RocBox 2

自分の持っているR&B、Rapアルバムを聴いての感想を偏見で綴る。音楽に関する知識はほぼ無し、雰囲気で語る。

10 2015
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プロフィール

Queen

Author:Queen
生年月日:1983年11月28日
星座:射手座
性別:男
血液型:A型
趣味:古典的推理小説読書
    黒音楽に浸る

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Allen Stone「Radius」
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白人金髪ロングヘアのヒッピー風情なソウルシンガー、Allen Stoneの通算ニ作目となる『Radius』を御紹介。ワシントン州チェウェラという片田舎(らしい)出身のAllen Stoneは、牧師の父の影響で教会で歌う事をスタート。そのままの流れで60年代から70年代のソウルミュージックにだんだんと傾倒していったのだそう。僕も単純に彼の1st『Allen Stone』を聴いた時は、こんなに若い人が歌っているとは想像だにしませんでした。その前作は当初はデジタルのみでの配信でしたが、その評判の良さから後にきちんとフィジカルも出されました。
それではAllen Stoneの経歴はこのぐらいしか知らないので・・・・・・まずは、ほぼ全曲をMagnus Tingsekが制作を担当しているので、彼の制作曲から触れてゆきます。もはやStevie Wonderが憑依したかのようなサウンド&ヴォーカルで唸って突進するファンキーな「Fake Future」、このレトロなんだけど火花が散るような躍動感と熱っぽさがカッコ良いんですよね(痺)。左右に揺れて甘くて柔らかなグルーヴを紡ぐウールみたいなタッチのソウル「American Privilege」は、Allen Stoneの少し鼻にかかって練られたヴォーカルが鼓膜にやんわり張り付くのが心地良い。ポロポロと溢れるアコースティックギターの弦音のドリップにつられて、だんだんと音も気持ちも細く細く遥か奥の方へと流れて溜まってゆく「Circle」。Allen Stoneの黄金色の小麦のような素朴なハスキーヴォイスがまた侘び寂びがあって、聴いているうちになみだが滲みそうになります。地面を思い切り蹴ってスイングする燻し銀なファンクチューン「Upside」も、最近でこそ流行っているスタイルだけれどAllen Stoneは生粋のファンク魂の持ち主なので芯があります。少しサイケデリックにチタン加工されたAllen Stoneの鋭利なヴォーカルがクールな「Freezer Burn」は、どことなくだけどJamiroquaiを思い出さずにいられないし(はたまたJustin Timberlakeにも近い)、終盤ではこれまたStevie Wonder的なメロディーが降臨して暴れるのが爽快。「Love」は生のバンド演奏が呼吸をするように空間を飲み込むのが心地良く、優しく張りのある伸びやかなAllen Stoneのヴォーカルが無垢でナイス。湿り気を帯びたアコースティックな音色がたゆたうブルージーなミッド「Where You're At」もこれまた最高で、柔和で澄んだメロウがそっと寄り添うように流れるハートウォーミングなスロウソウル。風を切るようなスピード感あふれるトラックがクールな「Symmetrical」は、エフェクトで少し歪ませた多重輪郭なAllen Stoneのヴォーカルが、より縦揺れするグルーヴを甘酸っぱく際立たせる一曲。弦の持つ音色が聴き手のハートを優しく縛り上げるフォーキーな「The Wire」は、しっとりとじっくり聴かせるスタイルがどことなくゴスペルっぽくもあり(荘厳)。エンディングを飾るアコースティックなバラード「I Know That I Wasn't Right」も優美でまろやか、Allenの洗いざらしみたいなピュアでナチュラルなヴォーカルが、静脈を伝ってハートを震わす淡く優しいメロウでぐっと来ます(感涙)。とここまでがMagnus Tingsek制作曲で、あと数曲は他者が制作しております。まず冒頭曲である、ハンドクラップとオルガンの跳ねるようなビートがアナログチックで、スパークリングワインみたいに洒落て透けたAllen Stoneの炭酸ヴォーカルがシャウトするのが爽快な「Perfect World」、この曲の制作は最近のソウルトラックには欠かせないMalayが担当。勇壮なメロディーが美しく吹き抜ける白銀ファンク「Guardian Angel」はBlended Babiesが制作、微熱混じりに煙たく歌い上げるAllen Stoneのよれたヴォーカルがなんとも癖になります。ツタツタと叩く小刻みな砂利ビートがタフな荒涼感を増幅させ疾走感を際立たせる、ファルセットを軸にし自在に翻るヴォーカルがなんともクールな「Freedom」はBenny Cassetteが制作で、ファンキーなんだけれど凄く繊細で軽やかエアリーなのはAllen Stoneの成せる技。スパニッシュみたいなアコースティックギターの華奢で華麗な舞いに乗せて、Allenの哀愁漂うほろ苦いヴォーカルがしみじみと響き渡るディープでメランコリックな「Bardwire」も、Benny Cassetteが制作を担当。

全編を通して思ったのは、ちらちらとStevie Wonderの面影を見た(聴いた)と言いますか。前作ではそこまで感じなかったのですが、本作『Radius』ではずっとStevie Wonderを感じてほんのり心地良くなりました。別に真似しているとか揶揄しているのでなく、そういうメロディやソウルがAllen Stoneには息づいているのだと思います。最近はこういうレトロな回帰が散見されますが、中でも群を抜いているのがAllen Stoneの本作だと思います(断言)。




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Janet Jackson「Unbreakable」
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誰もが知っている最強のポップアイコン、Janet Jacksonの通算十一作目となる『Unbreakable』を御紹介。前作にあたる『Discipline』からおよそ7年ぶりの新作という話題だけでも充分話題なのですが、その新作がJanet Jacksonの黄金期を創り上げ支えたJimmy Jam & Terry LewisのFlyte Tymeコンビの全面制作という事でも、巷は話題騒然となりました。前作『Discipline』記事の末尾でも僕は“彼氏のJermaine DupriではなくJimmy JamとTerry Lewisと組むべき”と書いていて、それはきっと全Janet Jacksonファンが考えていた事だと思うので、これはやっぱり純粋に嬉しいことですよね(あれから時間が経っていますが、今となっては『Discipline』も素晴らしい作品で、コアなファンは高評価だろうと思いますが)。Janet Jacksonももう49歳という事で、多くのJanet Jacksonフォロワーが生まれ最前線で活躍していて、それでもこうやって新作を聴けることは嬉しい限りです。
それでは緊張で震える手を制御しながら書きますと・・・・・・まずは先述した通り、本作の制作はすべてJam & LewisとJanet Jacksonの三人で行われており、これは97年の傑作『The Velvet Rope』 以来のことで御座います。あと特筆すべきは、数曲では新進気鋭のDem Jointzも制作に関与していることでしょうか。まずは、逆再生することでモノクロの景色が鮮やかな色彩を取り戻すような、ソウルフルのサンプリングエッセンスと45回転早回しエッセンスがダブルで効いた「Unbreakable」でスタート。この甘酸っぱさが胸を締めつけるメロウに、Janet Jacksonの年齢を感じさせない糖度の高いヴォーカルが響き渡ります。これまでのJanet得意の(ひいてはJam & Lewis得意の)艶やかなアップチューンでなく、どちかといえばデジタルノイジーな通電アッパーが新鮮なダンスチューン「Burnitup!」、後期のJanet曲を思わせる電撃系。最近また徐々に活動し始めた(のが嬉しい)Missy Elliottが客演してるのは嬉しいけど、単調な繰り返しが多くちょっとパンチが弱い気も。この曲は完全に、JanetフォロワーであるCiaraがやりそうなバキバキ系のトラックで、大ベテランのJanetがこの速度感をまだ出せるのが素敵。現行シーンで横行しているDJ Mustardみたいなサイコロカットの電子音が転がる、マス目のついたトラックがクールな「Dammn Baby」。しかし、DJ Mustardのそれよりは、弾力のあるネオンみたいな電子音がボムボムと点滅するサイケデリックなスライムミッドで、この曲は中盤で途端にブレイクダウンしてミルキーなシンセに放り出される瞬間が面白い。直角的に折れてはメロディを紡いでゆく電光シンセがサイバーな感触を生み出す、シティライトのように黒と光のコントラストが滑らかに美しいデジタルミッド「The Great Forever」。Janet Jacksonがブリッジで低音(これが地声に近いのか?)でジリジリと歌う箇所が、まるで亡き兄Michael Jacksonと瓜二つな歌声で驚くばかり、まるで兄妹が疑似共演しているかのようでお得(笑)。鮮烈な光を放射しながら舞い上がる「Shoulda Known Better」はトラックの採光が巧く、そんなくっきり眩いトラックとはまた違い、Janet Jacksonのヴォーカルは淡くて滲んだ、どちらかといえば光輪のようなぼやけた感触で、そのコントラストが綺麗で胸がスッキリとします。微かな泡音も聴こえない澄んだ水の中を、そっと静かに沈んでゆくような感触の「After You Fall」。そんなトラックとJanet Jacksonの純水ヴォーカルが鼓膜との浸透圧がぴったりマッチしてぐんぐん吸収される、凛と静かなピアノ基調のモイストバラードでウットリ必至。「Broken Heart Hotel」はいかにもJanet Jacksonらしいフローラルでふんわりライトなキュートミッドで、フェザータッチな歌声がそっと鼓膜を撫でるくすぐったさのある一曲。妖しくウェットなJanet Jacksonのヴォーカルが走る、深夜のハイウェイのような「Night」はセクシーなディスコタッチで、電子音が艶やかな曲線を描いてすり抜ける感触がグッド。そんな風に夜に酔って踊り疲れて真夜中に恋人と帰宅したら、雨がそっと降り出したようなシーンの連続性のある次曲がシングル曲「No Sleep」。聴いてすぐにJanet Jacksonの代表曲「That's The Way Love Goes」を思わずにいられないしとやかなスロウジャムで、そぼ降る雨が窓を静かに叩くのをBGMにして、雨が創り出す静寂を壊さぬようにじっくり濡れて囁くようなJanet Jacksonのヴォーカルがたまりません(骨抜)。その相手に選ばれたのはJ. Coleというのが実に秀逸な選択で、J. Coleの好青年でスマートなラップが後ろから抱き締めます。45回転早回しみたいなキュンキュンした音色が可愛い「Dream Maker / Euphoria」、スペイシーな光線シンセがザクザクと交錯する「2 Be Loved」もJanet Jacksonのシナモンみたいなヴォーカルにマッチングした曲。メタリックな電子音が流線形のメロディを紡ぐ疾走感ある「Take Me Away」も、Janet Jacksonの良い意味で最軽量化されたヴォーカルがほんのり地面から浮いて走行するのでより気持ち良い。爪弾くアコースティックギターの弦音が優しい「Lessons Learned」も、Janet Jacksonの淀みのないヴォーカルが清冽で美しいです(溜息)。遠くで跳ねるようなビートと指スナップのみで進行する「Black Eagle」、Janet Jacksonの羽音を立てずに悠々と飛ぶようなヴォーカルが鮮麗でナイス。クラシカルなストリングスで入る「We Traveled」はアフリカンな土埃の匂いのする壮大なバラードで、最後を締め括る「Gon' B Alright」はドカドカと突き進むファンキーなアッパー。とここまでが本編の内容で、国内盤には加えて3曲の追加曲があります。まずは、氷雨のように冷たくかじかんだピアノ鍵盤とヴォーカルがヒリヒリと響く「Promise Of You」、ワウワウと鳴る電子鍵盤音なんかで後期Motownサウンドを思わせる「Love U 4 Life」などが収録されています。

