RocBox 2

自分の持っているR&B、Rapアルバムを聴いての感想を偏見で綴る。音楽に関する知識はほぼ無し、雰囲気で語る。

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プロフィール

Queen

Author:Queen
生年月日:1983年11月28日
星座:射手座
性別:男
血液型:A型
趣味:古典的推理小説読書
    黒音楽に浸る

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Phonte & Eric Roberson「Tigallerro」
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PhonteとEric Robersonの名コンビが遂に共演した、Phonte & Eric Robersonの『Tigallerro』を御紹介。Little BrothersやThe Foreighn Exchangeに所属するPhonteの愛称であるTigalloと、Eric Robersonの愛称であるErroを組み合わせた造語“Tigallerro”がアルバムタイトルになっている模様、デュオの名前もこれにしたらよかったのに。これまでにも幾度と共演経験もあり、その相性の良さを証明している二人ですから心配はご無用。二人の顔がちょっぴり覗くこの白黒のジャケットも抜群にカッコイイから好き、もうこれで中身の保証もしてもらったも同然(空論)。
という訳で肝心の中身がどんな感触かを不器用に書きますね・・・・・・まずはE. JonesとZo!が共同制作した「It's So Easy」が先行シングルでした、これがもうプリズムのようなトラックにシンセや鍵盤が光(しかし陽光のような暖かな)となって拡散して抜けてゆくような鮮やかで眩いミッドでグッド。こう書くとなんだか無機質に思えるかもしれませんが、そこはPhonteとEric Robersonの柔らかく温もり溢れるヴォーカルが程よい弾力を肉付けしていてすごく春うららで心地良い。星明かりが鋭く感じさえする冬の夜空をも超え、月面を遊泳するようなほんのりと冷たくスペイシーなトラックがクールな「Thru The Night」はS1が制作を担当。キリリと澄んだ空気を震わせて奏でる二人のヴォーカルはビターで結晶みたくソリッド、Phonteのラップなんかも滑ったりして月光のようにエッヂーな感触が生まれていてカッコイイ(痺)。Butcher Brownの鍵盤奏者であるDJ Harrison(Devonne Harris)が制作を担当した「My Kind Of Lady」は、ほんのりと甘い香りが漂うよ花園のようなフローラルなトラックと、フックでのひらひらと蝶が舞うようなファルセット(これにD'Angeloの官能を感じるのは僕だけ?)が優美で印象的。ウォータリーなメロディと硬いビートが溶け合い、スコッチオンザロックみたいな金色な美しさと酔いを回らせる「Hold Tight」は同じくDJ Harrisonが制作。ちょっぴりラップっぽい歌唱なんかも混ぜたりする感じはTy Dolla $ignなどの現代的アプローチに通ずるし、二人のマッタリとした艶っぽいヴォーカルが鼓膜にほどよい灼熱感と潤いを同時に与えます。SlimKat78にAaron Hardin、Mr. Turnerが共同制作した「Grow This Love」は、ギター弦の爽やかな音色を清水で漱ぐようなメロディが淡く揺れて美しく、Eric RobersonとPhonteのヴォーカルの、ビードロの曲面が描く色彩みたくまろやかに輝きをとろけさせるような感触がたまらない(溜息)。The Foreign ExchangeとZo!が共同制作した「Never The Same Smile」ではShana Tuckerが客演参加、都会を金色に染める朝靄のように冷たくも鮮やかに鼓膜を刺すメロディがなんとも綺麗で、陽光が少しずつ外気を温めて霜を溶かすように奏でられる三者のヴォーカルも美しい。Stro ElliottとRich Mendina、KINGのParis Strotherが共同制作した「Waiting 4 Ya」では、ベテランのCarmen Rodgersが客演参加。蝶の羽音のようにひらめく微細いギター弦の音色が鮮麗で、とても芳しいフローラルなメロディにはCarmen Rodgersの華やかなヴォーカルが似合うし、Eric RobersonのミルキーなヴォーカルとPhonteのビターなラップの融合も絶妙。Extra Mediumが制作の「Lie To Me」は流星群のようなシンセがと瞬いては滑るミッドで、その上を軽妙に舞ってステップを踏む二人のヴォーカルがこれまたドリーミー。なんだか耳が深々と疼くような夜の静寂と、その間を縫って恋人たちの微熱混じりの吐息が漏れるような、そんなコントラストがなんとも艶やかで甘美なスロウジャム「3:45」はSheldon Williamsが制作を担当。最後はDaniel Crawfordが制作した「Something」で〆、ホーンやパーカッションがベースが空気を含んで舞い上がるエアリーなミッドは軽やかで、サテンのような二人のヴォーカルをより優しく耳触り良くしてくれています。

全く期待を裏切らない濃厚なネオソウル盤で最高の一言に尽きる一枚、PhonteとEric RobersonのタッグはR&Bリスナーからすれば“鴨が葱を背負ってきた”みたいなものですから(笑)。制作陣に関しても彼らのことをよく知る人物が固めているので、もう水を得た魚のごとく二人も優雅に泳いでいて心地良さは抜群。




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Az Yet「She's Magic」
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Babyface(つまりLaFace Records)を後ろ盾にデビューしヒットしたR&Bグループ、Az Yetの通算二作目となる『She's Magic』を御紹介。元は五人組で活動していたAz Yetですが、メンバーの脱退や加入などの紆余曲折を経て、現在はDion Allen、Marc Nelson、Kenny Terry, Jr.、Claude Thomas, Jr.の四人で再結成しての本作となっています。中でも有名なのはやはりMarc Nelsonで、もともとはBoyz II Menのメンバーとして名を連ねながらデビュー前に脱退、Az Yetヒット後にはソロ転向して秀作『Chocolate Mood』をリリースしていたりします。Az Yetもデビュー作『Az Yet』だけで十分な認知度を誇っていて、そのデビュー作からなんと20年経過してからの二作目、驚きでございます。
という訳で久々の作品を聴いての感想をちょっとだけ紹介・・・・・・まずはMarc Nelsonが制作した表題曲「She's Magic」でスタート、これがもう幾つもの星座が転回する満点の星空のような、煌めきとしとやかさが光るAz Yetらしい繊細スロウでうっとり。続いてもMarc Nelsonが制作を担当した「Love Her Mind」は、アコースティックギターの乾いた弦音が夏風のような清々しいメロディを運ぶミッドで、まるで新緑のように眩くも力強く輝くAz Yetのハーモニーがたまらなく心地良い。しっとりと夜風のようなクールでウェットなサウンドが鼓膜を濡らす「Young Girl」もMarc Nelson制作、聴いているだけで結露してしまいそうな濡れたAz Yetのハーモニーがエロくてカッコイイ。またまたMarc Nelsonが制作の「Real Man」は微弱なシンセが淡く発光するナイーブダークな極細スロウジャムで、Az Yetの透けるほどにうっすらと重なり合うハーモニーがまるで夜霧のようでミステリアス。「Quality Time」もMarc Nelsonが制作を担当しており、水を打つようなビートと波紋のように広がるメロディが潤いを感じさせるウォータリーミッドで、ミネラル分たっぷりのAz Yetのハーモニーを鼓膜もゴクゴク飲み干します。「Kiss From A Rose」はSealの代表曲をAz Yetらしくアカペラで完璧カバー、原曲の持つあの荘厳さはそのままに、アカペラだけで構築しさらに音が削がれ研ぎ澄まされて鼓膜にサクサクと流れ込む感触がたまらなく気持ち良い。続く「Last Night」はBabyface制作でAz Yetの代表曲をリメイク、相も変わらずな秋風のように哀愁の漂う褐色のバラードで、ほどよく重みのあるコーラスがまた切ない。ポロポロと爪弾き零すアコースティックギターの音色に、心がスッキリと洗われる「Better Than Sex」はClaude Thomas, Jr.が制作で、無垢なメロディに鳥がさえずるように優しく柔らかなAz Yetのハーモニーがふわふわと吹かれるので夢見心地。Dion AllenとKenny Terry, Jr.が共同制作した「Feel Good Blues」はその名の通りブルージー、この流れでは僕はちょっと蛇足に感じたけれども(辛口)。キリキリと締め付けるように鳴るスパニッシュギターの音色が胸をチクチク刺す「Tell Her How I Feel」はDion AllenとKenny Terry, Jr.とClaude Thomas, Jr.が共同制作で、セピア色した淡く切ないAz Yetのハーモニーが木枯らしみたく胸を吹き抜けるのが痛い(寂)。最後を飾るのはBrian McKnightの名曲「One Last Cry」のアカペラカバー、凛として頬を伝う一筋の涙のように綺麗に紡がれるAz Yetのハーモニーが、乾き切った胸の奥深くまで染み込む一曲でラストに相応しい(感動)。

