RocBox 2

自分の持っているR&B、Rapアルバムを聴いての感想を偏見で綴る。音楽に関する知識はほぼ無し、雰囲気で語る。

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プロフィール

Queen

Author:Queen
生年月日:1983年11月28日
星座:射手座
性別:男
血液型:A型
趣味:古典的推理小説読書
    黒音楽に浸る

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Dave Hollister「The MANuscript」
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ゴスペルとR&Bを自由に行き来して長く活躍する、Dave Hollisterの通算八作目となる『The MANuscript』を御紹介。今となっては伝説的なグループ、Blackstreetのメンバーで唯一の生存者とも言うべきなのがこのDave Hollister。前作『Chicago Winds...The Saga Continues』ではTeddy Rileyの参加もあって、R&Bファンは皆が歓喜し、かく言う僕もその年の第9位に選んだほど。そんな前作からおよそ二年ぶりとなる新作は、Shanachie傘下のConjunction Entertainmentからのリリースで御座います。ものすごくシンプルなジャケットがかえって渋くてカッコ良い、個人的には好きです(重要)。
それではザックリと感想を書いてゆきますね・・・・・・まずは本作を語る上で外せないのがProudcer、本作では全曲の制作をWalter W. Millsap IIIに委ねています。このWalter W. Millsap IIIは仕事量も多いですし腕も確か、という訳で完全に安心しきって聴くことが出来ます(笑)。まずは「Definition Of A Woman」は春うららとでも言うべき温もりがふんわりと花の香りのように漂うミッドで、Dave Hollisterの陽光のように暖かくて力強いヴォーカルが深く響きます。「Receipts」ではレーベルメイトにもなったAngie Stoneとの濃厚デュエット、オールドマナーなドゥワップ気味なトラックに乗せて、双方共にふくよかなヴォーカルが寄り添い揺れるのがキュートで朗らか。Angie StoneもDave Hollisterの深みがあって芳醇なボルドー色のヴォーカルを重ねていて、とても気品があってしとやかで滑らかな耳触り(上質)。繊細なガラス細工のような鍵盤音に金色のホーンが絡まる「Creation (H.E.R.)」は艶やかな純度100%なR&Bミッドで、夜霧に鋭く射し込む月光のような鮮麗なメロディがなんとも眩くて、ハーモニーも重ねて輪郭くっきりとエッヂーに早口で颯爽と抜けるフックもクールで素晴らしい。雨上がりの樹々の緑が揺れて雫を落とすような、そんな瑞々しくて目の醒めるようなナチュラルグリーンを思わせる「Ooh Ya Ya」もフレッシュで透明でたまらなく美しい(溜息)。爪弾くアコースティックギターの音色がそよ風に揺れるようで優しい「Shortage」、こうなるとDave Hollisterの深みのあるハーブミントのようなヴォーカルが鼓膜につんと来る清涼感でやっぱり心がスッキリと洗われます。その背景でまるで小鳥がチュンチュンと囁き鳴くように、細かく鳴らすハーモニーがまたなんとも可憐で素敵。カフェインたっぷりのエスプレッソのように黒い「Blind」もDave Hollisterの濃厚なんだけれどエレガントなヴォーカルが、深みも渋味もあるんだけれどキレを生んでいて、鼓膜にとても香ばしくドリップされてただただ美味。潤いたっぷりで90年代なモイストR&Bな音色がもう悶絶モノでたまらない「One Great Love」も、ミネラルたっぷりの硬水みたいなDave Hollisterのヴォーカルがアクアブルーにキラキラ輝いて溢れるのがナイスで(でもその青には熱を失うような冷たさも感じる)、乾いた鼓膜はもうゴクゴク飲み干して涙さえ溢れそうになります(保湿)。タイトルからしてもうド直球な「Bearbershop」も長閑にファンクを練ったようなトラックで、太くしなやかなDave Hollisterのヴォーカルがコシがあって噛み応えアリ。Dave Hollisterのシャウトが炸裂するブルース調の「Let Him」、こういうのもベテランだからこその説得力というか神懸かりがある(畏敬)。べヨベヨと海月のようなぶよぶよした輝きを点滅させるシンセがフューチャリスティックな「Geometry」、こういう感じの銀メッキみたいなサイバーチューンはやはり三十路以上には好物ですし、そんなトラックをスベスベと撫でてツヤ出しし余裕綽々で乗りこなすDave Hollisterもやっぱり素敵。

オールドソウルっぽい曲から真性R&Bな曲まで、Dave Hollisterらしい手腕(喉)で美しく凛と聴かせる秀逸盤。抜群の安定感はもはや遺産級、こういうシンガーが息長く活躍しているから、いろんな異色の新人が異色として輝ける訳です。噂によるとAngie Stoneとのデュエット盤の制作も囁かれているDave Hollister、実現したらこれまた名盤になるんだろうな。でも個人的にはAngie Stoneとやるよりも、もう一度Blackstreetで再結成して新作を聴かせて欲しいかな(切望)。