Jam & Lewisとの久々のタッグでしたが、やはり自然に聴ける安定感のある一枚でした。これまでの作品同様にガッチリとコンセプトの立った一枚、という訳ではなかったので、そういう意味ではもうちょっと外部Producerを入れても良かったかなと。あちこちにJanet Jacksonのあの頃のサウンドみたいな断片を感じられて、それは面白かったですね。あとはもうキレキレのダンスとかは無理そうだから、どれだけ素晴らしいスロウジャムをこれからも聴かせてくれるか楽しみ。そういう意味では「No Sleep」はとてつもなく良かった、この一曲だけでも価値があります。




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Stacy Barthe「BEcoming」
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Brooklyn出身でLAを拠点に活動する女性SSW、Stacy Bartheの記念すべきデビューアルバム『BEcoming』を御紹介。Stacy Bartheといえば、あのJohn Legend率いるレーベル“Homeschool”と契約したことで一躍注目を浴びた新星でございます。よく調べるとStacy BartheはプロデューサーのChase N. Casheが率いる制作チーム“Surf Club”でもあるのですね(無知)。なのでソングライトのキャリアは既になかなかのもので、Rihanna「Cheers (Drink To That」やKelly Rowland「Everywhere You Go」、はたまたBritney Spears「Blur」からMiley Cyrus「Adore You」まで幅広く関与しているみたいです。また最近だと、LA経由でかThe Gameの楽曲に客演していますね。彼女自身もEP『Sincerely Yours, Stacy Barthe』が高評価を得ていたので、満を持してのメジャーデビューといったところではないでしょうか。
という訳で紹介はこのくらいでOKということで本題へ・・・・・・まずは同じくSurf Clubの一員であるHit-Boyが制作を担当した(Co制作にMalay)の「My Suicide Note (Intro)」で幕開け。まるで凍えた風が吹き荒ぶようにストリングスが鼓膜を掠めてゆくトラックに、Stacy Bartheの悲哀のこもった濡れたヴォーカルが鼓膜をかじかむほどに冷やします。続く「In My Head」はOren Yoelが制作のアップチューンで、ボスボスと空気を含んで吐き出すようなスモッグビートの中で、Stacy Bartheのなだらかなヴォーカルが転がる茶褐色の疾走ソウルチューン。まるで地平線から陽が昇るような、そんなジワジワとした熱感と高揚感を誘うビートの滲ませ方が巧い「Sleep To Dream」。Malay制作の高揚感を煽るトラックも勿論巧いけれど、Stacy Bartheのヴォーカルもほどよくエスニカルでピリッと刺激があり、ネイティヴな感触に恵まれたしなやかさがグッド。低音で潜るような流線形のメロディーと、パシンと振幅を残して飛沫をあげるビートの溶け合いがドリーミーでとてもディープな感触の「Eyes Wide Shut」はMalay制作。なんというか本当に液状チックなトラックで色彩の揺れが綺麗で、ヴォーカルもまるで泳ぎ回るように自在。Malay制作の「Here I Am」は踊り狂うような部族的ビートの乱舞がアグレッシブで気持ち良く、Stacy Bartheのジワジワと熱を帯びるようなヴォーカルも艶やかでグッド。穏やかに柔らかに、まるで花が散るようにピアノ鍵盤が舞うのが淡麗なバラード「Me Versus Me」はDarhyl "Hey DJ" Camper, Jr.が制作という事で納得の美しさに溜息。クワイエットストームよろしく、雨の煙る音でスタートする「Find It (Transition)」はRan Pinkが制作を担当。そのまま背景では水の流れるサウンドも入れつつ、ストリングスの重厚な照り感がずしりと鼓膜に響く荘厳なトラックと、Stacy Bartheのアルコール度数の高いちょっと辛味のあるJazzyなヴォーカルがじんわりと五臓六腑に沁み渡る一曲。Sergio Mendesで有名な「Mas Que Nada」のフレーズをぱらっとあちこちに散りばめた「Live For Today」はBenny Cassetteが制作で、客演にあのCommonが参加。少し機械的に角張ったベース弦のループが張り巡らされ、鼓膜はどうもこの音の網から逃れられず。Stacy Barteの少し灼けたヴォーカルも勿論良いけれど、やはりCommonが出て来た途端に全て奪い去るのが痛快。ツルツルとした大理石でできた空間で聴くような反響と、その中でモワモワと立ち込めるスチームのように漂うヴォーカルがしっとり朧げで妖艶な「Flawed Beautiful Creatures」は、Darhyl "Hey DJ" Camper, Jr.が制作。弦音を波紋に変えて柔らかな膨らみと弾力を生み出すアコースティックなナンバー「Hey You There」はMalayが制作を担当、ちょっぴりトロピカルな甘味もあるスロウジャムで心地良い。「Walk On Water」もMalayが制作をしており、やはりアコースティックでオーガニックな味わいを出した透けるようなメロウで心地良さ抜群(安息)。引き続きMalayが制作した「Born To Berong (Interlude)」は、ゴボゴボとしたビートを聴いているうちに音の深海へと沈没するディープなスロウで、Stacy Bartheのクラゲ状の半透明なヴォーカルが揺らめくのが幻想的。「War IV Love」はコツコツと叩くビートで行進するマーチ風ソウルで、やはりMalayが制作をしております。あのJames Poyser(!)とDJ Dirty Harryが共同制作し、サンプリングにBiz Markie「Make The Music With Your Mouth」を使った「Angel」は本作でも最重要曲。まずはこの打打打打打(ダダダダダ)ビートとラグジュアリな宝石メロウの融合が素晴らしいし、さらには客演でJohn Legendが芳醇なヴォーカルを重ねる事で(いや、完全に塗り潰してしまっているか)、余計に甘酸っぱい王道ソウル復古が実現しております(痺)。Benny Cassetteが再び制作した「You Wonder Why?」はどこかレゲエチックなレイドバックチューンで、少し気怠く力の抜けたStacy Bartheのヴォーカルも柔らかく踊ります。再登場のRan Pink制作のエレクトロ鍵盤の跳ねた音色が色鮮やかなアッパー「In The Meantime」、Classmatezが制作した電子音を煮沸してとろかせたどろーりスロウ「Enough Is Enough...」と、最後までディープな音世界を堪能出来ます。

やはりJohn Legendが監修というのも大きいし、もう一人の監修Malayが僕は大好きなのでとっても美味で御座いました(単純)。凛として美しいんだけれど、どこか土着的な温もりがあるのもStacy Bartheのヴォーカルの魅力ですねー。ちょっと違うかもですが、僕的にはIndia.Arieを彷彿とする作品でかなり身に沁みました。ソウル好きならば確実に気に入るであろう実力派な燻し銀の一枚、Motown Records印が誇らしげであります。これは失言覚悟で述べると、もっとルックスが可愛かったら売れたのかも。




