarboy" Hayesが制作の「Sun Proof Room (50 Shades)」は、柔らかな羽毛ベッドに、女性の柔肌を抱いてパフンと寝転がって戯れるような繊細スロウ。もう男の僕でも喘いでしまうトロトロな官能の世界に、吐息が漏れてしまうふくよかな曲線美がたまらない(昇天)。透け感のあるドレッシーなトラックがたまらなく綺麗な「Strip」は、Dre Kingが制作。キラキラと煌めいて舞うきめ細かなピアノ鍵盤音が美しく、PrinceばりにRaheem DeVaughnが高音シャウトして喘ぐのが刺激的かつ官能的でナイス。歌声をそのままハチミツ漬けにしたような、トローリと糸を引く甘美なヴォーカルが濃密で美味い「Countdown To Love」もDre Kingが制作を担当。Boney JamesとThe Illadelph Hornsが客演参加した「Feather Rock Lovin'」もDre King制作、しっとりとビターでラグジュアリーなミッドでグッド。最後を締め括る「Infiniti」はThe Colleagues制作の壮麗でクリアなミッドで、浄化作用に優れた純白向無垢な一曲で心地良いです(昇天)。

毎度のことながら素晴らしい、R&Bの良心は間違いなく此処にあります(聖地)。Raheem DeVaughnはネオソウルシンガーなどと括られたくないのでしょうが、彼の音楽はあの頃の輝きを絶やさない不滅のネオソウルだと僕は思います。最近はどれも似た様なR&Bで淫美ではあるけれどセクシーではない、大人スマートな礼儀あるセクシーがここにはありますね(意味不明)。








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Vince Staples「Summertime '06」
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Odd Future周辺でもパフォームしていた新星、Vince Staplesの記念すべきデビューアルバム『Summertime '06』を御紹介。彼についてはあまり知識が無くて調べてみたんですが、どうやらあのTalib Kweliが関与したレーベル“Blacksmith”がマネージメントに関わり、Def Jamとのメジャー契約まで獲得した逸材です。なので何もOdd Future周辺だけでなく、今を時めくTDEやMac Millerなんかとも交流のある彼、言わば若手界のホープの一角を担っている訳ですね。その彼がメジャーデビューとなる本作『Summertime '06』をリリースした訳ですが、蓋を開ければまさかの二枚組アルバムになっていてビックリ、どれだけ気合いが入っているかビリビリ感じますね。
とまあ長い前置きはもう止しましょうか・・・・・・まずはDisc 1から書いていきます、スタートは1&2どちらのディスクも「Ramona Park Legend」ですね。そしてヘドロみたいな電子音がドロドロと溢れ、そこに通電するような濁流ミッド「Lift Me Up」に流れ込みます。この曲はDJ Dahiが制作(Co制作にNo ID)したデジタルノイジーなトラックで、このユルくも刺激的なトラックにVince Staplesのネッチリと伸びるラップが中毒性高いです。続く「Norf Norf」はClams Casinoが制作を担当した、まるで真夜中の漆黒の海に響く海鳴りのような電子音がダークな色合いを滲ませ拡大してゆくミッドで、やはりノイズとビートをパチっと組み込んだ角張った一曲でクール。DJ Dahiが制作した「Birds & Bees」は、サンプリングにMMR ADM「5ive」を使用した一曲。光の届かない深海を漂うような重々しい、ヌメヌメとした爬虫類のように這うVince Staplesのラップに、夜光虫のようなDaleyのヴォーカルが妖艶でまたたまらないのです(痙攣)。コチコチと火花を散らして鳴る石造りなビート(厳密にはきっとクラップだろうけど)とドラムスの融合が、どこかネイティヴなノリも合わせ持つアフロビート主体の石膏チューン「Loca」も躍動感たっぷり。No IDが制作したこのトラックはやはりそのアフロビートとHip Hopのベタなエッセンスを混ぜた面白いトラックで、Vince Staplesの無機質に淡々と連射するラップと、脱力して囁くKilo Kishとの掛け合いもオールドスクールで良い。本作で最重要となるのが、No IDとDJ Dahiが制作した「Lemme Know」、客演にはJhene AikoとDJ Dahiが参加。竹細工のような乾いたビートにグルグルと渦巻くDJ Dahiのスパイシーな呪術フックが鼓膜を汚染します(快感)。神様を奉る儀式チックなエキゾチックなこのトラックに、一糸乱れぬVince StaplesとJhene Aikoのシンクロするラップにもう毒されてしまいます(酩酊)。ビートの持つ躍動感を出すために全てを削ぎ落とし、緻密に打ち込んだ最高にホットな熱帯チューンは凄まじくホット。Joey FattsとKilo Kishが客演参加した「Dopeman」はNo ID制作、空洞の金属筒の中に閉じ込められたようなサウンドは、やはりビートの共振が鼓膜を捕らえるクールな一曲。Czeslaw Niemen「Nie Jestes Moja」をサンプリング使用した「Jump Off The Road」もNo IDが制作を担当、客演にはSnoh Aalegraが参加。どこか隙間風が激しく吹き入るような、そんなつんざめく様な音色が枯渇し褪せた風味を出す一曲。Future「Covered N Money」のフックを丸ごと使った「Senorita」はChristian Richが制作、これはもうFutureのフックがやはり特濃で煙に巻かれてしまいます。Clams Casinoが制作した「Summertime」は、サンプリングにDarwin's Theory「I Hope You'll Be」を使用したメロウチューン。海の波の青と白が混濁したようなメロディーがノスタルジックでなんとも美しい、波が砂浜に書いた文字を飲み込み消し去るように、優しく溶けゆくVince Staplesのラップも柔らかく美しい甘美な一曲でグッド。
続いてはDisc 2に移ります、まずはNo ID制作の「3230」から。これは乾いたビートを基調にしつつ、電気が膨張して鮮烈な発光を繰り返すようなフラッシュメロディが鋭く鼓膜に刺さる一曲。活火山的なマグマビートを背に、夜通し神への祈りを捧げ踊り狂うようなビートが心地良いClams Casibo制作の「Surf」も、息継ぎ無しに発するVince Staplesのラップがクール。No IDが制作し、客演にHaneef Talibとeeeeeeeeが参加した「Might Be Wrong」はもはやKanye West超え確実なトラックで、ぐんにゃりと歪曲しながら聴き手の鼓膜を捩じ伏せる荘厳な一曲。No IDが制作した「Get Paid」は岩に埋もれた鉱物のような、ゴツゴツしたビートの割れ目から光るシンセが美しく尖った採掘チューン。これもオールドスクールなノリで、Desi Moなる女性MC(?)とフックを連呼し揺れるのが味噌。内臓破裂しそうなボムボムと殴打するような鈍痛ビートが耳にこびり付く「Street Punks」はNo IDも制作、こういうビートの強めのトラックだからこそドット柄みたく淡々と打つVince Staplesのラップがじわじわ効きます。デジタルチックな感電トラックで、聴き手の鼓膜がサーバーダウンしてしまいそうな「Hang N' Bang」もNo ID制作、客演に参加したA$ton Matthewsのネッチリ練ったラップも良い味出しています。No IDとDJ Dahiが共同制作した「C.N.B.」では、Add VocalにJames Fauntleroyが参加しており、ボコボコと煮沸するようなビートの溢れ方が毒々しい一曲。No IDとDJ Dahiが共同制作した「Like It Is」の持つ壮麗さがとても素晴らしく、暗澹とした下地のメロディにさまざまな楽器や音色が鮮やかな燐光をぼんやりと幾重にも放ち、そんな採光メロウでVince Staplesも朧げでふわふわしたラップを乗せるのが凄まじくドリーミーでツボ(溺)。そして最後はNo ID制作の「'06」が、デジタルノイズのようなビートを軸に進むも突如と砂嵐ザーザー音で終わるという驚き。