カバー曲とセルフリメイク曲が全11曲中に3曲、つまりは新曲8曲なんですがそれでも満足できました(微笑)。メンバーでの制作ももちろん良いけれど、やはりデビュー作で手腕を揮ったBabyfaceやBrian McKnight、Jon B.やBryce Wilsonなんかも楽曲提供して欲しかったなんて思ってしまいます。でもアカペラの数々はやはり極上絶品ですし、安心して聴き入ることのできる良盤でした。




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Corinne Bailey Rae「The Heart Speaks In Whispers」
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過去にGrammy受賞経験もある英国出身の女性SSW、Corinne Bailey Raeの通算三作目となる『The Heart Speaks In Whispers』を御紹介。処女作である自身の名を冠した『Corinne Bailey Rae』で鮮烈なデビューを果たし、そのアルバムがGrammy賞に複数ノミネートされた彼女。しかしGrammy受賞に関しては、Herbie Hancock制作で名だたるシンガーと肩を並べて参加したトリビュートアルバム『River: The Joni Letters』と、Bob Marleyをカバーした「Is This Love」だったりします。僕の場合はデビュー盤よりも2ndである『The Sea』にどハマりしたもので(どちらも聴いているが、まだこのブログで書けていない)、この6年ぶりとなる新作『The Heart Speaks In Whispers』は密かに楽しみにしておりました(もっと突っ込んだ事を書かせてもらうならば、RZA映画のサントラ盤収録のCorinne Bailey Raeの歌う「Chains」もすこぶる良かった)。
それでは素朴なんですが感想を書かせて頂きますと・・・・・・まずは本作の制作に関して先に述べておくと、ほぼ全曲をCorinne Bailey RaeとStephen James Brownが共同制作している模様で、本作ではデビューから支えるProducerであり夫のSteve Brownではないみたいです。あと僕は演奏者に関して詳しくないので先に書いてしまうと、Pino PalladinoやMarcus Miller、James Gadsonなど名プレイヤーが参加しているというのもトピック(驚)。まずはキリリと冷たい雪解け水のように清冽な鍵盤音がさらさらと流れる「The Skies Will Break」、Corinne Bailey Raeの透明感のあるヴォーカルにぴったり。じんわりと陽が傾いて影が細く伸びるようにCorinne Bailey Raeのヴォーカルがそっと響く「Hey, I Won't Break Your Heart」、夕間暮れのあの柔らかに切なく心を溶かす微熱混じりのオレンジのような、そんなアコースティックなトラックと歌声に涙が零れるばかり(震)。本作からの先行シングルとなった「Been To The Moon」(ソングライトにはKINGのAmber StrotherとParis Strotherが関与)は、Corinne Bailey Raeにしては珍しいちょっぴりサイケでスペイシーな打ち込み音が瞬く一曲。彼女の歌声が小さな宇宙船のようにすーっと天空に消えてゆくようなトリップ感のある一曲で、最後のホーンがやんわりと鳴るところは宇宙船が宇宙に到達し遊泳するようなフワフワ感を演出。KINGのParis Strotherとの共同制作となる「Tell Me」も電子音がギラギラとトラックをテフロン加工したアップチューンで、ばちばち叩かれるハンドクラップや踊るビートでアフリカンな躍動感の溢れる一曲で、だからこそ涼しげで繊細なCorinne Bailey Raeのヴォーカルが心地良い。Steve Chrisanthouと共同制作の「Stop Where You Are」はCorinne Bailey Raeらしいアコースティックギターの弦音がホロホロと角砂糖のように解けるスロウ、風に揺れて葉が擦れて鳴るようにCorinne Bailey Raeの歌声が優しくそっと響き、雨水が山に静かに注ぎやがて河となり海へと繋がるように開けてゆくトラックも壮大で美しい(溜息)。終盤の圧倒的な光を放つ展開は心をきれいに浄化して、聴き手をすっかり無垢にしてしまいます。Paris Strotherと共同制作(ソングライトにはAmber StrotherとParis Strotherの両名関与)の「Green Aphrodisiac」は真水のように澄んだ音色が、まるで樹々が根を張り葉脈を伝い潤いを循環させるように響くボタニカルなミッド。葉を透かせて降り注ぐ陽光のように淡く眩いメロディとヴォーカル、どこまでもナチュラルなCorinne Bailey Raeだからこそ体現できる、森林浴をしているかのようにマイナスイオンを全身に浴びられる一曲でグッド。コケティッシュに小さくスキップするように鳴る音色がキュートな「Horse Print Dress」、キャンディのようにべったり甘い歌声もなかなか。正統派ソウルスロウ「Do You Ever Think Of Me?」(ソングライトにValerie SimpsonとCurtis Mayfieldの名も)もとっても素晴らしくて、Corinne Bailey Raeの潤んだヴォーカルをたっぷり浴びて花びらがそっと綻びるように展開する芳しいサウンド。空が白んでゆっくりと雲が移ろうように優美な音色が奏でられるアコースティックバラード「Caramel」、この濃淡の極の色味を美しく出せるのがCorinne Bailey Raeの魅力であり、ほんのりと甘いキャラメルテイストな部分。オーロラのようにひだのある屈折シンセが長く尾を引きコーティングする「Taken By Dreams」は、ふわふわと浮かぶヴォーカルと共にドリーミー。本作で最もブルージーで渋みのあるミッド「Walk On」なんかも僕は好み、ミルクのようなCorinne Bailey Raeの歌声で苦くなり過ぎないのがグッド。最後は静かに囁くように星空が瞬くみたく小粒の音色が連なる「Night」、冬の大三角みたくすーっと光が射し灯るような感触がなんともロマンチックでたまりません。

