RocBox 2

自分の持っているR&B、Rapアルバムを聴いての感想を偏見で綴る。音楽に関する知識はほぼ無し、雰囲気で語る。

08 2016
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プロフィール

Queen

Author:Queen
生年月日:1983年11月28日
星座:射手座
性別:男
血液型:A型
趣味:古典的推理小説読書
    黒音楽に浸る

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Snoop Dogg「Coolaid」
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G-Funkサウンドを盾に西海岸から登場し今なお精力的な重鎮、Snoop Doggの通算十四作目となる『Coolaid』を御紹介。とにかく息が長いしずっと第一線だし、凄いなとつくづく感心してしまうSnoop Dogg御大。ここ数年でもレゲエサウンドを思い切り吸収したSnoop Lion名義での『Reincarnated』新生代のWiz Khalifaとがっつり組んだ『Mac & Devin Go To High School』Dam-Funkと共にファンクを突き詰めた『7 Day Of Funk』再び隆盛したPharrell Williamsとガッチリコラボした『Bush』と、常に攻め続けているSnoop Dogg。その前作『Bush』からおよそ1年ぶりとなる本作は、原点回帰して西海岸のギャングスタラップを押し出した内容、という事で懐かしの犬イラストジャケットなのも三十路オーバーには嬉しい限り。
それでは簡単に感想をちょこちょこと書いちゃいますね・・・・・・まずはBongoが制作を担当した「Legend」でスタート、ギラギラ鋭く光るシンセとビートを酸にズブズブと漬け込んだ、現行のトレンドを摑んだ鈍い一曲で、Snoop Doggのラップもそれに伴いボタボタと連なってゆくのが新鮮。Losが制作を担当した「Ten Toes Down」なんかはもう完璧な初期Snoop Doggのサウンド、柔らかくしっとりとしたネオン蛍光のシンセが瞬く中、Snoop Doggのビートにシームレスに絡んで解けるラップが超絶カッコイイ(痺)。「Don't Stop」ではあのNottzが制作を担当し、客演にはあのToo $hortが参加という事でもう興奮。ビョンビョンとちょっぴり漏電気味なシンセがバシャバシャと跳ねる水浸しファンクチューンで、Snoop DoggとToo $hortのユルユルなのに殺気をビリビリと感じるラップが交錯するのがたまりません。「Super Crip」はまさかのJust Blazeが制作に参加(久々)、バキバキに硬い電子音とドラムビートを直角進行させたホットなアッパーで、こういうゴツゴツしたトラックだからこそSnoop Doggの蜂蜜的にネットリしたラップが余計に面白い。CardoとCubeatzが共同制作した「Coolaid Man」はヒュッヒュッと空気が抜けるようなトラックと、その空気穴からSnoop Doggのスモーキーなラップがニョロニョロと煙立つ感触が面白い。Swizz Betazが制作&客演(Co制作にMusicman TyとAvenue Beatz)した「Let Me See Em Up」は、熱されてボゴボゴとタフに鳴る煮沸シンセ&ビートの中で、それに負けずに灼熱で攻撃的なSnoop Doggのラップが恐ろしい。再びBongoが制作を担当した「Point Seen Money Gone」ではJeremihが客演参加、キラキラと煌めくシンセを冷たい闇が飲み込むようなナイトメアトラックで、フラッシュの様にパチパチと瞬くJeremihのねっとり甘いヴォーカルもクール。ただこの曲は終盤でのトロトロと速度落とし酩酊してゆく切り返しが最高で、エフェクトかけて幻術のように揺らめくSnoop Doggが必殺。Daz DillingerとDazminが共同制作し、Co制作にはSoopaflyも関与ともうウェッサイ黄金時代の面々が脇を固めた「Oh Na Na」は最高の一言に尽きる(笑)。フルーティで甘酸っぱいメロディにアルコール炭酸のようなビートが弾ける洒落た微ファンクチューンは、メロウでスムースなラップで潤すSnoop Doggの十八番、そのうえ客演参加のWiz Khalifaがマッタリとハニーテイストなラップ&フックを聴かせる鉄板芸でシンクロ。「My Carz」は今は亡きJ Dillaが制作を担当しており、光線ビームのようなシンセがザクザクと飛び出る刺激的な一曲。軽妙なベースのグルーヴで銀河を駆け抜けるようなシャイニーなファンクを展開する「Two Or More」はNiggaracciが制作を担当、この感触はPharrellと組んでいた時に似ていて、ソフトでしなやかなSnonp Doggのラップが流星のようにスルリキラリと滑ってゆきます。Cardoが制作を担当した「Affiliated」は久々のTrick Trickが客演で参加、ひんやりスムージーのような甘みのあるネオンチューンはSnoop Doggの十八番ですし、そのSnoop Doggに反してゴツくてタフなTrick Trickのラップもナイスアクセント。「Feel About Snoop」はまさかのRockwilderが本当に久々の制作、2分強の短い曲ながら水の波紋のようなギュイギュイ電子音で鼓膜を囲ってしまうエッヂークールなサウンドは健在で、Snoop Doggの持つ鋭利さをバッチリ惹き出しています。Swizz Beatzが再び制作&客演参加(Co制作にMusicman TyとAvenue Beatz)の「Light It Up」は、木枯らしのように寂しげな鍵盤音が吹き荒ぶメロウで、花びらが散って舞うように儚くメロディアスなSnoop DoggとSwizz Beatzがナイス。続いてもSwizz Beatzが制作&客演参加(Co制作にMusicman TyとAvenue Beatz)の「Side Piece」は、満点の星空を思わせるピアノ鍵盤煌めく流麗なドリーミーでメロウなトラックに、優しくしとやかなSnoop Doggのラップがふわふわと絡むのが心地いいんです(遊泳)。再びWiz Khalifaが客演参加した「Kush Ups」はKJが制作、このコンボらしいユラユラモクモクと煙たく漂うスモーキーな紫煙ミッド。個人的に最高にホットだと思ったのが、Jazze Phaが制作した「Double Tap」で客演にはJazze PhaとE-40が参加。Jazze Phaらしいメタリックブルーなクールなトラックはスベスベと滑らかでしっとり(夜露)、そこにミルキーなSnoop DoggとスパイシーなE-40が絡み、Jazze Phaがあの下手ウマでファンキーな歌声を捻り出すのが最高です(昇天)。「Got Those」はTimbalandが単独で制作していて、ビカビカギラギラとド派手に輝くブツ切り電子音のゴロゴロ感が中毒性を生みます。またまたSwizz Beatzが制作&客演(Co制作にSnagzとMusicman Ty)の「Let The Beat Drop (Celebrate)」は、囁くようなSnoop Doggのラップが透け感を生む淡白メロウ。盟友Suga Freeが参加した「What If」はFinguzが制作を担当、このコンボですしもう完璧な西海岸サウンドでまったりとメロウでグルーヴィーな夜風疾走チューンで美しい(吐息)。最後はJust Blazeが制作を担当したソウルフルな「Revolution」、客演にはOctober Londonが参加しビタースウィートな歌フックをかましていて、Snoop Doggの吠えるように厳つく尖ったラップが映えています。

