RocBox 2

自分の持っているR&B、Rapアルバムを聴いての感想を偏見で綴る。音楽に関する知識はほぼ無し、雰囲気で語る。

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プロフィール

Queen

Author:Queen
生年月日:1983年11月28日
星座:射手座
性別:男
血液型:A型
趣味:古典的推理小説読書
    黒音楽に浸る

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R. Kelly「The Buffet [Deluxe Edition]」
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今やR&B界の重鎮となった、R. Kellyの通算十三作目となる『The Buffet』を御紹介。Public Announcementを伴ってNJS調でシーンに登場してから、手を替え品を替えでずっとヒットを飛ばしているR. Kellyも、そのデビューからもう25年近く経っているんですね(驚愕)。その高いソングライト能力で数々のヒット曲を生み出し、落ち目だった(世間の悪態の標的となっていた)Michael Jacksonに「You Are Not Alone」という復活のヒットをもたらしたり。プライベートでは当時未成年のAaliyahと結婚したり、児童ポルノで裁判沙汰になったり(後に無罪)と波瀾万丈なR. Kelly。しかし、音楽活動は順調そのもので、前作『Black Panties』もエロ好きのR&Bファンに大ウケしましたっけ。
それでは内容がどんな風になっているか確認・・・・・・まずは「Poetic Sex」でマッタリと甘く幕開け、制作はR. KellyとSamuel HindesでサンプリングにYves Duteil「Lettre à mon père」なる曲が使われているみたい。水面に映ってそっと揺れるようなピアノ鍵盤の波紋の中で、ヘロヘロとしたエフェクト駆使のR. Kellyのヴォーカルがしっとりと響く壮麗な一曲。R. KellyとDernst D'Mile Emile IIが共同制作した「Anything Goes」は、Ty Dolla $ignが客演で参加。なだらかな曲線を描くボディラインを流れる汗のように、熱を帯びて震える電子音が美しいスローチューン。滑らかでに舐めるようなR. Kellyのエロいヴォーカルと、Ty Dolla $ignの少し嗄れた悶えて吠えるようなヴォーカルがオイリーでグッド。Aaliyah没後発表曲「Come Over」をあしらったこの曲は静かで神秘的で、R. Kellyの男性的に逞しく柔らかな歌声と、客演のJhene Aikoのコケティッシュで可憐でいやらしい歌声の共振はまるで、真夜中の小さく静かな空間で密着し合う男女の溶けるような吐息が優しく重なる感触でセクシー(墜)。ド変態な歌詞が物議を醸した(笑)「Marching Band」はDr. LukeとCirkut、A.C.とR. Kellyが共同制作。バブバブと鳴らすチューバをアクセントにシルキーなメロディを被せたトラックは上品そう、だからこそのR. Kellyのセックスをマーチングバンドに喩える愉快さが活きる、こういうぶっとくしなるトラックだから、Juicy Jの大砲みたいなラップが援護射撃なのもナイス。「Switch Up」はR. KellyとJholt、Cmetが共同制作で、客演にはLil WayneとJeremihが参加。ペリペリと捲り上がるようなメロディがザクザクとしたウェーブを作るエッヂーなミッドで、こういうトラックだとJeremihが上手く感じるし、Lil Wayneは面白い。R. KellyとS1、Epikh Proが共同制作した「Wanna Be There」では、愛娘であるAriirayeが客演参加。粘液チックに糸を引く様に鼓膜に絡み付く流動スロウで、思ったよりキュートな歌声のAriirayeがなかなか有能。R. Kelly得意のシカゴステッパーズ調なキラキラチューン「All My Fault」はやはりR. Kellyの単独制作、これまでの彼のこの路線の曲と大差無いけれど、それでもこの手のサウンドでラグジュアリーに輝けるのはR. Kellyのシルキーなヴォーカルだけ。軽やかさはそのままに、でも少しビートに芯を持たせて鮮やかに弾ける「Wake Up Everybody」もR. Kelly制作のエレガントなダンスチューン(舞)。「Get Out Of Here With Me」はR. KellyとDonnie Lyleが共同制作した煌めきたっぷりな星雲系のスロウで、ゆっくりと転回する天体と星座のようなメロディに、R. Kellyの芳醇で濃厚なヴォーカルが鼓膜を優しく包み込みます(惚)。本作からの先行カットとなったのがR. Kelly節炸裂の艶やかなパーティーチューン「Backyard Party」、Marvin GayeとRonald Isleyを足してニで割った様な朗らかで清冽なメロウに、華やかでフローラルな香りのするR. Kellyのヴォーカルでもうノリノリ(踊)。「Sextime」はR. KellyにBigg Makk、Andre Manuelが共同制作、じわじわと忍び寄るような夜這シンセの微弱な波がゾクゾクするし、ミルフィーユ状に織られたR. Kellyのクールな歌声もビンビン響く(濡)。最後はR. KellyとCashmere CatとAmmoで共同制作した「Let's Be Real Now」で、客演には今一番カワイイシンガーのTinsheが参加。熱帯仕様なビートとメタリックな曲線のシンセが融合した原生SFなダンストラックは、完全にTinasheを意識した作りで彼女の方が映えているかも。本編はここまでで、ここからは豪華盤のみのボーナス曲が5曲も収録されております。まずはR. KellyとMaejorが共同制作したスパイスたっぷりの焦がしアフリカンチューン「I Just Want To Thank You」で、客演のナイジェリア出身シンガーWizkidと共にアグレッシブで情熱的なアッパーを展開。R. Kelly単独制作の「Keep Seachin'」なんかは、完全にMichael Jackson的な歌い方で彼への提供を試みた(でお蔵入りになった)トラックかもと邪推してしまう程。小気味のいいギターの弦音がメリメリと剥がれ落ちる「Sufferin'」のヴィンテージ感はカッコイイし、R. KellyにBigg Makk、Syamが共同制作の水中の中で聴くような揺らめきシンセがゆらりと漂う潜水メロウ「I Tried」もカッコイイ。最後はR. Kellyが制作の高原の美味しい空気のように清々しいポップ風味な「Barely Breathin'」、これなんかは最近のNellyがやりそうな透明感抜群な天然水みたいなトラックでぐんぐんハートに浸透します。こういうポップな曲も違和感なくやってしまうR. Kellyが凄い、確かにこれは本編には入れられずボーナス扱いなのは分かるけれど、結構この曲が一番好きだったりするかも(笑)。

本当に種類の豊富な良質なビュッフェといった趣向でタイトルも的確、この品揃えは現段階ではR. Kellyにしか出来ないですね(舌鼓)。R. Kellyの十八番である下世話でスケベな魅力も爆発しているんですが、一方でR. Kellyの最大の強みである引き出しの多さ(そのズバ抜けた擬態性)が上手く機能した一枚。下手すれば纏まりがないというか、散漫にさえなりかねないトラックの集合を、ビュッフェと題する事で回避した策士なR. Kellyらしい技術にニヤリ。ただ一つだけ欠点を述べるなら、これだけ彼のキャリアを総括する料理の数々が提供される中、彼の特大ヒットの一曲である「I Believe I Can Fly」みたいなトラックが用意されてなかったのは残念かも。