なんと言うべきか、避暑地を求めて悠々と歩く内に、原住民が住む原生林へと迷い込んだような、そんなメロウとアフリカンビートが共存した奔放なデジタルボヘミアンな一枚。本来僕は英語も分からないしアメリカの情勢も分からない訳で、だからこそリリックが肝であるラップ音楽の感想を書く立場にはありません(いや、R&BやSoulも同様なんですが、まだそちらはフィーリングでも書けたり)。だからこそ僕はラップに関してはフロウやサウンドでのみ語るしかなく、そうなるとサウンドの後ろ盾にNo I.D.を得た時点でもう虜になってしまうのです(単純)。しかしVince Staplesのポテンシャルが恐ろしい、これだけドープなビートをいとも簡単に乗りこなすんだから。






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Teedra Moses「Cognac & Conversation」
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Lil' JonやYing Yang Twinsが所属したTVT Rcordsから04年にデビューして高評価を受けた美形シンガー、Teedra Mosesの通算ニ作目となる『Cognac & Conversation』を御紹介。先述したデビュー盤『Complex Simplicity』は、Raphael SaadiqやLil Jonも関与した素晴らしい一枚だっただけに(あとその美貌も加点されて)、きっとすぐに二作目を出すだろうと思っていたんですが、やはりR&B業界は競争が厳しく潜伏期間を強いられたTeedra Moses。そんな中、突如とRick Ross率いるMaybach Musicと契約を発表。これで順風満帆だと思いきや、やはり作品リリースは出来ずにレーベルを離脱。結局は多くのベテランが流れ着く安住のレーベル“Shanachie”と契約、再起を懸けた復帰作となるのが本作であります(応援)。この前髪をアーチ状にパッツンしたジャケットを拝見する限り、まだまだ美人そうで嬉しい限りです(安堵)。
それではザックリと簡単な感想を述べますと・・・・・・まずは、柔らかな陽光の下で水浴びをするような、そんなピチャピチャしたサウンドが心地良く鼓膜に跳ね返る「R U Scared」でスタート、制作はCharles "Uncle Chucc" Hamilton(あの1500 or Nothinの彼らしい!)。90年代のBad Boy全盛期を思わせる酸味の効いた、ソウル回帰がたまらなくハートにキュンキュン響く「All I Ever Wanted」はThaddeus Dixonが制作を担当。こういうソウルフルで華やか絢爛なトラックはゴージャスなTeedra Mosesにはお似合い、Rick Rossが客演参加で重厚でラグジュアリなラップを添えているのもグッド。「International Playboi」はTrackademicksが制作を担当で、なんだかEstelleなんかが乗っかりそうな、柔らかな曲線シンセで宇宙遊泳するようなフローラルサイバーな一曲。ちょっぴりJazzyな趣のある濃厚ビターな「Get It Right」はNate "Locksmith" Stallworthが制作を担当していて、じんわりと水分を吸収するような、ディープモイストでネオソウル趣味の強いミッドでどっぷり。再びThaddeus Dixonが制作で、客演にもRick Rossを招いた「Cognac & Conversation」はアルコール度数高めの酩酊メロウで、ゆらゆらと妖しく揺れるTeedra Mosesの艶美なヴォーカルがひらひらと揺らめく流麗さが素敵。鼓膜が蒸し上がってしまいそうなほど、甘い熱気が立ち込めるスチームスロウ「Only U」はDonald "Donnie Cash" Whittemoreが制作を担当。儚くぼやけて消えてゆくTeedra Mosesのヴォーカルが繊細でジワジワと乾いた鼓膜に染み入るし、客演の女性MCの3D Na'teeのクールで尖ったラップが空を切って途端に視界が明瞭に。「Beautiful Chaos」はDonald "Donnie Cash" Whittemoreが再び制作で、水面をパシンと打つような飛沫ビートに、そんな水飛沫の中を悠々と泳ぐ人魚のような、なだらかに変調するヴォーカルがまるで清流のようで美しいんです(溜息)。勢いよく飛び込んだ水中で聴くボコボコとした空気の音のような、バブルビートが躍動感を際立たせる「Skin Diver」はBoddhi Satvaが制作を担当。徐々にビートを強めながら加速していくこのトラックはEDM寸前ながら、Teedra Mosesのヒアルロン酸たっぷりのヴォーカルで、ギリギリR&Bの持つ生身の官能性を保っているのです(絶妙)。本作で最重要曲と言えるのは絶対に「That One」、なんせあのRoosevelt "B!nk" Harrell IIIが制作を担当し、Anthony Hamiltonが客演をしているのですから(失禁)。雨上がりに覗く晴れ間のような、潤いと輝きが混じった甘美なソウルチューンに、しとやかで悩ましいTeedra Mosesの歌声と抹茶みたいな渋味と甘味のあるAnthony Hamiltonの歌声が溶け合います(恍惚)。Teedra Moses制作の「Sound Off」のフェルト生地みたいなキュートなタッチの鍵盤音とドラムスから、ドラムスだけ地繋ぎにして流れ込む「Yesterday Ain't Tomorrow」はまたもやB!nkが制作を担当しています(発狂)。Hip Hop曲も多く手掛けるB!nkらしい硬質なドラムパターンに、ベルベットのように重厚な輝きと艶やかな毛羽立ちのメロディ&ヴォーカルが滑るエレガントなミッド(賞賛)。最後はDwayne "DW" Wrightが制作をしたアコースティックなブルージースロウ「No Regrets」で、ゆっくりと動く天体のようなヴォーカルが美しいです。

あのデビュー作で聴かせてくれていた、月光のように静かで繊細でヒンヤリとしたヴォーカルは健在ですね(興奮)。より年齢を重ねて円熟味を増したTeedra Mosesなので、よりその魅力は倍増しております。お蔵入りするかと思った、元ボスRick Rossとの共演曲もキッチリ収録されているから、円満離脱だったのでしょう。しかし、余談を話すならば是非ともMaybach Music配給の作品も聴いてみたかった、Rick Rossが不要ですがあの壮麗なソウルサウンドがあればもっと面白かったかもと思ってしまいます(惜)。でもとても良かったので、聴いていない方は是非とも。