全20曲という収録曲数も凄いなと思いますが、それでも全く飽きさせないSnoop Doggの王政復古に拍手喝采です。僕好みのProducerがこぞって参加して、彼らベテラン勢が思うあの頃のSnoop Doggサウンドの復元技術も素晴らしかったです(感涙)。かく言う僕はIggy Azaleaいじめの一件でSnoop Doggが心底嫌いになっていたので、本作も惰性で購入した感じだったんです。がしかし、本作のサウンドとSnoop Doggのマッチングは全盛期の彼を思わせて嫌いになれない、すごく鼓膜にしっくり来る好きな一枚で御座います。




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Mindless Behavior「#OfficialMBmusic」
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2010年にメンバーが13歳でデビューしたキッズグループ、Mindless Behaviorの通算三作目となる『#OfficialMBMusic』を御紹介。Producerとして知られるWalter Millsap IIIと彼の音楽パートナーのCandice Nelsonらによってオーディションを開催、Prodigy、Roc Royal、Ray Ray、Princetonの四人が選ばれ、R&B界に久々のキッズグループMindless Behaviorが誕生しました。1st『#1 Girl』と2nd『All Around The World』とヒットを記録、順風満帆に思われましたがPrincetonを除く三人が相次いでグループを脱退。という訳でオリジナルメンバーはPrincetonのみを残し、新たにEJとMikeがグループに加入し再スタートとなったのが本作。配給もWalter Millsap III率いるConjunction Entertainmentからということで、インディでのリリースになっているみたいです。
という訳で僕の知らない間に起こったことは書き終えたので感想に・・・・・・まずは制作陣に関してですが、そこはやはりMindless Behavior(以降はMBと省略)の生みの親であるWalter Millsap IIIが全曲の制作を担当、脇を先述のCandice C. Nelson、Blewa Muhammadなどが固めています。まずはProblemとBad Luccを客演に迎えた現行トレンドであるポロポロと崩落させるビートが効いた「#iWantDat」でスタート、絶えず鳴らすビートの粒々感はまるでタピオカみたいで喉越しが面白く、意外にもアダルトで湿り気のあるヴォーカルの新生MBに期待も膨らみます。続いてもDJ Mustardっぽい抜け感のある往復ビンタ系のビートがこだまする「#FreaksOnly」はBad Luccが客演参加、やはりMBのマッタリとしたなかなか濃厚なヴォーカルが響いて、こういうなだらかなメロディを上手く機能させています。たっぷりと溜めて仰け反るような、あの肉体派Tankの系統の壮麗スロウジャム「#Lamborghini」なんかはもう最高(痺)。霜が降りそうなほどに冷たく澄んだトラックは鼓膜が切れそうな程に鋭利に細く輝き、その中でMBの微熱を弾けさせてグラインドするヴォーカルが素晴らしく艶美。「#Blur」は左右に大きく揺れる振り子ビートの中で、MBの蜃気楼のように妖しく歪むのもグッド。近年のEDMブームに乗っかったNe-Yoライクな四つ打ちアッパー「#DanceTherapy」も、バリバリと放電し瞬くシンセチューンに、アイスミントみたく爽快クールなMBのヴォーカルが炸裂していてカッコイイ(昇天)。「#Better」ではKRが客演参加しており、氷点下ブルーなメロディが鼓膜を少し凍りつかせ、時に囁き時に吠えるようなMBの起伏の激しいヴォーカルがそれを砕き、メロディの破片が飛び散るのがドラマチック。「#OverNightBag」はウォータリーな音色があちこちに流れて満たすリキッドメロウで、その流れに逆らわず流線形の美しいヴォーカルで水流を作るMBのスウィートさが良い。ビョンビョンと跳ねる弦音が清涼感のあるグルーヴを生む「#1UCall」はWalter Millsap IIIが巧い、ここでこういうレトロなアッパーで留め金を打つのは流石な構成力。MBの甘酸っぱくてスッキリとフレッシュなヴォーカルが迸る「#ComeUp」もやはり美味、キレのある炭酸水みたいな透明感のあるトラックがMBのヴォーカルの酸味をより引き立てています(堪能)。ImmatureやB2Kみたいなエッヂーでセクシーな鋭角サウンドを纏ったミッド「#SongCry」も最高で、メタリックな加工が施されたMBのシャープで滑らかな反射光ヴォーカルもカッコイイんです(突刺)。最後を締め括るのは「#Muzik」では、なかなかコクのあるMBのビターなヴォーカルがドクドクと膨れてサウンドを拡張してゆくタフでキュービックなミッド。