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Freddie Gibbs「Shadow Of A Doubt」
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そのハードコアなスタイルで人気で南カルフォニアを拠点に活動する、Freddie Gibbsの通算ニ作目となる『Shadow Of A Doubt』を御紹介。初めはメジャー大手のInterscope Recordsとの契約もするも、折り合いがつかず結局は離脱。その後はあのJeezy率いるCTE Worldにも加入するが、これもJeezyが多忙過ぎて結局は円満離脱しており、結構な苦労人という印象のFreddie Gibbs。しかし、精力的に活動を続け、13年に自身のレーベルからインディで1st『ESGN』を発表。その翌年、14年にはあのMadlibとのフルコラボ盤『Pinata』を発表しています。この『Pinata』がすこぶる快作で、その年の年間ランキングでも僕は第七位に選出しております。そして昨年15年にリリースされたのが本作『Shadow Of A Doubt』、これまた昨年の年間ランキングで第六位に選出していたのですが、昨年までにこのアルバムの感想を書けていなかったのです(忙)。そこでやっとこさ、ここで取り上げる次第であります。
だからといって上手く感想を書ける訳ではないので御勘弁を・・・・・・まずはBlair Norfが制作した「Reaview」で幕開け、ユラユラと空間をも歪めるように漂う細波のようなシンセの波間で、Freddie Gibbsの鉄錆のような風合いのラップが鈍く光るのが渋くてカッコイイ(痺)。同じくBlair Norfが制作を担当した「Narcos」は鉱石のように硬い輝きを持つ電子音とビートがザクザクと突き出し、その中でFreddie Gibbsの筋張った筋肉質なラップが軋んで唸ります。「Careless」はPops & Supervilleが共同制作しており、トラックはやはり霧雨が煙るような白んだ不透明なメロウで幽玄。ここではまるでBone Thugs-N-Harmonyのようにメロディアスで早口なラップを繰り出すFreddie Gibbsが曲者で、こんなヤクザ者がこういうメロウ系もそつなくこなすのに驚き。ヒラヒラと鍵盤音が散っては舞う切なく淡いミッド「Fuckin' Up The Count」、制作はBoi-1daとFrank Dukesが共同で担当。どことなく和柄でアンビエントな感触のトラックで、Freddie Gibbsの少ししゃくり上げる様なラップが翻ります。「Extradite」はMikhailが制作を担当し、ダツダツと鋭く叩くドラムスビートで滑走し、そのビート振動でソウルフルなメロディの破片が飛び散るのがド渋くてカッコイイ(興奮)。このスピードの中で聴くFreddie Gibbsのプーマのように筋肉質でしなやかでラップも凄いけれど、客演で参加したBlack Thoughtの相変わらず粋で無骨なラップもめちゃくちゃお似合いです(鳥肌)。鳥のさえずりから始まる「McDuck」はSid "Speakerbomb" Millerが制作を担当し、粘液チックな妖しいトロミを含んだメロディの中で戯れるFreddie Gibbsのメロディを持った優しいラップと、客演のDana WilliamsのErykah Badu系統のふんわりと香るネオソウル系の歌フックが素晴らしい。Tory Lanezが客演参加し、熱波のようにヘロヘロと昇り立つ焰フックをかます「Mexico」はMurda Beatzが制作を担当。トラック自体は同じ鍵盤メロディのリピートとボスボスビートを繋げたシンプルな物で、こういう無地曲だからこそメロディアスで腱のあるFreddie Gibbsのラップが効きます。Tarentino(808 Mafia)が制作の「Packages」もボウーンボウーンと弛んで跳ねるビートが毒々しい一曲で、客演のManman Savageと共に不穏に暗躍しています。Sid "Speakerbomb" Millerが制作の「10 Times」ではGucci ManeとE-40の曲者二人が揃って客演、結晶化したように輝くシンセの瞬きにポツポツと滴るような雨音ビートがミニマルでクール。そんな流麗ミニマルなトラックだからこそ、それぞれにキャラの立った三者のマイクリレーが映えるナイスな一曲(卒倒)。「Lately」はSupervilleと6.18、Superdriivが共同制作で、じっとりと湿り気のあるビートは微熱まじりでとても艶やか。ボムボムと撃つビートは弾力があって肉感的でFreddie Gibbsの腱があり筋張ったラップにお似合い、Paxton "Paxman" Millerのセクシーな歌声も素晴らしいです。本作中で最も先鋭的なのがBentley Hazeが制作した「Basketball Wives」で、ヴォーカルエフェクトを施した全編歌モノの一曲。時間を逆再生するような不思議な感触のシンセのスローモーションに、Freddie Gibbsのネットリと音程を行き交う優美なフロウが漂う天の羽衣ミッド。冷たく棘のあるピアノ鍵盤の音色がハートにチクッと刺さる「Forever And A Day」はJ Reid制作、こういう氷結したようなトラックにもバッチリ合いますね。Kaytranadaが制作した「Insecurities」は90年代の古き良きHip Hopを彷彿とさせる刹那メロウで、霞のかかったトラックがなんとも幻想的で、Freddie Gibbsの淡白な歌フックもバッチリ合っています(痺)。「Freddie Gordy」はBlair Norfがまたもや制作、ゆっくりと空が暗んで漆黒の闇がすべてを包むような暗澹トラックで、そんな中でも小粒の星が幾数か瞬く様なロマンスも感じるダークソリッドチューン。最後はMike Deanが制作した「Cold Ass Nigga」で、バチバチと火花を散らして通電するようなトラックが刺激的でカッコイイ。そんなイガイガトゲトゲな蜂の巣トラックに、吐いて捨てるように無骨なラップを叩き付けるFreddie Gibbsに痺れ上がります。

Freddie Gibbsのフロウとこのトラック、まるで塩漬けされているみたいな締まった味わいでやっぱりツボ。Freddie Gibbsを聴いていると、僕はなんだか2Pacを思い出すんですよね。筋肉質で太く腱があるんだけど、セクシーでもありどこか優しく円やかさもあり、だからメロウな曲にも充分合うんです。Madlibとの作品を聴いた後だったので、もっとビートの際立ったゴツゴツしたものを想像していたんですが、意外にもメロディアスで柔らかな感触の、輪郭も朧げなトラックとの合体で聴き易さも抜群。