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Travis Scott「Birds In The Trap Sing McKnight」
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Kanye Westもその才能に惚れ込んだ逸材、Travis Scottの通算二作目となる『Birds In The Trap Sing McKnight』を御紹介。Travis Scottの紹介は前作の『Rodeo』で軽く触れているのでそちらを参照して頂くとして、その前作『Rodeo』からおよそ一年という短いスパンでの本作のリリースということで、その仕事人っぷりに驚くばかり。Travis ScottはあのRihannaの恋人と一時期は目され、僕の中ではそれだけでキレキレだという認識(そのTravis Scottが制作に携わった「Bitch Better Have My Money」を巡ってRihanna『Anti』のリリースが遅れたとの報もありましたっけ。肝心のこの曲はアルバム未収録だったが)。その後二人の関係がどうなったかなどが不明ですが、Travis Scottはノンストップで本作をiTunes/Apple Music独占でのデジタルでリリース。このままデジタルで終わるかと思いましたが、その後やっとこさフィジカルも出てアナログな僕は入手することができました(笑)。
という訳でザックリザクザクと感想を書こうかと・・・・・・まずはVinylzが制作(Co制作をEbony "Wondagirl" Oshunrinde)した「The Ends」で幕開け、客演にはなんとAndre 3000が参加(Add VocalでJames Blakeも関与)。真夜中の海原のように静かに、仄暗い水をゆらゆらと漂わせ波を寄せるトラックの中で、まるで細く射す月光が水面に細かな輝きを散らすようにTravis Scottのラップがさざめくのがダークで美しい。 Andre 3000もそんな暗澹の中で、あの目の醒めるようなコズミックブルーのクールなラップを滑らしていてカッコイイの一言。「Way Back」はHit-BoyとC-Noteが制作を担当しており(Kid CudiとSwizz BeatzがAdd Vocalで関与)、鉛色の空みたいなトラックと、そんな鉛空みたいな曇天サウンドが割れて地上のすべてを焼き払いそうな放射線のようなTravis Scottのラップがヒリヒリと降り注ぐのがたまらない。そんな曇天トラックが途中で転調して、突然と雨が降り出し水が溢れTravis Scottのずぶ濡れにも似たラップがじわじわと鼓膜に染み込むのも乙。「Coordinate」はTM88が制作を担当し、客演にはYoungstaが参加。高温で蒸されて白むようなTravis Scottのスチーム状のラップが聴き手を美しく熱く焦がし、単調なビートの浮き沈みが汗ばんで上下するのがなんとも中毒性高し。Cardoが制作(Co制作にCuBeatz)した「Through The Late Night」ではKid Cudi「Day N' Night」をサンプリングし、そのKid Cudiが客演で参加。真夜中に眠れずに寝返りを打つように捻れた漆黒サウンドが聴き手の神経をツイストし、Travis ScottとKid Cudi(ここでのKid Cudiは正に1stの頃そのまま!)が夜間飛行するように夢魔のように光を蝕むインソムニアチューン(陶酔)。NAVが制作&客演した「Beibs In The Trap」は、やはり基盤には美しい暗さがあって、パチパチとキメ細かに冴えるシンセやビートにTravis ScottのラップやNAVのヴォーカルが、その暗澹トラックの中で光を培養するように暈けて柔らかく光るのが不完全で美しい。Ricci Riela制作の「Sdp Interlude」はインタルードとしつつも、サンプリングにWashed Out「You And I」を使用した3分程あるしっかりした一曲。闇を逃げて光が氾濫するような斑のある輝きが、Travis Scottの日食を思わせる陰影のあるラップ残響とシンクロし美しく、あのCassieが天女の羽衣のような透けて軽い歌声を乗せているのも肝。Murda Beatzが制作(Co制作にCuBeatzとMike Dean)した「Sweet Sweet」は、光を薄くスライスして重ねるようなトラックは繊細でそれこそ甘く、それをムシャムシャと侵食して発光するようなTravis Scottの波打つ蛍光ラップも毒々しくも綺麗。同じくMurda Beatzが制作(Co制作にCuBeatzとMike Dean)した「Outside」では21 Savageが客演参加、光をノイジーに粗くカットしたようなサウンドがゴロゴロと転がるトラックで、そこにTravis Scottと21 Savageのボツボツとした弾力あるラップがグリップする一曲。CardoにCubeatz、YeXが共同制作した「Goosebumps」ではKendrick Lamarが客演参加、鏡面のようなトラック内で光が屈曲するようにトリップし、Travis ScottとKendrick Lamarのラップもバキバキと反射するように直角を描き、終いに堕ちるのが面白い。TEAUXNYが制作を担当した「First Take」は、闇の中で点在し明滅する光粒子のような、夜光虫のように妖しいTravis Scottの漏光ヴォーカルとトラックに意識朦朧としハイになるし、加えてそこに客演のBryson Tillerが少し粘ついた光触媒ヴォーカルを紡ぐことで、より一層と淡くてうっすらと眩い極上メロウに仕上げています。Young ThugとQuavoの三つ巴で攻める「Pick Up The Phone」はVinylzとFrank Dukesが制作(Co制作をMike Dean)を担当、少しフルーティな音色が果肉みたくプルプルと震えるのが美味で、三者三様のラップが三層ゼリーのようなクールな食感でこれまたナイス。VinylzとFrank Dukes、Mike Deanが共同制作(Add VocalにはCassie)した「Lose」はストリングスが光の筋を編むのが壮麗で、それは闇と光を媒介する宵の明星のようなTravis Scottのラップがあってこそ共存する美しさ。部族的なビートの乱舞で埃のような光粒子が四方八方に飛び散るのが綺麗な「Guidance」はDarren "dF" Fraserが制作を担当、Travis Scottの蛍光にミントを混ぜたような清涼なラップが炸裂するのも鮮やかで単純に気持ちが良い(爽快)。ラストを飾るのはTravis ScottにBoi-1da、Mike Deanが共同制作した「Wonderful」で、客演にはThe Weekndが参加。光が反響して増幅するようなトラックに、Travis Scottのダークを凝固したようなラップと、The Weekndのネオンのようなベッタリした光を放つヴォーカルが絡み合うミッド曲。

おいおいなんだこれは、メチャクチャにカッコイイじゃありませんか(痺)。僕はそんなにTravis Scott好きという訳でもなかったので、本作もなんとなしに“Brian McKnightを引き合いに出しているし聴こうか”的な軽い気持ちだったんですが、これがとにかく凄く斬新でクール。ハッキリ言って昨今のトラップブームには乗り切れていないのですが、これは新たなトラップミュージックの魅力を展開させていて目から鱗。これは結構最近になってようやく買えた盤なんですが、再生回数はグングン上昇中でかなりお気に入りの一枚でございます。




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Usher「Hard II Love」
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今なお進化し続けるR&B界のスーパースター、Usherの通算八作目となる『Hard II Love』を御紹介。前作『Looking 4 Myself』からおよそ四年ぶりとなる本作、本来ならば『Flawed』というタイトルでのリリースがアナウンスされていた筈ですが、紆余曲折で延期を重ねてタイトルまで一新されてのリリースという事で驚き。前作からの間に発表されたシングル「Godd Kisser」「She Came II Give It To You」がどれも不発だったのか(それが延期の理由なのか)、結局はどれも本作には収録されずとなっています(悲)。しかしこうして無事にリリースされたのは嬉しい限り、ただしジャケットに関してはこれまでのUsher作品の中では最も僕は嫌いです(無関係)。
という訳で聴いた感想をなんとなしに書いていきますと・・・・・・まずはPaul Epworthが制作を担当した「Need U」でスタート、スーッと氷結するように鋭くも鮮麗な電子音がヒリヒリと鼓膜を刺激して、Usherのフルーティな微炭酸ヴォーカルが甘酸っぱくスプラッシュするのが最高に美味なクリアテイストなメロウ。「Missin U」はPop WanselとToroが共同制作しており、湿地で蛙が一斉に鳴くような湿ったゲコゲコビートを乱打しながらも、フックではそのその湿地から美しい蓮の華が咲くように芳香するフローラルなソウル転調が憎い演出でグッド。本作からのシングルとなったのがYoung Thug客演の「No Limit」、制作はBrandon "B.A.M." Hodgeが担当。Master PやC Murderの名前も挿みつつ(これが三十路オーバーには技有り)、ドボドボとゼラチン質なメロディが独特の弾力と隙間を生み、その角切りゼリーな隙間をUsherがのらりくらりと歪曲しヴォーカルを侵食させるのが癖になります。盟友Lil Jonの雄叫びフックが耳にこびり付く「Bump」は、C. "Tricky" StewartとTerius "The-Dream" Nashが共同制作で、サンプリングにLuke「I Wanna Rock (Doo Doo Brown)」を使用。パッパッパッパッと光り繋がる神経伝達物質のようなシンセが、清らかで瑞々しい鍵盤音を鼓膜を通じて視覚的にプロジェクションマッピング化してしまう、次世代クランクの雛形になるであろう一曲(期待)。Usherはネッチリと粘着質なラップ風の歌唱も交えつつ、じわじわと体熱を上げてふわっと蒸発させるようなファルセットがたまらなく艶っぽく美しい(溜息)。続く「Let Me」はPARTYNEXTDOORが制作(Co制作をDavid Prep Hughes)しており、サンプリングにはReady For The World「Love You Down」を使用。霧雨のように煙って水を滴らせる保湿メロウで、時に水面を滑る波紋のような、時に落ちて跳ねる雫のようなUsherのヴォーカルが刹那で幻想的。R!oが制作(Co制作をKamo)した「Downtime」は、砂塵を巻き上げて吹く乾いた風のような音色が褪せて美しい風化メロウで、Usherのドライなヴォーカルがズブズブと鼓膜に埋もれてゆく感触がすごく印象的。前作「Climax」路線を踏襲したような(しかし陰と陽でまるきり両極にある)透明感のある光沢繊細ファイバーな「Crush」はFALLENとCarlos St. Johnが共同制作(ソングライトにはあのLatifも関与)。雨上がりに広がる青空のように、潤んで滲ませたような清涼感溢れるUsherのファルセットが胸を洗って眩い。Metro BoominとFrank Dukesの売れっ子タッグが制作した「Make U A Believer」は、ビートとメロディを脱色しを溶解化したようなトラックは当然トラップ要素が入りつつも、Usherのヴォーカルはスピード感に溢れ光線のように鋭く直線で、しかしフラッシュのように瞬くようでもあり刺激的。Dernst "D'Mile" Emile IIが制作を担当した「Mind Of A Man」は1分弱の短い曲ながら、冷たくて澄んだ真水の中にすーっと静かに沈んでゆくようで、鼓膜が洗われリセットされます。そのDernst "D'Mile" Emile IIが再び制作を担当した「FWM」は、完全にEDMを咀嚼し消化し切ったUsherならではのビートの乗りこなしで、甘酸っぱい果汁のようなメロディとヴォーカルがとてもカラフルで鮮やか(妙味)。K-MajorとMurphy Kidが共同制作した「Rivals」ではFutureが客演参加、宵の明星がだんだんとその輝きを滲ませ朝焼けへと変化してゆくようなメロディが淡く美しく、Usherの反射光のように鮮麗なヴォーカルとFutureの目醒めにも似たぼんやりとしたヴォーカルが揺れるのも独特で美しい。8分半にも及ぶ長尺曲「Tell Me」はTre DramzにGeniuz League、そそてRyan Tobyが共同制作。空との境目がわからないほどの高さへ舞い上がり、冷たく澄んだ空気を吸うような標高5000mスロウジャム。ゆっくりと壮大に、薄く霞んで漂うような、Usherの青白い峰々を連ねるように展開するキリマンジャロヴォーカルがやはり壮麗でロマンチック(圧倒)。XSDTRKが制作を担当した「Hard II Love」はエレキギターの弦音が崩れる砂城のような脆さと枯渇をシンクロさせ、大理石のように硬く滑らかな質感と輝きを放つUsherのヴォーカルが冴えるミッド。J. HillとTane Runoが制作した「Stronger」はクワイヤを率いており、そのChoir部分はWarryn CampbellとAdonis Shropshireが制作を担当しております。南米産みたいなビートがすべてを震わせ鼓舞し突き進むトラックに乗せ、疾走感と重厚感のあるUsherとクワイヤの閃光のように鋭く直線に貫くヴォーカルが眩くもタフで素晴らしい(鳥肌)。最後を飾るのはUsherも出演した伝説のボクサーRoberto Duránの伝記映画『Hands Of Stone』の劇中歌「Champions」、制作はあのRaphael Saadiqが担当しております(驚)。Rubén Bladesを招聘した中米音楽テイストのトラックは毛色が違い過ぎてボーナス曲扱いでも良かったかな、しかし熱く乾いた風の吹き抜けるような爽快感はナイスな一曲で心地良い。