もしかしたら僕の好きなR&Bの感触(90年代から00年代の)がまだまだ沢山、今も溢れていたらばひょっとして物足らなく感じていたかも。でもデビューの頃からCorinne Bailey Raeのこの水彩画みたく淡い歌声とサウンドはやはり稀有で、それがまた今加速している感じ。通好みな面子が裏で支えている点を考えても、けっこう重宝すべき一枚なのかもしれませんよ(警鐘)。








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Banks & Steelz「Anything But Words」
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Wu-Tang ClanのRZAとInterpolのPaul Banksによるコラボプロジェクト、Banks & Steelzの企画盤『Anything But Words』を御紹介。僕はハッキリ言ってロックバンドInterpolも全く知らないのですが、RZAとPaul Banksに関しては2013年頃から既に共に音楽を作り始めていたのだそう。Rolling Stone誌でのインタビューでRZAは、マネージャーから“次は誰とやりたい?”と訊かれて、思いついたのがPaul Banksとのコラボだったんだとか。RZAは音楽活動も地道にやっていて(地道というのは妥当でないか、ラブコールが絶えない)、客演で呼ばれたりもしばしば。最近は映画制作にも通じていて、13年公開の『アイアン・フィスト』もいろんな意味で最高でしたし、この映画のサントラ盤も凄く豪華でお勧めです。
それでは横道に逸れるのはこの辺で終了して本題に入ろう・・・・・・まずはJohn HillとKid Harpoonが共同制作した、強烈なキックスネアに蹴飛ばされて疾風のようなメロディが吹き飛ぶ「Giant」で華々しくド派手にスタート。極限にまで鍛錬されたRZAの功夫ラップが瓦割りするようにビートをバキ折りながら突進し、Paul Banksの涼しげなクリスタルヴォーカルが光を反射するのがクール。ビリビリと低刺激な電撃を放出し、稲妻のように直角的なメロディを紡ぐシンセがカッコイイ「Ana Electronic」はBanks & Steelzの制作。電子が遊離し四方八方に暴れるトラックの中で、Paul Banksの氷のように青白く澄んだヴォーカルが鋭利に鼓膜を撫でるのも、RZAの青銅のようにくすんで硬い光沢のあるラップがゴツゴツと積み上がるのもたまらない。Banks & Steelzが制作の「Sword In The Stone」はDorian & Bob Callaghan Orchestra「Black Emmanuelle」をサンプリグし、古参でありエキセントリックなKool Keithが客演参加。黒煙のような弦音を重たく燻らしジワジワと充満させるトラックの中では、隠密のようにそっと忍び寄り的確に鼓膜を突き破るRZAの武術ラップの独壇場、そこにKool Keithのバチバチと火花を散らして滑空するようなラップが入るから暴発感がプラスされます。砂塵のような音色がザラザラと流れる砂嵐のような「Speedway Sonora」もBanks & Steelzが制作を担当、RZAの岩をも砕く少林寺ラップがその砂塵を纏って空を切り、Paul Banksのドライフラワーのように色褪せた色彩のヴォーカルが淡い。Andrew Wyattが制作し、あのFlorence Welchが客演参加した「Wild Season」も妙味。パカスカと鳴るパーカッションとメルティに鳴るマーブル模様のサウンド、Paul Banksのクリスタルのように透き通った白いヴォーカル、黒真珠のようなFlorence Welchの艶っぽくも重厚なヴォーカル、RZAの青銅のようにマットで深く濁った輝きを燃やすラップ、そのどれもが不思議と融合した歪な装飾品のような一曲(壮美)。「Anything But Words」はBanks & SteelzとAri Levineが共同制作しており、オルゴールが錆び付いたような軋んだ音色がゆっくり回るトラックに、Paul Banksの宵の明星のように暗く静かに輝くヴォーカルとRZAのドドメ色のラップが鈍色に輝きます。Banks & Steelz制作の「Conceal」はPaul Banksの朧げなヴォーカルが白い霧のようにしっとりと鼓膜を包み、RZAの鋼鉄製のラップが冷たく尖って刺さるロックメロウな繊細曲。言葉の端々まで丹念に研ぎ澄まし鍛錬したRZAの鋼鉄ラップだからこそ、この静寂を侘び寂びとして昇華できるのです(感嘆)。同じくBanks & Steelz制作の「Love And War」ではGhostface Killahが客演で参加、しとやかで哀愁の漂う枯れメロウなトラックの上で、砲弾のような勢いのあるGhostface Killahと隠密のように静かにそっと斬るRZAの対比が素晴らしい。Paul Banksの白昼夢のように甘く毒々しく蝕むヴォーカルがドリーミーな「Can't Hardly Feel」もBanks & Steelz制作、こういう霜が降りそうなほんのりと冷たいトラックだとRZAの鋼鉄のように静かで硬いラップが映える。Banks & Steelz制作の「One By One」は鉛空のように重たくて冷たいトラックに、Paul Banksの凍えそうなヴォーカルがヒリヒリと吹き抜けるので鼓膜がかじかむ。例のごとくRZAのラップは低温チルドな感触で、だんだんと凍傷になってしまいそうなほど鋭利クール。Banks & Steelzが制作の「Gonna Make It」の深々と雪が降り積もり雪化粧をするようなサウンド&ヴォーカルが幻想的、RZAの的確に迅速で痛点を突く(この場合は気持ち良い)青銅ラップも深みがあって鈍色でカッコイイ(痺)。最後を締め括るのは、Wu-Tang ClanからMethod ManとMasta Killaの両名を召喚した、Banks & Steelz制作の「Point Of View」。乾いた血が煙になって立ち上るように細く儚く揺れるPaul Banksの淡息のような歌声に、Method ManやMasta Killa、RZAといった暗澹を背に鋭利に斬りつける武術ラップが鼓膜を静かにシバきます(倒)。

チルウェイブ寄りやオルタナティブ寄りといった様に、最近はビートやサンプリングの溶解化が進むばかりのRapミュージックには首を傾げてしまう場面もありますが、こういう異種格闘技的にその分野のプロ同士が膝を突き合わせて音楽を創るのは好き。Wu-Tang Clanの中でも派手に暴れるのがGhostface KillahやOl' Dirty Basterd、Method Manとしたらば、RZAやGZA、Raekwonは静かな暗殺部隊といった感じ。そのRZAがロックをミクスチャーしたサウンドで得意の鉄拳ラップを突くんだから、やはり三十路オーバーな僕らWu-Tang Clan世代としては微笑ましいばかり、カッコ良かったです。これを機に、いつかはPaul Banks属するInterpolも聴いてみたいなとも思いました。