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Kwabs「Love + War」
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ガーナで生まれサウスロンドンで育った新進気鋭のSSW、Kwabsの記念すべきデビューアルバム『Love + War』を御紹介。ドラムベースの先駆者であるGoldieがホストを務める番組に出演したことがきっかけで注目を集め、メジャーのアトランティックと契約したというKwabs。英BBCが期待の新人をピックアップする企画“Sound Of 2015”でも、ロングリストにノミネートされるなど期待されている若手で御座いますね。Kwabsに関してはCorinne Bailey Raeのカバーが有名なんでしょうが、僕的に衝撃を受けたのはやはりJames Blake「The Wilhelm Scream」があまりに絶品過ぎたこと。とっても難しい楽曲なハズなのに、全く違和感なくカバーと感じさせないフィット感に驚いたんです。そんなKwabsがデビューアルバムを出したという事で、速攻で購入しました。
という訳で期待は最高潮で内容を聴いた訳なんです・・・・・・まずはCass LoweとKwabsが共同制作した表題曲「Love + War」でスタート、潤いのある電子音が脈々と底辺を流れる、まるで地下水脈が走るようなエレクトロミッド。エレクトロなんだけどコーラスなんかはゴスペル調なのが不思議とマッチしてるのは、Kwabsの音空間を大きく飲み込むような鯨ヴォーカルの賜物かと思います。雄大でいて優しいKwabsの鯨ヴォーカルが、澄んだ水面へとダイブするような電子音の跳ねたメロディー&ビートが瑞々しく鮮やかな軽快アッパー「Fight For Love」。昔のディスコポップ調なビカビカと眩いトラックはStarsmithとAl Shuxとの共同制作で、どこか古めかしいKwabsの太いヴォーカルとの乖離が面白くてナイスなんです。いかにも英国産な品のある煉瓦造りなビートが綺麗なミッド「Walk」はTMSが制作を担当、小粒で硬いダイアモンドをばら撒いたようなビートのつぶつぶ感も心地良い一曲。冒頭から木琴の転がるような音色を敷き詰め、そのままボワンボワンと滲んだ光彩を放つシンセメロディーが瞬く「My Own」も軽妙。SOHN制作のどことなく2ステップ全盛期のCraig Davidを思わせるトラックが懐かしいグルーヴを紡ぐし、フックでの少しエキゾチックに淡く薄まるKwabsのヴォーカルも美しい。バシンバシンと叩くビートと、万華鏡のように変幻自在に色彩が移ろうシンセ、そしてじんわりとトラックを侵食するオルガン一音(これはJames Blakeを思わせる)で意識の奥深くまで浸透するミッド「Look Over Your Shoulder」。SOHN制作のこのトラックは、僕的にはMichael Jacksonの名曲「Who Is It」の焼き直しに感じられて、それをもっとKwabsの鯨声で太く石灰化し重厚にしたという感触で心地が良い(遊泳)。いかにも英国産のシックな珠玉の壮麗ピアノバラード「Perfect Ruin」は、まるで雪降る夜に見る雪明かりのような繊細な音色に、Kwabsのぼってりとした重厚でソウルフルなヴォーカルが根雪のような感触で耳に残る優しいスロウ。「Forgiven」はTMSが再び制作を担当、これはKwabsの鯨ヴォーカルがブクブクと深く潜水して地底から歌声を大地に響かせるような雄大なバラードで、やはりKwabsにしか出来ない離れ業なゴスペルライクな一曲。ストリングスとフラッシュのような電子音の融合が素晴らしい「Layback」はDave Okumuが制作を担当、Kwabsの逞しくしなやかな朴訥としたヴォーカルがたおやかでたまりません。清涼感のあるクリアな電子音がスプラッシュするダンスチューン「Make You Mine」はCass Loweが制作で、こういう軽やかなトラックでもKwabsのぼってりしたヴォーカルは違和感なく溶け込み、むしろ程よい弾力感となって機械的なトラックにふくよかさを生み出すのが魔法。「Father Figure」はSam ROMANSが制作した一曲で、このスウィートでメロウな電飾使いがどこかTOTOを思わせて懐かしく、やはりKwabsの鯨ヴォーカルが悠々と泳げる広大なトラック空間でグッド。SOHN制作の「Wrong Or Right」も真夜中の海中で妖しく明滅するクラゲみたいなシンセの連綿としたメロディと、少しエフェクトをかけてエッヂー且つメタリックに研磨されたKwabsのヴォーカルが滑るクールなミッド(鮮)。最後を締め括るのはFelix Joseph制作の純朴なバラード「Cheating On Me」で、Kwabsのふくよかで深みのある鯨ヴォーカルの隙間から、優美なピアノトラックが光を零して幾筋もの光を射す美しい一曲です(溜息)。

声色は楽器なんだ、という事を再認識させてくれる素敵な一枚。雄大で優しいKwabsの鯨ヴォーカルは唯一無二で、聴き手をすべて飲み込んでしまう圧倒的なスケール感が魅力です。これだけエレクトロを駆使したトラック群ばかりなのに、Kwabsのヴォーカルの迫力でどれも(良い意味で)生温かな感触に変換されているのが凄い。SealとJaheimを足して割ったような感触、といっても先述した通り抜きん出た個性で今後にも期待大ですね(賞賛)。








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Prince「HITnRUN Phase One」
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僕にとっての音楽の神様になりつつある、Princeの通算三十四作目となる『HITnRUN Phase One』を御紹介。前作『Art Official Age』から約一年ほどで届いた本作、また活動が活発になって来て嬉しいPrince様。その前作を喧嘩別れした古巣のWarner Bros.からリリースしたかと思ったら、本作はまずJay Z率いる音楽サービス“TIDAL”からの独占配信となりました。以前より音楽の販売形態に疑問を呈してきたPrinceですから、これはなんだか自然な流れな気がしました。しかしフィジカルでリリースが無かったらどうしようと焦っていたんですが、きちんとフィジカルも出されて入手する事が出来ました(安堵)。
そんなこんなを乗り越えた本作の出来映えは・・・・・・全曲の制作、また演奏の大半はPrince直々というのは当たり前という事で。まずはゴスペルとゴーゴーなサウンドを掛け合わせた、ギラギラとド派手で神々しい「Million $ Show」で豪快にスタート。ここでは相思相愛(のハズ)でMichael Jacksonにも認められた実力派Judith Hillが客演参加、せっかくならばこういうベッタリとビカビカなトラックでなく、艶かしいディープなトラックで絡んで欲しかったかな(惜)。Run D.M.C.ばりのゴリゴリなカッティングと、乱反射しては交錯する電光線が眩い「Shut This Down」は、とにかく全てを叩き潰すかのように暴れるPrinceのヴォーカルを浴びるのみ(打撲)。「Ain't About 2 Stop」ではまさかのRita Oraが客演参加、アラビアンテイストなトラックを感電させたようなエキセントリックなトラックで、Rita Oraの存在感は皆無なのが意味深。美人デュオのCurly Fryzを客演に迎えた「Like A Mack」は、ちょっぴりトロピカルな風味も混ぜたエレクトロなトラックで、撥水性のビートに乗せてCurly Fryzと戯れるPrinceはあまりに軽過ぎてちょっとヘンテコ。ゆっくりと鼓膜の中で崩れる速溶錠的なトラックが新種のドラッグみたいな「This Could B Us」は、Princeの神経質で痩せたヴォーカルが金属的でかえって刺激的な一曲。前作からPrinceがどうもご心酔みたいな4つ打ちのダンスチューン「Fallinlove2nite」は、少し声の音程を引き上げた高音なヴォーカルが軽快に飛び跳ねるパーティーチューン。重たく歪んだ音色とスクリューのかかったヴォーカルがヘヴィーな「X's Face」、ゆっくりと静かにジャングルを忍び歩くレオパードのようなしなやかなPrinceのヴォーカルは聴き応えアリか。Princeが暗闇の中でネットリとギターを愛撫しては、へし折れる程にきつく抱き締める姿が目に浮かぶハードな情交ロック「Hardrocklover」なんかは、聴いていてビリビリと鼓膜が麻痺する程に響いてきてたまりません(気絶)。Princeが寵愛するLianna La Havasが客演した、といっても“ミスターネルソン♪”とだけ囁かせたような扱いの「Mr. Nelson」は、PrinceからのEDMへの軽い返答といったところでしょうね(器用)。本作でズバ抜けて素敵な仕上がりなのが、どこか90年代のR&Bライクな艶麗さと涼しげなグルーヴが心地良い「1000 X's & O's」ですね。Princeの熱が零れ落ちるような艶っぽいヴォーカルが濡れて、やらしくも滑らかな輝きを湛えるなんともセクシー。最後は月の浮かぶ水辺にそっと舟を漕ぎ出すような満潮スロウ「June」で、しっとりと水の深い深い場所へと泳いで消えてゆくPrinceの魚類ヴォーカルがナイス。

今年行われた第57回グラミー賞で最優秀アルバム賞のプレゼンターとしてPrinceが登壇した際、彼は「Albums, Remember Those? Albums still matter. Like books and black lives, albums still matter. (アルバムって皆覚えてるかい? アルバムはまだ大事だ。本とか黒人の命と同じようにアルバムって重要なんだ)」とスピーチし、それを聴いた僕は瞬間に鳥肌が立ちました。なんだけど、それほどまでにアルバムという様式美にこだわるPrince(Princeのアルバム『Lovesexy』なんかは曲間に途切れが無く頭出し不可能な、丸ごとが一曲な作りだった程)にしては、本作『HITnRUN Phase One』はアルバムとしての完成度は少し低かった気が(暴言)。「アルバムって覚えてる?」の名言、そしてD'Angeloが『Black Messiah』を発表した後だったので、僕の期待も最高潮だったのもあるのでしょうが(勝手)。このアートワークからして、もしや前作『Art Official Age』の没曲の集合体だったりして、などと勘繰ってしまう一枚、言い過ぎか(悲)。Princeにしてはちょっと、派手や絢爛を一色に纏める美しさが足りなかったかなー。


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Bilal「In Another Life」
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その奇抜な芸術センスでソウルを革新しているシンガー、Bilalの通算四作目となる『In Another Life』を御紹介。このブログの熱心な読者ならば、僕のBilal崇拝っぷりは御存知の通り。これまでにも前々作の『Airtight's Revenge』は年間第二位前作の『A Love Surreal』は年間第一位を獲得しておりまして、いつも僕のソウル愛をごっつり愛撫してくるのです(溺愛)。幻の2nd『Love For Sale』のリーク&お蔵入りで一時は活動も危ぶまれましたが、『Airtight's Revenge』からは三年ぐらいのスパンで順調にリリースも重ねています。やはりBilalのここ最近の客演ぶりから考えても、音楽業界での信用度もかなり高いのでしょうね。
Bilal愛について語るのはこの辺でよして本題に・・・・・・まずはJay Z「Picasso Baby」と同ネタ、Adrian Young「Sirens」の続編的立ち場なのか2と題された「Sirens II」で厳かに幕開け、これを含めて本作ではそのAdrian Youngが全曲の制作を担当しています(この曲では演奏にAli Shaheed Muhammadも関与)。少しだけ不気味な硬度強のトラックは甲殻ビートを纏っていて、だけれどBilalの煙のようにスーッと静かに忍び寄って蝕むヴォーカルが脅威。雨のそぼ降るような冷たくかじかむメロディーとBilalの悲しげなヴォーカルで、ぼたぼたと打つドラムス(これがAdrian Youngの真骨頂)で出来た穴ぼこトラックに歪な水溜りが出来る「Star Now」。フレンチサワー味な軽快おしゃれミッドの「Open Up The Door」は、朗らかな鍵盤音に乗せてBilalの春風みたいなヴォーカルが吹き抜けて、聴き手の鼓膜に受粉を完成させる(下手するとアレルギー反応を起こしてしまう)一曲。そのまま、優しく淡い花吹雪が舞い包むような鍵盤メロウ「I Really Don't Care」へ流れ込み、Bilalの甘くも渋いヴォーカルが木漏れ日のように揺れるのが心地良いです。ぼんやりと蛍光ネオンが瞬くような、暈けた明滅が優しく音世界へと誘うマイルドでキュートな「Pleasure」。Bilalのヴォーカルもハリ弾力性をゼロにしてふかふかしたファルセットを多用しているので、どうも触った心地がしないなーとスカッた感覚を覚えるも、客演でBig K.R.I.T.が参加する事で途端に面白い骨組みが出来ています。真っ青な宇宙空間をメタリックなBilalのヴォーカルが遊泳するコスモソウル「Satellites」、宇宙的ではあるけれどやはりドラムスがサイケ感を消し生身の温かさを滲ませています。もはやPrinceでもやりそうにないほど、Bilalがエキセントリックでけばけばしいシャウトを炸裂させる「Lunatic」は、エレキギターの鳴りもドラムスの硬質な鳴りも鋭利なロックで痛々しくて気持ち良い(マゾ)。世間様的に注目曲となるのはやはり、Kendrick Lamarが客演で参加した「Money Over Love」でしょうか。鉄の雨が降る様にコチコチのビートが流れる中、Bilalが抹香臭い怪しげなヴォーカルを燻らせ、中盤でKendrick Lamarが熱波を飛ばすようなラップで斬り込むのがアグレッシヴ。高低差の激しく変形自在なBilalのヴォーカルがまるで、蠟のような妖しげな艶めきを鈍く光らせる「Love Child」。客演返しとなるKimbraが参加した「Holding It Back」は、お香を焚いた様に甘い香りが空中で混じり合うネットリとスモーキーなメロウ(酩酊)。柔らかなオルガン音がシャボンのように浮かぶ「Spiraling」も、吐息に近いBilalのヴォーカルがまるで光合成をするように、甘い光を吸収して膨らんでゆくのが心地良い。最後はブルージーで優美な「Bury Me Next To You」で幕切れ、光芒で輪郭の暈けたBilalのヴォーカルがほろほろと鼓膜に届いては崩れて融けてゆくのがたまらなく気持ち良いのです(恍惚)。