『Raymond v Raymond』辺りから顕著になったEDM的な嗜好とは少し決別し(もっと言えば「DJ Got Us Fallin' In Love」が特大ヒットした『Versus』以降か)、R&Bに回帰したようなサウンドでみんなの反応(ここで言う皆とはR&B愛好家を指す)も上々な気がします。しかしR&Bに回帰したといってもR&Bをアップデートしていてかなり攻めの姿勢の一枚、アンビエントな中で綺麗にビートの角を立たせてしまうこれを成立させるのは、R&BとPopの境界線を絶妙なステップで華麗に行き来できるUsherならでは(賛辞)。








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Joe Budden「Rage & The Machine」
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スーパー MCユニットSlaughterhouseの一員としても活躍する、Joe Buddenの通算五作目となる『Rage & The Machine』を御紹介。Eminemの元で結成されたことで話題にもなったSlaughterhouse、しかし話題性はそのためだけでなく、やはりグループを構成するMCがそれぞれ腕利き(でありなかなか日の目を見ない)ばかりだったこと。つまり、このJoe Buddenもデビューこそ華々しかったものの、やはりこのSlaughterhouseがなかったらソロでは燻っていたかもしれません。という訳で素敵だった前々作『No Love Lost』からおよそ三年ぶりとなる新作、短いスパンでリリース続いていて嬉しい限り。
てな感じで簡単ですが感想に移りたいと思います・・・・・・まず本作を語る上で外せないのがそう、あのAraab Muzikが全曲の制作を担当しているという点(本作のクレジットではaraabMUZIK表記となっていますが)。なにを隠そう私、このArrab Muzikの創る音が大の好物で御座いまして、これだけでももうテンションは天井突き抜けMAXで御座います(興奮)。まずは「Three」(Co制作には!llmind)は古びた僧院で密教めいたサウンドが反響し砕けるようなトラックが荘厳で、その中でゴーンゴーンと鐘が鳴り響くように重たくスウィングするJoe Buddenのラップが鼓膜に鈍痛を起こします。途中でトラックも転調してキリキリと刺さるような冷気が充満し、Joe Buddenのラップも鋭利な凶器と化して鼓膜を切り裂くのが痛快。粉々に砕けたガラス破片のようなピアノ鍵盤の音色が弾けるのが静かに狂気的で美しい「Uncle Joe」、野太くも瞬発力抜群なJoe Buddenの轟々と振り回すラップがやはりカッコイイ。「Serious」ではチームメイトであるJoell Ortizが客演参加、いかにもAraab Muzikらしい血の滴るようなおどろおどろしいボツボツとしたドラムスビートに、そのドラムビートを沸騰したグツグツ感にすり替えてJoe BuddenとJoell Ortizのマグマのように黒く赤いラップが渦巻くのがヘヴィー。真夜中に降る冷たい雨のようなメロディ&ビートが冷たく聴き手を湿らす「By Law」では、女性シンガーのJazzyが客演参加。ビートの雨がそぼ降る中、ふわりと舞う花風のようなJazzyのヴォーカルに吹かれ、Joe Buddenのブレスレスでシームレスに繋いでゆく一反ラップがなんとも優雅にたなびいてクール(痺)。「Flex」ではTory LanezとFabolousが揃って客演参加という僕には一粒で三度美味しいなコラボ、Tory Lanezのキャラメルのような色彩と甘みのヴォーカルが鼓膜に溶け、Joe Buddenのアルコールのように灼けるラップとFabolousのメロディを翻す流麗なラップが上手く融合しています(綺麗)。蘭のような美しく濃厚な香りが奥ゆかしく薫る「Forget」はソウル曲をループさせた90'sライクなトラックが激渋で、短いながらもJoe Buddenの旨味が濃縮された一曲。「I Gotta Ask」ではJay-Zの名曲「Hard Knock Life (Ghetto Anthem)」のラインをサンプリング、ネタが同一かは分かりませんがブリキっぽい音色を散りばめて単調ループさせる雰囲気も同曲のオマージュだと思います。これはネタ元をなぞりながら聴くと楽しい一曲で、トラックも途中でトーンダウンしてビートがドボドボと沈殿してゆく感じが中毒性高く、蹴られた缶がポッピングして転がるようなJoe Buddenの軽妙なラップもやはり切れ味は抜群。「Time For Work」ではJoe Buddenお抱え(?)の男性シンガーEmannyが客演参加、銀河のように電子音がキラキラと煌めき広がるトラックは流麗で、その中で強烈な光を放つ恒星のようなJoe Buddenのラップと、裏腹に静かな夜更けに星座を並べるようなEmannyの歌フックのダンサブルで蒼い転調が素晴らしい(昇天)。錆びた金属のようなザラザラした硬さのサウンドがクールな「Wrong One」、Joe Buddenの吠える様なラップがサウンドに跳ね返って暴れるのも酔狂。The Manhattans「Wish That You Were Mine」を早回しサンプリングした「I Wanna Know」ではStacy Bartheが客演参加、90年代のラップ好きならたまらない極甘で上品なトラックはシルキーで、Stacy Bartheのヴォーカルがやはり芳醇でこれまた品があって美しいのです(溜息)。Quincy Jones「Tomorrow (A Better You, Better Me) Feat. Tevin Campbell」をサンプリングした「Idols」では偉人の名を羅列しながら、淡くて繊細なトラックと共にJoe Buddenのラップがマーブル模様に溶けてゆくのがなんだか切なく綺麗。