あれれ?全くとまでは言いませんが、そこまで期待していなかったんですが、新生Mindless Behaviorはなかなかセクシーでカッコイイじゃん(痺)。Chris BrownやNe-Yoが好きな方は、つまりそこまで純粋R&Bでないポップ混じりなR&Bが好きな方は絶対にハマりますね(断言)。インディなのもあってかあまり話題になっていないけれど、これ結構好き、ボーイズグループが群雄割拠していた時代を知る三十路以上は、過剰反応せずにいられないのでは(危惧)。






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A$AP Ferg「Always Strive And Posper」
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N.Y.のHip Hop集団“A$AP Mob”の一員、A$AP Fergの通算二作目となる『Always Strive And Prosper』を御紹介。A$AP MobといえばやはりフロントマンであるA$AP Rockyが有名で、1st『Long. Live. A$AP』2nd『At. Long. Last. A$AP』と立て続けにヒットさせています。そんなA$AP Rockyに続けとこのA$AP Mobから飛び出したのが、そのA$AP Rockyとは対照的にもっさりしたルックス&ラップのA$AP Ferg。しかし、このA$AP Fergがかなりの曲者でデビュー作となる『Trap Lord』もばっちりヒットさせ、それこそRockyとはまた一味違ったファン層を獲得しているかと思います。かく言う僕も今となってはもうA$AP Ferg(以降はFergと省略表記)派で御座いまして、それこそ彼の1stは後々にけっこう重宝したものです。
という訳で僕の中ではかなりの期待値MAX状態で聴いたんですね・・・・・・まずはDJ KhalilとClams Casinoが共同制作した「Rebirth」でスタート、これがもうガラガラとごつい音が決壊崩落するトラックで聴き手は早くも生き埋め状態、そんな中で掘削機のようにタフでパワフルノンストップなFergのラップが(途中でスクリュー処理し速度落とすのもズルい)痛快で仕方ない。「Hungry Ham」はまさかのSkrillexが制作を担当、そのSkrillexとCrystal Cainesが揃って客演参加。ゴム仕掛けでビョンビョンとせわしく跳ね回す弾力のあるシンセの交錯の中で、重油のように重たくドロっとしたFergのラップが鼓膜に心地よい鈍痛を残すアッパー。個人的に速攻で溺愛してしまったのが、Dijon "DJ Mustard" McFarlaneとStelios Philiが共同制作し、サンプリングにAlicia Myers「I Want To Thank You」を使った「Strive」。疾風で舞い散るようなピアノ鍵盤がとてもエレゲントでとにかくお洒落、でもそこから急にトーンダウンしてボムボムと弾む鉛ビートをお見舞い、Fergがまるで機械がギアをサクサクと入れ替えるようにフロウを変え蠢めく(それでいてエモーショナル)Fergの起用さに脱帽(しかも歌える!)。しかもここではMissy Elliottが客演参加していて、こういうメロディレスでビートが静かに暴れるトラックで踊る(そして踊らせる)Missy Elliottは最強、カチリとはまる音が聞こえるぐらい復活後のMissy客演仕事では確実にNo.1の出来栄え。「Psycho」は再びDJ KhalilとClams Casinoが共同制作、ソウルフルなメロウをネバネバと粘度高めたミッドで、Fergの鈍色の光を放つラップがジワジワと鼓膜を侵食するのが毒々しい(快感)。「Let It Bang」はLex Luger制作でSchoolboy Qが客演参加、Lex Lugerらしいビリビリと通電するようなシンセの波紋チューンで、無骨でタフな両者のラップの波状攻撃もなかなか格好良い。「New Level」ではFutureが客演参加、しかも制作はDa Honorable C.N.O.T.E.なのでFutureは水を得た魚。ゴボゴボと濁流のような電子音が氾濫する中で、大きく黒い巨大魚のように不穏に横切る両者のラップがダークにしてクール。Cashmere Cat制作の「Yammy Gang」ではA$AP Mobの面々が揃って参加、部族的な打楽器ビートを嚥下するように落とすトラックに、FergはじめA$AP Rocky、A$AP Nast、A$AP Twelvyyとマイクをリレーするカッコイイ一曲。Veryrvreが制作した「Swipe」はRick Rossが客演参加、キリキリとガラスの破片みたいな音色が鋭く響くシリアスな一曲。TM88が制作した「Uzi Gang」では要注目のLil UzivertとMarty Ballerが客演参加、猛毒ガスが停滞充満したような中毒性の高いトラックに、三者のドロドロとしたラップが渦巻く鉄壁トレンドチューン。またもやDJ KhalilとClams Casinoが共同制作した「Beautiful People」は、Marvin Gaye「What's Happening Brother」をべったりとサンプリング使用したフローラルでメロウな芳しい一曲。ここではあのChuck Dを客演に招き、二人の骨のあるゴツゴツしたラップが鮮やかに柔らかに鼓膜を挫くのが流麗、最後にはMama Fergの語りも挿入されていてグッド。水面をベチンと叩くようなビートで水飛沫が舞うようなリキッドチューン「Let You Go」はまさかのStarGateが制作を担当、StarGateらしい透明感のある澄んだメロディにFergの鯨のように大きくて優しいラップが泳ぐのが心地良いんです(溺愛)。「World Is Mine」はNo I.D.が制作を担当し、客演のBig Seanの漣のようなフックが波間を作り、その波間を塗って鯨のように悠々とのっそりのっそりと潜水するFergのラップが暗くもドリーミー。HaglerとJordan Lewisが共同制作した「I Love You」ではChris BrownとTy Dolla $ignが揃って客演参加、Chris Brownのヴォーカルが水の冷たさとアクアブルーな鮮やかさ、Ty Dolla $ignが水の揺蕩う感触、Fergはその水の中で聞く泡のような感触、と綺麗に三分割で楽しめるモイストミッドで素晴らしい。最後はDJ Khalilが単独制作した「Grandma」では、セピア色した木枯らしのように荒涼としたトラックに吹かれ、疾走するFergのラップとエキゾチックなヴォーカルが独特な風味で香ばしい(美味)。