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Ty Dolla $ign「Free TC」
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LA出身の特異なシンガーソングライター、Ty Dolla $ignの記念すべきデビューアルバム『Free TC』を御紹介。Ty Dolla $ignの叔父はThe Isley Brothersのメンバーだったらしく、父もファンクバンドのメンバーだったという、いわゆる音楽一家の育ちらしいです。なので、小さい頃からドラムやベース、ギターやオルガンなどを独学で習得しているのだそう。彼はソングライト提供でだんだんと頭角を表し、その後自身のMixTape『Beach House』シリーズで一躍注目のシンガーになりました。その後は様々なラッパーやシンガーの楽曲に客演しまくり、現在はWiz Khalifaが率いるレーベルTaylor Gangの所属になっております。僕的にはこれまた話題になったMixTape『Sign Language』を聴きまくった奴なんですが、その時はそこまで深くハマりはせずとも、面白いのでこのメジャーデビューは待ち望んでいました。ちなみにアルバムタイトルの『Free TC』とは、収監されている実弟TCを解放しろという意味合いらしいです。
それでは簡単にどんな楽曲が収録か語ってみると・・・・・・まずD'Mileが制作を担当した「LA」で幕開け、客演にはLA出身のKendrick Lamarとミシシッピ出身のBrandyは揃って参加。滑らかでしとやかなストリングスと鍵盤音が、さざ波のように細やかな輝きを湛える流麗なメロウ。ほんの少しえぐみのあるTy Dolla $ign(以降はTD$と表記)のヴォーカルもここでは柔らかで、Brandyの清冽でスッキリした後味のヴォーカルで中和されて旨味を増しています。Kendrick Lamarのエイリアンチックなラップも相変わらずクール、皆が良い化学反応を起こしています。トレンドをガッチリと掴んだ鉄板の、ポコポコしたカラフルな電子音が弾けるトラックがナイスな「Saved」。制作はDJ MustardとTwice as Niceが共同で、TD$の力を抜いてフンワリと苦味ヴォーカルを滲ませる感じも、意外と水彩チックで上手いし、客演参加のE-40のラップは相変わらず重みもあるけれどキレがあってグッド。@Pop Wanselと@Flippa123が共同制作した「Straight Up」は、サンプリングにJagged Edge「Let's Get Married」を使用。そのJagged Edgeが客演してる訳だけど、ここで思うのはTD$のヴォーカルこそ極めてJaggedっぽいということ(唖然)。なんというか、ブロンズっぽい少し重厚感のある強かな輝きの声質で、なんの違和感もなく溶け合っています。「Solid」ではなんとBabyfaceが制作を担当(Add制作にD'MileとTD$)、しかも客演(ギター演奏)でもBabyfaceは参加しています。いかにもBabyfaceらしいギター基調のフォーキーなナンバーで、パリッと糊の効いた、折り目の綺麗なアコースティックギターのザクザクした音色がカットする清涼系ミッドナンバー。こういうトラックでもTD$のほろ苦くて濃厚なヴォーカルは案外合っていて、不思議な掛け合いで抜群の面白さで仕上がっています。「Horses In The Stable」はDave KuncioとRanceが制作を担当、ここでもアコースティックなメロディが木枯らしの様に吹く寂寞フォークミッドが展開され、TD$の渋くて濃厚なヴォーカルがジワジワと滲みてきます。Metro Boominが制作した「Know Ya」ではTrey Songzが客演参加、Metro Boominらしい濃霧のように冷たく重たく纏わりつくビートとシンセが蠢く暗澹チューンで、この二人ならむしろ明け透けなエロエロ曲をやって欲しかったかな(残念)。D'MileとChordz、TD$が共同制作した「Credit」は、ふわりと翻る甘い綿菓子のようなメロディとTD$の少し擦れたビタースウィートなヴォーカルが優雅。客演にSevyn Streeterが参加していて、彼女の天女のような透けたヴォーカルも相俟ってとてもドリーミー。「Miracle / Wherever」はD'MileとNate 3D、TD$が共同制作で、客演には収監中の実弟Big TCとD-Locが参加。これ、ゆっくりと色彩を揺らして移ろうオーロラ調のメロウトラックも良いんだけど、刑務所の面会所でガラス越しに録音されたこもった音質が雰囲気バッチリでグッド。「Guard Down」はHitboyが制作を担当し、客演にはKanye WestとDiddyが参加。シャリシャリしたフローズンのような電子音がヒュンヒュン飛び散る蛍光調のミッドで、優しく淡く輝く流線形のTD$のヴォーカルも、Kanye Westの捻れまくったパラレル加工なラップもハマっています。「Sitting Pretty」では親元であるWiz Khalifaが客演参加、Benny Blancoが制作したトラックはボトボトとドリップするようなダーク電子チューンで、こうなるとWiz Khalifaのスモーキーなラップは自由自在で強い。「When I See Ya」はCardoとJohn Julianoが共同制作で、客演には大人気のFetty Wapが参加。モッサリとした沈殿気味の濁流シンセの中でも、甲高く少しフルーティなFetty Wapの歌う様なラップは際立っていて、ハッキリ言ってTD$を喰ってしまっています(恐怖)。DJ Spinzが制作で、FutureとRae Sremmurdが客演参加した「Blase」では、電子媒体の中に細菌を投入して、発酵によりプツプツと吹き出る中毒性を生み出したネットリミッドを展開。ハッキリ言ってこれはTD$が客演といった感じで、それでもこういう曲も貪欲に取り入れる心意気がカッコイイか。Mike FreeとDJ Mustardが共同制作の「Only Right」はもはやベタ、YGとJoe Moses、TeeCee4800でマイクリレーするも既聴な感じは否めないか。そんな中でも異色だったのが「Bring It Out Of Me」、StarGateが制作したこのトラックは彼ららしいクリスタル細工のような透明感と煌めきが弾けるEDMチューンで、水と油のようなTD$のヴォーカルがすんなりフィット(いや、このチグハグ感が美味になっているのか)しているのが心地良い(昇天)。モワモワッと熱されて水蒸気が立つ、途端に鼓膜も曇ってしまうウェッティーなスロウジャム「Actress」はD'Mileが制作を担当。客演のR. Kellyと共にユラユラと艶っぽく立ちこめるヴォーカルはセクシーで、じっとりと汗をかいて濡れるに決まっています(快感)、終盤にはFrench Montanaの語りもアリ。最後はShafiq HusaynとDJ Khalilが共同制作(Background VocalにはThundercatが参加)した「Finale」、客演にはSa-RaとPJが参加。どこか次世代型のネオソウル嗜好で実験的な、珊瑚礁の生えた青い海の中を泳ぐ様な熱帯魚的な夢幻スロウ。

思ったよりも歌っていて驚きました、しかもTy Dolla $ignのヴォーカルがコク深くてカッコイイ。感覚的にはNate DoggやT-Painみたいな特殊な歌い手で、下手ウマな感じもするというか、正統派ではない(賛辞)。あとは、Frank Oceanみたいな浮浪感も感じたりして、なんだか聴くほどに濾されて旨味が増してゆきます。客演もあちこちから面白く通な人も参加しているし、今のR&Bと過去のR&Bの架け橋をしている点もすごく好感が持てます。ネオソウルっぽいのもフォークっぽいのも、EDMっぽいのもHip Hopなのも何でもアリ。そこに響くはTy Dolla $ignの案外優しくて綺麗な歌声で、だけどどことなくオイリーな味わいもあり、言うなればオリーブオイル的なヴォーカルかなと。