Joe Buddenのソリッドでエッヂーな魅力が目一杯詰まった珠玉の一枚、Arrab Muzikのこの功績は果てしなくデカいですね(敬服)。全11曲とコンパクトながらもハードもメロウも取り揃えた鉄壁な一枚で、昔からのファンも若いリスナーも十分に楽しめること請け合いです(太鼓判)。Joe Buddenもそうですが、これを機にもっともっとAraab Muzikファンが増えたらなと願うばかり。






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Tory Lanez「I Told You」
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CanadaはTronto出身のシンガー兼ラッパー、Tory Lanezの記念すべきデビューアルバム『I Told You』を御紹介。本名はDaystar Petersonという24歳、Tory Lanezとは彼が敬愛するThe Notorious B.I.G.からもじった“Tory”と、交通法規を守らず道路を横断したことから付いた“Lanes”の、共に少年時代の愛称からきたものなんだそう。Biggieを愛聴したいたTory Lanezはラップをしたいたそうですが、John Legendの「Each Day Gets Better」を歌ってみて、自分にも彼のような歌声の要素があると思い歌うようになったんだとか。MixTape等で知名度を得たTory Lanezは、Benny Blanco主宰のレーベルMad Love Recordsと契約している模様です。
という訳で他人様から聞いた話の羅列はこのぐらいにして感想を・・・・・・まずはPlay PicassoにLavi$h、Tory Lanezが共同制作した「I Told You / Another One」は、氷の張った水の中に飛び込むような刺すような冷たさとパリパリとした感触のトラックに、Tory Lanezの撃墜されてフラフラと蛇行するようなラップが欠片のように散らばります。後半部分ではその冷たい水の中にグングンと掻いて突っ切って泳ぐようなウォータリーな感触、Tory Lanezのラップも銀の鱗を光らせるように泳ぎます。Play Picasso、Two Inch Punch、Noah Breakfast、Matti Free、Tory Lanezが共同制作した「Guns And Roses」は、真夜中の闇が小さな光を飲み込み消すような虚ろさが漂うダークメロウで、Tory Lanezの微かに細くて儚げなヴォーカルが夜光虫のように漂うのも乙。Lavi$hにPlay Picasso、XXYYXXが共同制作した「Flex」もやはり、夜の霧が月光を妖しく朧げに薄くさせるのに似たダークミストなスロウで、Tory Lanezの淡い夜光虫ヴォーカルが冷たく光り明滅するのが幻想的。「To D.R.A.M.」はPlay Picasso、Happy Perez、Two Inch Punch、Tory Lanezが共同制作で、ボロボロと重たく鳴る鍵盤音が廃墟のようなトラックを際立たせ、言葉を詰め込み散弾するラップの後のフックでの急激なガス化のアプローチなんかはFetty Wapっぽかったりして面白い。ゴボゴボと濁って重たい粘液の中を潜るような「4am Flex」はPlay PicassoとSergio Romeroが共同制作、Tory Lanezのラップが前半と後半で全く違って音程差を使って浮き沈み(沈殿と浮遊)を演出していて耳に残る。Tory LanezにPlay Picasso、Happy Perez、Frank Dukesが共同制作した「Friends With Benefits」は、済んだ水の中で眺める光の筋のようになんだか瞬いて、Tory Lanezのヴォーカルはさしずめキメ細やかな水泡のように浮かんで消えて、そんな水中遊泳を思わせる浸水メロウでグッド。Happy Perez、Play Picasso、Tory Lanezが共同制作の「Cold Hard Love」は、冷たい風の吹き抜ける鉛空の下を、僅かに震えながら駆け抜けるような寂寞としたメロディに、カサカサと乾いて切ないTory Lanezのヴォーカルが淡く褪せて次第に消えるのが美しい。Cashmere Cat、Benny Blanco、Happy Perez、Play Picasso、Tory Lanezが共同制作した「High」は雨漏りのようなシンセが水溜まりを作り、やはりその中で夜光虫のようなTory Lanezの淡光ヴォーカルが滲んで美音の洪水を起こすスロウジャム(氾濫)。Play PicassoとTory Lanezの共同制作の「Dirty Money」はピアノ鍵盤の硬くて冷たい音色と、歪曲し連綿とアメーバ状に起伏する重低音ビートとが、Tory Lanezのボタボタと滴る低音ラップと相まって荘厳に響き渡るゴシック様式の一曲。「Questions Is」はPop Wanselが制作を担当しており、細やかな彫刻を施した金装飾のようなツヤ光りするメロウトラックに、Tory Lanezの黒にも近い深紅のヴェルヴェット感触のラップがそっと覆い被さるのがまたシックでカッコイイ(気品)。角砂糖が溶けるようにキラキラと鳴る鍵盤音が品があって甘美な「Loners Blvd」はDJ DahiとNoah Breakfastが共同制作、ならばTory Lanezのビターなラップはカフェイン含んだ珈琲で香ばしい匂いで聴き手の意識をきりりと醒めさせるエスプレッソチューンでグッド。Happy PerezにPlay Picasso、Tory Lanezが共同制作した「All The Girls」は光の分散と吸収を波打ち繰り返す光芒メロウで、それでもどこか影があってジワジワと侵食するように移ろうTory Lanezのラップ&ヴォーカルで金環日食のような光陰コントラストが美しく幻想的に広がるのがたまらない(恍惚)。Pop Wanselが制作した「Luv It」は御存知、Brownstone「If You Love Me」をネタ使いしたヒットナンバー。原曲自体の持つあのシャキシャキと瑞々しくもエッヂーな清涼感を残しつつ、そこにTory Lanezの蜂蜜のような金色粘度が絡まることでトローリとした甘味が足されて違った味わいで美味。最後はCashmere CatとBenny Blancoが共同制作した「Luv」で、最近のトレンドである甘酸っぱく濡れたトロピカルなミッドで、Tory Lanezの果汁のようにフレッシュなヴォーカルが活き活きと弾けるのがナイスで好きです。

うーん、最初はあんまり好きじゃないなーと思っていたんですが、聴いていると結構な中毒性があって、結局はこうしてブログで取り上げるのも遅くなったほど。Bryson Tillerが好きな方ならば、確実にはまるんじゃないかと僕は思います。あとはやはりDrakeなどのOVO一派にも通ずる世界観で、そちらが好みの方にもお薦めかと。ただ、Tory Lanezはラップもヴォーカルもとても魅力的ですし、高音低音の使い方も綺麗でトラックメイクも出来るし、今後にもすごく期待したいと思っております。