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Rae Sremmurd「SremmLife 2」
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Khalif “Swae Lee” BrownとAaquil “Slim Jimmy” Brownの兄弟で構成されるラップデュオ、Rae Sremmurdの通算二作目となる『SremmLife 2』を御紹介。Slim Jimmyが93年生まれ、Swae Leeが95年生まれということでまだまだ若い彼ら。売れっ子Producerの一人となったMike Will Made-Itにより見出され、彼主宰のレーベル“EarDrummers Entertainment”と契約、Mike Will Made-Itが制作した彼らの「No Flex Zone」がヒットし、Nicki MinajやPusha T、Ace HoodやKid InkやJuicy Jなんかもビートジャックして話題になりました。前作となるデビューアルバムもヒットし高評価を得て、その続編と銘打たれた本作も僅か1年後のリリースなんだから、本当に勢いのある兄弟ですね。ちなみにSwae Leeに至っては、Beyonce「Formation」でアドリブのヴォーカルを加えていたりするんだとか。
とまあよく知らない僕が能書きを垂れても仕方ないので本題に・・・・・・まずは金切り音のようなシンセのつんざめきが、まるで焼き切れるモーターを思わせる高温警報な「Start A Party」、制作はPluss(Co制作をP-Nazty)が担当。心拍数を測るように扁平に鳴るビープ音が異様さを際立たせ、Rae Sremmurdの悪戯っぽくパチパチと弾けるラップが四方八方に暴れます。30 RocとMike Will Made-Itが共同制作した「Real Chill」は、雪になりきれないじれったくじんわり冷たいみぞれの様なボタボタ重たいシンセが落ちるミッドで、客演のKodak Blackを含めて全員でジワジワと冷たいので気付けば鼓膜が霜焼け状態でタチが悪い一曲。「By Chance」はMike Will Made-Itが制作(Co制作はResource)で、まるで廃液を吐き出すようにドボドボとしたシンセが鼓膜を毒す一曲で、Rae Sremmurdの毒霧のようなラップも霞んで面白い。ShodとLouie Ji、Mike Will Made-Itが共同制作した「Look Alive」は、濃霧が辺りを包み込み月の光を遮るような、仄かな光が拡散するおどろおどろしくもどこか幻想的なスロウ。こういうダークメロウ物に関してはやはり、Swae Leeの青白くて冷め切ったヴォーカルがとてもクールでグッド。Mike Will Made-It制作の「Black Beatles」ではGucci Maneが客演参加、水分を含んで潤んだシンセの夜の海のような漣メロディが美しく、そんな漣に漕ぎ出すようなRae Sremmurdのほんのり甘いラップとGucci Maneのヘヴィーでビターなラップの対比が抜群に良い。Steve "The Sauce" HybickiとMike Will Made-Itが共同制作(Co制作にBryce Smith)した「Shake It Fast」は、ブツ切りチョップして飛び散ったシンセがウヨウヨとのたうち回るようなスライムビートに、不死身なゾンビ戦士のように不穏ダークで破壊力のあるJuicy Jの援護射撃も相俟って痺れる格好良さ。DJ MustardとMike Will Made-Itという当代きっての売れっ子がガッチリ共同制作した「Set The Roof」は、癇癪玉のように破裂するRae Sremmurdのラップと、なにより客演のLil Jonの火炎放射のようなホットなフックが強烈(笑)。氷雨のようなピアノ鍵盤が色を洗い流してモノクロにするような硝子メロウ「Came A Long Way」はThe Martianzが制作(Co制作にAdrian Jamal McKinnon)しており、ただ静かにラップをぽつぽつと紡ぐRae Sremmurdはまるで窓の外の雨音を聴くようで胸に沁みる。Mike Will Made-ItとScoolyが共同制作(Co制作にSparxxxpro)の「Now That I Know」は、蒸せるような熱気でグニャグニャと音の輪郭を曲げるような蜃気楼サウンドに、クールで鋭利なSlim JimmyのラップとミルキーなSwae Leeの繊細なヴォーカルの溶け合いが絶妙に美味。Swae Leeの糸引くようなハニーテイストな甘美な歌フックが絶品な「Take It Or Leave It」はHighdefrazjahとMike Will Made-Itが共同で制作を担当、水の中を潜らせるようにモイストなビートとメロディがなんとも幻想的で、聴いているうちに浸水されてしまっている一曲(深水)。Mike Will Made-ItとScooly、Resourceが共同制作した「Do Yoga」は、抹香のように妖しくユラユラと揺れるシンセサウンドがオリエンタルで面白いし、Rae Sremmurdの経文のように飾り気なく淡々と走るラップもグッド。Bobo Swaeが客演参加した「Over Here」は悪童っぽさがギラギラと鋭く輝く縦ノリで跳ねまくるバンガーで、無数の電極を武器に放電しまくるような無形シンセにボムボムと撃つビートと、MarzとP-NaztyとMike Will Made-Itが制作したトラックも文句無しに暴力的でカッコイイ(痺)。P-Naztyが制作した「Swang」は抹香を焚いたようにモクモクと妖しく立ち上る紫煙シンセに、Rae Sremmurdのボコボコと凹凸のあるラップが浮かんでは沈む一曲。最後を締め括る「Just Like Us」はPlussとMike Will Made-Itの共同制作で、トロピカルな甘味のあるシンセが瞬くスカイブルーなメロウチューンで、Rae Sremmurdの完熟でない青いラップがちょうど良い塩梅に軽くて、青い海を渡る鳥のような爽快感のある感触でグッド。

最初聴いた時はそんなに気に入っていなかったんですが、聴けば聴くほどにだんだんとはまっていく僕がいます。やはりMike Will Made-It一派の創るサウンドは最先端でクールですし、Rae Sremmurdの若くフレッシュでパワー溢れるラップはスタイリッシュでカッコイイ。Clipse以来の売れっ子になりそうな兄弟デュオ、そして弟のPusha Tの方が売れているようにRae Sremmurdも弟のSwae Leeの方が売れそうな感じ(芸能界は弟妹の方が成功する説を僕は唱えている、かく言う僕は男三人兄弟の長兄だが)。ただSwae Leeだけでは甘酸っぱすぎるのを、兄貴のSlim Jimmyのなかなか渋く落ち着いたラップが引き締めているから、これからもデュオでやった方が良いと思います。サウンドの振り幅も広ければ、彼らの両極なラップも守備範囲の広さに繋がっていて、結構好きな一枚で御座います。