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Prince Royce「Double Vision」
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New YorkはBronx生まれのラテン系SSW、Prince Royceの通算四作目となる『Double Vision』を御紹介。僕は彼をよく知らないのですが、これまでラテン界で人気のダンス・ミュージック“バチャータ”なるものの貴公子として、そのイケメンぶりと共に人気を獲得していた人物らしいですよ。ラテン系のシンガーと言えば、僕的にはEnrique IglesiasやRicky Martin、そして女王様であるJennifer Lopez、ラッパーならばFat JoeやN.O.R.E.なんかもレゲトンアルバムを作ったりしてましたっけ。僕としては、初のPrince RoyceはJessica Sanchezのデビュー盤での共演曲がそうで、最近また大人気映画『ワイルドシリーズ』の最新作のサントラ盤の収録曲で彼を聴いたぐらいです。でもその収録曲「My Angel」も素敵だったので、本作も購入してみた次第であります。
それでは本作を聴いての感想を性懲りも無く書きますと・・・・・・まずはあのSnoop Doggを客演に迎えた、Jason Evigan制作の「Stuck On A Feeling」で幕開け。ビリビリと低周波の電流みたく震わすトラックとポコスカと抜けるビート、そこにPrince Royceのクールでエッヂーなヴォーカルがスーッと滑るのがナイス。Snoop Doggの柔らかなラップもやはりナイスアクセントで、とにかく何でも合うのがSnoop Doggという印象。Jason Eviganが制作(Co制作にKirkpatrick)の「Handcuffs」は、泥酔しそうな電子音のグラグラした曲線メロディがカラフルなジュレみたいな美しさを描き、その中をPrince Royceの甘酸っぱい歌声が遊泳する感じ。Ilyaが制作を担当した「Back It Up」では、とJennifer LopezとPitbullというラテン最強軍団が実現。水飛沫を上げながら陽光に灼かれるような、そんな眩い明るさが鼓膜に鮮やかなサンタンアッパーでグッド。「Lucky One」は久々に登場のToby Gadが制作を担当したアコースティックナンバー、淀みのないギターの弦律がさらさらと流れて清らかですし、Prince Royceの繊細で甘いファルセットもとっても透明度が高くて、純水のように鼓膜に沁み込みます(潤)。Jason Eviganがまたもや制作を担当した「Double Vision」では、Tygaが客演で参加。最近よく耳にするアラビアンテイストなブヒブヒ鳴る音色に、スパイシーに甲高く跳ね上がるPrince RoyceのヴォーカルとTygaのねちっこいラップが面白い。本作でもラテン色が濃厚なミッド「Lie To Me」はThe Cataracsが制作を担当、ザクザクとしたギターリフに乗せてPrince Royceの歌声が刺激的。ShonuFFが制作を担当した「Dangerous」は、良い意味でも悪い意味でも無味無臭なKid Inkが客演参加。これはトラックが秀逸で、ゆらゆらと水中へと沈んでゆくようなブクブクとしたシンセの響きが心地良くて、シャープなエフェクトの施されたPrince Royceのヴォーカルも綺麗。Rune Westbergが制作を担当した「Extraordinary」もアコースティックギターを爪弾くスロウで、ここでのファルセットを効かせたフックはガラス工芸を思わせる繊細さと美しさで心に沁みます。「Sael It With A Kiss」はRedOneとT.I. Jakkeが共同制作したレゲエ風なアッパーで、思わず腰が浮いてしまうような熱帯曲でホットスパイシー。Philip "Hardwork" Constableが制作した「There For You」はスパニッシュギターのように刺々しくエッヂーな弦音がクールで、少し憂いを帯びたヴォーカルがセクシーでジワジワと鼓膜を焦がします。ひらひらと降るピアノ鍵盤の音色が切ない「Paris On A Sunny Day」はRob Knox(久々!)が制作を担当で、Prince Royceの歌声は線が細くて甘味が強いので、こういうバラードの方が似合っていて泣けてきます(浸透)。最後はSteve & Alexが制作を担当した「Chemical」(Vocal Prod.には@Oakwudが関与)、これも透明度の高い南国の青い海を想起させるアクアシンセが弾ける一曲で、最後の最後まで鮮やかな楽曲は続きます。

絶対に買って聴かなきゃ、という事は無いけれど歌は普通に上手い。あとは個性をどこまで出していけるかが鍵で、そういう意味ではいろんな楽曲に客演参加とかもしないとキツイかも。今回は客演陣もけっこう無難な人ばかりでしたし、ベッタベタな一枚になってしまっているのは確か。まあ、Jason Derulo好きならば素直に楽しめること間違い無しです。






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Dornik「Dornik」
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今や一大レーベルに成長したPMR Recordsからの新たな刺客、Dornikの記念すべきデビューアルバム『Dornik』を御紹介。Dornikは英国はLondon出身のシンガー兼プロデューサー、なんて事はつゆ知らずにジャケットを見て購入した僕であります。DisclosureやJessie Ware、Sam Smithなどを輩出したレーベルという事で、ここ日本でもかなり話題になっているみたいですが、僕は先述したアーティストのアルバムを一つも聴いていないので、全くのノーマークで御座いました。この立派なアフロヘアに、俳優のDon Cheadleに似た風貌から、どんなファンキーなシンガーなんだろうと胸を膨らませた次第であります。
という訳で何も知らなかったくせに偉そうに感想を・・・・・・まずは全曲の制作をDornik自身が担当していますね、ただ数曲は他のProducerが制作しているので、まずはDornikの制作曲から触れてゆきます。まずは、キラキラと光を反射して輝く水面みたいに潤いを湛えた、シャイニーなアッパー「Strong」でスタート。トラックの光に溶け込んで、独特の疾走感の光速仕様にスッキリと射し込むDornikのヴォーカルがこれまた清廉。ちょっぴりフィリーソウルっぽい夢想メロディーが、まるで霞のかかった桃源郷のような世界観へと誘う「Blush」。メロディーもどこか朧げでフワフワしたものながら、Michael Jackson的にファルセット使ってコソコソ囁くようなヴォーカルが、スチームのようにムワッと湿り気を鼓膜に伝えます。これはもう完全にMichael Jacksonの名曲「Human Nature」の延長線上にあるのでは、と勘繰ってしまうメルヘンドリーミーなトラックが濃密に甘い「Shadow」は素晴らしい。ここでもやはりきめ細かなスチームのようなDornikのヴォーカルが、電子音を程よくボカしていてナイスです(湿度良好)。ユラユラと水中に沈んでゆくような線の細い音色が儚げで、少し震わすようなMichael Jackson似のDornikのヴォーカルが、一緒に鼓膜へと静かに沈んで染み込むモイストスロウ「Second Thoughts」も、じわじわと鼓膜に水が入り込むような不思議なくすぐったいソウル。「Mountain」なんかはまるで、Michael Jacksonの後期の名曲「Butterfly」のような感触。植物が大地から水を吸収するように、音色を吸い込んで潤いとマイナスイオンを吐き出すDornikのヴォーカルが艶やかな、ボタニカルソウルでたまらなく素敵。「Something About You」の宇宙トリップするような電子音使いもファンタスティックで、Dornikのヴォーカルも最軽量だからまるで無重力とリンクしてナイスなマッチング。アルミニウムのように軽薄な金属の音色を鳴らすビートに、どこかオリエンタルで開放的な空気感を感じる奔放ネオソウル「Drive」なんかは、The NeptunesがJustin Timberlakeに提供しそうなクールネスな一曲で、Dornikの優しくて透けた甘酸っぱい裏声ヴォーカルもすごく好きです。ウネウネと動く電子鍵盤音の曲線に乗せてスウィングする、ディスコブギーなナンバー「On My Mind」もDornikもヴォーカルが澄んでいて淡いから流行のものとは一線を画しますね。とここまでがDornik制作曲で、以下はDornikはCo制作で関与しているようですね。ZappかRick James的なビヨビヨしたカラフル電子サウンドを、砂糖とミルクに溶かしたようなスイートメロウ「Stand In Your Line」は@Popwanselが制作を担当。サンプリングにThe Mary Jane Girl「All Night Long」とRock Master Scott and The Dynamic Three「The Roof Is On Fire」を使用したトラックの甘さもさることながら、フックも超音波のようにリフレインを基調にしたもので、中毒性がやたらに急上昇。猿っぽくウホウホ鳴るビートがアクセントになった「Chain Smoke」も@Popwanselが制作を担当、サンプリングにCold Crush Brothers「live in Connecticut」を使用したトラックは、そんなビートとは裏腹にフローラルで柔らかなミッドでマッタリですね。

甘い、確かに甘いし淡いんだけど、どこかまだ未熟な果実のように甘酸っぱい後味もある一枚。青リンゴみたいなDornikのヴォーカルはまだ酸味がほんのりあって、これを旨味と思えるかどうかが鍵かもしれませんね(邪推)。彼方此方で書かれていますが、これはもう完璧にMichael Jacksonのフォロワーと考えていいですね、途中で触れましたがMichael Jacksonの「Human Nature」を拡張したような一枚かと思います。次回作も是非とも聴いてみたいですね、ジャケットもナイスですしお気に入りです。