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Z-Ro「Drankin' & Drivin'」
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アメリカ南部はHouston出身の歌心溢れるMC、Z-Roの通算十九作目となる『Drankin' & Drivin』を御紹介。まずZ-Roがこんなにも沢山のアルバムをメジャーインディ合わせてリリースしていたことに驚き、僕は本作と九作目にあたる『Let the Truth Be Told』しか持っておりません(涙)。しかし、そのアルバムと数多くの客演を聴くだけでもZ-Roの魅力は十分に理解しているつもりでして、本作もたまたま新作出ていることに気付いて即買いした程。Z-Roは今は亡きDJ Screw率いるScrewed Up Clickのメンバーとして90年代末から活動し、その後ソロに転向し今の成功を収めているらしいです(伝聞)。
という訳で僕的には11年ぶりぐらいになるZ-Roの感想を・・・・・・まずはJonathan Zibiなる人物が制作の「Devil Ass City」でスタート、ピコピコと点滅するように鳴る電気信号みたいな音色に、メタリック製のメロディが塗装された流線形のトラックに、Z-Roのメロディを結わえた黒煙のようなラップシンギングが蠢くのがカッチョイイ(痺)。流電するように淡い発光を放つ音色が綺麗な「My Money」はSynesthetic Nationが制作、野太くバリトンなZ-Roのヴォーカルがディーゼルエンジンのように心地良い重低音の響きを鳴らし、まるで真夜中の高速をガルガルと唸らせながら走り抜けるようなドライブ感覚でスマート。Track Whippaz制作の「Where The Real」は鈍くボコるビートと上下するオイリーな音色がサウス流儀なミッドで、緩急をつけて時に連打、時にスローモーションで独特なメロディで聴き手を絡め取るZ-Roのフロウが柔らか。本作中でも最も甘美で極上なスロウジャムが、Jonathan ZibiとBruce Bangが共同で制作、ブラックベリージャムのようにドロッドロとした感触と黒ツヤ光りしたビート、そして甘く濃厚なシロップのようなメロディ、ほんのり大人ビターなZ-Roのマイルドフロウが融合した至極の一曲。またもやJonathan Zibiが制作を担当した「He Hoes」なんかはもうZ-Roの昇天フックが巧くてヤラレルし、それだけでなくミッドナイト系のしなやかクールなトラックに颯爽と乗せる濃厚ミント味なラップも最高に格好良い(鳥肌)。Bruce Bang制作の「Since We Lost Y'all」では、Krayzie Boneが客演参加というもう鉄壁な歌ラップコンボ技が炸裂です(必殺)。清らかで透明な水が巡るようにウォータリーでメロウなトラックに、優しくまろやかなZ-Roの歌フロウとKrazie Boneのジェントルでキメ細やかな歌フロウが紡ぎ合う強靭にしてド渋いメロウが凄まじい(骨抜)。金属的な冷たさがキンキンと鋭く響く「Hate Me So Much」はSynesthetic Nationが制作を担当、深夜に濡れて光るアスファルトのようにザラザラした光の感触に、プラチナのように重厚な輝きを放つZ-Roのラップが曲線を描いて美しい一曲。同じくSynesthetic Nationが制作した「Baby Momma Blues」もやはりミッドナイト系のディープブルーな一曲で、煌く夜露で濡れたように冷たく凛としたトラックと、夜霧を裂くように射す月光のようにZ-Roのしとやかに深々と響き渡るバリトンラップが最高に艶っぽくクール(痺)。Jonathan ZibiとBruce Bangが共同で制作した「New Shit」は、深淵な水の中をゆるゆると沈んでゆくような沈殿メロウが幻想的で麗しく、速射砲的なラップも交えつつ全く音を外さず耳心地のいいウェットなメロディを柔軟に繰り出すZ-Roは正に神業。「Hostage」はBeanzとKornbreadが共同制作したアコースティックギターを奏でる優美ナンバーで、さらりと乾いた音色を背景にZ-Roのラップも空気を含んでエアリーに舞うのが心地いい。水面にポツンと広がる波紋で色や形が静かに歪むようにトラックがぼやけて滲むメロウ「It Ain't Gonna Lie」はJonathan Zibiが制作を担当、こういう冬空のように哀愁の漂う寒々しいトラックもシックに立体化するZ-Roは凄腕。June Jamesが制作の「Successful」はポロポロと崩れて剥がれ落ちるような鍵盤音が散り行く花びらのよう、落葉を揺らす木枯らしのようにZ-Roの沈鬱なフロウが小さく吹き荒ぶのが胸を打ちます。最後を締め括るのはBeanzとKornbreadが共同制作した「Women Men」で、この曲では50 Cent「Many Man (Wish Death)」をラインを引用していてるのが印象的。サンプリングの素材が良い意味で強くて、フックで歌いラップで重たくボディブローを効かす50 CentとZ-Roがシンクロして感じられて文句なしの格好良さ。

やっぱりこういう歌っても味がある、みたいな二刀流のMCは僕の大好物でZ-Roもその一人。最近のMCも随分歌う人が多くなったけれど、単純にこんな風にソウルフルに歌える人は新旧合わせて探してもいない気がします(珍重)。それこそ昔でいうBone Thugs-N-Harmony好きや、声質的には2Pac好きなんかも聴いてみると気にいると思います。こんなに骨太でいてメロウなラップを出来るのはZ-Roのみ、唯一無二だなと改めて実感させられました(敬服)。








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BJ The Chicago Kid「In My Mind」
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その名の通りChicago出身のワンダーボーイ、BJ The Chicago Kidの記念すべきデビューアルバム『In My Mind』を御紹介。地元をレペゼンするBJ The Chicago Kid、BJは本名のBryan Jamesの略のようです。最近のChicagoといったらRapシーンの方が隆盛な気もしますが、やはり優れたシンガーも数多く輩出している大都市で、BJ The Chicago Kidもおそらく都市を代表し語られるシンガーとなる可能性大でございます。両親がどちらもクワイアのディレクターを務めていたそうで音楽一家、兄のAaron Sledgeもゴスペルアルバム『Da Light』をリリースしている様です。ずっと注目を集め客演オファーも絶えないBJ The Chicago Kid、本作はあの名門老舗Motown Recordsからのリリースで御座います(期待)。
というわけで早速感想を・・・・・・Mike & Keysが制作を担当した「Man Down」は、BuddyとConstatineが客演参加。バツンと断裂させたようなビートと、そのビートの振動でかき混ぜられ澱んだ深水のようなメロディが揺蕩うトラックの中で、BJ The Chicago Kidの屈折光のように折れて突き刺し進む眩いヴォーカルが断片的で美しい。続く「Church」もMike & Keysが制作を担当しており、客演にはいま最も勢いのあるChance The RapperとBuddyが参加。抹香のように漂い香るBJ The Chicago Kidのヴォーカルが、トラックの持つ古い寺院のように荘厳で清閑な奥行きとシンクロしてどこか幽玄、Chance The Rapperの白煙のようにメロウに漂うラップもナイス。「Love Inside」はCorneilo "Corn" Austinが制作を担当しており、客演にはIsabellaが参加。じんわりと朝陽が昇り地平線が光を零すように、温かな息吹のごとくビートとメロディが染み込んでくるトラックがなんとも可憐。BJ The Chicago Kidの少し嗄れた震わすようなヴォーカルが余計に、醒めて霞んで震える陽の光を思わせて淡く美しい。Sean Cooperが制作の「The Resume」では僕が好きなBig K.R.I.T.が客演で参加、BJ The Chicago Kidのヴォーカルエフェクトが陰影を生み出し、なんだか永遠を約束した押し花のような萎れた色味を美しくも儚く漏らす一曲。ピアノ鍵盤の煌びやかな音色がなんとも瑞々しい「Shine」はDJ ReflexとMatthew Edwardsが制作を担当、ゴスペル仕込みのBJ The Chicago Kidのヴォーカルを凛と際立たせる一曲で、どこまでも途切れることなく照らし洗う閃光のようなトラックと歌声が、銀の糸となって涙腺に優しく結ばれます。District 9とAaron Rennerが共同制作した「Wait Til The Morning」では、女性シンガーのIsaが客演参加。燦々と降り注ぐ陽光を砕くように駆け、躍動するBJ The Chicago Kidのヴォーカルが逞しく鮮やかな一曲で、終盤に響くIsaの憂いを帯びたヴォーカルが暮れて傾く夕日を思わせます。「Heart Crush」はJairus "J. Mo" Mozeeが制作しており、ゆっくりと波打って響くギターのリフで象るメロディがハートの感度をスローモーションにし、BJ The Chicago Kidの眩く透明なヴォーカルが光の粒子となって分散するのが美しく幻想的。同じくJairus "J. Mo" Mozeeが制作を担当した「Jeremiah / World Needs More Love」はEric Ingramが客演参加しており、光という光が弾ける完璧ゴスペルな前半部分ではBJ The Chicago Kidに完全にPrinceが憑依しているし、後半部分ではその光が結露して優しい雨となって鼓膜を濡らすからたまりません(感涙)。BJ The Chicago KidとJoe Syringが共同制作した「The New Cupid」ではKendrick Lamarが客演参加、雨上がりの星降る夜のようにしっとりと響くサザンソウル風味のミッドで、BJ The Chicago Kidの星が静かに瞬くような歌声もKendrick Lamarの雨の煙るようなアップも優しく響きます。そのまま王道ソウルの流れを汲んだ「Woman's World」はCorneilo "Corn" Austinが制作を担当、この作品が老舗Motownからリリースされているのも頷ける、シックでスマートで胸震わす一曲。「Crazy」ではまたもやMike & Keysが制作を担当、バスバスと空気を吐き出す様になるビートと、それに呼応して泡立って渦巻くようにメロディが攪拌されるウォッシュドソウルといった趣、BJ The Chicago Kidのしなやかに泳ぐようなヴォーカルも心地よくてグッド。Lamar "Myguymars" Edwardsが制作の「Home」は爪弾き零すアコースティックギターの音色が朝の静けさ、時折と発するジャングルのようなパーカッシヴなビートが喧騒、BJ The Chicago Kidのヴォーカルがそれでも止まらず絶えず流れる時間を思わすシカゴ賛歌。「Falling On My Face」はDa InternzとAaron Michael Coxが共同制作、朝露のように澄んで清らかなピアノ鍵盤の音色が淡麗な珠玉のバラードで、BJ The Chicago Kidの朝露を溶かす朝陽のように優しく温もり溢れるヴォーカルが胸に響きます(昇天)。最後を締め括るのはJairus "J. Mo" Mozeeが制作を担当した「Turn Me Up」、手触りのいい温かなカシミヤのような極上メロウなソウルチューンで、BJ The Chicago Kidのファルセットが綿毛を運ぶそよ風のように甘く軽やか。あと追記するならば、あちこちで楽器演奏やバックヴォーカルであのPJ Mortonが関与しています。