マジで面白い、A$AP Fergがこれほどまでに変幻自在なMCだったとは(驚)。トラックの振り幅もA$AP Rockyとは比べものにならない程大きいし、これほどに鈍足そうなフロウスタイルなのに軽々と乗りこなしているんだから凄い(幻術)。前作からの進化の度合が半端じゃなく凄まじい、僕的には本当にA$AP Rockyなんかより断然A$AP Fergが好き。新境地をサクッと切り拓いた感のあるA$AP Fergの本作、かなり好きです。








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Gordon Chambers「Surrender」
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1995年にAnita Bakerのヒット「I Apologize」のソングライターとしてグラミー受賞経験のあるシンガーソングライター、Gordon Chambersの通算四作目となる『Surrender』を御紹介。これまでの楽曲提供をみてもWhitney Houston、Patti LaBelle、Ron Isleyといったベテランから、Beyonce、Angie Stoneといった最近のシンガーまで数多い仕事をこなしております。僕も四作全て持って聴いているのですが、このブログで紹介できているのは傑作と誉れ高いデビュー作『Introducing...Gordon Chambers』と、前作にあたる『Sincere』でございます。そんなGordon Chambersが日本のレーベルであるSWEET SOUL RECORDSから新作をリリース、前作もそうだけれど全世界でリリースされたらいいのになー(惜)。
それではちょこっとずつですが聴いた感想をここで述べますとね・・・・・・まずは太陽の匂いのするようなポカポカと朗らかな昼下がりメロウ「The Diamond Inside」でスタート、制作はもちろんGordon Chambersが担当。音色がキラキラと反射して輝くのがとっても素敵ですし、なによりもその光を受けてGordon Chambersの優しく温かなヴォーカルが照り返しするのがまた綺麗。Steff Reedが制作を担当した「I Made It」では、そのSteff ReedとEric Robersonが揃って客演参加。ちょっぴりピリリと辛味のあるスパイシーな哀愁メロウで、氷結したような青白く冷たい透明感を放つトラックに、やはり結晶のように透明で硬いGordon ChambersとEric Robersonのヴォーカルが溶けるのがいい(痺)。アコースティックギターの爽やかな音色が心を洗って浄化する「It Might Be You」はあのTroy Taylorが制作を担当、少しの淀みのないナチュラルグリーンなトラックにGordon Chambersの水性のヴォーカルが流れるのが涼味で、空の青を反射する水面のようなクリアな輝きを放ちます。「I'll Never Forget It」はJamal Brookinsが制作を担当しており、ここでは多重になったコーラスワークも手伝ってどこかBoyz II Men的な風合いでいて2000年代R&Bの様式美のミッド。肌にチクチクと刺さる冷たい水の激流に飲まれ流されるような、そんな冷たい水圧に揉まれ争い消えるようなGordon Chambersのヴォーカルが切ない(涙)。Darien Dorsey制作の「Back To Love」ではLalah Hathawayが客演参加、これも軋むように光が切れて射す感触がNe-Yo(StarGate)以降のR&Bサウンドを思わせるクリアなミッドで、Gordon ChambersとLalah Hathawayのビタースウィートなヴォーカルがミルフィーユとなって鼓膜で堪能できる美曲。同じくDarien Dorseyが制作した「Uncoditional」は幾重にも織られて響くGordon Chambersのファルセットヴォーカルが、まるで屈折し鮮やかな色彩を煌めかせるオーロラのようでとても綺麗。そんなヴォーカルをそのまま結晶化しそうな、ちょっとヒンヤリ冷たい北極の空気みたいなトラックも済んでいてグッド。亡きWhitney Houstonに捧げたアコースティックバラード「My Way (Whitney Houston Tribute)」はGordon Chambers制作、淡水のように透明感のあるGordon Chambersの潤いたっぷりな歌声を、乾いたハートがゴクゴクと飲み干してしまう当然の良曲です。ハンドクラップと零下のシンセがメロディを張ってゆくゴスペル風の氷結メロウ「Love & Help Somebody」、制作はLike Witherspoonで客演のAyana Georgeと共にキリリと淡麗なヴォーカルが響きます。なんだかStevie WonderマナーとJazzマナーが混じったような鍵盤メロウ「Imaginary Lover」はGordon Chambers制作で最高にオシャレ、Carol Riddickが客演でとてもフローラルでラグジュアリーな気品溢れる極上スロウジャム。Gordon ChambersとShedrick Mitchellが共同制作したゴスペル調の「One Voice」もとにかくキラキラと眩くて綺麗、燦々と降り注ぐ陽光のように温かく煌めいていて優しく燃えています。さらさらと天然水を注ぐように奏でるギター弦の音が瑞々しい「Circle Of Love」はGordon Chambers制作、聴いているだけで自分が深層水まで沈んでゆくような感覚に陥るモイスト感、Gordon Chambersの優美な歌声が本当に心に沁みます(浸透)。Shedrick Mitchellが制作した「I Surrender All」は王道の素朴なピアノバラードで、シックで格式高いGordon Chambersのシルキーな歌声がしっくり。最後は国内盤のみのボーナス曲となるJamal Brookins制作の「Dreaming」で、スベスベとした流線型の四つ打ち疾走チューンで確かに毛色が違うのでボーナス曲扱いで正解。

僕ら日本人にも本当に聴きやすく親しみやすいR&B、前回も書いていましたが天然水のようなR&Bで御座います(浸透)。どんどん深化してゆく昨今のR&Bも確かに格好良くて良いけれど、やはりこういう爽やかでスッキリしたR&Bも聴きたいですね。最近はちょっと聞かなくなった気もする“美メロ”の代表格ともいえるGordon Chambers、なんにも考えずR&Bを聴いてスッキリさっぱりしたい時には超オススメですね(太鼓判)。