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Method Man「The Meth Lab」
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Wu-Tang Clanの中でも随一の人気を誇るであろう、Method Manの通算五作目となる『The Meth Lab』を御紹介。映画『ドラゴン・カンフー/龍虎八拳』の米題である『Method Man』が、そのMC名の由来だとか言われるMethod Man。熱心なHip Hopリスナーは抜きとするならば、Wu-Tang Clanの中での知名度はきっとナンバーワンではないでしょうか(推測)。それこそ、Redmanと組んでのアルバムやコメディ映画も有名で、俳優としても結構な作品に出演しています。そんなMethod Manが前作よりおよそ9年ぶりとなる新作を発表、これは90年代を生きた三十路の僕としては嬉しい限り。
それでは内容がどんなものなのかについて・・・・・・まずはCee The Architekが制作した「The Meth Lab」で幕開け、客演にはHanz OnとStreetlifeが参加。泥水が排水溝へと流れてゆくような、ドロっとしたメロディーの落下が恐ろしいトラックに、三者の巧みで斬れ味鋭いラップが交錯します。ドツドツと杭をぶっ刺すようなハードなビートパターンが敷かれた、ドット柄のオールドスクールなアッパー「Straight Gutta」はあの鉄腕Ron Browzが制作という事で安心の鋼鉄強度な仕上がり。客演にはHanz OnとStreetlifeに加え盟友のRedmanが参加(MethとRedmanだけで良かった)、ラップを弾丸に変えて発砲しまくるマイクリレーで聴き手は蜂の巣状態です。Hanz OnにStreetlife、Eazy Get Riteが客演参加した「Bang Zoom」はLevel 13が制作、冷気に近いメロディーが鼓膜をフリーズドライにしてしまうし、白目を剥くようなホラーチックなフックは中々ナイス。ソウル曲を部分的にチョップして繋げたようなライトなメロウ「50 Shots」は、Pascal ZumaqueとDon't Panic Ent.共同制作。Streetlifeと共に起用されたのが、俳優兼シンガー兼ラッパーのMack Wilds、そしてLil Wayneの下で鍛えられたCory Gunzとフレッシュな若手を起用したのが素敵な一曲。ようやくMethod Man単独曲となる「2 Minutes Of Your Time」は盟友Allah Mathematicsが制作を担当、ゆっくりと焚いた煙が立ち昇るようなスモーキーなトラックに、Method Manの焦げ臭いラップが苦味を喰らわせます。再びPascal ZumaqueとDon't Panic Ent.共同制作の「Worldwide」では、客演にHanz OnとChedda Bangに加え、N.Y.の注目株と言われ続けた(消失寸前)Uncle Murdaが参加。東海岸のあの当時を思わせるザラザラと粗くてやつれた殺伐チューンに、これまた擦れっ枯らしな面々のマイクリレーがナイス。Pascal ZumaqueとCode Redが共同制作の「Soundcheck」は、ハードなギターリフをバリバリと唸らせるロックカットな一曲。Chedda Bangを客演に迎えた「Water」もPascal ZumaqueとCode Redが共同制作、ガラス片のようなシャリシャリした音色が降りかかるシリアスな一曲。RaekwonとInspectah DeckのWu-Tang Clan一軍メンバーが参加した「The Purple Tape」はJ57が制作を担当、ドムドムと鳴るビートの応酬と声ネタとピアノ旋律をループした一曲で、この素朴で棘立った感触こそWu-TangのDNAを感じさせます。Masta Killaが客演に名を連ねた「Intelligent Meth」、Killa Sinが客演に名を連ねた「Symphony」と続くも、どれも殺傷力は低くて聴き手は無傷のまま(悲)。ハードなドラムパターンにこそ少し耳は奪われる、4th Disciple制作の「Another Winter」もやはりパワー不足でトラックの勢いが削がれて押し切れない。悪魔のように黒く彷徨うピアノ鍵盤の音色が歪な「Rain All Day」はDaez制作、無機質で信号的に鳴らす電子音がチープでクールな「So Staten」はZarko KrsticとPascal Zumaqueが共同制作。

悲しいぐらいに物足らない一枚、あまりにMethod Manの出番が少な過ぎます(不平不満)。あまりにも客演が多過ぎる、確かにStreetlifeやHanz OnなんかはWu-Tang一派だからしょうがないとしても、これならばMethod Man名義にせず新たにユニットを結成するべきだったんです(Ghostface Killah率いるTheodore Unitみたく)。これをMethod Man名義の作品にしたMethod Manの判断が虚しい、EPで各曲が3分弱でも良かったから独力でやって欲しかった(悔涙)。とまあ文句タラタラ書きましたが、揃った面々も上手いしコンピレーションと思って聴けば全く問題はありません(笑)。




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The Internet「Ego Death」
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Syd the KydとMatt Martiansから成る、OFWGKTAにも所属するバンド、The Internetの通算三作目となる『Ego Death』を御紹介。二人で構成されたデュオという認識でしたが、今作では加えて四人のミュージシャンが写っていて驚き。彼らもOFの面々なのでしょうが、僕は彼らが誰なのか素人なので知りません(無知)。ちなみに彼らのバンド名である“The Internet”は、二人がMySpaceを通じてインターネット経由で知り合った事に由来しているのだそう。しかし、新人で登場した時からかなり話題にはなっていましたが、早くも三作品をリリースしているんだから精力的ですよね。
それではサクサクと感想に移っていきますね・・・・・・まずはSteve LacyとMatthew Martinが共同制作した「Get Away」で幕開け、とにかくThe Internetらしい水槽の中に浮き草や熱帯魚と一緒に音色を泳がせたような、閉じこもった潤いが揺らめくトラックで、Syd the Kidのカラーセロハンみたいなヴォーカルが物憂げ。これまたSteve LacyとMatthew Martinが共同制作した「Gabby」では、なんとJanelle Monaeが客演で参加。黒く渦巻くようなベースの音色に、ボツボツとモノクロ調のメロディが滲むインキを零したようなソウル曲。「Under Control」はThe Internetが制作を担当、ポロポロと爪弾く弦のまろやかな音色と電子鍵盤のチクチクとした音色が心地良く、ふわふわとしたコットンのようなSyd the Kidのヴォーカルもナイス。Sydney BennettにMatthew Martin、Christopher Allan Smith、Cisco Adlerが共同制作した「Go With」では、いま僕が最も気になるVic Mensaが客演に参加。ブルブル身震いするようなベース弦のグルーヴに乗せ、冒頭からVic Mensaの痩せた狼のような刺々しいラップでスタートし、そのスリリングで鋭利なグルーヴを研ぎ澄ますSyd the Kidのヴォーカル。Steve LacyとChristopher Allan Smithが共同制作の「Just Sayin」は、どこかHip Hop要素の強いビートありきのトラックで少し硬度アリ。このトラックに地繋ぎでDaniel "Bambaata" MarleyとChristopher Allan Smithが共同制作の「I Tried」が入り、これはどこかメランコリックでトロピカルな糖度高めのミッドチューンになっていてマッタリ和みます。Matthew MartinとJameel Bruner、Patrick Paige II、Christopher Allan Smithが共同制作した「For The World」は、客演にJames Fauntleroyが参加。これもSyd the Kidのヴォーカルが水面に立つ波紋のようにユラユラしているのを除けば、けっこう生粋のネオソウル曲で、深層水のように澄んだトラックと、Syd the Kidのヴォーカルに後ろから重なるJames Fauntleroyの囁く歌声がミステリアスでグッド。Kaytranada(は客演でも参加)とJameel Brunerが共同制作した「Girl」は、ほんのり暗くてヌメっとしたシンセが蠢く、深海魚のようなメロウ。Steve LacyとMatthew Martinが共同制作した「Special Affair」も、水底からゆっくりと水面へ上がってゆく気泡のような弦音が不可思議。またまたSteve LacyとMatthew Martinが共同制作の「Something's Missing」は薄紅色のメロディが淡くて儚いし、あのBrian Kennedy(!)が制作した「Partners In Crime Part Three」は乾いたビートが突き刺さるハードなネオソウルでやはり良い。The HighlightsとSteve LacyとMatthew Martinが共同制作した「Penthouse Cloud」は哀愁たっぷりでまるでフランス映画のような静寂、Tyler, The Creatorが客演参加し彼の低音ラップとの相性が抜群な「Palace」は蹴躓くようなキックビートがクールだし、Steve Lacyが制作&客演したブルージーロックな「Curse」なんかはThe Neptunesっぽい気配を感じて気怠いサイバー感がナイス。