MixTape時代から追いかけ、BJ The Chicago Kidが客演する度にやきもきし、そんな期待を全く裏切らない秀作でたいへん満足です。結構サウンド的にもあちこちと実験的に尖っていて、だけれどきっちりみっちりと高純度ソウルというのがとても面白くて新鮮。歌声も独特でキャラが立っていますし、とにかく真摯でソウルフルで胸を打たれます。ブサ可愛いな顔もナイスですし(褒言葉)、これからの活躍にも期待したいソウルシンガーで御座います。










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Danny Brown「Atrocity Exhibition」
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天然パーマと抜けた前歯で異様な存在感を放つDtroit出身の35歳、Danny Brownの通算二作目となる『Atrocity Exhibition』を御紹介。そのルックスとフロウで若手有望株の中でも極めて奇天烈な印象を誇るDanny Brown、しかし音楽には極めて真摯でおよそ奇を衒っている訳ではないみたいなのが僕的にクールで、その証拠に彼はあの英名門レーベルWarpとの契約を勝ち取っているんです。ちなみに本作は調べたところによると、J. G. Ballardの小説『残虐行為展覧会』と、その小説にインスパイアされたJoy Divisionのアルバム『Closer』収録の同名曲に影響を受けて制作されたのだそう。
という訳で借り物の知識はここで止して本題の感想は僕なりに・・・・・・まず本作のほぼほぼのトラックをPaul Whiteが制作しているようなので、まずはそのPaul Whiteによる制作曲から触れてゆきます。混濁としたビートと共に螺旋状に沈没してゆくDanny Brownのラップが、バクテリアのようにトラックを蝕んでゆく「Downward Spiral」はGuru Guru「Oxymoron」をサンプリング使用。ドロドロと体内から細胞液が漏れ出るような感触のトラックがクールな「Tell Me What I Don't Know」、途中からビートが鋭利になり鼓膜をキリキリと刺すものの、ここではDanny Brownのラップはじんわりじんわりと静かに拡がり感染してゆくようなウイルスラップでちゅ毒性も抜群。Nick Mason「Siam」をサンプリング使用した「Ain't It Funny」はブオーブオーと放たれる爆風のようなホーンが吹き荒れる核爆発アッパーで、Danny Brownの悪魔的に弾けるラップがこれまた青白い火花を散らして炸裂する無差別攻撃チューン。悪魔が行進するようにバツバツと乾いたドラムスが闊歩する「Goldust」は、サンプリングにEmbryo「People From Outaspace」を使用。叩いてぶっ壊して破片が飛び散るように鳴るトラックの上で、もはや凶行に近いDanny Brownの暴動のようなラップが鮮烈に飛び散るのが痛快でクール。Pulsallama「Ungawa Part II (way Out Guyana)」をサンプリングした「Dance In The Water」は火炙りの饗宴のようなスパイシーで刺激的なトラックが最高にホットで、そんな灼熱の業火に灼かれながらDanny Brownの悪魔的なラップが轟々と燃え盛るように暴れるのもまた痺れます。Lol Creme And Kevin Godley「Sleeping Earth」をサンプリング使用した、半睡半醒のように意識を朦朧として角砂糖みたく溶かしてゆくトラックが心地良い「From The Ground」では、客演に次世代の歌姫Kelelaが客演で参加。免疫をホロホロと崩してゆくDanny Brownのウイルスのようなラップに、それを鎮め治癒する抗生物質か鎮静物質のようなKelelaの、月夜の満潮のようにひっそり広がるヴォーカルの対比が素晴らしい(失神)。激しく降りしきる酸性雨のように聴き手の鼓膜を爛れさせ、すぐとそんな酸性サウンドの洪水に飲まれる「When It Rain」もやはり病的。そんな酸性氾濫のビートの中でも無邪気に飛び跳ねる、Danny Brownの幻妖的なラップが最高に奇抜でカッコイイの一言に尽きる。闇の中でボコボコと膨張する光を圧迫し潰すように進行するトラックが破滅的な「Today」、そこに腐敗した菌類のようにDanny Brownの早口のラップが感染拡大するのがクール。Cypress HillのB-Realが客演参加している「Get Hi」は、トラック通りに紫煙を吐き出しそこにラップを溶かして燻らすような昇天スロウで、Danny Brownの弛緩したラップがまた独特なインソムニアテイストを醸し出していてグッド。最後を締めくくる「Hell For It」は、淡々と鳴る鍵盤音を軸にDanny Brownの歪曲しながらネバネバと鼓膜に癒着してゆく悪夢ミッド。とここまでがPaul Whiteによる制作曲で、残るはそれ以外のProducerが制作を担当。Petit Noirが制作&客演した「Rolling Stone」は、Petit Noirの青ざめたラップが薄い霧のように寒々しく漂い、それを背後にDanny Brownのウイルスラップが猛威を振るう疫病チューンで病みつき。Black Milkが制作した「Really Doe」では、Kendrick LamarにAb-Soul、Earl Sweatshirtと実力ある同世代のMCが集結。もう安定感さえ感じる新進気鋭のマイクリレーは魅力的ですが、この面子の中だからこそ狂気に満ちたDanny Brownの錯乱じみたラップが突出するという精巧な騙し絵かと(賛辞)。Lena Lim「Flame Of Love」をサンプリングした「Lost」はPlaya Hazeが制作を担当しており、そのネタ使いの持つレトロでシリアスな響きとDanny Brownの断末魔のようなラップが、退廃的で美しい倒錯を演出していてゴシックで美味。Dave Greenslade「Dry Land」をサンプリングした「White Lines」は、古株のAlchemistが制作を担当しており、痙攣するように筋張って吠えるDanny Brownのラップが鼓膜に突き刺さる一曲でやはり硬い。