うーん、勿論Bilalですから好きですし独特の世界観でカッコイイんですが、僕的にはAdrian Youngをどう感じるかが大きい。当然Adrian Youngは全員から熱狂的な支持をされる現代随一のド渋いトラックメイカーであるのは知っていますが、僕はそこまで彼のサウンドにハマってりしないのが本音でして(鈍感)。そういう意味では、これまでの作品同様にBilalとSteve McKieを中心に創った方が僕は絶対に良かったと思うんですが(畏怖)。渋味はあったけれど品行方正な本作をとるか、奇抜で変態なこれまでの作品をとるか、Bilal好きでも分かれるところかも。






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Avant「The VIII」
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NBAのスター選手Magic Johnsonに見初められてデビューしたベテランシンガー、Avantの通算八作目となる『The VIII』を御紹介。Avantに関してはデビュー作だけ持っていないんですが、2nd以降はきちんと買って聴いておりますので、結局は好きな部類のシンガーで御座います。この拙いブログでも、前作『Face The Music』から遡り、『The Letter』『Avant』なんかは御紹介が出来ています。この浮き沈みの激しい音楽世界で、もう八枚ものアルバムを出しているんですから凄いですよね(感心)。Avantに関してはそんな特大ヒットってのもなかった気がしますし(「4 Minutes」だってもう9年前ですし)、きっと本国では結構な支持を受けているのでしょうね(憶測)。
まあくだらぬ前置きは止めて本題に取りかかりますと・・・・・・まず本作で多数の楽曲を手掛けているのがTravis Saylesってのが味噌、彼はJamie FoxxやAriana Grande、はたまたT.I.やMeek Millなども手掛けるProducerで御座います(Darkchild一派みたいですね)。なので、まずはそのTravis Saylesが制作した楽曲から触れてゆきたいと思います。スタートを切る「Find A Way」はJoseph Harleyとの共同制作で、真夜中に100万ドルの夜景を横目に、ハイウェイを駆け抜けるような流線形の目映い疾走チューンが艶やかなミッド。フワッフワの毛糸で出来たような、温かく柔らかなソウルメロウなトラックにクラクラしてしまう「Special」。Avant特有のハイトーンの透明なヴォーカルが、キラキラとイルミネーションみたく煌びやかに光り輝くのがとっても綺麗。月明かりに照らされた夜風が頬をかすめて抜けてゆくような「Apart」は、鮮麗でいてどこか物憂いメロディーがひらひらと漂う風月R&Bでしとやかで心地良い。スタートの荘厳なストリングスで重厚に滑り込む「Come Get It」はSteven FranksとTommy Brownとの共同制作。聴いているとなんだかビートが先行しているけれども、まるで水面を叩いて鳴らすようなビートで硬さを感じさせずかえってモイストな印象を与えるのが面白いミッド。胸の鼓動を埋め込んだビートが、Avantの代表曲である「4 Minutes」での秒針ビート使いとシンクロしてなんだか懐かしい「Best Friend (Part II)」。これは前作『Face The Music』収録の「Best Friend」の続編でしょうね、ノスタルジックでモノクロなメロディの浮き沈みに、Avantの残像を作りながら翻るファルセットがドリーミーで美しいんです。水玉のようなポワンポワンとしたメロディの膨らみが心地良い「Note」は湖で泳いでいるかのよう、ブクブクとどこまでも深く澄んだ水の中へ沈んでゆきます(潜水)。Avantのミネラルたっぷりなウォータリーな歌声が、鼓膜と浸透圧がピッタリ一緒でぐんぐんと浸透してくる純白ポップ「Mines Do」なんかも、ここ最近Avantが得意としている透明感のあるスッキリ味なトラックでグッド。小節でいうと後ろに重心を置くヴォーカルスタイルが現行のシーンらしい節回しの「You Know Better」は、Steven FranksとTommy Brownとの共同制作。Avantのヴォーカル自体がすごくライトでサッパリしているので確かに違和感は無いけど、客演で参加の男性シンガーMaloneの方がトラックに似合ったサイボーグ声を出していて上手い(惜敗)。Avantのシルキーでスベスベしたヴォーカルが鼓膜を切なく優しく包み込む「Take It There」も、やっぱり綺麗に澄み切った純水のようなトラックをチャプチャプと泳ぐような感覚がたまりません(快感)。最後を飾る「Doesn't Matter」はピアノバラードさながらで、夜の帳が下りるように静かにそっと囁くようなAvantのヴォーカルが、空間を優しく震わせて鼓膜にじんわり到達するのがグッド。とここまでがTravis Sayles制作の楽曲で、どれもやはり高水準でナイス。あとは、幾つもの光を束ねたようなシンセの曲線が、とても幻想的でまろやかな感触を生み出す光ファイバーミッド「Lights Off」はDot-N Proが制作を担当。Avantのヴォーカルが一筋の光のように鼓膜に届く、鮮やかで眩いミッドでこれは2000年代のR&Bライク。「I'm Not Telling」はVyacheslav Livinsが制作を担当したNe-Yoっぽい蒼白のフィヨルドミッド、もうとにかくトラックをレフ版代わりにしてキラキラと白く輝くAvantのヴォーカルにときめきます。

アルバム自体の統一感もあるのはTravis Sayles縛りで作ってるからで、すごく聴き易いです。嫌いじゃないのですが、せっかくだからAvantには『Ecstasy』や『Private Room』の時みたいな、露骨にセクシーなスロウなんかも歌って欲しいのが本音ですね。とは言っても、その頃でも結構トレンドを追った楽曲をやっていたから、Avantらしいと言えばそうなんですが。


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Jay Rock「90059」
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Black Hippyの一員としても知られるLA出身の若手MC、Jay Rockの通算ニ作目となる『90059』を御紹介。Black HippyはKendrick Lamar、Ab-Soul、Schoolboy Q、そしてJay Rockの四人で構成される、今やスーパーグループの一つ。そのJay RockはBlack Hippyの面々の中でも最もメジャーデビューが早く、その時にはTech N9ne率いるStrange MusicとTDEのダブル配給でのリリースとなっていたんですね(無知)。かく言う僕は、Jay Rockのデビュー作が気になりつつも、当時はベストなタイミングに在庫無しが続いていて、結局買えず終いだったのです(悲)。という訳で本作は結構待ち焦がれていた一枚で御座います、リリースのアナウンスからもかなり待たされてのリリースでしたし。 
という訳で聴いた感想をちょこっと書いちゃうと・・・・・・Black MetaphorとJRB 4 The Coalitionが共同制作した、鉄板で囲ったようなザックリした無骨な鉄骨トラックは金属を擦り合うような感触。そこにJay Rockの鉄槌のような硬度のある強烈なラップが、トラックをベコボコに叩きのめす「Necessary」でハードにスタート。バイーンバイーンと柔軟性のある膜を張るようなビートが膨張と萎縮を繰り返すバルーントラック「Easy Bake」は、Skhye HeutchにAntydote、Thankgod4cody、Chris Calorが共同で制作。ここでは盟友のKendrick Lamarも参戦し、ドロドロしたトラックで共に不穏に暗躍し、終盤ではウワウワとワウってくるPファンクみたいなトラックに姿を変えたところで、もう一人の客演であるSZAが華やかなヴォーカルで艶っぽさを与えます。船の汽笛のようにピィーンと段階的に甲高く上ずって鳴る音色に、朝靄のようにぼけて漂うトラックがメロウで90年代ライクな「Gumbo」は、J. LBSが制作を担当しております。濃霧が充満するようにダークで冷たいピリついたトラックの中で、Jay Rockのゴツゴツと硬いラップが崩落してくるのがタフでカッコイイ「Wanna Ride」はTaebeastとJ. LBS、Antydoteが共同制作。客演で参加したIsaiah Rashadのモンスターチックなフックもダークでクール、Jay Rockの少しメロディを含んだラップもナイス。どこか南国めいたフルーティな音色も絡め、微睡んだゼラチン質なトラック「The Ways」はJ. LBSが制作を担当。客演のSirが絡むことでいっそう甘酸っぱく滑らかに仕上がった熱っぽいミッド曲で、こういうソフトな曲でも無理なくフィットするJay Rockの雄臭いラップはなかなかのもの。ベース弦の爪弾きにボツボツと打つビートがクラシカルな装いでジャジーな「Telegram (Going Krazy)」もJ. LBSが制作、これも90年代フレイヴァー香る糖度が絶妙なソウルフルで燻し銀なメロウ。Jay Rockの鼓膜を焦がすような熱っぽく固い石炭ラップも格好良いし、まるでNate Doggみたいな甘ったるくも渋味のあるヴォーカルを聴かせるLance Skiiiwalker(調べたらこれはJay Rockのオルターエゴみたいで驚き!)も壮絶にナイス(鳥肌)。Jay Rockのラップが四方八方へと暴発した奇天烈なパワーボムチューン「90059」はTaebeastが制作を担当、ここでのJay RockはまるでOl' Dirty Basterdさながらのクレイジーで高血圧なラップで、ひっちゃかめっちゃかに吠えてのたうち回ります(狂気)。Black Hippyの面々が集結した注目曲「Vice City」はCardoとYung Exclusiveが共同制作、今の世代のHip Hopヘッズにとっては神曲になるのであろう一曲でしょうね(他人事)。僕的にはそれよりもDae OneとAayhasisが共同制作した「Fly On The Wall」で、客演にあのBusta Rhymesが客演で参加しているからコッチの方が重要。これがLAらしい夕暮れの海岸沿いを風を浴びてドライブするようなメロウチューンで、ゴツゴツとした厳つい二人がレイドバックして穏やかなラップを流しているのが心地良いのです(心酔)。FlippaとJ. Proofが共同制作した「Money Trees Deuce」も飴細工のように柔らかに曲線描き変形するホーンが効いた哀愁メロウで、またもや客演のLance Skiiiwalkerが良い味を出しています。最後はJ. LBSとSounwaveが共同制作した「The Message」で幕切れ、これもホーンの音色がシャボン玉のようにふわふわと浮かんでは消える艶っぽい一曲で、Sirのバックヴォーカルがなんとも言えないスウィートなテイストを加味していてたまりません。