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Travis Scott「Rodeo [Deluxe Edition]」
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T.I.率いるGrand Hustle所属、Houston出身のTravis Scottのデビューアルバム『Rodeo』を御紹介。まず、Travis ScottでなくTravi$ Scottと書くべきなのでしょうが、CDにはこの表記がされているのでそちらを採用しています。Travis Scottも例に漏れず、XXL企画の“10 Freshmen”に2013年に選出された一人。Kanye Westに見初められて、G.O.O.D. Musicのコンピ『Cruel Summer』で聴いたのが僕の初Travis Scottでしたっけ。MixTapeでも『Owl Pharaoh』と『Days Before Rodeo』で制作にも関与し、どちらも高評価を獲得していたのが印象的。なので多くの人にとって満を持してのデビュー作となっております、ちなみにジャケットに写る可動フィギュアは実際に販売されている模様。
それではザクザクと感想を粗く書かせてもらうと・・・・・・まずはT.I.の語りから始まる「Pornography」でスタート、制作はSonny DigitalとMetro Boominが共同で担当。グドグドと蠢く暗澹トラックにボツボツと静かに清廉な雨音ビートが滴る一曲で、中盤から雨脚が強まるようにビートを加速しTravis Scottもアンストッパブルなラップを飛ばすのが痛快。Allen RitterとFrank Dukesが共同制作した「On My Dis Side」はQuavoが客演参加、猛獣チックな獰猛ダークシンセがピリピリと緊迫した空気を醸し出す中で、Travis Scottのエフェクトの効いた屈折気味のラップがじっとりと纏わり付く亜熱帯トラック。Metro BoominとMike Deanが共同制作(Add制作にZaytoven)の「3500」では、Futureに2 Chainzと客演にはうってつけな猛者い二人が参加。零度のシンセでガチガチに氷結させながらも、三者のラップは陽炎のようにほろほろとじれったい熱を放出するのが素晴らしい対比で、彼らにしか創れない異空間を演出していてグッド。T. Zchien & The Johnny「Let Your Life Be Free」を下敷きにした「Wasted」はMetro Boomin制作、ひょうひょうと鳴るメロディは空風のような虚ろな雰囲気。ヘロヘロと毒っ気のあるヘドロっぽいラップを繰り出すTravis Scottに対し、客演のJuicy Jがゴロゴロと角張ったキュービックなラップを添えるのがグッド。DJ DahiとAllen Ritter、Mike Deanが共同制作した「90210」は、暗雲が次第に立ちこめる様なじんわり滲ますモノトーンシンセや、蜃気楼のように暈けるTravis Scottのラップも、もうもはやKanye Westっぽ過ぎてどちらが影響減なのか分かりません(ほんのりと歌声を聴かせるKacy Hillは気になる)。「Pray 4 Love」では要注意のThe Weekndが客演参加、制作はIllangeloにBen Billions、The WeekndとMike Deanといつもの大所帯で制作。ブクブクと光の届かぬ真っ暗な深海に墜ちてゆくような、輪郭を朧げに揺らめくTravis Scottの毒エフェクトが効いたラップに、チラチラと一筋の光芒を洩らすThe Weekndの甘酸っぱいヴォーカルと、今やトレンドの必勝陣形が組まれた鉄板チューン。Metro BoominとSouthside、TM88にMike Deanが共同制作した「Nightcrawler」では、Swae LeeとChief Keefが客演参加し、ビューッと練り出されるスライム状の発光シンセチューンで妖しげに光ります。Kanye WestとCharlie Heatが共同制作した「Piss On Your Grave」では、そのKanye Westが客演でも参加。ギリギリと軋って鳴る尖ったエレキギターの音色がカッコ良い崩落ロックチューンで、こういう四方八方に当たり散らす凶暴なトラックはKanye Westの独壇場な感じか(笑)。「Antidote」はEbony "Wondagurl" OshunrindeとBryan Blake Harden、Jordan Lewisが共同制作しており、これも標高の高いところに架かる雲海のような霧散シンセが漂うシンセチューンで、息もからがらな感じで甲高いラップをするTravis Scottが中毒性高い。Allen RitterとMike Deanが共同制作の「Impossible」は、ボツボツとしたビートの中に埋もれるようにヘドロっぽいラップが垂れる重ための一曲。Frank DukesとAllen Ritterが共同制作の「Maria I'm Drunk」は、Justin BieberとYoung Thugというヘンテコな組み合わせ客演。ここは悔しいけれどJustin Bieberのハイトーンヴォイスがサクッと切れ込みを入れていて取っ付き良くしている、トラックはありがちでここまで連続するともう辟易してくるかも。と思ったら急にPharrell Williamsが制作した「Flying High」で水面へと急浮上、客演にもToro Y Moiという水彩画タッチのヴォーカルを起用。Slave「Slide」を引用したトラックはPharrellらしいポカスカと空気の抜けたビートを交錯させるチープな一曲で、アルバム中では良い切り替え部分になってはいるけれど、果たしてTravis Scottに合っているのかは不明。「I Can Tell」はAllen RitterにFKi 1st Down、Mike Deanが共同制作で、これもKanye Westっぽさが強いが格好良さは伝わるシリアスな一曲。「Apple Pie」はTravis ScottとMike Deanが共同制作(Co制作にTerrace Martinと1500 or Nothin')しており、光の輪を潜り抜けながら加速しトリップしてゆく滑らかな電子曲で素敵、少しだけキナ臭いTravis Scottのヴォーカルがナイス。とここまでが本編の内容で、残るニ曲は豪華盤のみのボーナス曲。まずはSchoolboy Qが客演参加した「Ok Alright」で制作はMetro BoominとSonny Digital、Mike Deanが担当。ここでのTravis Scottは極めてKid Cudiっぽい影響を感じますね、Schoolboy Qはいつもの子犬みたいなガブガブしたラップを聴かせます。最後はSonny DigitalとAllen Ritterが共同制作の「Never Catch Me」で、

いや、昨年発売してすぐに買ったんですが、ハッキリ言ってそんなに良いと思わずに過ごしたんです。でもこうやって年を跨いで、改めてこの記事を書くのに何度かリピートしていたら、これもなかなかカッコイイ事に気付いて(謝罪)。こういうダーク傾倒のラップが少し飽和気味で敬遠していたんでしょうね、でもTravis Scottはきっちりスタイルを仕上げていて、聴いていてこれは固まってるなーと感心するばかり。意外とこの人はライブとかが映えるのかもしれない、そして自己陶酔型のナルシストなのかも(邪推)。顔を映したくないのかいつも顔は伏せがち、Rihannaと交際しているのだろうか(緊張)。パイプオルガンチックな電子音がグドグドと蠟を溶かすように滴る暗澹スロウで、こういうおどろおどろしく醜いトラックがTravis Scottにはお似合いか。