元よりThe Internetはソウルバンドだという認識ではいるのですが、本作ではそれがより強固なものになっていて、恐ろしく正統派で聴き易い一枚に進化しています。最近はR&B界もこういう囁くような淡いシンガーが多かったりするのですが、そんな中でもがっつりとバンドな形態が功を奏し、他とは確実に一線を画していますね。これは本当に僕の偏見ではあるのですが、Syd the Kidは歌声的にはJhene Aikoと大差ない訳で、これでSyd the Kidが少年少女なルックスでなかったら、もっと売れるのかなーとか思ったり(失礼)。




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Tyler, The Creator「Cherry Bomb」
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その奇行っぷりとそれに負けない才能で若者を魅了する鬼才、Tyler, The Creatorの通算四作目となる『Cherry Bomb』を御紹介。今となっては最強とも言える新進気鋭の音楽集団となったOFWGKTA(言わずもがな“Odd Future Wolf Gang Kill Them All”の略)、その統帥とされるのがこのTyler, The Creatorで御座います。この軍団をメジャー契約させてイニシアティブは自身が執り、他方ではアパレルブランドを立ち上げて人気を博すなど、とにかくそのビジネス手腕も凄いところがあるTyler, The Creator。あの傍若無人っぷりも、絶対にすべて冷静に計算され尽くしたものなのです。本作はアートワークが確か四種類用意されていた訳ですが、僕の近くのCD屋には当時並んでおらず、アトランダム覚悟で泣く泣くAmazonで頼んだら、最も欲しくない上掲のジャケットが届きました(茫然)。
気を取り直して、肝心は中身ですから・・・・・・本作は全曲の制作をTyler, The Creator(以降はTylerと省略表記)が担当、毎度のことながら本当に多才な男です(汗)。まずはTylerのThe Nptunes愛が爆発してしまっている(N.E.R.D.経由で)ギザギザとノコギリ様なロックカット「Deathcamp」で激しく幕開け、サンプリングにはDee Edwards「Why Can't There Be Love」を使用とのこと。それこそBlack LipsからCole Alexanderを招聘してのエレキチューンでTylerが暴れ倒す訳ですが、途中でカチャカチャした金属音を叩かせたり、スペイシーな冷たい電子音を漂わせたりとアプローチは全盛期のThe Neptunesそのもの。Bunny Sigler「Shake Your Booty」をサンプリングした「Buffalo」はTylerの早くも真骨頂、Tylerのゴブリンの様に悪戯っぽく怪物じみたラップに、あばら骨のようにスカスカでいてゴツく歪曲したビートが突き刺さるのが痛快。研磨途中のようにザラザラとしたヴォーカルエフェクトのかかったラップと、モーター音のように低く響く音色が奇怪な「Pilot」も、Syd Bennettのシロップのような甘ったるい歌声が入る事で糖質控えめな仕上がりに。Chuz BundickとSchoolboy Qが客演参加した「Run」は、ヘリウムガスを吸って効果が切れるまでにラップを吐き出すような疾走曲。ヴォーカルにSyd BennettやKali Uchis、Samantha Nelson、Tiffany Palmer、Onitsha Shawらが揃い、「Find Your Wings」は完璧なJazz曲と言えてヴォーカルも入るけれどまるでインスト。それもその筈、VibraphoneにはあのRoy Ayersを引っ張り出しているんだから、Tylerの人脈たるや驚き。表題曲となる「Cherry Bomb」もバリバリと稲妻のような電子音と、蜜飴みたいなメルティな電子音も混ざる事で不思議な感触。もはや叫びに近いTylerのラップは飛散しているのに近く、こっちが聴き零さないようにするのがやっと。その直後には、Boyz II MenからWanya Morrisを客演に迎えた「Blow My Load」を繰り出すという多趣味。Wanyaのヴォーカルが美しい蝶ならば、Tylerのラップはそれを絡めて蝕む蜘蛛の巣みたいなもので、どこか甘味を捕食するような侵食性がたまらない。これに輪をかけてDameーFunkのシンセ使いが炸裂しているのも面白く、よりドリーミーで毒々しい空気を醸し出してるし、最後のラジオ風のジングルもいいですね。ストリングスがなんだか生々しく纏わりつく濃密なメロウ「2seater」、トラックには甘さもあるけれどそれは上澄みで、Tylerの沈殿物のように重たくたゆたうラップがジワジワ効いてきます(浸食)。トクトクと炭酸飲料を注ぎ込むような音色が弾ける「The Brown Stains Of Darkeese Latifah Part 6-12 (Remix)」は、よほどSchoolboy Qが好きとみえて再び彼が参加。グニャグニャとアメーバ状に広がるスライムチックなトラックを、二人のラップと固形のビートが叩く事で飛び散っています。本作からの先行カットとなったのが、The NeptunesとOutKast(というかAndre 3000)を足して割った様な甘酸っぱいメロウ「Fucking Young / Perfect」、ヘリウムガスを吸い込んだような変声エフェクトと軽々しい浮遊感が愉しいし、柑橘系のヴォーカルをスプラッシュさせるCharlie Wilsonがナイスアクセントになっています(隠味)。雲海のようにボンヤリ広がる霞スロウ「Smuckers」は、客演にKanye West とLil Wayneと援軍には申し分ない二人が参加。Kanyeの歌うようなフックも面白いけど、特に後半でのLil Wayneとのレロレロ舐め合うような戯れが面白いトロトロあんかけ曲。どれもこれも早回し状態で混乱するのが「Keep Da O's」は、せっかくPharrell WilliamsとCoco O.が参加したからオリジナルで聴きたかった(悔)。Leon WareがAdd Vocalに参加することで、咽ぶような甘さが溢れ滴る「Okaga, CA」もまるで夢魔みたい。最後はなんだかブルージーな「Yellow」で幕切れ、振り幅はいつでもMAXです。

うーん、すっごい面白い音と発狂の洪水ではあるのですが、僕的にはTyler, The Creatorのヴォーカルが弱いのが痛い。弱いというのはヴォーカルエフェクトが強過ぎたり、やたらヴォーカルが奥に引っ込み過ぎていて聴き辛いという意味でして。サウンドの一部として考えてのこのアプローチなのかもしれませんが、単純に低音でえぐるようなTyler, The Creatorのヴォーカルのファンである僕としては、ちょっと惜しい気になってしまうのです。面白いと思った曲を詰め込みまくった暴君ぶりは流石で、それでいてセンチメンタルな部分も垣間見れたりと、やっぱり面白いなーと唸らせてしまうTyler, The Creatorは唯一無二ですね(負)。あら、でもこれ書くのに聴き込むとやたら面白くなってきたな。