Kendrick Lamarの作品ほどの意匠はなく、地味といえば地味。しかし。この無味無臭な素朴なビートとJay Rockの石炭のように黒く固いラップの融合は、単純にクールでカッコイイという(笑)。僕みたいな三十路は素直に楽しめるんじゃないかな、こういうビートが勝っているトラックって好きだなー、あまりセールスは揮わなかったみたいだけど。








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Miguel「Wildheart [Deluxe Edition]」
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独特の世界観でR&Bを刷新しているシンガー、Miguelの通算三作目となる『Wildheart』を御紹介。前作『Kaleidoscope Dream』は各方面で絶賛され、見事に人気シンガーの仲間入りを果たしたと思われるMiguel。オルタナティヴR&Bが世間に浸透し支持されている昨今、その旗手であったと言っても過言ではないと僕が思っているのが、坊主頭のデビュー作から追いかけているこのMiguelで御座います。本作のジャケットですが、このモクモクと煙たい渦に巻かれ、裸身の女性を抱くヌードのMiguelが卑猥で賛否両論みたいですが、僕は結構なお気に入りで御座います(変態)。
それではどんな中身なのかと申しますとこうなってて・・・・・・MiguelとHappy Perezが共同制作した「A Beautiful Exit」でスタート、エレキギターのリフがギリギリと鳴ることでメロディがゆっくり展開するのが強調され、銀河の星雲のゆっくりとした動きに似たトラックとヴォーカルの遊泳感が見事にマッチしています。「Deal」は@oakwudと@popwanselが共同制作したアッパーで、これなんかはFunkadelicとJimmy Hendrixが融合したような(サイケとロックの合体)感覚の一曲で、ネットリと粘液性の電子音を歪ませて四次元へ突入するトリップ感で、Miguelのトロトロに煮込まれたヴォーカルもサイケデリックでナイス。MiguelとFisticuffsが共同制作した「The Valley」は、強力な磁場に遭遇して電気系統がヤラれた宇宙船が操作不能になったような、ヘロヘログニャグニャとのたうち回るシンセに目暈がして気持ち悪い(賛辞)。本作からの先行シングルとなったのがMiguel制作の「Coffee」、夢うつつで目醒めたらまだ空も青白い夜明け前で、少し肌寒く感じながら濃いブラックのコーヒーを飲むような感触かな(意味不明)。あの夜と朝の境目に現れる刹那の幻想的な温度差が漂うトラックに、どこかしら少し半音ずり落ちたようなMiguelのヴォーカルがジワジワと鼓膜に沁みます(半覚醒)。ダムンダムンと打つ太鼓ビートが野太くタフな「NWA」はMiguelとBenny Cassetteが共同制作で、石造りビート主軸な部族的トラックの硬度に対し、終始MiguelはCurtis Mayfield気取り(彼より濃密でビターだが)でセクシーで線の細いファルセットを駆使するのが面白い。しかも客演には西の猛者であるKuruptが参加し、危険でヒリヒリとした囁きラップを沈殿させているのが肝でグッド。「Waves」は再びMiguelとHappy Perezが共同制作、70年代を彷彿とさせるレトロなメロディに、少し曇ったMiguelのハスキーなヴォーカルがシャウトするのがカッコイイ(痺)。アコースティックギターの温かく優しいメロディが香る「What's Normal Anyway」は@oakwudとSteve "Ace" Mostyn、Flippaが共同制作で、フォーキーで柔らかなトラックにボツボツと硬質なビートが打たれる構図が面白くて、まるで森林浴をしているように心が穏やかになる酸素たっぷりなミッド。鉛のように重たく鈍い光を滴らせる、一種の化学反応的なロックメロディがMiguelのヴォーカルをメタリックに艶めかせる「Hollywood Dreams」はMiguelとFisticuffsが共同制作。下に下にと重力で引っ張られるエレキギターの歪曲した音色に、Miguelのヴォーカルが鈴なりにくっついてゆくのが面白い。吹かすエンジン音でスタートする「...Goingtohell」はMiguelとBenny Blanco、Cashmereという強力な布陣での制作曲でやはり特殊。熟した女性の裸体のような艶かしい隆起の上で転がるMiguelのヴォーカルが、まるで柔肌を触った刺激で痙攣するように悶えるのがたまらないのです(電撃)。そのままゆっくりと時間をかけて密着して溶け合って、やがて果実が熟れて甘くねっとりとした匂いを放つような甘酸っぱさが充満する「Fresh」はMiguelとA.K. Paul、そしてまさかのRaphael Saadiqが共同制作した恍惚の愛撫スロウ。そんなジュクジュクに熟れたフルーティな音の果汁を滴らせて、ぐっちょりと濡れたヴォーカルで喘ぎ昇天するMiguelはもうただただエロい(賛辞)。やがて愛し合い果てた二人にも、瑞々しくて眩しい朝が来て、そのまま陽光の中のオフロードをひたすら地平線をめがけて走り続けるような、爽快に風を切るロック「Leaves」は@oakwudとSteve "Ace" Mostyn、@popwanselが共同制作。本作唯一となるLenny Kravitzを客演に迎えた「Face The Sun」はSalaam Remiが制作を担当、Lenny Kravitzのギターが聴き手のハートをギュッと絞ってスプラッシュさせる感触が爽快で、Miguelのヴォーカルも豪快に飛び散って眩しいかぎり(浴)。とここまでが本編の内容で、あとは豪華盤のみの追加曲が4曲収録されています。まずはMiguel制作(Co制作をBrook D'leau)のDrakeなんかが好みそうな突起物オルタナティブ「Gfg」、ビートとネバネバ電子音だけで聴いているうちに泥酔してしまいそうなMiguel制作の昏睡メロウ「Destinado A Morir」。やはりくぐもったエレキギターをジャリジャリと鳴らしつつも、それは大気圏を突破するまででその後は蒼く綺麗な銀河が待っているスペイシーなミッド「Simple Things」はMiguelとD'leauが共同制作。最後はMiguel制作の「Dammed」でバババババと弾いて打つ暗鬱なビートが、ソリッドで刺々しくクール。

これをR&Bと呼ぶべきなのか迷う程、雑食性に富んだいろんなサウンドアプローチがされた一枚。元々Miguel自体がオルタナティヴを過剰にしたような(褒言葉)、擬態性の強いカメレオンシンガーなので、多面性があって一歩間違えたら総崩れしそうな印象。でも一枚を通して聴く事を前提にやはり作られていると思うし、こうやって聴いているとどこかPrinceっぽいところもあるのかなーと感じたり。本作はこれまでのMiguel作品の中でもロック寄りな感触で、その変態っぽい音色や声色からもPrince作品に近いタッチで、どこかぶっ飛んでいて面白かったです。これで今年にThe Weekndの二作目が出ていなかったらば、とか変な邪推をしてしまいますね(笑)。