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Zo!「SkyBreak」
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Detroit出身の鍵盤奏者であり音楽Producer、Zo!の通算三作目となる『SkyBreak』を御紹介。Zo!って名前こそ知っていたけれど聴いたことはなくて、何をしている人なんだろうってのが正直なところでした。調べてみたら、鍵盤奏者(というよりマルチ奏者)としてJ DillaやThe Roots、あとはThe Foreign Exchange(PhonteとNicolayのデュオ)の音楽ディレクターを務めていたりして、意外と僕にもこれまで接点はたくさんあったようです(無知)。ちなみにこのジャケットは、閉店となったワシントンDCの老舗ジャズ・クラブで撮影されたものなんだとか(伝聞)。
という訳でそんなよく知らない状態で感想を書いちゃうと・・・・・・本作の制作に関しては、Zo!とPhonteの共同によるもので、楽器演奏はほぼほぼ全てをZo!が行っております(驚)。まずは才媛と称賛されるSy Smithが参加した「Lake Erie」でスタート、チョロチョロと湧き流れる清水のような鍵盤の音色に洗われ、Sy Smithの華やかで淡いヴォーカルがひらひらと舞い降るのがなんとも美しい。ピコピコとキュートな打ち込みがアナログチックに作動する軽妙ブギーな「Starlight」は、PhonteとCarmen Rodgersが揃って参加。Phonteがこれまたまろやかクリーミーなヴォーカルをひらりとファルセットとかで浮かびながら宇宙遊泳するのが愉しいし(EW&F風)、Carmen Rodgersの声もふんわりと重なるのが光を与えてイイ。Muhsinahが参加した「Packing For Chicago」もトロトロに粘度が高まった鍵盤音の連なりがドリーミーで心地よく、Muhsinahの艶美なヴォーカルがつるんとしていて鼓膜にスルスル入る。Shana Tuckerがヴォーカル、Phonteがラップで参加した「I Don't Mind」は、適度な硬さのドラムビートを背にキラキラとした鱗粉鍵盤音を散らす颯爽としたミッドで、Phonteの小気味良くて軽やかな疾走ラップも羽のようで気持ち良い。まるで夜空に満天の星空が巡るような、そんな煌めいた小粒な鍵盤音が輝く「Wishing You Well」は、Carmen Rodgersのふくよかでラグジュアリーなヴォーカルが輝くのもとっても素敵です。Eric Robersonが参加しビタースウィートな歌声を香ばしく響かせる「A Season」は、多重録音されたEric Robersonヴォーカルが温かく朗らかな厚みを生み、そこにまたふかふかのホーンも鳴ったりするのでしっかりフェザータッチなソウルチューンに昇華されています(酔)。「Just Whatcha Like」ではなんとあのJoiが参加、ビヨビヨとネオンに似た電流を泳がせるディスコブギーなトラックは流星のように滑らかで、Joiのハニーテイスト&感触な甘美なヴォーカルが閃くダンスチューン。微細な電子の暗海の中を泳ぎ漂うような静電気メロウ「Lifelines」では、やはりモロにMichael Jacksonマナーを継承したDornikがひらひらと海月のように揺らめくのが心地良いし、Phonteの水墨画のような淡さもある黒いラップも最高です(痺)。「For Pops」は完全なインストで、DrumsにNick Baglio、GuitersにChris Boerner、CongaにLeroy "Boogie" Grierが参加。最後はTamisha Wadenが参加したちょっぴりボサノヴァチックな「Steal My Joy」で〆、暑い夏をちょっぴり涼しくしてくれるオーシャンブルーな一曲で爽快。

PhonteEric RobersonCarmen RodgersDornik、そしてあのJoiと、僕の大好きなシンガーを集結している時点で即買いでした。Zo!の鍵盤の魔法に心地よく溺れることのできる、とっても清涼感のあるソウルアルバムでスッキリと聴き終えることができます。まだこのブログではThe Foreign Exchangeに触れることが出来ていないので、いつか書けたらなとおも思います(夢)。