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Jill Scott「Woman」
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フィリーソウルを代表するグラマラスな人気シンガー、Jill Scottの通算五作目となる『Woman』を御紹介。もはやベテランとなったJill Scott、体格に負けない貫禄を放っておりますね。Jay Z主導のコンサート“Made In America”を追ったドキュメンタリー映画『Made In America』(いつかこのブログで書きたい)でも、出演者同士であるTyler, the CreatorがJill Scottを探し回って控え室ら辺をうろついていたりして、やはりJill Scottの人気の凄さを垣間見たと言いますか。前作『The Light Of The Sun』からおよそ四年ぶりとなる本作、ハッキリ言ってジャケットは前作の方が圧勝です。
まあジャケットはいいとしましょう・・・・・・まずはあのWarryn Campbellが制作した弦音のグルーヴに合わせて、Jill Scottがスポークンワードを紡ぐ「Wild Cookie」で幕開け。ゆっくりじっくりと色彩が移ろう、空模様にも似た艶やかソウルミッド「Prepared」はAndre Harrisが制作を担当、まるで蜜のようにボタボタと滴る音色が甘ったるくて美しい。Jill Scottの迫力あるダイナマイトボディとヴォーカルで鼓膜に直撃突進する「Run Run Run」、制作はAaron PearceとHalord Lilly、Elvis Williamsが共同で担当。石炭燃やして轟々と歌うようなJill Scottの火花散るヴォーカルと、ゴーゴーなサウンドが炸裂するブンブンなアッパー。レトロでまろやかな曲線が温かなメロディーを描く「Can't Wait」はAndre "Dre" Harrisが担当、どこまでも煌びやかで高貴な麗しきミッドは、上質に焙煎されたソウルで、香ばしくも甘味があって味わい深いんです。「Lighthouse」はAndrew "Pop" WanselとJameel "JProof" Robertsが共同制作し、サンプリングにはSBTRKT「Ready Set Loop」を使用したトリッキーな一曲。まるで光の玉がポトポトと天空から堕ちてくるような、そんな不思議なメルヘン世界を呈した、丸みを帯びた発光ソウルミッドで面白さは抜群。Jillの芳醇で深みのあるヴォーカルがきめ細やかな輝きを蹴散らす「Fool's Gold」、制作はまたもやAndre "Dre" Harris(Co制作をDonovan Knight)が担当。サンプリングにCarlos Yutaka Del Rosario「Evening Star」を使用した、アルコール度数の高いメロディがとろける、艶かしい金箔ソウルでグッド。「Closure」はあのDavid BannerとAndre "Dre" Harrisが手を組んで制作したナンバー(驚愕)、これはもう最高にパワフル。Curtis Mayfield「Get Down」をサンプリングした、いかにもDavid Bannerらしい火薬の効いたメロディに、まるでサーカスの象のように鳴くホーンとキュートなファンクが小気味良い(鳥肌)。Jill Scottのディープでパワフルなヴォーカルを堪能できる「You Don't Know」、泣きの拳が効いたJill Scottの切実な歌声も、星空のようにキラキラと澄み渡ったメロディが優しく包み込んでくれます。浮き足立った柔らかビートと羽毛のような電子音が舞い上がる極上ドリーミーな「Cruisin」、まるで綿飴のようなほんのりした甘味と耳融けのこのトラックはAndrew "Pop" WanselとAutoro "Toro" Whitfeldが共同制作。雨が空っぽのバケツを打つような虚ろなビートがじっとりと響き渡る「Say Thank You」も、Andre "Dre" Harrisが制作を担当したブルージーなヨレヨレソウル(哀愁)。天空を思わせるような、壮大で後光の射すサザンソウル曲「Back Together」も、Jill Scottのふくよかで優しい歌声にどっぷり浸かれて心地良い。ホーンを発破させてド派手にぶち込む「Coming To You」は、Aaron Pearceが制作を担当したスカッシュ曲。コケティッシュなヴォーカルが優しくまろやかに零れる「Jahraymecofasola」、制作はAndre Harrisが担当。ゆっくりと朝露を溶かすように朝陽が昇るような、そんな微睡が美しいスロウでナイス。最後を飾る「Beautiful Love」は、まさかの9th Wonderが制作を担当し、これまたまさかのBJ The Chicago Kidが客演参加したナンバー(卒倒)。いかにも9th Wonder趣味なセピア色のキャラメルミッドで、Jill Scottのミルキーな歌声に、BJ The Chicago Kidのビターな歌声が混ざり合って、最高のキャラメリゼが出来上がっています(堪能)。

本作はすこぶる良い、前作よりも良い。と感じたのですが、これを聴きながら前作を聴き返すと、やはり前作も良いんですよ(笑)。でも年間Top10にはJill Scottは入らない、これは単純に僕の歌声の好みが関係していますね。でも今年は流石にランクインするかもしれません、そう思わせる程に気に入って聴いています。




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Joss Stone「Water For Your Soul」
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英国が生んだ生粋のソウルシンガー、Joss Stoneの通算七作目(カバーアルバムを含む)となる『Water For Your Soul』を御紹介。前作がそれこそカバーアルバムだった訳で、そういう意味では前々作『LP1』からおよそ4年ぶりとなるオリジナルアルバムが本作。Martin Scorsese監督の映画『Tommorow』にも女優として出演するなど、その美貌も最大の魅力となっているJoss Stone。前情報では“Hip Hopを軸にした新作になる”とか、“ジャンルにとらわれない新作になっている”などと流れていましたが、ジャケットのみで言えば、美しいJoss Stoneが写らない過去最低の仕上がりで残念です(辛口)。
という訳で早速と中身について言及しますと・・・・・・本作の全曲の制作はJoss Stone本人、Jonathan Shorten、Steve Greewellが行っている様ですね。まずは、ソングライトにDamian Marleyが関与したガッツリとレゲエ調な「Love Me」で幕開け。ゆったりと流れる波間のようなメロディの満ち引きに、Joss Stoneの朗らかで微睡んだソウルフルなヴォーカルが揺れる一曲。重厚な弦音と乾いたパーカッションがパスパスと響く渋いミッド「This Ain't Love」も、レゲエな風味を聴かせつつもソウル曲のエッセンスも併せ持った一曲。本作かたのリードシングルとなったのが、水中にブクブクと沈む気泡のようなアコースティックギターの音色が美しい「Stuck On You」。アコースティックなメロディはまるで海原を悠々と漂う流木のようで、壮麗でいて優しく、まるでマーメイドのように艶やかで滑らかなJoss Stoneの歌声が、渋くも悩ましいんです。「Star」もレゲエの音色とヒップホップのビート規則を掛け合わせたスロウで、こういうカーボンみたいなテイストの焦げ付いたメロウにはJoss Stoneの渋味のある歌声がお似合い。スパイシーなギターの音色が舞うメランコリックなミッド「Let Me Breathe」は、Joss Stoneの凛として色香の漂う刺激的なヴォーカルが香り立つ一曲。バムバムと低く弾むビートとチリチリと熱波のように際立つメロディがホットな「Cut The Line」、ズンチャッズンチャッと二拍子で打つビートがトロピカルな「Wake Up」と、完全に南国にフォーカスした流れは続きます。ギラギラと照りつける太陽と言うよりは、沈む夕陽を背に夕立に降られたような淡い濡れ感が漂う「Way On」なんかも、Joss Stoneの吐息混じりでセクシーなヴォーカルがジワジワと来ます(浸食)。「Underworld」なんかもトラック自体はレゲエ以外の何物でも無いんだけれど、Joss Stoneのファルセットも駆使した流線形のヴォーカルがソウルフルでそつなく聴けます。ほんのちょっと温度を上げて空気を歪ませる潮の匂いが香る「Molly Town」、星空が海面に映るように眩くて幻想的なスロウ「Sensimilla」なんかはJoss Stoneのたおやかなヴォーカルが瑞々しくて素敵。ブオーンブオーンと伸びる音色に鼓膜も灼けつくサンタンチューン「Harry's Symphony」、最後を締め括るパーカッシヴな「The Answer」なんかも熱い国のダンスをイメージさせる灼熱チューン。

前作『LP1』はどこかロックかブルースを基調とした一枚で、本作はほぼほぼレゲエのテイストを用いた一枚となっております。考えてみれば、Damian “Junior Gong” MarleyやMick Jagger、Dave StewartにA.R. Rahmanという濃い面子とJoss Stoneで結成した『Superheavy』なんてのもあった訳で、彼女のジャンルレスな音楽趣味の伏線は充分あった訳ですよね。ただ、それでもJoss Stoneにはゴッツリこてこてなソウルアルバムを創って欲しいなーというのが本音。もう秋が近づいている日本ですが、夏に聴いたらかなりハイになれる一枚なので、来年の夏まで寝かすのも良いでしょう(提案)。しつこく言う様ですが、頼むからもう一度Raphael Saadiqと組んで欲しい(切望)