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Elijah Blake「Shadows & Diamonds」
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かのNo I.D.が設立したレーベル“Artium Records”所属のSSW、Elijah Blakeの記念すべきデビューアルバム『Shadows & Diamonds』を御紹介。Elijah BlakeはあのUsherの後期の名曲「Climax」のソングライトを手掛けた事で脚光を浴びたのですが、元々はRedd Stylezという名でもソングライティングをしていたのだとか。それこそ裏方としてのクレジットを確認したら、枚挙にいとまが無いのでもうここでは書きません(即決)。その後は腕を買われてJay Z率いるRoc Nationともマネジメント契約を結んだ経緯もあるElijah Blake(現在は解消しているみたい?)、という訳で下準備は完全に仕上がった状態での本作リリースで御座います。
それではザックリと聴いた感想を述べますと・・・・・・まずは、オペラとR&Bと民族音楽を癒着させたような、ダークに微睡むトラックが重厚な、 Beat Traffickedrs制作(Co制作をB. Slade)の「Shadows & Diamonds」でスタート。24カラットでカットされた彫りの深いヴォーカルが影を作りながら、時折と煌めくシンセが鉱石のような硬い輝きを放つミステリアスな一曲。まるでバサバサと羽ばたくようなElijah Blakeのヴォーカルと、なだらかにビートを紡ぐトラックがエキゾチックでスパイシーな熱帯夜ミッド「Everyday」はThe Orderが制作を担当。蹄のようなツタカタ鳴るビートと赤褐色な粘度トラックに、何度も繰り返す“えぶりでい♪”なフックが特異で耳にこびり付きます(中毒)。どこか遠く異国の地を彷徨うような、エキゾチックで刺激的なメロディが胸を打つメランコリックなSade風の朴訥な「The Otherside」はIllangelloが制作を担当。異国の風が音やビートの色味をさらってゆくような、どこかドライで錆び付いた感触がクールで、儚く寂しげなElijah Blakeのヴォーカルも胸をチクチクと刺します(空虚)。一つ一つの音色やビートを、澄んだ水の中にドプンドプンと潜らせるようなモイストなメロウがじんわりと広がる「I Just Wanna...」はDjembaが制作を担当。この曲も不思議でトラック自体は深層水みたいな感触なのに、Elijah Blakeのヴォーカルはまるで低空飛行をするような感触で、このチグハグさがだんだん交差するのが面白い。Christopher "C4" Umanaが制作した「Fading」は、オリエルテッドなメロディが色鮮やかにはためく壮麗なマイルドミッドで、Elijah Blakeの秋の葉が色づいてyくように色彩移ろうヴォーカルが切なくて繊細。「Uno」はTrakmatikとS. Fentonが共同制作で、大地を踏みしめ砂埃をあげて跳び上がるようなビートに、叫ぶようなフックなんかも含めて、まるで部族が祈りを捧げて踊るような一曲で躍動感と壮大なスケール感が凄い。タプンタプンとしたジェル状のトラックの中で電子音が優しく妖しく揺れ落ちる「Pinot」、そんな粘度の高いNo I.D.制作のトラックの中で、まるで果肉たっぷりな感触と甘味のElijahのヴォーカルがたまらなく美しいです(溜息)。轟々と燃える炎に赤く照らされながら、 肌を焦がしながら情熱を迸らせ夜通し踊り続けるようなアグレッシヴでネイティヴな「Live Till We Die」が面白い。Illangeloが制作した原始的なリズムと電子音が交錯したホットなダンスチューンで、原色使いの鮮やかなビートとメロディに乗って揺れるヴォーカルがクール。 半透明な電子音が細胞分裂を繰り返すようなドクドクと脈打つミッド「Bout That Life」はTrakmatikが制作、そんな複雑な電子音の細かな隙間を浸透してゆくElijah Blakeの蜜味なヴォーカルも素敵。綺麗に澄み切った淡水トラックの中を、銀色の鱗を光らせピチピチと優雅に泳ぎ回る魚みたいなElijah Blakeのヴォーカルが瑞々しくて美しい「Drop Dead Beautiful」はHappy Perezが制作を担当。ぼんやりと淡く発光する、微熱混じりな白夜の砂漠を歩くような「All Black Everuthing」はSalaam Remiが制作を担当。シルクロードを紡ぐような蜃気楼ソウルの中で、心地良く残像を揺らしながら放浪するElijahのヴォーカルが滑らかでやはり素晴らしい。「Armageddon」はNo I.D.が制作を担当したピアノバラードで、すべての戦いが集結し焼け野原となった地に、たった一輪の白い花がそっと咲くような、そんな可憐でいて芯のある凛としたElijah Blakeのヴォーカルが胸に刺さります。これまでの熱帯雨林なトラックで鬱蒼と茂った鼓膜を、急転したEDM調の弾けたビートと共にスプラッシュしまくるヴォーカルでバシバシと伐採してゆくのが痛快な「Rockabye」はChris Locoが制作を担当。しかしこれもヴォーカルワークにとても緻密な計算がなされていて、まるで伐採ビートをすり抜けるように疾走する軽妙さ(とコーラス)が凄い。Happy Perezが制作を担当した「Angel Dust」は、前半と後半でメロディの変わるツートーン仕様の極上スロウジャム。Elijah Blakeのヴォーカルが金色の鱗粉を撒きながら駆け、次第に強烈な光と熱を纏って舞い上がって、天空をも黄金色に染め上げる壮大なドリーミーソウルでもうたまりません(昇天)。最後は「I Just Wanna...」に、今メキメキと人気急上昇中の女性MCのDej Loafが新たに参加したバージョンを収録。Dej Loafのコケティッシュなラップが華を添える、ナイスな一曲でしっくり来ます。ちなみに豪華盤と通常盤では収録曲数&順が違っていて、ここで紹介した「Bout That Life」、「Rockabye」、「I Just Wanna...」のDej Loaf参加Ver.は、豪華盤のみの収録となっています(追記)。

全編を通してアフリカ的なテイストの漂う、エスニカルなR&Bといった新感触な仕上がりで驚き。感想を書く上でも今年最も難しかったというか、これをどう表現していいのか分からず戸惑いました。と同時に聴き始めた時はしっくり来ず、微妙だとさえ感じていました。でも聴いている内に結局はドハマりしている自分がいて、こうやってブログで取り上げるのにも時間がかかってしまいました。ここ最近のR&Bのガラパゴス化を更に加速させた一枚、要注意で御座います(警告)。






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All-4-One「Twenty」
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Jamie Jones、Delious Kennedy、Alfred Nevarez、Tony Borowiakの四人で構成される熟練ヴォーカルグループ、All-4-Oneの通算七作目となる『Twenty』を御紹介。All-4-Oneは異人種混合の珍しいグループで、94年に『All-4-One』でデビューした老舗グループですね。僕も最初の三作までは持っているのですが、その後の三作品はあまり流通していないのか、お見かけする機会が無くて買わず終いで御座います。しかし、本作はタイトル通りにAll-4-Oneのデビュー20周年記念という事で、祝福もかねて購入した次第であります。なので本作は新曲に昔の名曲を追加新録した一枚になっております、『Twenty』と言えばBoyz II Menも20周年を祝してリリースした『Twenty』も、同様に昔の名曲を新録していましたね
それでは内容をちょことちょこと書いていきますね・・・・・・まずはG'harah "PK" DegeddingsezeとThe Heavyweightsが共同制作した「Goin Crazy」でスタート、華やかで爛漫なオールドソウルなトラックで、All-4-Oneの鮮やかな極上のハーモニーを堪能できるナイスなスタンダード曲。Jackson 5「I Want You Back」を下敷きにしたであろう、キュートに弾けるモータウンソウルな「Baby Love」はMatty Fre$hが制作を担当。鍵盤音がキラキラとシャイニーな鳴りを聴かせ、途中でスクラッチが滑り込んだり、All-4-Oneのステップを踏む様に軽やかなハーモニーが舞う素敵な一曲。彼ら得意の透明感溢れる、優しくて温かなハーモニーに鼓膜がそっと包まれる「Chariots」はAndreas Stone Johanssonが制作を担当。まるで凜とした朝にそっと訪れる朝霜のように、可憐で潤いたっぷりなスロウメロディに、All-4-Oneの後光が射しているハーモニーが奏でられて昇天してしまいます。Monte NeubleとTim Stewart、それからThe Heavywightsが共同制作した「Life At All」は、少しシャドウのかかった哀愁漂うブルージーなミッド。枯葉を踏みしめ歩くような、乾いたビートが寂寞感を強め、All-4-Oneの侘び寂びを熟知したハーモニーが吹き荒ぶ一曲。最近やたら流行りの60年代ソウルのリバイバルみたいな、ゴーゴーしてスウィングしちゃうサウンドが痛快な「Say What You Want To」はUTAとThe Heavyweightsが共同制作。こういうはしゃげたドカドカチューンで、オジサマ軍団なAll-4-Oneがシャウトして汗かきコーラスを炸裂させるのはやっぱり痛快。90年代R&Bの感触を思い出させてくれる、洗練されたスッキリビートと甘酸っぱくも流麗なメロディーが鮮やかに駆け抜ける「If We Fall」はThe Heavyweightsが制作を担当。この風を切ってゆくようなナチュラルさと、それでいてファルセットで翻る色ツヤ感の共存はベテランならではの仕上がりでたまらなく流麗です(骨抜)。All-4-Oneらしい(良い意味で)黒くない乳白色なマイルドバラード「Now That We're Together」もThe Heavyweightsが制作。All-4-Oneのクラシカルでスマートなハーモニーがじんわりと沁みてくる、キラキラと眩いゴスペル調の美曲。一糸乱れぬ美しいハーモニーで鼓膜の感度が数倍上がる、ドゥーワップ調の王道アカペラ曲「Save It All 4 Me」はDelious Kennedyが制作で、こういう正統派なコーラスが出来るグループはもはや絶滅危惧種。ビッカビカに光り輝くシンセサイザーの鳴りが、レトロでなんともマブい(死語)ダンスチューン「What Goes Up」はThe Heavyweightsが制作、カラフルでけばけばしい電子音の弾け方が面白い一曲。Delious KennedyとClarence Jeyが共同制作し、ラッパーのRob Youngなる男が客演する「Who Do You Love」なんかも、90年代の俗に言うHip Hop R&B(Bad Boy Records的)なノリがクールで爽快でグッド。なんだかRick James曲みたいな、グニグニと弾力のある電子音の弾け方がなんとも面白いテクノ混じりの「Lose It」は、Andreas Stone JohanssonとAlexander Holmgrenが共同制作。「Smile」はThe Heavyweightsが制作したフローラルでハリのあるトラックで、フレッシュでどこかMichael Jackson的なドリーミーと繊細さも漂う一曲。またまたThe HeavyweightsとJason Pennockが共同制作した「I Won't Let You Down」も、やはり壮大で純白なバラードでもう心地良く身を預けるしかありません。最後はG'harah "PK" DegeddingsezeとThe Heavyweightsが共同制作で、あのShanice WilsonとDebelah Morganが揃って客演参加した鉄壁チューン「Go To Bed」で幕引き。陽光に溢れる大自然の中で寝転がるような、目にも眩い緑が揺れるようなリフレッシュミッドで、全員のどこまでも澄んだ歌声が光に満ち溢れる素敵な一曲で御座います(感動)。とここまでが新曲で、あとは彼らの素晴らしい名曲である「I Swear」「I Can Love You Like That」「So Much In Love」「Someday」「(She's Got) Skillz」「I Turn To You」などが収録されていますが、これらの楽曲はまたオリジナルアルバムの折に触れるとしましょう。

絶対に買い!とは言いませんが、彼らの代表曲も聴けるし新曲達も良い出来ですし、買って絶対に損は無い一枚で御座います。元々All-4-Oneはポップに近いグループだと思うので、こういうハーモニーを歌えるのも彼らならではかと思います。あとはジャケットのセンスが抜群にイイ、このジャケットだけで買う価値アリです。