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Bas「Too High Too Riot」
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N.Y.はQueens出身の本名Abbas Hamad、Basの記念すべきデビューアルバムとなる『Too High Too Riot』を御紹介。スーダン出身の両親の下に生まれ、幼少期はフランスとカタールで生活していたのだとか。Basのことはよくは知りませんが、あのJ. Cole主宰のレーベルDreamville Recordsに所属ということで、しれっとMixTapeとかは全てチェックしておりました。
てな感じでそんな知っている予備知識もありませんので本題に・・・・・・まるで朝靄に包まれてオレンジ色に染まって移ろうビル群を思わせる情緒豊かな「Too High Too Riot」、制作はCamereon O'biが制作を担当。サウンドがブシャっと迸るような部分とすっと音が萎む部分の波が面白く、まるで新鮮な果実をギュッと搾ったようなトラックで、Basの滑らかで柔らかなラップが心地いい。Ron Gilmoreが制作を担当した「Methylone」は澄んだ水の中にジャブジャブとビートを落として沈めるような感触のトラックに、パチパチと撥水性のあるBasのラップが弾けるのがこれまた気持ちイイ。Ron Gilmore制作の「Dopamine」ではCozzが客演参加、サンプリングにはPiero Piccioni「Camille 2000 Intro」を使用。ゆっくりとジワジワ動く細胞液のような音色がなんとも甘ったるく鼓膜に響き、Basのマッタリした感触のビターなラップと溶け合って体中に染み渡ります。「Housewives」はSoundwavveが制作を担当しており、月光の作る夜の闇が伸びて影を落とすような静寂を纏った冷ややかなトラックで、とても神秘的で流麗な一曲。またまたRon Gilmoreが制作を担当した「Miles And Miles」はインストのみなんですが、このチルウェイブにちょっぴり多めのカフェインを足したようなサウンドがなんとも心地のいい刺激で、聴き手の聴覚をすーっと研ぎ澄まさせます。そんなインストのテイストを汲み入れ、微睡みに似たトロトロとしたサウンドをシロップ漬けにしたようなメロウ「Live For」。制作はOgee HandzとDikCの共同で、そんなシロップの中にズブズブと溶け込んで沈むBasのラップの魅せる輝きがとても神秘的で、アクアリウムのような透明な色と潤いとを放っています(幻想)。同じくOgee HandzとDikCの共同制作となる「Clouds Never Get Old」では、Aaliyah「Never Comin' Back」をサンプリングに使用。原曲の持つ感覚、深水の中を遊泳しているのか沈んでいるのかみたいな危うさが漂う一曲で、こういう朧げなトラックにもバチバチと放電するようなラップを打つBasがなかなかカッコイイ(痺)。「Matches」はRon Gilmoreが制作を担当しThe Hicsが客演参加、微細な気泡が輝き立つようなシャンパンゴールドのミッドで、硬く進むBasとは対照的に艶っぽくも気怠いThe Hicsのヴォーカルが可憐で素晴らしい。Cedric BrownとKaleb Rollinsが共同制作の「Night Job」ではJeremih「No More」をサンプリング、しかも親玉であるJ. Coleが客演なので本作の目玉な事は間違いなし。これもやはりウォータリーなタッチの透き通ったモイストメロウで、Basの少し肉感のある厚いラップと、J. Coleの回遊魚のようにピチピチと跳ねて泳ぐラップとの融合がシンクロ。Ron GilmoreとThe Hicsが共同制作し、そのThe Hicsが客演参加もしている「Ricochet」は、粘度の高い半透明なゼラチン質なミッドに、Basの太くてしなやかなラップがズシズシと落ちては沈むのが夢現つ。Ron Gilmore制作の「Penthouse」は、虚ろにぼんやりと明滅する鬼火のようなシンセを背景に、Basの高速で鋭利にスピンするラップが確実に聴きどころでグッド。最後を締めくくる「Black Owned Business」で制作はSubdaioが担当、木製みたいなビートの空間の中で反響し増幅し加速するようなBasのラップがシックなツヤ光りを放ちます(秀麗)。

J. Coleのレーベル発ということで、サウンドの感じとかはやはり極めてJ. Coleに通ずる世界観かと思いました。別に真似っこだとか似ているとかでなく、共有している空気感が馴染んでいるというか。僕的にはJ. Coleが大好きなので、やはりその延長線上でとても堪能できている一枚で御座います。あとはそのJ. Coleとの住み分けが出来るかどうかが鍵、でもカッコイイからJ. Cole共々、僕は応援します。








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Skepta「Konnichiwa」
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UK発祥の音楽スタイル“グライム”の重要な一角を担うMC、Skeptaの通算四作目となる『Konnichiwa』を御紹介。グライムとは何か、英国の辞書によると(つまりグライムというジャンルはもはや辞書に載るレベルという事)ダンスホールとヒップホップの要素を融合させたポピュラーミュージックのスタイル、と定義されているのだとか。それこそCraig Davidに代表される2ステップや、So Solid CrewやRomeo(彼がそのSo Solid Crewの一員)に代表されるガラージといったサウンドを、ヒップホップやレゲエ、ジャングルやドラムンベースなどのサウンドと混ぜ合わせたのが、グライムなんだそう(伝聞)。しかし、当の僕はグライムというと即座にDizzee Rascalしか思い浮かばなくて、このSkeptaに関しては全く知りませんでした。SkeptaもRoll DeepやBoy Better Knowで活躍していた古株で、Roll Deepなんかは聴いたことあるけれど彼がいたか全く覚えていません(笑)。ここ最近ではKanye WestがBRIT AwardsでグライムのMCを率いてパフォーマンスしたり、Jay ZがRoll DeepのメンバーのTinchy Stryderと契約を結んだり、また俄然盛り上がっているようです(他人事)。
という訳で前置きばかりが長くなってしまいましたが・・・・・・まずクレジットを見て驚いたのは、ほぼほぼをSkepta自身がトラック制作しているという点。という訳で先にSkepta制作の曲から触れます、まずは冒頭の「Konnichiwa」。 けたたましいサイレン音の響く中でザクザクと鋭利でダートな電子音が交錯し、そんなラフなトラック上をSkeptaの豪力なラップがドリフトするのがクール、冒頭ちょっとの登場の客演のFifi Rong嬢はもっと使ってもよかったかも。Novelistを客演に迎えた「Lyrics」もまるで剣山のように刺々しい電子音とビートの発破チューンで、Skeptaのイイ意味でどこか泥臭いラップが濁流となって鼓膜を飲み込みます。「Corn On The Curb」ではWileyとChipが揃って参加、地下鉄が走ったように鈍く響くビートに、その振動で水漏れしたようなシンセが光るトラックがシリアスでいてパワフル。Skeptaに加えてこれまた鉄人のWileyまで参加していて、トラックこそ単調淡白になりつつあるも変化に富んだ印象に変わっています。「It Ain't Safe」ではYoung L.O.R.D.が客演参加、USサウスのように深みのある溜めがドムドムとした感触の重厚チューン。「Ladies Hit Squad」はA$AP NastとD Double Eが揃って客演参加、これはA$AP Nastのネットリとした蜘蛛の巣状のフックが効いた、現行のUSシーンに直結する暗澹チューンで穏やかにぶん殴るSkeptaのラップもクール。ギリギリと軋ませるように鳴るシンセと、爆風を起こしかねないビートの応酬で鼓膜がビリビリしてしまう「Man (Gang)」も、Skeptaのドスドスと重く跳ねながら突進するドンキーコングスタイルでキマっています(脅威)。「Shutdown」はRagzとの共同制作でとにかくグサグサと刺さるようなハリセンボンのようなトラックの殺傷力が凄く、そんな破裂玉なトラックに負けじと木っ端微塵に飛び散るSkeptaの鈍器のようなラップ(しかもグライムMCらしくかなりの速度で走れる驚き)はなかなか痛快。ブニョブニョしたスライム状のトラックをペチペチと叩いて創ったようなトラックが面白い「That's Not Me」はJMEが客演参加、プルプルとしたゼリー状のトラックをもまるで燃料にしてしまい、轟々とけたたましく盛る炎のようなSkeptaの灼熱のラップが火を吹くのも面白いし、JMEのちょっと粘着質なラップも聴き応えアリ。とここまでがSkepta制作曲で、ここからは彼以外が提供したトラックにふんわり触ります。グライム特有なリディム使いでキリキリと聴き手を縛って動けなくする「Crime Riddim」はBlakieが制作を担当、WileyとChipの援護射撃も受け真空波のようなラップを飛ばしてくる鋭利なアッパー(微塵切)。BBK客演の「Detox」はFootsieが制作で、金属的な冷たいシンセがひんやりと響くトラックで、鉄槌のように重たく衝撃のあるSkeptaとBBKのヘヴィーなマイクリレーがグッド。ズルズルと引きずるような重たい電子音の抜け殻音がダークソリッドな「Text Me Back」はRagzが制作、こうして聴くとSkeptaのフロウはかなり独特で重たくも変形性のあるもの。そして本作最大の注目曲は僕的にはやはり、Pharrell Williamsが制作&客演参加した「Numbers」でしょうか。バムバムと弾力性のあるビートをわざとスカスカに跳ねさせたPharrellらしい手抜きトラック(賛辞)で、一発一発が重くて角張っているSkeptaのラップスタイルと妙に合っていて、これは正直に美味。