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Alessia Cara「Know-It-All」
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18歳にDef Jamと契約を結んだ若き歌姫、Alessia Caraのデビューアルバム『Know-It-All』を御紹介。Alessia Caraは96年生まれ(!)のカナダ出身、13歳からYouTubeに楽曲のカバーをアコースティックギターでパフォームし、それが話題になってDef Jamと契約に至ったそうです。なんだか僕はよく知らないんですが、Taylor SwiftやLorde、DrakeやAlicia Keysに絶賛されているらしいんですが、僕はその現場を知りません(噂)。しかし、彼女のデビュー曲「Here」は全米R&Bチャートでも、第三位にランクインするなど実力は充分のようです。
という訳で気になっちゃう内容がどんなものか・・・・・・まずは@Pop Wanselと@Oakwoodが共同制作(Co制作にKuya)の「Seventeen」で幕開け、レトロとポップを絶妙にブレンドした跳ねたメロディに、Alessia Caraのちょっぴりクリーミーでほろ甘いヴォーカルがキュート。デビューシングルとしてヒットした「Here」は、@Pop Wanselと@Oakwoodが共同制作。ストリングスとドラムスがゆっくりと沈殿してゆく様な醸成メロウで大人の色香、それに負けずジワジワと酔いを回すAlessia Caraの少し挑発的で刺激的なヴォーカルもナイス。ブルブルと震えて吹き出すホーンとパシパシと軽いビートが小気味良い「Outlaws」も@Pop Wanselと@Oakwoodが共同制作、凄く古めかしいトラックなのにこの若い娘が違和感なくハマっていて面白く、シュガーソウルフルといった趣。またまた@Pop Wanselと@Oakwoodが共同制作した「I'm Yours」は面白く、バルーンチックに膨らんで擦れるビートでHip Hopっぽくスタートし、フックではザクザクとしたギターのかき鳴らし、そこから電子音をキラキラと放出させるEDM的な煌めきの三段階変形。Alessia Caraの柔らかく伸びのある、キュートではじけたヴォーカルにもバッチリお似合いで結構好き。「Four Pink Walls」はAlan Nglishが制作を担当、弦音とビートが優雅に絡み合うトラックに時折入る尖ったスクラッチ、Nasの1stを彷彿とさせる荒涼モノクロトラックがド渋くてカッコイイです(痺)。アフリカンな土着ビートが壮大さを醸し出す「Wild Things」はMalayが制作を担当、オーガニックでミネラルたっぷりなメロディとAlessia Caraのヴォーカルは瑞々しくシンクロしているし、幾重にもなった“あいやいやいや♪”みたいなフックもエキゾチックで格好良いんです(虜)。同じくMalayが制作したアコースティックスロウ「Stone」では、Sebastian Koleが客演参加しており、まるで木漏れ日のように優しいメロディに、優しくて淡い感触の木綿のような二人のヴォーカルがそっと包み込むカントリー調のバラード(癒)。@Pop Wanselと@Oakwoodが共同制作した「Overdose」は冷たくて刺々しく尖った薄氷メロディとビートが、まるで透けたガラス細工のように繊細に展開し青白く輝くミッド。Sebastian Koleが制作したピアノバラード「Stars」は、Alessia Caraの可憐なヴォーカルが胸に静かにそっと沁みる一曲で、ほろほろと崩れて溶けてゆく様な感触が綺麗です。最後は@Pop Wanselと@Oakwoodが共同制作した躍動感のあるスパイシーなボタニカルミッド「Scars To Your Beautiful」で、これはColdplayっぽいメロディで凛としたクールさがあってグッド、スパっと空間を裂いて届くAlessia Caraのヴォーカルもナイス。

Amy Winehouseからアルコールを抜いて、ジュースっぽくしたのがAlessia Caraといった印象。いや、軽薄な言い方と思われるかもしれませんが、僕的にはAmy Winehouseって濃過ぎて鼓膜を通し難いので、Alessia Caraの方が聴き易くて好み。でも声質とかでいえば、Corinne Bailey RaeとTaylor SwiftとRihannaを足して三で割った感じなのかもしれませんね(難解)。独特なクリーミーなヴォーカルがほのかな甘さを持っていて、きちんとキャラが立っているので今後も楽しみですね。




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Earl Sweatshirt「I Don't Like Shit, I Don't Go Outside」
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Tyler, the Creatorの実弟である、Earl Sweatshirtの通算ニ作目となる『I Don't Like Shit, I Don't Go Outside』を御紹介。若者ばかりのアート集団Odd Future Wolf Gang Kill Them Allの中でも、最年少だったEarl Sweatshirtはグループを脱退しソロに転向。13年に発売されたデビュー作『Doris』でも異彩を放っていて、兄であるTyler, the Creatorにも負けない強烈な個性が印象的。僕はそこまで好きって訳でもなかったんですが、それでもやはり気になって買ってしまっていた一枚で御座います。
という訳でザックリした感想にはなってしまいますが・・・・・・まず冒頭で述べておくべきは、本作もEarl Sweatshirt自身がほぼ全曲の制作を担当している点、これは彼の強みですよね。朗らかにでも鈍色な鍵盤音と、バフバフと空気を含んで膨らんだビートでフワフワと舞い上がる「Huey」。兄貴とは違ってどんよりしながらも少し円やかな声質で、後半部分の電光盤みたいなメロディ変化はThe Neptunesっぽくも感じたり。ドドドドドと吐き出す空気砲のようなビートの連発に触れて、なにか光り輝く鉱石の破片のようなシンセが崩壊して堕ちるような「Mantra」。そんなビートの隙間から漏れる光のように、Earl Sweatshirtのスピード感のあるラップがなかなか綺麗。プツプツと小さな泡立ちが聴こえる発酵メロウが、まるでブルーチーズのような一癖ある旨味を滲ませている「Faucet」も、少し残響めいたエフェクトを効かせたEarl Sweatshirtのラップが浮き出るシステムで面白い。分厚くて幾層にもなった電子音のボワっとした音色が空間を歪め、Earl Sweatshirtのボソボソとした読経のようなラップが渦巻く「Grief」は、ゆっくりと動く曇天を眺めるような重々しさがのしかかる低気圧シンセで出来た一曲。Mobb DeepとWu-Tang Clanを掛け合わせたような、オカルトとデンジャラスが融合した「Grown Ups」ではDashが客演参加。おどろおどろしい雰囲気の中でギラギラと鈍く光る二人の掛け合い、しかしこの曲調であれば兄貴であるTyler, the Creatorの方が数段格上かな。Wikiなる男性MCが客演参加した「AM // Radio」は前後半での二部構成、後半の錆びれたストリングスをメロウなインストの方が僕は好きかな。メレンゲのように柔らかな電子音がふわふわと漂う「Inside」、Na-kelを客演に迎えた虫食いビートが亜空間に穴を空けて浸食する「DNA」とやはり独特な世界観。最後はVince Staplesを客演に迎えた「Wool」で〆、ピンピンと跳ねる甲高い鍵盤音とそれを叩くビートの構成はRZAっぽい、こう聴くとVince Staplesに耳を奪われてしまう僕が居ます。褪せと原色の間でズルズルと移ろうみたく、まるで逆再生で聴いているみたいな感覚に陥る「Off Top」だけが異質。それもそのはず、この一曲のみ制作はLeft Brainが担当。この逆算的なトラックの中で、ボトボトと逆行するように進行するEarl Sweatshirtのラップ、でもこれで成立しているんだからカッコイイ。

僕が昨年末にネット上をウロウロしていた時は、年間ランキングでも結構上位にランクインされていた気のする本作。ただ、僕は本作でもそんなにEarl Sweatshirtを好きにはならなかったかな(苦笑)。Earl Sweatshirtがというより、こういうタラタラとした遅めの速度感がたまらなく苦手で、そこはやはり90年代を生きた三十路ならではかなと(笑)。すっごいカッコイイんでしょうけどねー、老化防止のためにとりあえずチェックはこれからも続けます。