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Tech N9ne「Special Effects」
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自身のスタジオとレーベル“Starange Music”を率いる首領、Tech N9neの通算十五作目となる『Special Effects』を御紹介。そうなんです、僕はTech N9neを知ったのってここ数年でなんですが、実はデビューアルバムを99年に出していて、もう15枚ものアルバムを出している精力的な大ベテランなんですね(驚)。自身のレーベルを運営しているのもあって、2013年のフォーブスでの長者番付では、Hip Hop部門でSwizz Beatzに次ぐ18位(およそ7.4億円稼いでの)にランクインしてましたっけ(意外)。サイボーグのように機械が埋め込まれたこのジャケット、すんごくカッコイイですよねー。
という訳でそんなに豆知識も無いので早速と感想に・・・・・・まずは本作はMichael "Seven" Summersがほぼすべての楽曲の制作をしています、なのでその部分は割愛しております。「Aw Yeah? (Intervention)」で厳かにスタート、オペラをブツ切りにして散りばめた漆黒チューンの中で、Tech N9neの速射ラップが火を吹きます。Isaac Cates「Lacrimosa Requiem A Mass In D Minor by Wolfgang Amadeus Mozart」をサンプリングした「Lacrimosa」もオペラを基調にしたような重厚な一曲。分厚いオペラ曲を無理やりに引き千切ったようなボタボタしたトラックに、Tech N9neの緩急自在なラップが飛んで来ます。「On The Bible」では、客演にT.I.とZuseが参加。ボーンボーンと低く唸るビートに銃撃戦のような発砲音がつんざめくトラックで、Tech N9neのラップはもちろん機関銃のように叫び、T.I.は相変わらず二枚目でサグなラップでクール、Zuseのレゲエっぽい節回しのフックもキナ臭くてグッドです。「Shroud」ではレーベルメイトであるKrizz Kalikoが客演参加(制作にJoseph Bisharaも関与)、空中に無尽に散弾されるTech N9neの無限マシンガンラップを被弾した飛行機が墜ちるような、ブオーンという音が鼓膜にズッシリと響く一曲。「Psycho Bitch III」では同じくレーベルを切り盛りするオーナー、狼の眼を持つHopsinが客演で参加。ポロポロと崩れるピアノ鍵盤を踏み潰しながら爆走するTech N9neはもはや狂人のようなラップですし、終盤で登場するHopsinの高音のラップももはや辻斬りに近くて恐ろしくエッヂーな一曲になっています。これまでのスピード勝負とはちょっと違う、ブルージーさ(前半)とハードロック(後半)な両刀アプローチで聴かせる「Wither」では、客演にCorey Taylorが参加したロック畑へも自由に行き来するTech N9neらしいアプローチ。感覚的にはどことなくYing Yang Twins「Wait (The Whisper Song)」をもっと太く強化したみたいなノリの「Hood Go Crazy」、この曲だけはN4なる人物制作で、客演に2 ChainzとB.o.Bを招いているのもトリッキーで面白さ倍増(笑)。浮いたり潜ったりして鞭みたくしなる電子音に、バツバツと弾くビートが中毒性を増させます(酩酊)。結局はこういうミニマルでスカスカしたトラックが最もラップを際立たせるし、三人の個々のキャラを引き立てていてナイス。ズブズブと深く斬り込むスクラッチで聴き手を奈落の底へと引きずり込む「Bass Ackwards」も、客演にLil WayneとYo Gottiとクセのある手練れを迎えて、柔剛を上手いコントラストにして陰気に暴れるのが面白い。客演参加したE-40が豪快にラップを振り回す「No K」なんかは、Tech N9neとのパワーバランスが抜群でシンクロ率が凄まじいです(興奮)。本作中で最も殺傷力が高いのはやはり、Eminemを客演に迎えた音速チューン「Speedom (WWC2)」ですね。聴き手をすべて感電死させるような10万ボルトの電撃ラップが炸裂するこのアッパー、ミシン目のように精密で細かなTech N9neのラップに、もはや悪魔みたく殺気立ったEminemの人間離れした早送りラップが恐ろしく、鼓膜を小間切れにされてしまいます(瞬殺)。Audio PushとKrizz Kalikoを客演に迎えた「Give It All」も、紫煙のようなギター音を燻らせるトラックとの相性が抜群で異様にカッコイイ(痺)。Marcus Yatesが制作関与&客演参加の「Yates」も大分類ではロック、でも有刺鉄線のようなTech N9neのラップに見事にハマっています。「A Certain Comfort」はKate Roseの麗しく艶美なヴォーカルが光るブルージーロックな一曲で、強く降りつける雨のようなトラックがクール。「Burn It Down」ではRyan Bradleyが客演参加、これも完璧にロックなトラックながら違和感は全く無し。Krizz KalkoにJoey Cool、Gee Wattsが客演参加した「Life Sentences」は、宇宙空間を遊泳するようなサイケデリックで無重力なトラックと、ソウルフルな歌フックが効いていて素晴らしい。Tech N9neの高速ラップが聴き手の鼓膜をパウダー状にまで粉砕してしまう「Dyin' Flyin'」、しっぽりと濡れたブルースのような渋味が美味い「Wordly Angel」、DJ Excisionが制作&客演した核爆弾的なアッパー「Roadkill」と最後までエッヂが効いています。

高速ピストンから正確に発射されるラップは、もはや殺戮マシーンで御座います(賛辞)。オートマチックで正確に吐き出されるラップはとにかく凄まじく、もはやラップのトランスフォーマー状態ですね。身内、ベテラン、中堅、若手まで幅広く目配せした客演陣も面白くてナイスの一言です。Eminemが好きな方は必ず好きになること必至、Twistaにも負けない高速ラップ、アッパレでした。






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Lyfe Jennings「Tree Of Lyfe」
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そのハードな人生経験を基に他のシンガーとは一線を画す世界観を持つ、Lyfe Jenningsの通算六作目となる『Tree Of Lyfe』を御紹介。前作となる『Lucid』から約2年ぶりの作品、という事で意外と順調にリリースを重ねているLyfe Jennings。なんだか囚人なイメージが全く払拭されないからか、これだけ作品を出している事に毎度驚きますし、その全てをしれーっと持っている自分にも驚きます(笑)。前作からLyfe Jennings本人がジャケットに写っていないのは何故だろう、Lyfe Jenningsって結構カッコイイ(独特な出で立ち)から好きなんだけど。
とまあ、四方山話はこのへんで止めて内容に触れちゃって・・・・・・まずはLyfe Jenningsが制作した「I Love You」でスタート、もうこの時点で聴き手のエンジンもフルスロットルにしてくれています。Marvin Gayeみたいに身悶えするような、熱情と高揚感をはらんだクッキリと鮮明なヴォーカルと、胸のドキドキにも似たビートとメロディー展開で華やぐロマンスソウルでもうウットリ。Lyfeの震えるようなハイトーンのヴォーカルが、光を反射しながら翻るのが神々しい閃光ミッド「She Don't Wanna」は、Lyfe JenningsとLashaunda "Babygirl" Carrが共同で制作。綺麗に澄んで鮮烈な輝きを放つクリスタルみたいなトラックには、Lyfe Jenningsの渋くもシャイニーなヴォーカルがバッチリ似合っています。ブツ切りにして繋げたサンプリングっぽい妙義が光るトリッキーでレトロ且つフューチャリスティックな「#Hashtag」、制作はShaun "Shaunnymac" Williamsonが担当。どこか耳馴染みのある哀愁あるメロディーはどこかソウルフルでいつつも、部分的にデジタライズされていて鋭利にも感じたり、Lyfe Jenningsのヴォーカルもエフェクトがかかっていて時折ロボ化したりして面白い。「We're Not The Same」はLyfe Jenningsが制作を担当、客演には才女であるAlgebra Blessettが参加という嬉しい組み合わせ。ピアノ鍵盤をパラパラと細かく結晶化して舞わせたようなスローリーで淡いトラックに、Lyfe Jenningsの濁り茶のように甘く渋いヴォーカルと、天然水のように綺麗に澄んだAlgebra Blessettのヴォーカルがピッタリ寄り添うナイスミッド(溶)。またまたLyfe Jennings制作の「Talkin About Love」では、Demetria McKinnyが客演で参加。山奥の水源から湧き出たばかりの自然水のように、清らかで透き通ったアコースティックメロディーがぐんぐん沁み渡りますね。Lyfeのハーブミントのような清涼なハイトーンヴォーカルに、Demetria McKinnyの凛々しくて繊細な艶やかヴォーカルが優しく混ざるのが素敵です(純真)。燻し銀でしゃがれ声のLyfe Jenningsが、どこか猫撫で声で甘く切なげに歌い上げる「Right Now」はLyfe Jenningsが制作を担当。ベルベットのように艶やかで気品のあるエレガントなミッドで、このしっとり加減な耳触りがなんとも快感で気持ち良いし、Lyfe Jenningsのちょっと癖のあるシナモン声がたまりません(骨抜)。雪溶け水みたくスーッと冷たく透明なヴォーカルがリフレインするような「Pretty Is」、制作はLyfe JenningsとShaun "Shaunnymac" Williamsonが共同で担当。ピアノ鍵盤音をひらひらと花吹雪のように優雅に散らすメロディながら、男声の掛け声ビートも混ざった一曲で、一時期のStarGate全盛期を思わせる純白メロウで嫌いじゃありません(笑)。まるで森林浴をしているみたいに、マイナスイオンが放散されまくるアコースティックギターを爪弾く、澄んだフォーキー曲「People」も最高にカッコ良い。この曲もLyfe Jennings制作という事で彼のトラックメイクの奥深さも実感するし、なによりもこのウッディで温もりのある木目調ミッドはLyfe Jenningsの白樺ヴォーカルにぴったりフィットしています(恍惚)。夜風のようにほんのりとしとやかな感触で、聴き手の心の隙間にそっと吹き抜ける刹那系のメロウチューン「Gods」、これもLyfe Jennings制作でじんわりと沁みますね。Lyfe Jenningsの咽び泣くような、仰け反るヴォーカルが曲線的で切なく響くピアノ弾き語りの「25,000 Mornings Interlude」は、40秒足らずのインタールードにするには勿体無い出来映え(悔)。最後はスタンダードソウルのような「Always」で幕切れ、こういうトラディショナルで重厚なソウルチューンもバッチリと聴かせてくれます(浸)。