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AlunaGeorge「I Remember」
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Aluna FrancisとGeorge Reidで構成されるデュオ、AlunaGeorgeの通算二作目となる『I Remember』を御紹介。英国の人気企画“BBC Sound Of 2013”で第2位に選ばれ一躍脚光を浴びた、英国はLondon出身の彼ら。R&Bとエレクトロを融合させたサウンドで、どちらかといえば僕みたいな黒音楽好きにも迎合された感があります。タンザニアのバンツー語で“ここへおいで”、ポルトガル語で“生徒”、そしてマヤ語で“母なる大地”を意味を表すというAlunaがメロディーと歌詞とヴォーカル、Georgeがシンセサイザーとプロダクションを担っているのだとか。あと、Aluna FrancisはNext Modelsなる世界的なモデル事務所ともモデル契約をしているのだとか。
とまあ知ってる知識は並べ終えたので感想を書きますね・・・・・・まずはAlunaGeorgeとMark Ralphが共同制作した「Full Swing」で遊泳開始、AlunaGeorgeらしいシンセサウンドをジェル状にしたようなプルプル感触のクールチューン。Alunaのなんともコケティッシュなヴォーカルがキラキラと輝くのも良いし、客演参加のPell(彼のMixTape『Floating While Dreaming』がとても素晴らしいので要チェック)のフワフワと浮遊感のあるメロウなラップもグッド(痺)。Zhuが制作&客演をした「My Blood」は宇宙空間に亀裂が入りそこに吸い込まれるような、そんなズブズブと黒い濁ったサウンドのダークホールミッドで、その中で一筋の光明のようにAlunaの流星のようなヴォーカルが冴えるのが対比で美しい。YogiとRock Mafiaが共同制作した「Not Above Love」なんかは英国産らしいレトロソウルな焙煎メロディで、ちょっぴり硬度を高めたトラックに瑞々しいAlunaのヴォーカルが跳ねるのがなんとも涼しげでクール。「Hold Your Head High」はなんとStarGateが制作を担当しており、レゲエ風味のトラックながらStarGateらしい蒼く澄んで透き通ったシンセの瞬きを施してあるのが味噌で、光の波の中で揺れて踊るAlunaのしなやかで細いヴォーカルが無機質だけどセクシー。AlunaGeorge制作の「Mean What I Mean」ではLeikeli47とDreezyが客演参加、これも象の鳴き声のようなホーン音の中で熱さでパチパチ跳ねるように踊るレゲエチューンで耳に残ります。John HillとStint、AlunaGeorgeで共同制作した「Jealous」もトロピカルに電飾を絡めたネオンサイケなアッパーで、こういう電子回路でメロディを明滅させるようなエレクトロなトラックに、Alunaのキャンディみたいにべったり甘くてぼんやりカラフルなヴォーカルがバッチリ似合う。最近なんだか注目されているPopcaanが客演参加した「I'm In Control」はAlunaGeorgeが制作を担当、これもストレートなレゲエチューンなんだけれどAlunaGerogeのネオンカラーを通電させる術と、Alunaのキャンディ声で妖しく光り透ける一曲に変身しています。表題曲となる「I Remember」はFlumeとAlunaGeorgeが共同制作の暗澹ミッドで、真夜中の海辺に月光が溶けてクラゲがプカプカと漂うような遊泳電子チューンで、水面に映る波紋のように幾重にも振幅を広げるAlunaのヴォーカルも神秘的でスーッと鼓膜に浸透する。AlunaGeorgeとMark Ralphが共同制作の「In My Head」は泥のような重たいビートと真水のようにパシャパシャと飛沫をあげる電子メロディが面白くて、辛味あるスパイシーなトラックにAlunaのサワー風味のヴォーカルがすっきり美味。AlunaGeorge制作の「Mediator」はどことなくアジアン風味の香るメランコリックなスロウで、乾いた秋風のように情緒深く吹き抜けるAlunaのヴォーカルがシュガーテイストでグッド。全盛期のThe NeptunesやRockwilderみたいなピコピコ打ち込みビートがエッヂーな「Heartbreak Horizon」もAlunaGeorge制作、ホーンをぶっ刺した生粋のファンクチューンに、ツヤ光りするメタリックなシンセや銀細工みたいなAlunaのヴォーカルが乗っかるのがカッコイイ。これまた電気と水という相容れないハズの音が化学反応を起こしている「Wanderlust」はJohn HillとStint、AlunaGeorgeの共同制作で、グロテスクさとウォータリーさと電飾が重なった、深海を泳ぐ電気アンコウ的なメロウチューン(賛辞)。

ハッキリ言って一作目だけで消えてしまうかなと危惧していたんですが(誤解の無いように言っておくと、彼らのデビュー作『Body Music』もこのブログでは未紹介のままだけれど、聴いているしクールで充分良かった)、こうして無事に2ndもリリースされて良かったですね。サウンド的には最近流行りのレゲエ寄りなものが多くて、最近のDrake作Rihanna作で楽しめた方ならすんなり楽しめるハズ。あとAluna Francisのヴォーカル的には、Jhene AikoYunaが好きな方なんかも楽しめるかと思います。