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Dr. Dre「Compton」
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Hip Hop界の重鎮Producerの一人、Dr. Dreの通算三作目となる『Compton』を御紹介。Dr. Dreといえばもう言わずもがな、伝説的グループN.W.A.の構成員で、自身もラッパー圏Producerとして名作『The Chronic』『2001』を発表し、いわゆる“G-Funk”サウンドの重要な一角を担った人物ですね。その後は自身の楽曲こそ出さずとも、XzibitやEminem、50 Centといった強力なMCをバックアップし、スターへと成長させたのもDr. Dreと言えます。そのDr. Dreが『2001』以降、およそ16年ぶりの新作として本作『Compton』を発表しました(驚)。これまでは新作として『Detox』のリリースがずっとアナウンスされっぱなしで、周囲の人間もそれに関与した話なども洩らしていたんですが、結局はお蔵入りになったみたい。その代わりに突如として出現した本作は、N.W.A.の伝記映画『Straight Outta Compton』に触発されて制作されたのだそう。
とまあ経緯はこんなところらしいので本題に・・・・・・まずはKing MezとJustusが客演参加した「Talk About It」で幕開け、制作はDJ DahiとFree Schoolが担当。漆黒に蠢く黒海の大波のように荒ぶる電子音のうねりトラックの中で、入れ替わり聴こえる三者のドープなラップ&ヴォーカルがナイス。「Genocide」では同郷のKendrick LamarとMarsha Ambrosius、Candice Pillayが客演参加。段階的に上がり下がりするモーター音のようにつんざめくシンセに、ドブドブと沈んだり浮いたりする野太いビートが中毒性の高いトラックはDem Jointzが制作を担当。Dr. Dreの低くて筋肉質なラップ(これは昔から中々イケる)に、それとは対照的なエイリアンみたく甲高く浮力のあるKendrick Lamarのラップが面白い。「It's All On Me」はなんとB!nkとDr. Dreが共同制作で、サンプリングにはS.C.I. Youth Choir「The Lord Will Make A Way」を使用。いかにもB!nkらしい燻し銀でソウルフルなトラックは流麗でメロウ、Dr. Dreの歯切れのいいタフなラップにもバッチリお似合いですし、そこに歌声で華を添えるBJ The Chicago KidとJustusがハマリ役でグッド。DJ KhalilとDJ Dahiが共同制作した「All In The Day's」では、Anderson .PaakとMarsha Ambrosiusが揃って客演参加。煙たくユラユラと漂うスモーキーメロウなトラックにメガトン級のDr. Dreのラップと、シンガー二人のソウルフルな歌フックが中毒性高いです。Best Kept SecretとDr. Dreが共同制作した「Darkside」ではKing Mezが客演参加、ここでは中近東的なスパイシーな音色とギュイギュイと挽くビートがイルで、Dr. DreとKing Mezのブツブツとぶった切るようなラップの掛け合いも面白い。そこから継ぎ目無しに流れ込む「Gone」はD.R.U.G.S. BeatsとDr. Dreが共同制作で、客演にMarsha AmbrosiusとKendrick Lamarが参加。Paul McCartney & Wings「Spirits Of Ancient Egypt」を下敷きにしたピアノ鍵盤がそぼ降るシリアスな一曲で、やはりMarsha Ambrosiusの艶っぽいヴォーカルが少し毒と棘アリでイイ。「Loose Canons」はFocus...が制作で、客演にXzibitとCold 187um、Sly Pyperが登場。冒頭からズダダダダダダとマシンガンの様に撃つDr. Dreの早くラップがクールですし、やはりXzibitの濁声でガガガガガガと掘削するようなパワフルなラップもイケています。「Issues」も制作はFocus...で、客演にはIce CubeにAnderson .Paak、Dem Jointzが参加。ビリビリと電撃ショックを与えるようなロックカットなトラックが最高に厳つくホット、Ice Cubeのぶちのめす様な豪腕ラップも痛快ですし、Dr. Dreの鬼気迫るキレキレなラップも健在。Focus...にCardiak、DJ Dahi、Dem JointzにDr. Dreが共同制作した「Deep Water」は、Kendrick LamarとJustus、Anderson .Paakが客演参加。それこそ深く冷たい水の中でブクブク言いながら沈むような、ユラユラと揺れるメロディ&ヴォーカルエフェクトがクールで、こういう漂流系のトラックでのKendrick Lamarのスライムっぷりは突出しています。「One Shot Kill」はJon ConnorとSnoop Doggが共演、なのですがゴリゴリのロックチューンで冒頭から登場するSnoop Doggがあまりにタイトで前のめりだもんだから彼と気付かず聴いてしまいました(驚)。Trevor Lawrence Jr.とTheron Feemsterが共同制作した「Just Another Day」はThe GameとAsia Bryantの共演曲、香料たっぷりなヘロヘロホーンが垂れ流されるトラックが中毒性高く、なによりこういうトラックでも抜群に焦げ臭いThe Gameがまたナイス。Cardiak制作の「For The Love Of Money」はJill ScottとJon Connor、Anderson .Paakが客演参加、これはもう素直にJill Scottのフローラルなヴォーカルとゴツゴツビートの対比を楽しむべき。Snoop DoggにKing Mez、Marsha Ambrosiusが客演参加した「Satisfiction」はDem Jointzが制作、バウンバウンと銅板上を転がるようなトラックに、ネッチリと捏ねて鼓膜にまとわりつくMarsha Ambrosiusの歌フックがナイスアクセントだし、Snoop Doggのふわっと香る様な柔らかなラップもナイス。あのDJ Premierが制作を担当したのが「Animals」で、やっぱり酸化したソウルフルメロウを延々ループするPrimo節が最高ですね(痺)。Dem JointzとFocus...が共同制作した「Medicine Man」では、Dr. Dre肝煎りのEminemとCandice Pillay、Anderson .Paakが客演参加。Eminemっぽく少しクレイジーなフロウでよたつくDr. Dreも楽しいし、Candice Pillayのキュート過ぎる歌フックも素敵。最後はDJ SilkとChoc、Dr. Dreが共同制作した「Talking To My Diary」で、ド渋いソウルチューンにDr. Dre単独のラップが楽しめるシンプルな一曲。

恐れずに結論から言うと、僕は本作をそこまで凄いとは感じなかったといいますか(鈍感)。いや、それはもちろん製作陣も超一級ですし、登場する人達も実力者ばかり、当然とってもカッコイイです。しかし、これをDr. Dreの作品というところに疑問を感じるというか、あまりにも神格化され過ぎのような気がしてなりません。映画との相乗効果もあるのでしょうが(いや、それはあって良いのです)、やはり第一に全曲の制作をDr. Dreがしていないと物足らない(我侭)。第二に僕はDr. Dreのラップは好きなので、最悪外部のProducerに頼んでも、もっと客演を少なくして欲しかったかな。まあ、Dr. Dre作品はこれまでも客演の数が半端ないので、仕方ないし予想の範囲内なんですが。とまあ、僕みたいに文句タラタラな輩はごく少数で、単純に待ちに待った祭りを楽しむべきなんですよね(笑)。