Lyfe Jenningsのヴォーカルはよく塩辛に喩えられる訳ですが、僕の印象ではハーブミントかそれこそ白樺のようなボタニカルな声と言いますか。本題『Tree Of Lyfe』に引っ張られもしますが、Lyfe Jenningsのこれまでの作品の中でも、最も優しい温もりのある木目調の一枚になっているかと思います。




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Capone-N-Noreaga「Lessons」
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97年にアルバムデビューした古参デュオ、Capone-N-Noreagaの通算五作目となる『Lessons』を御紹介。Noreagaと言うよりはN.O.R.E.と表した方がしっくりくる程、デュオとしての活躍はどうも記憶に薄いこのコンビ(苦笑)。かく言う僕もThe Neptunesのトラックに乗って颯爽とヒットを飛ばしたN.O.R.E.で知った人なので、Capone-N-Noreagaは完全に後追い(それでも五作中で三作は持っている)。一時期は流行したレゲトンの波に乗っかっていたN.O.R.E.も、13年に約6年ぶりに発表した『Student Of The Game』がなかなかの良い出来で、お世話になりました。N.O.R.E.の新作よりも先に、久々にCaponeとのタッグで帰還しましたね、古いレコードみたいなこのジャケットが何気に好きです。
それではザックリと簡単ではありますが感想を書きますね・・・・・・まずはAyatollahなる人物が制作した「Future」で幕開け、ゴチゴチに角張った鉄工トラックの上でCapone-N-Noreaga(以降はCNNと省略表記)とTragedyがヘビーなラップを突き立てるのが痛快で男気たっぷり。スタートにホラーチックなオルガン音を敷いた「In The 1st」はIfreshが制作を担当、ボフボフと開戦直後の大砲のようにビートが飛び交うハードなアッパーでやはり衝撃は強い。鋲を打つように硬く尖ったビートを規則正しく鳴らすヒンヤリとしたアッパー「Shooter Worldwide」、制作は若手有望株(と言われていた)Jhalil Beatsが担当。これはビートと警報音が交互に乱舞するホットなトラックがナイスですし、Caponeのガスを吸ったように高音でネチッこいラップがハマっていて中毒性が強いです(朦朧)。「7 Continents」ではTragedyに加え、東海岸の雄Royal Flushが参加するという重厚さ(驚)。バチバチと弾けるビートにピコピコと不安を掻き立てるような電子音が降りかかる、氷点下なみに冷たい鋭利な一曲。繊細で艶麗なピアノ旋律が、まるで粉雪のようにキラキラと優しく眩く煌めく氷結メロウ「U.M.A.R」はSPKが制作を担当、客演にはTragedyが参加。こういうメロディアスなものも難なくこなす三人はカッコ良い、特にN.O.R.E.はこういうメロディのあるトラックでも合うまろやかクリーミーなラップの持ち主で器用です。鋼鉄ビートを背に疾走感のある鋭利なトラックで二人が熱い掛け合いを魅せる「Gumar Oz Dubar」はHazardis Soundzが制作を担当、有刺鉄線のように規則的に棘立ったビート主軸のトラックだからこそ、CNNの剛力な掛け合いが見事に活きていますね。iPhoneのアラーム音で毎度聴きながら慌ててしまう(笑)「No Stick You Part 2」でもTragedyが客演参加、それこそ彼らの活躍した90年代のMobb Deepみたいに冷血で殺伐として、それでいて美しさも備えたアイシーな無骨トラックでやはり激渋でグッド。女性の歌フックを引きちぎり、胡弓のような弦音を引き摺り回すアジアンテイストなぶっ壊れチューン「Chinese Girl」はBeatz N Da Hoodが制作を担当。ブピブピ鳴る音色とカチカチと叩くドラム音だけで滑走する「Elevate」、制作はHazardis Soundzで客演にはTragedyが参加。本作の最重要曲はやはり、CNNとTragedyの連合軍とThe Loxが総当たり戦を繰り広げる「3 On 3」でしょう(鳥肌)。Beatz N Da Hood制作のトラックはけして派手さがなく淡白なビート主義、だからこそこの怪獣大決戦(ゴジラ対モスラ対キングギドラばり)が映える、特撮観ているみたいな豪華さと臨場感で圧倒的パワーです(卒倒)。「Now」はなんとStatik Selektahが制作を担当、という事でちょっぴり曇った埃っぽいメロウソウルチューンでセンスは抜群、こういうブラウンシュガー的なトラックは僕の大好物です(垂涎)。そして、なんとあの生ける伝説Large Professorが制作を担当した、ビートの上にメロディーを削って落とすようにデコレートした「Pizza」は、まるで50 Centみたいなフックも粋で耳に残るし渋味もたっぷり。「Riding」はMr. Authenticなる人物が制作を担当、パスパスと空気を含んだトラックもさることながら、どこかプラスチックみたく無機質で固いツヤを光らすAnna Shayのキュートな歌フックがかなりアクセント(隠味)。最後を締め括るのはあのScram Jonesが制作で、Tragedyに加えてRaekwonまで参加した「Foul 120」がもーう最高(涙)。Scram Jonesらしい燻し銀でゴチゴチの強度を誇る岩窟ビートの中で、パワフルで男臭い四人のラップが破裂するダイナマイトアッパーで御座います(気絶)。

飛び道具は一切無し、地味の限りですがしっかりとラップを聴かせてくれていて、鼓膜の引き締まる思いです。アンビエント?オルタナティブ?は?といった感じで、単純に骨太なビートだけを頼りに特攻する二人の勇姿に乾杯で御座います。Caponeみたいな鼻にかかったネッチリ高音のラップも僕は好物なので、またこの二人でアルバムを創って欲しいですね。そして何より、本作で“第三の男”的な立ち位置で大活躍したTragedyがすっごく気になる、NasとThe Gameを足して割ったようなラップが格好良い、ソロ作あったらば聴いてみたいです。兎にも角にも、R30な仕上がりで御座います。




テーマ : HIPHOP,R&B,REGGAE    ジャンル : 音楽