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Leona Lewis「I Am [Deluxe Edition]」
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英国が誇る美形シンガー、Leona Lewisの通算四作目となる『I Am』を御紹介。英人気オーディション番組“X-Factor”の優勝者、なんていう紹介はもう飽きる程したのがこのLeona Lewis。Leona Lewisのその美貌が僕のとことんツボで、もっとR&B寄りになってくれたらなーと不満に思いつつも、好きで絶対に買ってしまうんです(下心)。前作『Glassheart』のジャケットが史上最高にイイと思っていたんですが、本作『I Am』のLeona Lewisの美しさはそれを超えてきましたね(拍手)。その前作からおよそ三年ぶりとなる本作、前作はリリースまで結構手こずっていたので、今回は順調にリリース出来たのかなと。
それでは簡素に感想を書き上げますが・・・・・・まずは、壮麗なピアノ鍵盤の旋律と勇ましいドラムスの行進ビートが共存する「Yhunder」で静かに威風堂々と幕開け。制作はToby Gadが担当で、雨上がりに晴れ間がカッと広がるようなあの不思議な光の感触を覚える神々しいミッド。本作からの先行カットとなったのが、またもやToby Gadが制作した「Fire Under My Feet」。ケンケンとけたたましく鳴る尖った鍵盤音に、ぶっとくドラマチックなドラムビートが発破する、力強いダイナマイトファンク。昔ならばChristinaが好んだであろうこのトラック(どこかAlicia Keysっぽい麗しいファンクも感じる)はLeona Lewisにとっては新境地、清廉として鮮やかに翻るLeona Lewisのシャウトが強烈爽快でグッド。Leona Lewisの氷の彫刻のような、どこか脆くて刺々しいヴォーカルが鮮麗に響く透明感のある悲哀のバラード「You Knew Me When」もToby Gadが制作を担当(ソングライトにはDianne Warrenが関与)。Eg WhiteとToby Gadが共同制作した「I Am」は、ドタドタと強く叩かれるドラムビートと共に突進する白光アッパーで、Leona Lewisのガラスのようなヴォーカルが薄く光るアップ曲。眩く点滅する電子音が英国らしい上品なエレクトロポップに、Leonaの上品で瑞々しいウォータリーなヴォーカルが弾けている「Ladders」はWayne WilkinsとKevin Anyaejiが共同制作。この曲のピチャピチャとした電子音の水玉っぷりがなんともキュートで、ファルセットを閃かせて歌うフックも気持ち良い。遊牧民的なゆっくりとしたビートが躍動感を生み出し、果てしのない白銀の世界を駆けるようなエスキモーポップ「The Essence Of Me」はToby Gadが制作を担当。こういう白銀ポップにはLeona Lewisの雪の結晶化されたヴォーカルがとても合い、フックでのリフレインがまるでブリザードの様に鼓膜をさらってゆきます。「I Got You」もToby Gad制作の純白ポップな一曲で、ピアノ鍵盤を基調とした透明感溢れるメロディに、徐々に加速する銀色のビートが爽快な一曲。土着的でエキゾチックなフックが野性味溢れるも、どこか不思議な銀世界へと誘ってしまうLeona Lewisのヴォーカルが綺麗な「Power」。制作はJim Elliottが担当で、途中でトークボックスっぽいエフェクトを使ってクールダウンする部分が途端にSFで好きな一曲。TMSとToby Gadが共同制作した「Another Love Song」は真鍮製のエレクトロなダンスナンバーで、これはちょっと好みは分かれそうな気がしますね。最後はToby Gadが制作の優美なピアノバラード「Thank You」で、Leona Lewisの慈愛に満ちた無垢なヴォーカルがひらひらとハートに降り注ぎます(昇天)。とここまでが通常盤の内容で、ここからは豪華盤のみのボーナス曲になります。まずはToby Gad制作の白銀スロウ「Thick Skin」は、やはりLeona Lewisが深々と綿雪を降らせて聴き手の心をゆっくり真っ白にします。続く「The Best And The Worst」はToby GadとNaughty Boyが共同制作、これも清く澄んだピアノバラードで乾いた心にグングン沁み込みます。あとは「I Am (Acoustic)」「Thunder (Acoustic)」「Fire Under My Feet (United Studios Session」とオマケ的な曲ばかりなので割愛します。

やはりLeona Lewisは白銀の世界を作り上げる雪の女王で、どんな音をも濾過して綺麗にしてしまうヴォーカルの持ち主。もっとソウルフルな一枚になるかと思いきや、やはりデビュー以来の純白ポップ路線は捨て切れないみたい(混迷)。その点はやはり、あのToby Gadがほぼ半数のトラックメイクに関与しているからでしょう。悪くはないんだけど、もっと歌えるんだから勿体無いかなぁという気も。でも、これから肌寒くなって冬場になると、もっと活躍しそうな一枚です。






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Future「DS2 [Deluxe Edition]」
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現在の客演王ともいえる活躍をする、Futureの通算三作目となる『DS2』を御紹介。Organized NoizeのRico Wadeの従兄弟でもあるFuture、そのトラックメイクセンスでRihannaやCiaraなどと絡むなど意外にも多才な男。Futureに関してましては、デビュー作である『Pluto』前作にあたる『Honest』も大好きで、年間Top10では必ず上位三位にランクインさせる程、僕はFuture信者で御座います。Ciaraとの別離でいろいろとゴタゴタしているのが気に喰わないですが、まあそこは音楽と切り離して考えるべき。本作は突如として発売されて驚きましたね、しかしその効果もあってか自身初の全米一位を獲得しておりますね。
まずは、もはやFutureの名相棒となっている売れっ子、Metro BoominとAllen Ritterが共同制作した「Thought It Was A Drought」でスタート、ちなみにMetro Boominが本作最多の楽曲を制作していますね。濁流がすべてをクラッシュしながら飲み込むように、ドロドロと粘度の高い電子音と、Futurewのヘドロのように毒々しいラップが鼓膜に粘膜を張るのがたまりません。ジージージーと強力な磁場で結界を作り、聴き手を呪縛してしまうノイジーなトラックも中毒性抜群な「I Serve The Base」もMetro Boomin制作。こういうベタベタと平面なトラックをFutureは得意とし、彼の何度も繰り返すフックが次第にネバネバと糸を引いて鼓膜を捕らえます(逃避不可)。ポポロンと木琴みたいな音色がボンヤリと鬼火のように浮かんでは消える「Where Ya At」、制作はMetro Boominが担当。濃霧が立ちこめる幽玄なトラックに、まるで読経のようにベッタリと扁平なFutureと、客演のDrakeとの相性も抜群で平行線なラップが渦巻く一曲。「Groupies」はMetro BoominにSonny Digital、Southsideが共同制作、ボムボムと鳴る弾力ビートでメキメキモリモリと次第に筋骨隆々に変形し、巨大化してゆくステロイド剤シンセが強烈なトラップチューンは病み付き(混乱)。Futureの浮ついた高音のヘロヘロラップが蜃気楼のように揺らめき、聴き手を翻弄する「Lil One」はMetro BoominとSouthsideが共同制作。シンプルに波紋を広げるダークなトラックに、Futureの残響を逆手にとって衝撃波に変えるラップが鼓膜を鈍く打ち砕きます。キーーーンとつんざめく金切り音みたいなアラーム音が鼓膜を突き刺す「Stick Talk」はSouthsideが制作、単調なシンセの余波に乗っかりFutureが残像をちらつかせる得意のラップで、分身の術を繰り出すから逃げられないです。Metro Boomin制作の緻密に計算された雑多ビートの凹凸で聴かせる「Freak Hoe」は、Futureの重たいラップが連打する逆水平チョップのように鼓膜にズシンズシンと効くヘヴィーな一曲。ローションみたいにヌルヌルした電子音の連続に、Futureの銀塗りされたラップが怪しい光沢をギラつかせ反射する「Rotation」はMetro Boomin制作曲、やっぱりこのノロノロしたスローモーションなラップが耳に残ります。キュービックなトラックがゴツゴツと転がる「Slave Master」はMetro BoominとSouthsideが共同制作、多面体のように角張って次々とトランスフォームしてゆくような、Futureの幾何学的なラップがじわじわクール。ボタボタと滴り落ちるような焙煎ドリップなFutureのラップが旨味たっぷりな「Blow A Bag」、制作はMetro Boominでもうお腹いっぱいと思うけれどまだ入る不思議。「Colossal」はFutureのもう一人の相棒、Zaytovenが制作を担当した溶かした鉛のような重厚チューン。本作で最も僕が好きなのが、Metro BoominとSouthside、Frank Dukesが共同制作したメロウ「Rich $ex」。まるでプラネタリウムのように夜空をゆっくり転回させたようなトラックに、流星群のように幾筋も弧を描いて放射する、Futureの柔らかくメロウなラップが心地いいセクシーなミッド(泥酔)。ピアノ鍵盤の鮮麗な音色や冷気を帯びたシンセが綺麗な、まるで零下の夜空のように凍てついたトラック「Blood On The Money」はMetro BoominにZaytoven、Cassius Jayが共同制作。零下トラックに合わせて、Futureのヘロヘロと繰り出すラップも白く曇るのがミステリアスで美しい。とここまでが通常盤の内容で、ここからは豪華盤のみのボーナス曲がなんと5曲アリ。まずはSouthsideが制作した、ガスの充満する幻想ミッド「The Percocet & Stripper Joint」。つんのめるように前のめりなラップや宇宙人みたく変声するエフェクトなんかに、FutureのDungeon Family縁者な空気感を感じる、どこか宇宙旅行的というかSFな質感のあるトラックがグッド。ピコピコ鳴る電子音に合わせて、Futureのラップがフラッシュする「Real Sisters」はZaytovenが制作。コチコチに硬い鉄骨ビートが的確に撃たれ、その振動でヒラヒラと散ってゆくピアノ鍵盤が鮮麗な「Kno The Meaning」。Southside制作のこのトラックは、これまでで最もシンプルなだけにFutureのエフェクト無しの流水のようなラップが際立つ。最後はSouthsideとDJ Spinzが共同制作した「Fuck Up Some」、ドロドロと蠢くマーブル模様のトラック&ラップでもうクラクラフラフラで御座います。

これまでのFuture作品の中でも振り幅が最も少なく、本当にFutureが好きでないと聴くのがしんどいのでは(心配)。これまでの作品に比べて、客演がDrakeのみというのもあるだろうし、用意されたトラック群もどこか低体温でおとなしい曲の連続でした。僕的には前作『Honest』の方が好きかな、本作の前に出されたミックステープ『Beast Mode』(Zaytovenとのタッグ)も良かったから、あの『Beast Mode』を増築してフィジカルで出して欲しかった気もするけれど。