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Izzy Bizu「A Moment Of Madness [Deluxe Edition]」
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英国出身で期待の美形新人SSW、Izzy Bizuの記念すべきデビューアルバム『A Moment Of A Madness』を御紹介。その昔にSoundGirlなるガールズグループで活動していたIzzy Bizu、ソロに転向してからはデビュー前にも関わらず有名アーティストの前座を幾度も務め、遂には英音楽界の新人の登竜門“BBC Sound of 2016”にノミネートされました。僕的にはやはり美人のビキニ姿が拝めるという思いだけで観ていたH&MのCMでIzzy Bizuの楽曲(Inner Circle「Sweat」のカバー)が使用されていたのがキッカケ、まあその楽曲はこのアルバムには未収録なんですが。ジャケットをご覧になってもわかる通りなかなかの美人で、やはり美人には滅法弱い僕ですからジャケ買いしてしまいました(阿呆)。
そんなこんなで外見の話は止めて中身について語ろう・・・・・・まずはIan Barterが制作した「Diamonds」でしっぽりとスタート、しとしとと長雨が降る様に静かに濡れたサウンドのポツポツした連なりに、Izzy Bizuのそんな雨に濡れて熱を失ったような微熱っぽいヴォーカルがまたしなやかで綺麗。そんな雨に喩えるような曲から、まるで雨上がりに虹が架かるような濡れた明朗さが弾ける、Dan Grech-Margueratが制作した「White Tiger」は本作からのヒット曲。なんというかぬかるみに似た水分を含んだ音色を蹴って跳ねさせるような鍵盤音と、その上を楽しそうに跨いで跳ぶようなIzzy Bizuのヴォーカルが素敵。またまたIan Barterが制作を担当した「Skinny」のピタッと貼りつくような弦音&ドラムスの感触がたまらなくタイトで、ふわふわっと舞い上がるようなフェザータッチのIzzy Bizuの“すきにすきにすきにー♪”のフックが凄まじくお洒落でキュート。パチパチと叩くドラムスが炭酸のように心地よい刺激を鼓膜に与える「Naive Soul」はJustin BroadとPaul Hermanが共同制作、そんな刺激的でスリリングなビート&ストリングスもどことなく飴色なIzzy Bizuの甘く優しい歌声でいい塩梅の甘さに変化。同じくJustin BroadとPaul Hermanが共同制作した「Give Me Love」なんかもドコドコとビートが攪拌されて沸騰する80年代なソウルチューンなんだけれど、Izzy Bizuの水溶性の淡いヴォーカルが濃い部分を脱色して馴染み易くしています。Jony Rockstarが制作した「Adam & Eve」なんかはAmy WinehouseやAdeleっぽい、由緒正しい英国マナーな燻し銀ソウルでIzzy Bizuの撥水性のあるパチパチしたヴォーカルがエッジー。「Gorgeous」はJohn BeckとSteve Christanthouが共同制作しており、音階を水で溶いたような流れるようなIzzy Bizuのヴォーカルが心地良く、毛糸で編んだような柔らかなポップナンバーでキュート。Jimmy Hogarthが制作した「Lost Paradise」はぶっといホーンを振り下ろす重厚なソウルチューンで、そのビートに揺られゆらゆらと沈んで沈殿するような、低音の効いたIzzy Bizuの澱ヴォーカルが渋味を出していて美味。ベリベリと捲り上がるような弦音が尖ったグルーヴを生む「Glorious」はIan Barterが制作、程よい硬さで荘厳でいて優しく、ジリジリと熱され焦げて舞い上がる白い灰のようなIzzy Bizuの歌声が神秘的な反射を魅せます。Izzy Bizuのアルコールが蒸発するような酩酊感のあるファルセットが鼓膜をゆっくり酔わす、金色を溶かしたウィスキーの様に芳醇なブルージースロウ「What Makes You Happy」はIan Barterが制作を担当。再びDan Grech-Margueratが制作した神々しく後光の射す「Mad Behaviour」は、すべてに活き活きとした力を与える烈日のようなメロディに、微細な葉脈に水を走らせるようなIzzy Bizuのボタニカルなヴォーカルが素晴らしい(涙)。夕陽のような静けさと淡い熱と光を帯びたバラード「Circles」はJustin BroadとPaul Hermanが共同制作で、光にそっと寄り添う影のように細く伸びるヴォーカルがなんだか切なくドラマチック。Ian Barterが制作した「I Know」も懐かしいレトロソウル風味なフローラルトラックで、ミツバチが蜜を求めて飛んで受粉させるみたく音と声が結合するのがキュート。とここまでが本編の内容で、この先の4曲は豪華盤のみの追加曲です。まずはJustin BroadとPaul Hermanが共同制作の「Fly With Your Eyes Closed」で、ソリッドで角のあるトラックに蜜のように甘くトローリとしたヴォーカルの絡みが美味。ほんのりとレゲエ風味なトロピカルミッド「Hello Crazy」はAdam Argyleが制作を担当、Izzy Bizuのヴォーカルが微熱混じりの気だるさのある感触だからお似合い。ロンドン出身のエレクトロデュオHONNEと合体した(制作は勿論HONNE)「Someone That Loves You」が素晴らしくて、彼ららしい壮大でエレガントなエレクトロサウンドとIzzy Bizuの融合は感覚的に、夏の終わりに海につま先を浸けた時に感じる冷たさと温かさが混じったくすぐったさ。最後はThe Firmが制作したピアノバラード「Trees & Fire」で、夏の夜の海に星空が映る様な幻想的な一曲でとても切なく、深く澄んで遠い。

市場ではポップっぽい感じで扱われているっぽいけれど(個人的感想)、僕的には結構なソウル寄りな一枚だと思っていたり。なんだかんだでずっと一定の需要があるUK産ソウルは、やはりUS産とは一線を画していて違った味わい。このどこか優等生で折り目正しい感触がたまりません。Izzy Bizuも可愛いだけでなくかなり歌えるし味がある、今後にも注目したい新人で御座います。あとボーナス曲がどれも素晴らしいので、僕は豪華盤の購入をお薦めします。










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Grace「FMA」
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オーストラリア出身の弱冠19歳のSSW、Graceの記念すべきデビューアルバム『FMA』を御紹介。オーストラリアのブリスベンから渡米し、名門RCAとの契約を勝ち取った実力派。その実力はGraceの歌声を聴いたQuincy Jonesが惚れ込み、自身の手掛けたLesley Goreの名曲「You Don't Own Me」をカバーしてほしいと願い入れたのだそう(凄)。かく言う僕はそんな逸話は後から知った訳で、Graceを認識したのはなんといっても、Nina Simoneのトリビュート盤『Nina Revisited: A Tribute to Nina Simone』での「Love Me Or Leave Me」カバーを聴いてから。それからずっと静かにGraceのデビューアルバムを待っていたんです、ジャケットも凄まじく素晴らしい、ですがあまり話題になっていない気がするのが疑問。
とまあブツクサ書いても仕方ないので感想に移りますと・・・・・・まず特筆すべきは、Grace本人がほぼ全曲のソングライトに関与している点で、これを踏まえても今後が楽しみな新人で御座います。まずはDa Internzが制作を担当した「Church On Sunday」でスタート、これは綺麗に整列したオルガン鍵盤音と硬質ビートを弾ませながら進行する英国式のレトロなトラックで、Graceのスッキリと晴れやかで眩いヴォーカルが心地良いミッド。星空のようなピアノ鍵盤音をキラキラと瞬かせながら、夜風のように滑らかなホーンが横切る「Hell Of A Girl」はPhilip "Hardwork" Constableが制作を担当。ものすごく古めかしい王道ソウルの装いなんだけれど、Graceのキュートでいてふくよかでパワフルなハリあるヴォーカルは難なく乗りこなしていてカッコイイ(惚)。ビリビリとホーンが破裂するように鳴り、その溜めから一気にストリングスを加えて開花するようにフローラルに転調するフックがドリーミーな「Hope You Understand」も抜群に良い。Parker Ighileが制作したヴィンテージ調の鮮やかで芳しいトラックは溜息モノの美しさだし、そんな美しい蕾がふわっと綻びるようなフックでのGraceの温かく艶っぽいヴォーカルがまたちょっぴりハスキーでファンキー且つ美しい。Parker Ighileが制作&客演した「Crazy Over Here」はベース弦とビートのみが活き活きと瑞々しく乱舞するパーカッシッブなアッパーで、このビートの組み方が複雑怪奇でアフリカンなグルーヴを生み出し、その中で奔放に開放感たっぷりに疾走するGraceのエッヂーなヴォーカルがこれまた一刀両断でクール。Lesley Goreの同名曲をアレンジカバーした「You Don't Own Me」はParker Ighlieがアレンジを加え、より破片的な尖った角のある鋭利な現代的タッチに変え、だからこそ客演の伊達男G-Eazyの格好良さも映える一曲。こういう曲になると野太く歌い上げてしまいそうだけれど、Graceはなかなか澄んだ深みのあるヴォーカルでスイスイと鼓膜へ浸透する感触。僕的に本作で気に入っているのが、Kassa "PRGRSHN" AlexanderとScribz Rileyが共同制作した「How To Love Me」。深々と細雪が降り積もるように、柔らかで繊細で鼓膜に触れたら肌の温度で溶けるような静けさが沁みるバラードで、そんなメロディにGraceのヴォーカルがまるで雪明りのように優しく光を漏らすように響くのがたまらない(感涙)。「Coffee」はあのFraser T Smithが制作を担当しており、香ばしくも甘くほのかに香り立つ珈琲の湯気のようなトラックがほっこりするし、Graceの白くてスウィートな歌声が溶けることでカフェオレみたくほろ苦になるのが乙。驚きなのが「From You」で、制作にParker IghileとあのMannie Fresh(!)が関わっているのです。オルゴールのようにポロポロと鳴るシャボンのような音色が可愛くて、そこにユラユラと流し込まれる弦音が艶っぽいマーブル感触を生み出していて、それがGraceの滑らかでしっとりしたヴォーカルと共に夢見心地を深く長くします(耽溺)。同じくParker Ighileが制作した「Feel Your Love」はAl Johnson「You're a Different Lady」をサンプリング、ホーンもストリングスもフワフワと絡まった綿飴みたいな柔らかさと甘さで、Graceの天女の羽衣みたいな透けてもタフに閃くヴォーカルも綺麗。45回転早回しの声ネタやビートを突き刺す事で、甘ったるくもそのままラップ曲にもアップグレード出来そうなエッヂのある一曲になっているのが凄い。R!oなる人物が手掛けた「New Orleans」は水に潜らせたような潤んだアコースティックギターの音色が物憂げで、Graceのセピア色に色味を褪せさせたヴォーカルも味わい深くて素敵です(侘寂)。James Moody「Moody's Mood For Love」をネタ使いしている「Boys Boys Boys」も、軽妙にふわふわと浮き上がるGraceのヴォーカルで心が素直に踊ってしまうオーガニックなミッド。L.T.D.「Love Ballad」をサンプリングしたもはや反則技な「Say」はMannie Fresh(!)とParker Ighileが共同制作しており、柑橘フルーツをそのまま種ごと搾ったような甘酸っぱくてジューシーなメロウチューンで、Graceの優しくて透明感のあるフルーティな歌声もばっちりマッチ。「Boyfriend Jeans (Remix)」はあのNaughty Boyが制作を担当、彼らしい静かに雨が降る虚空を見つめるような、ドラマチックな水色をしたバラードでGraceの清冽で潤んだヴォーカルが胸にスルスルと浸みます。1分半弱の短さながらGraceの水溶性のヴォーカルと一緒に綺麗な湖畔へと流れ出てしまう、最後の不思議なウォータリースロウ「Song Cries And Amens」はParker Ighileが制作。