こと芸術においては“病的”と“美しい”が同義語、直結することがあり、Danny Brownの本作は正しくこれ。サンプリングセンスの妙も手伝って、Dany Brownのウイルスのように危険なラップが華麗に毒々しく昇華されているのにとても驚きます。聴いていて耳障りだと1mmも感じさせないあたり、奇天烈狂人に思わせてかなり緻密に計算されているのではと思ってしまいます(芸術家肌)。こんな感想ではDanny Brown『Atrocity Exhibition』の面白さを何百倍にも希釈してしまっていて悔しいばかり、それぐらいに本作はぶっ飛んでいて繊細、にして狂っているという美しさ(溜息)。






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Keith Sweat「Dress To Impress」
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自ら歌いつつも後進アーティストをプロデュースしたりもする超ベテランの55歳、Keith Sweatの通算十二作目となる『Dress To Impress』を御紹介。1987年のデビュー作『Make It Last Forever』からずっとコンスタントにアルバムをリリースしている大御所Keith Sweat、前作『'Til The Morning』から数えても四年ぶりということで、本当に多作な人で御座います。最近ではKeith Sweatが後見人となってデビューしたSilkが復活したことなどもあり、まさにベストなタイミングでのKeith Sweatの新作で御座います。
それではどんな内容だったかの感想を・・・・・・まずはJason "Jhot" ScottとKeith Sweatが共同制作の「Good Love」でスタート、Keith Sweatの潤いを越してちょっと漏れるほどビッショリした感触のヴォーカルが麗しくフルーティで、朝靄のようにしとやかで煌びやかなトラックも相俟ってグッド。Wirlie Morrisが制作(ソングライトにはCharlie Wilson)の「Tonight」ではSilkの面々が客演参加しており、Keith SweatとSilkの綺麗なヴォーカルハーモニーがまるで夜空に輝く星座のように並ぶ一曲で、そんな満天の星空を仰ぐようなロマンチックなバラードで骨の髄までウットリ。同じくWirlie Morrisが制作を担当した「Just The 2 Of Us」は、それこそ使い古された文句と耳馴染みのあるメロディだからこその破壊力。懐かしさを感じる電飾のようなシンセの瞬きと、ネッチョリと滴るようなKeith Sweatと客演のTakiya Masonの清冽スッキリなヴォーカルの溶け合いがレモネードみたく美味。「Pulling Out The One」はTierce "Kizzo" Personが制作を担当しており、澄み切った水の中をスイスイと泳ぐような瑞々しいアクアトラックで、その中をしなやかな光沢を翻して乗るKeith Sweatがスムース。Keith SweatとEdward Perkinsが共同制作した極上ベッドバラード「Special Night」、絹のシーツの中でもぞもぞと男女がじゃれるような滑らかなメロディの抑揚に、Keith Sweatの舐めるようなびしょ濡れのヴォーカルがエロくも品良く響くのが下半身に来ます(昇天)。初っ端からのトークボックス使いでセクシーな熱気がムンムンと上気する「Back And Forth」はDerek "DOA" Allenが制作を担当、こういうスロウバラードでのトークボックス使いはある種で情交トリップ感を増幅させるので神器であり、それに呼応して懇願し求愛するようなKeith Sweatの発情ヴォーカルも見事。「Give You All Of Me」はWirlie Morrisがまたまた制作を担当、ライトアップされたドレッシーなダンスチューンで軽やかにステップするKeith SweatはやはりNJSの創始者。Keith SweatとJerry "Fatz" Flowersが共同制作したオールディーズなソウルナンバー「Missing You Like Crazy」ではDru Hillが客演参加、湿った熱気を放つKeith Sweatと乾いた熱気を放つDru Hillの融合はやはり素晴らしくホットで華やか。またまたTierce "Kizzo" Personが制作した「Lovers & Friends」は、キラキラと舞うピアノ鍵盤の音色がラグジュアリーで、大きな薔薇の花束のように香るKeith Sweatの美しいヴォーカルも粋です(溜息)。Keith Sweatが制作した「Feels Good」は王道マナーな心温まるバラードで、これは大ベテランならではの安定感。Mirlie Morrisが制作した「Better Love」はKeith Sweatのヴォーカルがエコーのように響くのが絶品で、シャボン泡のように揺れて浮かんではパチンと割れるような音色が艶めかしい、湿度抜群のバスルーム用のウェットスロウジャム(骨抜)。純白のシルクのように滑らかで高貴な質感のドレッシーなミッド「Dressed To Impress」は、Adam GibbsとMike Chesser、Luke Austinが共同制作。これは90年代というよりは2000年代なクールな感触で、Keith Sweatのヤギ声ならぬカシミヤ声が心地よく響きます。「Can't Let You Go」はDerek "DOA" Allenが制作を担当しており、アコースティックギターの弦音も奏でて、星空を溶かすしとやかな夜風のように鼓膜にセクシーに絡むミッドナイトチューンが流麗でお見事。Tierce "Kizzo" Personが制作を担当したピアノバラード「Say」は、真夜中にカチカチと進む針音と夜風の音を聴きながら青く染まる寝室で愛し合うような、そんな静けさがかえって胸の鼓動とKeith Sweatの色気を際立たせる一曲。Derek "DOA" Allenがまたもや制作の「Get It In」もやっぱり夜の静寂を枕にしたような深層スロウジャムで、月光を浴びて屈折し折り重なるようなKeith Sweatのエフェクト駆使ヴォーカルがまた官能的。そしてラストを飾るのはまさかのまさか、故Gerald Levertとの疑似デュエットとなった「Let's Go To Bed」。Derek "DOA" Allen制作のヴェルヴェットのようなメロディがまず高貴でいて大人っぽく色っぽいし、その中で御大二人がド渋く吠えて悶えるを衝突させるんだから、腰砕けになることは確実必至です(感涙)。

粧し込むでもなく普段通りの、もう何十年と変わらないKeith Sweat節で抜群の安定感で御座います。R&Bの進化は嬉しいけれど、やっぱりこういう生粋のバラード紳士(そしてエロ紳士)もいないとつまらないです。客演陣といい制作陣といい。Keith Sweatを90年代の黄金期から支える面子なので、やはり三十路以上は過剰反応してしまうこと必至かと思います。Keith Sweatの叔父貴にしか出せないセクシーさ、ずっと円熟しっ放しで流石の一言に尽きます。