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Blackalisious「Imani Vol.1」
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The Gift of GabとChief Xcelから構成されるラップデュオ、Blackaliciousの通算四作目となる『Imani Vol.1』を御紹介。彼らはあのDJ Shadowとのクルー“Quannum Projects”の一員として知られ、アンダーグラウンドでの活動で認知度と人気を獲得した実力派。特に彼らのメジャー初で2ndである『Blazing Arrow』が高評価を獲得していた、という記憶だけがある僕(笑)。というのも僕は彼らの『Blazing Arrow』だけを買って持っていて、そこでライナーノーツを読んだ記憶がそんな程度にあるぐらい、あまり彼らを知りません(素人)。ただ、その『Blazing Arrow』がすこぶる格好良くて、何も知らずに買ってそのハイクオリティだから得した気分になったのを覚えています。そんな彼らが前作から約10年ぶりに新作を出したので、昨年買って聴いていた次第です。
それでは前置きはもう無いので本題にいきます・・・・・・まず制作に関しては勿論、ProducerであるChief Xcelが全曲を担当しております。まずはThe Watts ProphetsのAmdeを迎えて「Faith」でスタート、この辺からして渋い。重たい銃をぶっ放すような衝撃の強さが鼓膜を太く撃ち抜く「Blacka」、バシバシと飛沫を上げて叩かれるドラムビートに、ガウガウ吠える様な“ぶらっか!”フックがイケてます。ザクザクした弦音に電子鍵盤のネオン発光なメロディとシンセサイザー光線が錯綜する「Ashes To Ashes」、猛獣のように獰猛ながらも流れるようにフロウの強弱を操るThe Gift of Gabが憎い。ギュルギュルと擦り上げるスクラッチでたちまち黒煙が立ち上る「On Fire Tonight」ではMyron(Myron & E)が客演参加、ドラムにホーンにと野太く生々しいトラックが雁字搦めで玉になってぶつかるタフアッパー。曇ったオルガン鍵盤メロディを滑らして鼓膜を切ってくる「Escape」も、べったりと平坦に捏ねたThe Gift of Gabのラップが耳にこびり付いて離れません。僕的にこの一曲狙いで買ったとも言えるのが、あのImani Coppolaが客演参加した「The Sun」。なるほど陽光のように温かで眩い電子音がキラキラ降り注ぐトラックは美しいし、そこにImani Coppolaのカラフルで鮮烈なヴォーカルが散乱するのが心地良いし、The Gift of Gabの猛獣声との相性もなかなかグッド。電子的な多面体サウンドがゆっくりと展開し転がるサイバーなトラックがクールな「That Night」は、LifesavasよりVursatylとJumboの二人が客演参加。Teak The Beatsmithとの共同制作となる「Inspired By」も可視光線がサウンドやビートを串刺しにするエレキトリックな骨組みのアッパーで、客演参加のBoskoのトークボックスを使ったグネグネ曲がるエフェクトヴォーカルが甘酸っぱくナイスアクセントでたまりません(興奮)。「We Did It Again」ではDanielle Duboisが客演参加、これはちょっぴりフレンチポップみたいな軽さがほんのり甘くてやはり異彩で美味。ビリビリと漏電しているような尖ったトラックがロックカットな「I Like The Way You Talk」は、この岩塩まぶしただけみたいなトラックでThe Gift of Gabの素材の味をストレートに楽しむべき。ほんわかと明滅する電子音が紡ぐ機械的なメロディに、ヒラヒラと繊細な鍵盤音が光りの中の埃のように舞う「Twist Of Time」はすごくお洒落でハイセンス、昔のA Tribe Called Questを少し思い出したり。かと思えばカントリーっぽいノリで跳ねて魅せる「The Blow Up」や、再びAmdeを迎えてJazzyでドリーミーなメロディをミストっぽく漂わせる「Love Remembers」なんかも飛び出す面白さ。Fantastic Negritoが客演参加した「Love's Gonna Save The Day」は蜂蜜シロップみたいな黄金色のメロウソウルでナイスだし、LateefにLyrics BornにMonophonics & DJ D Sharpが参加した「Alpha And Omega」は針千本が突き出したようなチクチクしたラップリレーが粋。最後はあのZap Mamaを客演に迎えて、カラリと乾燥したアフリカンでエキゾチックな雰囲気が増す「Imani」で〆。デジタルの波紋が広がる中で唯一のオアシスのように潤うZap Mamaのエキゾチックなヴォーカルが肝で、とにかくツボを突きつつ的確な人選が妙。

うーん燻し銀、どこか民族っぽい出で立ちのサウンドも凄くカッコイイし渋いですね。一時は陰鬱として暗澹としたトロトロサウンドがHip Hopの主流だったけれど、またこういうオーガニックなものも増えたらいいなと願わずにいられなくなる一枚。最近のHip Hopでちょっぴり飽食気味な方は、是非とも聴いてみて下さい、リセットされますよ。






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Earth, Wind & Fire「The Promise」
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1971年のデビューからずっと活躍し続ける大所帯バンド、Earth, Wind & Fireの通算十八作目となる『The Promise』を御紹介。Earth, Wind & Fire(以降はEWFと省略表記)はMaurice Whiteを中心に結成されたバンドで、もう言わずもがなな名作を沢山残している大ベテラン。最近は新譜を紹介するだけでも手一杯な本ブログで、急にEWFを取り上げるのは他でもない、その中心人物であるMaurice Whiteが2月3日に亡くなったからです。僕が今こうしてR&Bやソウルを聴くのは、幼い頃から母親がEWFを大音量で流していたのも理由の一つで、だからこそ個人的にも凄く好きなグループで、レコードも数枚持っています。Maurice White自身、パーキンソン病を患ってからグループを脱退(休養)していて、それでも活動を続けているので(最新作は13年『Now, Then & Forever』)その点グループは存続するのでしょうが。全盛期の頃のアルバムも沢山持っているんですが、ここでは敢えてMaurice Whiteが後期も素晴らしかった事を伝えるため、03年発売の本作を御紹介。ちなみにアートワークは、日本人であるMorito Suzuki氏が起用されております。
それでは内容について触れてゆきますと・・・・・・まずはMaurice Whiteとその弟のWayne Vaughnが共同制作した「All In The Way」でスタート。いかにもEWFな壮麗で酸味のあるホーングルーヴが炸裂するミッド。やはりMaurice Whiteのまろやかクリーミーでいて刺激的なヴォーカルがグッドですし、ちょっぴりサイケな風味の残るバンド演奏もクールでカッコイイ。Gregory Curtisが制作した「Betcha'」はPhilip Baileyがリードヴォーカルを務め、その繊細な絹目調のファルセットで艶っぽく聴かせるしっとりミッド。電子鍵盤のポワンポワンとシャボン玉のように膨らんでは消える音色が、しっとりと潤った感触を生むし、よじれる様に悶えるPhilip Baileyのファルセットで聴き手もゾクゾクしてしまいます(痙攣)。Maurice WhiteとGregory Curtisが共同制作した「Why?」は、まるで珈琲に垂らしたミルクがマーブル模様を描くようなホーンの音色にウットリ、バンド特有の奥行きある広々空間ソウルで聴き手はマッタリ遊泳しちゃいます。EWFにしては珍しくギター弦の爪弾きがウッディな温もりを与えているミッド「Wonderland」では、Angie Stoneが客演で参加。このオーガニックな響きの中で揺れる木漏れ陽のようなAngie Stoneとのコーラスが素晴らしく、両者の魅力が存分に発揮され融合したネオソウルな一曲です(鳥肌)。「Where Do We Go From Here?」はMaurice Whiteが制作、EWFらしい宇宙空間的な衛星ソウルバラードでやっぱり唯一無二、宇宙なんて水の存在しない空間なのになぜかウェットな感触があるのが不思議です。本作で異彩を放つ要注意曲が「Hold Me」で、なんと制作をあのTim & Bobが担当しているのです(狂喜)。ここはTim & Bobらしい木枯らしみたいな淡く乾いた空気を含んだアコースティックな弦メロウが炸裂で、Philip BaileyとMaurice Whiteのツインヴォーカルにもばっちりハマっていて違和感無し、聴いているだけで心が浄化されるビタースウィートな一曲。Maurice WhiteとGregory Curtisが共同制作した「Never」ではセクシーなホーンが艶めく、Jazzやボサノヴァを混ぜ込んだアップチューンでリズミカル(踊)。「All About Love」はMaurice WhiteとWayne Vaughnが共同制作、少しヒリヒリとするようなアルコール度数高めのスロウで、ゆったりとエレガント且つ刺激的に響くのがイイ。EWFにしか繰り出せない軽薄さが鋭利なグルーヴを生む、アルミニウム製のファンク「Soul」はMaurice WhiteとCarlos Riosが共同制作。まるで満天の星空が転回するプラネタリウム的なロマンスソウル「Suppose You Like Me」では、 Pino PalladinoにJames Poyser、それからAhmir "Questlove" Thompsonが制作に関与しているから凄い。宇宙を横断する銀河が蠢きうねった輝きを膨張させるような壮大なスロウ「She Wants」もセクシーですし、「Let Me Love You」での甘くしとやかな蜜味囁きハーモニーも彼らならではのトリップグルーヴでたまりませんね(骨抜)。スクラッチやクイーンと捻って放つ弦音、そして乾いた針的なビートが格好良いHip Hopマナーな「So Lucky」がMaurice WhiteとPhilip Baileyの共同制作で驚き、いま聴いても凄くクールでお洒落ですし、オジサン達がこんな曲をバンドでやっている事に敬服です。最後を飾るのはドス黒いファンクを大爆発させたバンド前面繰り出しの「Dirty」、これは78年『I Am』でのセッションを基に再構築されたそう。