僕なりにこういうUK産にも一応は浅く触れてるつもりだけれど、まだまだ奥が深そうなグライムとやら。どハマりするってことは僕はなさそうですが、この手のサウンドがまたUSで氾濫するのも遠くなさそう(予防)。年間Top10に入れることは無いと思いますが(暴露)、これに合わせてTinie TempahChipmunkLabrinthなんかもチェックしてみると面白いかもです。






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Domo Genesis「Genesis」
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Tyler, the Creator率いるOFWGKTAから新たな刺客、Domo Genesisの記念すべきデビューアルバム『Genesis』を御紹介。Odd Future周りの作品であちこち顔は出していたので、存在は早くから知られていたDomo Genesis。Odd Futureは本当にジャンルにとらわれない新進気鋭の音楽(アート)クリエイターの集団で、Tyler, the CreatorThe InternetFrank Ocean、あとは元所属していたEarl SweatshirtCasey Veggiesなど、いずれも話題作を発表しています。これだけ層の厚い集団はそういなかったんじゃないかと思うぐらい、とても精力的で御座います(感心)。その中でもようやくの登場と言えるのがこのDomo Genesis、期待値は自ずとグングン上昇していますよね。
そんなこんなでそろそろ感想を書いちゃいたいと思って・・・・・・まずはMike & Keysが制作した「Awkward Groove」が、Frank Dukes「13 Gangbanglul」をサンプリング使用。夏の夕間暮れのようなとろーりとまろやかな熱感が移ろうメロウなトラックに、Domo Genesisの蜃気楼のように妖しく霞んで揺れるラップがなんとも味わい深い。「One Below」は懐かしのSha Money XLが制作を担当しており、宵の明星のように薄暗い中でぼんやりと白んで瞬くような電子音に、流星のように流れ落ちるフルートの音色がなんとも艶麗、夏の夜に灯した線香花火のように小さくパチパチするDomo Genesisのラップもバッチリ。Add VocalのCarmel EcholsとSamantha Nelsonの夜風のようなヴォーカルも相まって、まったりとレイドバックしてしまう一曲。Robert Glasper「Those Days」をサンプリングした「Wanderer」はCam O'biが制作を担当、春の温もりに誘われて綻ぶ花弁のようなピアノ鍵盤の音色が華やか。Domo Genesisのほのぼのした温かみのあるラップと、陽光プリズムのように柔らかに屈折する客演のTay Walkerのヴォーカルも素敵。Da$hとKendra Fosterが客演参加した「Questions」はMaffyuuなる人物が制作、ブルブルとした感触のサウンドがちぎれては結合するゼラチン質なトラックに、各々のひんやり冷たいジュレのようなラップが覆いかぶさるのが中毒性抜群。あのChristian Richが制作を担当した「My Own」は、だんだんと白んで明るくなる夜空と朝焼けの中間のようなコントラストのトラックがなんだか微睡んで眩く心地良い。そんなトラックの中でふわふわと浮かんで消えるようなDomo Genesisのラップと、客演のJMSNの閃光のように鮮やかなヴォーカルとの溶け合いもなんだか煌びやかでグッド。少し重たく空気中に沈殿するガスのようなトラックがなんとも気怠くもイルに蔓延する「Go (Gas)」は、聴いてすぐにそれと分かるTyler, the Creatorが制作。そのTyler, the Creatorに加えて、Wiz KhalifaとJuicy Jまで客演に迎えマイクを回し、全員がユラユラと有毒ガスのようなラップを放出して鼓膜にねっとりとへばり付かせるのがたまらない(昏倒)。Lalah Hathaway「I'm Coming Back」を早回しサンプリングした「Coming Back」はSapが制作、90年代ライクな小気味の良いキックとサウンドで滑って突っ切るソウルフルな一曲。Domo Genesisのラップも一語一語がタフでゴツゴツしていてカッコイイし、客演のMac Millerのブルーチーズ的な歌フックがなんとも芳醇で酸っぱくて美味なんです(最高)。Cam O'biが制作&客演した「Faded In The Moment」は機械的なハミングを高周波で繰り出し、モザイク的フローラルさを香らすメロウチューンで、こういうマッタリとした甘美ビートでもねっとりと乗りこなすDomo Genesisがカッチョ良い(痺)。Garcia Brosが制作した「Dapper」はDexter Wansel「Voyager」をサンプリングし、Anderson .Paakが客演参加した話題曲。光線がビートに揺れて軽く交錯するディスコ調のブギーな一曲で、そんなメロディに逆らわずに囁きラップで静かに転がるDomo Genesisのラップも、とっても(良い意味で)カビ臭くソウルフルなAnderson .Paakのヴォーカルも抜群にマッチ。DrewbyrdとKintaroが共同制作した「Brotha」は、バツバツと干ばつしたドラムビートに流星のようなキラキラしたシンセが横断するトラックに、Domo Genesisの燻し銀なラップがじわじわと伝わって痺れます。OFWGKTAのLeft Brainが制作した「All Night」はKing Chipが客演参加(Add VocalにはKevin McCallも)、Jazzyなメロディに毒を調合したような暗さはまさにLeft Brain印。金色の輝きをネットリと放つホーン音に、ひらひらと舞い散る鍵盤音の中で高速でスピットするDomo Genesisのラップは柔軟。最後を〆る「Lost And Found」はSteely Wonderbreadが制作を担当、ホーンや弦音を編んで作った滑らかでツヤツヤな疾走感溢れるトラックは最高級にカッコイイ。