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Lianne La Havas「Blood」
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かのPrinceの寵愛を受けるLondon出身のSSW、Lianne La Havasの通算ニ作目となる『Blood』を御紹介。ギリシャ系の父(マルチ・インストゥルメンタリストで、その父からギターを習ったそう)と、ジャマイカ人の母との間に生まれたLianne La Havas。Q Magazineでも“2012年期待の新人”と賞賛され、放ったデビュー作『Is Your Love Big Enough?』も素晴らしい出来映えでした。その後も御大Princeの作品に二度も招聘されるなど、かなりの溺愛されっぷりも気になりますね(やはり美人だからか?)。
とまあグダグダな前置きはもう充分だから本題に・・・・・・まずは、Paul Epworthが制作を担当した流水のような「Unstoppable」でスタート。まるで湧き出る泉のように透き通っていて、奔放自在に流れてゆく美しい音色が、聴き手の感性を柔らかく解きほぐしてゆくドリーミーなスロウ木漏れ日が眩い深緑の中を駆け抜けるような「Green & Gold」はJamie LidellとLianne La Havasの共同制作、オーガニックで清々しい弦音が心地良く揺れるミッドで、どこか小鳥がさえずるように囁くようなLianne La Havasのヴォーカルがなんとも優美でたまりません(痺)。いかにも英国マナーな品行方正でエレガントなメロディーの運びが朗らかな「What You Don't Do」、制作はMatt Halesが担当(Co制作にはあのAl Shux)。なんだか淡々としているようでいて、あちこちにカラフルでオシャレな音色が咲いている花園のようなトラックで歌声もやはり素敵。ギターの優しくぼやけた音色が、光の乱反射みたくキラキラと眩しくて眩暈のしそうなミステリアスミッド「Tokyo」もMatt Halesが制作を担当。ギターとパーカッションが東京の乾いた風のように吹き抜けるのが寂寞感を増幅させるし、Lianne La Havasのエキゾチックでブルージーな歌声が胸をキュンと締めつけます。またまたMatt Halesが制作を担当した「Wonderful」は、月夜の浜辺をゆっくりと、裸足で砂に縺れ撫でるように歩くような、そんなきめ細かなメロディーが胸に沁みてくる繊細スロウ。月光に照らされ、黒く深い海が小さな光の粒をきらつかせ、遠く海鳴りとさざ波の音がさらさらと流れる感触。月に吠える狼のようなLianne La Havasのヴォーカルが凛々しい「Midnight」はStephen "Dl Genius" McGregorが制作を担当、これほど極細なタッチで描く水彩画のような生音トラックに、これほど強靭でソウルフルなヴォーカルが合うだなんて驚き。アコースティクギターを爪弾くモノクロ調のメロディーを、打ち砕くようにバツバツと鳴るドラムスに、電光石火のように尖り荒ぶるトラックとヴォーカルが鮮烈な霹靂ソウル「Grow」。制作はMark Batsonが担当で、まるで空中放電にも似たLianne La Havasの鮮烈なヴォーカルの鼓膜への衝撃が美し過ぎます(気絶)。小雨に降られて濡れるフォーキーなスロウ「Ghost」はMatt Halesが制作、落ちた雨粒が乾いた地面にポツンポツンと消えてゆくような、そんな刹那的な美しさのあるLianne La Havasのヴォーカルが綺麗。再びMark Batsonが制作した「Never Get Enough」は最高にクールで、アコースティックギターの爪弾く部分とエレキギターを歪ませ暴れる部分のツートーン仕様が面白い。どこかヒステリックなこの切り替えも、Lainne La Havasの類い稀なヴォーカル技術で鋭利かつ繊細に仕上がっていて、昔のKelis曲を思わせる奇天烈ぶりかも。夜明け前が最も暗いという事を教えてくれる「Good Goodbye」もMatt Halesが制作、暗く始まるのですが、だんだんと陽が昇り空が白んでくるように、トラックもLianne La Havasの眩いヴォーカルに温められて、じんわりと朝露を帯びて淡く変色してゆくのが素晴らしいのです(癒)。

やはり基本的には、繊維たっぷりな植物性ソウルでハートに優しいですね。しかし本作は前作に比べ、(良い意味で)二重人格を疑いたくなるようなスイッチも時折あって、ちょっぴり刺激的でもあったりしました。という訳で前作よりも格段の進化を遂げていると断言できる、Lianne La Havsでしか創作できない素敵な一枚となっております(拍手喝采)。






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Jordin Sparks「Right Here Right Now」
Right Here Right Now

父親は元NFL選手のPhillippi Sparksだという(それであの体格かと納得)、Jordin Sparksの通算三作目となる『Right Here Right Now』を御紹介。Jordin Sparksはアメリカの人気オーディション番組“American Idol”で、当時最年少での優勝を果たした実力派で、その実力でミュージカル映画『Sparkle』の主演にも抜擢されたり、すっきりシェイプアップして綺麗になったり、Jason Deruloとの堂々とした熱愛っぷりなど、話題には事欠かないシンガーであります。しかし、結婚秒読みだろうと思っていたJason Deruloとまさかの破局。シングルになってから初、前作『Battlefield』からは約6年ぶりとなる本作、こういう転換期(恋人との別離)に発表する作品というのは気になるものです。
という訳で期待にソワソワしながら聴いた本作はとどんなだったか・・・・・・まずはKey WaneとSALAAMREMI.COM(これに慣れない、やはりSlaam Remiだ)が共同制作した「Work From Home」で幕開け、客演にはB.o.Bが参加。煌びやかなメロディーに弾けるようなホーンが鳴るアクセントがまるで、パリッと糊の効いたドレスシャツのようにクラシカルでスマートに仕立てる流麗チューン。Jordin Sparksの透き通ったヴォーカルも滑らかで良いし、B.o.Bのピュンピュン鳴るラップもクールでグッド。Dem JointzがCharles Mingus「Moanin」をサンプリングして制作した「1000」は、ホーンがメロディーをグリップして滑らず鳴る摩擦係数ゼロのアッパーで、客演のJ-Doeの煙たいラップも手伝ってダークでカッコイイ。エキゾチックでスパイシーな灼熱ビートが踊る「Right Here Right Now」もDem Jointzが制作、そんなホットなトラックもJordin Sparksの歌うフックはとても清冽で眩くい薄造りでその濃淡の対比が面白い一曲。パコパコと空気を含んだようなビートが点滅する「Double Tap」、制作はJonas Jebergで現行のトレンドをきっちり意識したナイストラック。ここでもフック前のソリッドでビート主導な部分と、フックでのJordin Sparksのスッキリと清涼な強炭酸なヴォーカルのツートーン仕様が面白くクセになるし、後半にモッタリとした気怠いラップで絡んで来る客演の2 Chainzも面白いんです。ピアノ鍵盤の音色がパウダー状になってきめ細かな光を演出する、チャーミングなアップチューン「Boyz In The Hood」もJonas Jebergが制作を担当、これなんかはモロにMariah Carey路線を狙ったポップとR&Bのイイトコ取りなミッド。DEEKAYが制作を担当した「Silhouette」は、色香のあるJordin Sparksのヴォーカルがまるでスチームのように立ち込めてくすぐったいとろーりミッド。しっとりと潤いたっぷりな、これまた透け感のある高貴なシースルー仕様なトラックも抜群に美しいんです(溜息)。BabyfaceとSalaam Remiが共同制作という鉄壁なバラード「They Don't Give」、海中に射す光のようにユラユラと妖しく暈けた光彩がうっとりするぐらいに美しい一曲で、Jordin Sparksの優しくスウィートな歌い回しはBabyface節そのもので清純。ミネラル分たっぷりの淀みのない液状シンセ音に、ヴォーカルが沈むとも泳ぐともつかない感触で戯れる潜水スロウ「Left....Right?」はCradaなる人物が制作。これもまるでヒレでも生えているかのように優雅に泳ぐJordin Sparksのヴォーカルが魅惑たっぷりで、聴いているこっちまでエラ呼吸になってしまいそうな程の水深まで引き込まれます(耽溺)。とここで流れを良い意味で断ち切り、乾いた陸へと上がる「Casual Love」はDernst "D'Mile" Emileが制作を担当。夕暮れの海辺で感じる薄らいだ熱感が心地良いトロピカルなトラックに、ココナツミルクみたいな甘さのJordin Sparksの歌声と、客演のShaggyのヴォーカルが溶け合うのもナイス。TrakmatikとRochad Holidayが共同制作した「Unhappy」では、Elijah Blakeが客演で参加という事で要注目。夜霧が月光を霞ませるような暈けた発光に似た質感、湿気を帯びてしっとり滑らかな電子音とビートが妖しく漂う極上の湿潤スロウです(骨抜)。この幻想的なトラックにJordin Sparksの清らかな高音と、悩ましく繊細なElijah Blakeのヴォーカルが溶け合うのがまた素敵なんです。「Tell Him To I Love Him」はあのThe Underdogsが制作で、ムチムチでハリのある高音ヴォーカルがパチンと弾けて、水面みたいなトラックを打って水飛沫に似た色彩を放つのが綺麗で、それがそのままこの曲の躍動感に繋がっています。「11:11」はSlaam Remiが単独で制作で、湿度80%で鼓膜にまで水滴が付く超濃密モイスト曲、トラックからヴォーカルまで蒸気を出しまくりで加湿は万端、もはや湯気みたいなモヤモヤしたトラック中で曲線を描いて揺らめくJordin Sparksの歌声がセクシー(鳥肌)。これまでに氾濫した液状シンセを飲みこむような排水管的なビートの鳴りがミステリアスで素晴らしい「100 Years」、制作はKey Waneが担当。そんな排水管的ビートを通って、結局はまた全く音の届かない水中へと漂い始める、どこかJanet Jackson曲みたいな静けさが艶やかなミッド。最後はDijon "DJ Mustard" McFarlaneとMikely Adamsが共同制作(ソングライトにTy Dolla $ignが関与)した「It Ain't You」で〆、これはもう彼ららしい反復スナップで毒々しく揺れるダラダタバウンスチューン。

ゴチゴチのポップを得意とするJason Deruloへの当てつけなのか(邪推)、Jordin Sparksは思い切り純度100%のR&Bへと舵を切った本作。これが何気に成功していて、やはりあれだけの歌唱力ですから、白っぽい曲も清廉で良いけれどコッチの作風の方が好きです。流行のトレンドに目配せしつつ、昔からのR&B好きも射程圏内に入れウインクしちゃうJordin Sparks、優等生ですね。






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