デビュー作から30年以上の時を経ての本作も、結局は良い意味で変わらぬEWF節が炸裂、もうどこを切っても同じな金太郎飴状態です。Maurice Whiteは亡くなってしまったけれど、こうしてEarth, Wind & Fireの素晴らしい楽曲を僕らの中で生き続けます。昔のアルバムも勿論良いですが、ここら辺りのEWFをこの機に聴き直すのもお薦めですよ(太鼓判)。Maurice Whiteの御冥福を、心より御祈り致します。


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「Nina Revisited: A Tribute to Nina Simone」
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今なお時代を超越して愛される伝説的シンガー、Nina Simoneのトリビュートアルバム『Nina Revisited: A Tribute to Nina Simone』を御紹介。優れたジャズシンガー、音楽家であり、また1960年代の黒人公民権運動に参加するなど活動家でもあったというNina Simone。ズブの素人の僕でも名前は知っているし、エッセンシャルシリーズでのNina Simoneのベスト盤ぐらいなら持っていて聴いた事があります。でも彼女自身についてはそこまで知らないし、だからここで詳しい御紹介も出来ません。本作はNina Simoneのドキュメンタリー『What Happened, Miss Simone?』と並行制作された企画で、いま話題のRobert GlasperがProducerとして関与している事でも話題になっています。
それではザックリですが感想を書きますと・・・・・・まず本作で特筆すべきは先述のRobert Glasper、そしてもう一人、あのLauryn Hillが(本作ではMs. Lauryn Hill)もプロデューサーを務め、なおかつ5曲を歌っているのです(驚)。まずはそのLauryn Hill曲から触れてゆきますと、スタートを切るのは「Feeling Good」。ホーンをねっとりと粘着質に鳴らすJazzyなトラックは黒くツヤ光りし、そこにNina Simoneに通ずるLauryn Hillの褐色のハスキーなヴォーカルが、ゆっくりジワジワと翼を広げて飲み込むような感触にゾクゾク(鳥肌)。続く「I've Got Life」は軽妙かつ砂利っとした鍵盤音&ビートが鮫肌のような輝きを放ち、その波間をLauryn Hillの真空波のように鋭いラップが鼓膜を切開するのがもう痛快。「Ne Me Quitte Pas」ではメランコリックなギター伴奏をバックに、どこまでも濃厚で芳醇なカフェインたっぷりなLauryn Hillのブラックコーヒーみたいなヴォーカルが深い香りを漂わせます(醒)。Lauryn Hillの深みのあるヴォーカルがマーブル模様でドリップされているのが「Black Is The Color Of My True Love's Her」で、ここではグニャグニャと変形するアメーバ状の古びた電子音の海が広がり、なんだか不思議な深度が生まれて沈んだり浮かんだりと彷徨ってしまいます(変則的)。氷雨のように鋭く冷たく降りしきる鍵盤音が印象的な「Wild Is The Wild」も、Lauryn Hillの漆黒のヴォーカルが見事な陰影を作り、彫刻のように冷たい立体感を創っています。残るはRobert Glasperが制作を担当し、他の豪華なシンガーが揃い踏みしております(興奮)。まずはLauryn Hill的な焦げるような熱感を持ったJazmine Sullivanが歌う「Baltimore」、彼女のそんな焦げ付くような火照りヴォーカルを活かしたレゲエ調のミッドチューンでまったりグッド。「Love Me Or Leave Me」では注目の若手白人ソウルシンガーGraceが登場、艶っぽくてラグジュアリーなシルキーミッドにGraceの少しだけ悪戯っぽく情熱的なヴォーカルが妙にセクシーで、この小悪魔っぽさは癖になりそう(予感)。Robert Glasperの良さが発揮されている、柔らかなでピアノ鍵盤の音色とギター弦の温もりある音色が心地良い「Don't Let Me Be Misunderstood」は、女王Mary J. Bligeが登場。音の響きはまるでボタニカルな鮮やかさと瑞々しさがあって、Mary J. Bligeのコクのあるヴォーカルが艶っぽくも上品に香ります。「Sinnerman」はJazzシンガーのGregory Porterが登場、いつもは慈しみのある優しいクマさん声の印象の強いGregory Porterですが、ここではヒリヒリとする程スリリングで尖ったヴォーカルを荒ぶらせています。「We Young, Gifted And Black」ではLalah HathawayとCommonが共演、もうこれは鉄板なコンボ技でパシパシと叩くビートに乗っかるCommonのタイトなラップと、華やかな鍵盤音に舞うLalah Hathawayの優美なヴォーカルの対比は黄金律。「I Put A Spell On You」では久々の登場となるAlice Smithが登場(!)、まるで逆再生するようにズルズルと捻じ曲がる暗澹トラックに、Alice Smithの歌うでもなく漏れて滲ませるようなヴォーカルがハマっていてクール(鳥肌)。Nina Simoneの娘であるLisa Simoneが歌う「I Want A Little Sugar In My Bowl」は、母親を思わず重ねてしまう優しくてたおやかなスロウチューンで思わずウットリ。最後はNina Simone本人の「I Wish I Knew How It Would Feel To Be Free」を収録、やっぱり彼女の独特の深みは誰にも再現はできませんね。あと重要なのが、SALAAMREMI.COMが制作した「My Baby Just Cares For Me」はUsher登場、パシュパシュと乾いたビートと電子鍵盤のとろけるような甘いメロディ、そこにUsherの寄り添うようなヴォーカルがなんとも優雅でクラシカル。

面子がとてつもなく豪華ですし、もうMs. Lauryn Hillの新作も出そうにありませんから、これを聴いた方が無難だと思います(笑)。特にUsherなんかがこういう正統派なトラックに乗っかる事も少なそうなので、そういう部分でも楽しめる一枚なんじゃないかなと思います。そういったベテランだけでなく、きちんと実力のある若手も起用されている辺りはRobert Glasperの上手かったところ。時が過ぎてもなお、現代に活躍するこれだけの豪華なアーティストが憧れるNina Simoneってやっぱり凄いですね(敬服)。




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