いやはや、どれだけカッコイイ作品を創ってくれたんだと拍手喝采です。これまでのOFWGKTAのラップ作品(関連も含めて)の中でも、最もスッキリとスマートで聴き易い、案外ストレートな作りの一枚かと思います。Domo Genesisと虚空の映ったこのジャケットが表すように、なんだか色彩が滲み移ろうようなマーブルメロウな味わいがとても綺麗なサウンド。なんだかとにかく良い意味で小洒落ていてすんなり鼓膜が吸収できる、心地の良い一枚で御座いました。






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King「We Are King」
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AmberとParisの双子姉妹に、Anita(左)を加えた三人で構成されるトリオ、Kingの待望のデビューアルバム『King』を御紹介。Kingといえば僕的に初見はRobert Glasper『Black Radio』収録の「Move Love」ですね、この頃Kingはまだデビュー前だったというのだから驚きです。Robert Glasperも彼女達を賞賛した訳ですが、その他にもKendrick Lamarが彼女達の曲をサンプリングしたり、Jam & Lewisもその才能を賞賛。そして極めつけは、あのPrinceまでが“完璧”と絶賛し自身のライブの前座に起用するなど、話題には全く事欠かないのがこのKingで御座います。ここ日本でも早くから話題になっていて、きちんと国内盤までリリースされたのですから、その期待度の大きさが伺えます。
という訳でさらっと内容に入っていこうかと思います・・・・・・まずは本作の全曲の制作や演奏をKingのメンバーが取り仕切っております、これだけでも凄いなと僕なんかは感心しております。まずは源泉から透き通った水が湧き上がるようなウォータリーミッド「The Right One」、それこそ冷たいミネラル水のようにゴクゴクと飲めて潤いをもたらすようなKingのハーモニーも素晴らしく、聴いているだけで体感温度がぐっと下がる一曲。ちょっぴりアフリカンっぽいメロディにエレクトロな装飾を施したTOTO風味な「The Greatest」は、ちょっぴりレトロなフューチャリスティックな音色が土着的なサウンドにマッチして、アフリカ草原を吹き抜ける乾いた風のようなKingのハーモニーがやはり心地良い。キメの細かなミストのように聴き手をしっとりと包み込む「Red Eye」は、Kingの継ぎ目の全く無い完璧に溶け合ったハーモニーもリキッド状態の高保湿ミッド。静かな空間にポタポタと雫が落ちて、やがてそれが溜まって大きな湖畔となって聴き手を泳がす「Supernatural」も、Kingは歌うでもなくただ小さく煌めき揺れる水面のようにそっとシンクロします。薄い雲の向こうで柔らかに光る月光のようなしとやかさが、なんとも優しく眩い「Love Song」もKingにしか出来ない極上スロウジャムで、ヴォーカルエフェクトを施してSadeを水で溶いたようなメロディ感触がとことん御洒落。どことなくアジアンな香りの漂う「In The Meantime」は、シャボン玉のように透けた繊細なハーモニーがプカプカと浮かんでは消えるのがドリーミー。ゆっくりと深水へと沈んでゆくように、メロディとハーモニーが鼓膜にじんわりと浸水してくる「Carry On」、波間のような静けさが漂うKingのハーモニーにうっとり。シンセの音色が斑らな色彩でぼんやりと変色してゆくメロウ「Mister Chameleon」、このなだらかなメロウで聴き手は知らずのうちに、意識のどこか深い部分へと滑り落ちている感じ。小川のせせらぎのようにマイナスイオンを発する「Hey」も、Kingの囁きかけるようなハーモニーが風に乗って香る野花の匂いのようで優しい。ファンタジックな電子音の瞬きがキュートな「Oh, Please!」、ちょっぴりエコーのかかったメロディがほどよい湿度を保っていて鼓膜も潤います(保湿)。もはや霧散状態で白く霞んでいる「The Story」は最高にスムース、最後を飾る「Native Land」なんかはほんのりとダークな香りも漂うヒンヤリと冷たく青白いメロウでクール。

なんだか水の表現ばかりになってしまいましたが(表現力の乏しさ)、これほどに水を連想した作品もそうないってぐらいに溢れんばかりの水。もっとゴッツリ歌い上げる印象のあった(勘違い?)Kingですが、とても繊細で優しくうっすらとしたハーモニーでそれもグッド。PrinceがKingを絶賛していた訳ですが、Princeってこういう囁くように甘いヴォーカルの女性が好きなんでしょうね。ネオソウルのさらなる進化形とも称されているKing、次回作もとっても楽しみですね。






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