英国出身なのとふくよかな体型からか、“Adeleの再来”とかも言われているみたいだけれど、僕的には同じ英国から登場したJoss StoneやDuffyなんかを彷彿としたかな。制作陣も素晴らしいし、Graceの歌声もすごく深く綺麗で虜になってしまう素晴らしさ(賛辞)。そして経緯こそ知りませんが、なによりもあのMannie Freshを引っ張り出しているから凄いです(鳥肌)。なんだかあまり話題になっていない気がするけれど、絶対に聴かないと損だと断言できる良盤で御座います(墨付)。








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Gucci Mane「Everybody Looking」
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Atlanta出身の人気ラッパー、Gucci Maneの通算四作目となる『Everybody Looking』を御紹介。Gucci Maneといえば色々な罪(多過ぎるから書くのも面倒)で2013年9月から服役し、当初は最大で10年の服役も噂されましたが、司法取引に応じ刑期も短くなり今年の5月に出所しました。しかし驚いたのはそのルックス、1st『The State Vs. Radric Davis』2nd『The Appeal: Georgia's Most Wanted』のジャケットを見ても分かる様に、投獄中におよそ22キロも体重が落ちたのだとか(驚)。このほっそりとした背中をご覧ください、誰がGucci Maneとわかるでしょう。投獄中もその多作ぶりは落ちずコンスタントにMixTapeをリリースしていたので、御無沙汰感が無いのも凄い、このペイントが施されたジャケットも同時に素晴らしいです。
というわけで簡単にではございますが感想を書いちゃうと・・・・・・まずはMike Will Made-ItとZaytovenが共同制作した「No Sleep (Intro)」でスタート、轟く雷鳴と魘されるような悪夢シンセがボタボタと滴るトラックの中で、これまたどろっとした感触のGucci Maneのラップが中毒性高く響く一曲。Zaytovenが制作の「Out Do Ya」は耳鳴りのように定期的に鳴るキーン音と、ズルズルと重たい物を引きずるようなビート、Gucci Maneの下に下にと沈殿してゆくような鉛色のラップが怪物チックで鼓膜にへばり付きます。Murda Beatzが制作の「Back On Road」ではDrakeが客演参加、淡白にボツボツと落とす廃液のようなビートの中で、鈍く重たくギトギト光る重油のようなGucci ManeのラップとメロディアスなDrakeの絡みが面白い。「Waybach」は再びMike Will Made-ItとZaytovenが共同制作、化学工場のようになんだか毒々しい元素シンセがひっつき反応するようなトラックに、刺激臭強めのGucci Maneのラップが蔓延して床を這う感触がたまりません。Mike Will Made-It制作(Co制作にMarz & Swae)の「Pussy Print」では、まさかの暴君Kanye Westが客演参加。月光が濃霧に遮られ拡散したような薄明かりシンセの瞬きがなんとも不穏で美しく、熱を内包し不完全燃焼で煙を発生させるようなGucci Maneのラップも、Kanye WestのGucci Maneに負けずのモンスターっぽい凶暴なラップもクール。Mike Will Made-It制作の地響きのように蠢めくビートが這う「Pop Music」の重厚感がこれまた最高で、Gucci Maneのボフボフと黒煙を吐くようなラップも相まってまるで怪獣進撃を思わせる静かな迫力が凄い。同郷の期待の後輩であるYoung Thugが客演参加した「Guwop Home」は、Mike Will Made-ItとZaytovenが共同制作。ひらひらと散る花のような鍵盤音に猛毒ガスのようにキリキリと充満する電子音トラックが奇怪で、その中でゆらゆらと怪しく煙幕のように辺りを支配する両者のラップが病み付き。何度も繰り返し連呼するフックや、振り子のようなリズムでチタチタ進むラップが鼓膜を侵食する「Gucci Please」はMike Will Made-Itが制作。ジワジワと火の手が広がるような延焼チューンで火傷確実、ここでのGucci Maneのビートの上を浮くような柔らかく白煙みたく軽いラップも曲者。Zaytovenが制作した「Robbed」も金属片をバラバラにばら撒くようなガシャガシャ感のあるトラックと、その中で単調に左右に反復し破壊するGucci Maneの水平チョップ的なラップが痛快。Mike Will Made-ItとZaytovenが共同制作した「Richest Nigga In The Room」も、やはり単調な影と光のスイッチなんだけれどGucci Maneの黒煙ラップが耳に付いて離れない。出所して速攻で制作された「1st Day Out Tha Feds」はMike Will Made-It制作、黒を背景に光に酸をぶっかけて溶かしたようなトラックがなんとも不穏でダークソリッド、Gucci Maneの鈍足の黒い騎士のような一発一発のラップがズシンズシンと鼓膜を歪めてくる快感。「At Least A M」もやはりMike Will Made-ItとZaytovenが共同制作しており、微かな光にもがき掴まりすり抜けながら冷たい深海へと沈んでゆくようなトラックが面白く、Gucci Maneの沈没船のようなラップもナイス。「All My Children」はChristopher "Drumma Boy" Gholsonが制作を担当、まあこれもGucci Mane節といった感じで思わず口ずさみそうな感じ。最後を締め括るのはZaytoven制作の「Pick Up The Pieces (Outro)」で、ジワジワと焦がすようなGucci Maneの遠赤外線ラップが鼓膜を焼きます。

キャラクター的にも唯一無二だった訳で、やはり色濃いそのラップは健在、体型変わったから声質変わるかと心配しましたが(笑)。全体の制作をMike Will Made-ItとZaytovenに任せたのでトーンはダークに統一されているし、トレンドをがっちり掴んだ手堅い一枚になっているかと思います。これまでのメジャー級な客演や制作陣を擁したアルバムよりも、よりタイトでハードだから純粋なファンにはこれがウケるのかもしれません。僕は当初はそこまでハマらないかなと思っていたんですが、やはりFutureでだいぶこの手のサウンドを慣らされたせいか、結構気に入って聴いてたりして驚いています(意外)。








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YG「Still Brazy」
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ギャングスタラップ発祥の地Compton出身、Young GangstaことYGの通算二作目となる『Still Brazy』を御紹介。YGといえば盟友Dijon "DJ Mustrad" McFarlaneと組んだ傑作デビューアルバム『My Krazy Life』が絶賛され、一躍大人気となった実力派。しかし、その後にそのDJ Mustardとの確執が生まれ(互いにSNS上でギャラ報酬の未払いを主張、後に2ショット写真の掲載で和解とはなった)、結果として本作でもDJ Mustard制作曲は一曲も無いという異常事態も発生しております。本作のタイトルである『Still Brazy』は“Crazy”の頭文字をBに変えており、これはギャング集団Bloodsが敵対するギャング集団CripsのCを認めない(使わない)風潮から来ているそうです(たとえばDJ Quikの表記が、QuickからCが抜けているのもそのため)。本作の大半を占める赤色も、Bloodsを象徴する色でございます。
そんなこんなで感想に話を移しますと・・・・・・まずはSwishが制作した「Don't Come To LA」ではSad BoyとAD、Bricc Babyが客演参加しており、焦げ臭くスモーキーに煙立つメロウなトラックは全盛期の西海岸サウンドを思わせるフィーリングで、マイクを回す四人の少し力の抜けた柔らかなフロウも抜群に美味でグッド。続く「Who Shot Me?」も制作はSwishで、まるで板金を捻じ曲げて滑らかなツヤと曲線を造ったようなトラックが抜群(キラキラ鳴る鍵盤音はさしずめ鉄加工で飛び散る火花)で、そんなメタリックで重たい鋼鉄トラックにYGの殴って接合するようなラップがかっちり合体するのがハードでクール(痺)。DJ Mustardっぽさを感じるP-Loが制作した「World Is Bond」ではSlim 400が客演参加、こんな鉄骨トラックのYGの熱のある柔らかなラップが融かしてユルユルな曲面を作るのが面白い(融点)。これまたG-Funkっぽいメロディが三十路の鼓膜を甘く刺す「Twist My Fingaz」はTerrace Martinが制作、サンプリングにはこれまた王道のFunkadelic「One Nation Under Groove」を使用。果肉たっぷりでプルプルとした音色のバウンド、甘酸っぱいファンクに太くも聴き手を融解するYGのラップがメロディアスでたまりません(昇天)。またまたSwishが制作した「Gimmie Got Shot」もやはり西海岸の風を存分に感じるシンプルな好アッパーで、ボムボムと弾力たっぷりに弾むゴムビートにスプラッシュする果汁のようなメロディ、その中をスイスイと泳ぐYGのなんとも変幻自在なスムージーなラップがまた美味。Larrance Dopsonが制作した「I Got A Question」のジェル状ビートの飛び散りもやはり鮮やかで、トロトロの苺ジャムのように甘くてとろけるYGの柔らかなラップもナイスですし、終盤に登場する客演のLil Wayneヘロヘロと空気を歪ませるラップも抜群の隠し味。DrakeとKamaiyahが客演参加した「Why You Always Hatin?」はCT Beatsが制作を担当、サンプリングにThe Whole Darn Family「Seven Minutes of Funk」を使いつつ、その大ネタも硬い金属をも融かすYGの融点ラップがドロっとさせて違った旨味を引き出しています。Terrace Martin制作の「Bool, Bam & Bollective」は、べったりしたカラフルさでギラつく電光チューンでサイケデリックでグニュグニュなグミチューン、しかしこのネットリした柔らかさの中だからこそYGの鋭利で重たいラップが一際輝きます。御大であるMack 10「Foe Life」をサンプリングべた使いした「She Wish She Was」はLarrance Dopsonが制作、客演のJoe MosesとJay 309と共にラップをスタンプさせ、その振動でビヨビヨとはみ出る電子音がグッド。Ty Dolla $ignとSwishが共同制作した「Still Brazy」はFatback「Backstrokin」をネタ使い、鋼鉄のように硬いビートがYGの融点ラップに触れところどころ熔けてドロっとした感触を生み出し、YGの的確にビートを摑んだ疾走感のある残像を燻らすラップが錬金術のようにトラックを美しく仕上げます。Swishが制作した「FDT」ではNipsey Hussleが客演参加、鉛を滴らせボツボツと落とすようなビート&ベース弦の音色が重厚で、YGとNipsey Hussleの冷たく鋭利なラップの掛け合いもカッコイイ。「Blacks & Browns」はP-Loが制作でSad Boyが客演、角切りゼリーのような音色がブルブルと震えるトラックはビビターでクール、YGの砂鉄のように硬く軽いラップが吹き抜けるのが妙味。最後を締め括るのはHit-Boyが制作した現代版N.W.A.「Fuck Tha Police」な(気がする)「Police Get Away Wit Murder」で、あちこちクラッシュさせて鉄の破片が飛び散る尖ったトラックに、バズーカのように重たく威力のある鉛色のラップが連射投下されるのが凄まじい(大迫力)。

盟友であるDijon "DJ Mustrad" McFarlaneの不参加により、かえってYGの新たな魅力(そして裏打ちされた実力)を証明することになった力作。単純に本作『Still Brazy』を聴いて速攻で思ったのは、それこそ十数年前に初めてN.W.A.『Straight Outta Compton』を聴いた時のビリビリするような攻撃性と格好良さに共通するもの。それこそN.W.A.の伝記映画の大ヒットを皮切りにKendrick LamarやThe Game、Anderson .Paak、そしてDr. Dre御大が痛快なLAサウンドを立て続けに聴かせてくれていたので、きっちり下地は出来ていた訳ですが、それにしてもYGはN.W.A.的な鋭利で暴発的なパワーを持っていて痺れる。新世代のYGの本作は、ベテランSnoop Doggの西海岸全開だった新作と併せて楽しむのが粋狂かと。








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