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Ro James「Eldorado」
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ドイツはシュトゥットガルト生まれのSSW、Ro Jamesの記念すべきデビューアルバム『Eldorado』を御紹介。父親の仕事の都合でドイツで生を受け、その後もハワイで過ごしたこともあるというRo James。このRo JamesはあのMiguelやMali Musicを発掘した敏腕、Mark Pitts主宰のレーベルByStorm Entertainmentからのデビューということでも注目されています(折紙付)。しかも彼はかのPrinceが率いるNew Power Generationsの一員の女性シンガー兼鍵盤奏者のRosie Gainesの甥にあたるのだそう。またRo Jamesは“ヒーローはPrinceとJohnny Cash、理由は反逆の要素があるから”と語っているそうで、やはりPrinceの影響を受けているシンガーの様です。
とまあ四方山話はこのへんで止めて本題に・・・・・・まずは混濁したダークトラックの中で、微細な気泡のような音色が浮き上がる「The Ride」がAaliasによる制作。Ro Jamesのどんよりと鉛空のようになんだか重くて光をそっと拭ったようなヴォーカルが幻想的で、ゆらゆらとメロディの底に沈殿してゆくのが毒々しく綺麗。風になびき金麦の畑が揺れるような、まるで印象派の絵画に描かれる光のように柔らかな、そんな穏やかでナチュラルな輝きが揺れる「Premission」。制作はSoundzでサンプリングにWillie Hutch「Brother's Gonna Work It Out」を使用した気品溢れるスウィートミッドで、木漏れ日のようなRo Jamesのヴォーカルには斑らな熱感が漂い、それがより艶やかで危なげなファルセットとなりPrinceを彷彿とさせてたまりません(骨抜)。人肌の温もりというジワジワと低温直火でゆっくりとトロトロに溶けたようなメロウチューン「Burn Slow」、制作はDa InternzとMiykal Snoddyが共同で担当。トラックの持つ熱気により放出される蒸気のように、しんなりと柔らかに痙攣しグラインドし漂うRo Jamesの少し咽ぶような官能的ヴォーカルも熱くてとろけそう。「Already Knew That」はDJ Camperが制作しており、一瞬一瞬を柔らかに切り取るようなメロディの粒々感に、Ro Jamesのカラメルのように絡めるほろ甘くビターなヴォーカルがグッド。1分ちょっとの「Bad Timing」はNez & Rioが制作、仄暗く冷たい水底を思わせるトラックの中で漂う藻屑のようなRo Jamesのヴォーカルとラップ囁きが摩訶不思議な一曲。同じくNez & Rioが制作を担当した「GA$」はCO2のようなメロディが充満するトラックに、Ro Jamesの靄のように薄く広がるヴォーカルが輪をかけて毒々しくてグッド。Dernst "D'Mile" Emile II制作の「New Religion」は、まるで蒸留酒のように深くコクのあるトラックに、Ro Jamesのヒリヒリと灼熱感のあるヴォーカルの加速が華麗で美しい。Brady Wattが制作した「A.D.I.D.A.S. (All Day I)」は果実酒のように透けた甘い色に、嗅げば嗅ぐほどじわじわと酔いが回るほのかなアルコール度数、その中でゆっくりと発酵の進むRo Jamesの甘酸っぱい果肉のようなヴォーカルがこれまた甘くてカッコイイ(痺)。朝の水辺で水浴びをするような光と水の粒が弾けるようなトラックが鮮烈な「Holy Water」はHappy Perezが制作を担当、ただトラックは鮮烈ながらもRo Jamesのヴォーカルの持つ水浴びの情景を回想するようなフィルターのかかり方がまた淡くて綺麗だったり。再びDernst "D'Mile" Emile IIが制作を担当した「Last Cigarette」の優麗さもまた抜群で、水煙管のようなちょっと異国情緒のある湿ったメロディが漂う一曲で、Ro Jamesの多重録音されたヴォーカルがゆらめく紫煙のようでなんともドリーミー。Blended Babiesが制作したアコースティックなナンバー「Everything」は、枯葉がカサカサと音を立てて消えてゆくような侘しさが溢れるトラックで、だからこそRo Jamesの落葉のように淡く褪せたヴォーカルが映える。最後を飾るのはFlippaとJ Proofが共同制作し、サンプリングにRubba「Way Star」を使用した「Eldorado」。タイトル通りに黄金郷を思わせる優雅で幻想的なツヤ光りするトラックに、ちょっぴりスパイシーでコクのあるヴォーカルがじんわりとドリップされる濃厚なミッド。

MiguelやMali Musicに比べるとより明確にソウルフルに感じたRo James、それでいてあの悶えるような熱の放ち方はなんだかPrinceに通ずるDNAを感じたりもしました。ソウルフルでありブルー色のブルージーさをも兼ね備えて、かなりキャラのしっかり立ったシンガーでこれからにも要注意。今年はAnderson .Paak一色にこそなっているけれど、彼がいなかったらもっと話題になった気のする麗しきダークホース。








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De La Soul「And The Anonymous Nobody」
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PosdnousにDaveにMaseoの2MC1DJで構成されるベテラントリオ、De La Soulの通算八作目となる『And The Anonymous Nobody』を御紹介。Jungle BrothersやA Tribe Called Questらと共にNative Toungeとして一時代を築いたのがDe La Soul。そのスタイルのユーモア性やサンプリングなどの革新性でユニークな存在として他とは一線を画し、多くの人気作を残しています。そんなDe La Soulの新作は最近よく耳にするクラウドファンディング・サービスのひとつ、Kickstarterにて出資を募りなんと60万ドル(日本円にして7200万円!)もの資金援助を受けて制作されたもの。自主レーベル“A.O.I. Records”からのリリースとなる本作はサンプリングのクリアランス問題も避けて、スタジオセッションで録ったサウンドをサンプリングしたりと、文字通りDe La Soulメンバーが完全に掌握した形での制作リリースになったようです。しかも本作は前作よりおよそ12年ぶりの新作、その間にPosdnousとDaveのサイドプロジェクトのPlug 1 & Plug 2『First Serve』のリリースもあったりしましたが、こうして新作を聴けるのは嬉しい限り。
てなワケでざっくりとですが簡素な感想を書きますね・・・・・・まずは華麗なストリングスに乗せてJill Scottの優雅な語りが聴ける「Genesis」、幕開けとしては最高に贅沢だけれどやはりJill Scottには歌って欲しかったかな。続くDave制作の「Royalty Capes」はネットリと練り飴のようなホーンの造形の溝に沿って、De La Soulの渋みのある重厚なラップがズジンズシンと響く一曲。Supa Dave Westが制作した「Pain」ではSnoop Doggが客演参加、ペリペリと鳴らす弦音のささくれ立った音色に、ぼんやりとネオンカラーなシンセが瞬くのが軽妙でグッド。西海岸的な柔らかな陽風が鼓膜を撫でるのが素晴らしく、De La SoulとSnoop Doggの肩の力の抜けた軽く転がすようなラップの掛け合いも妙技。Daveが制作を担当した「Property Of Spitkikcer.com」はRoc Marcianoが客演参加、De La Soulらしいシタシタとドラムスを微かに鳴らすJazzっぽいトラックに、サイボーグの様にエフェクトをかけたロボ声ラップがなんともクールで面白い。しかもRoc Marcianoの骨太で重厚なラップがズシンと重心を落とさせるのが面白く、水と油なんだけれどその浮き沈みの差がナイス。続く「Memory Of... (US)」はあのPete Rockが制作を担当し、そのPete RockとEstelleが客演で参加しております。Jae Mason「Diana」をサンプリングしたトラックはそのキメの細かいシルキーな気品と滑らかさはそのままに、Estellleのけして張らない華やかなヴォーカルが飾り高貴な縫いを施し、Pete Rockらしい黒檀ビートに乗ってDe La Soulの脱力ラップが跳ねるのも心地良し。Posdnousが制作した「Lord Intended」ではthe DarknessのJustin Hawkinsが客演参加、稲妻型にザクザクと尖ったエレキギターの硬いメロディトラックは、昔のL.L. Cool JやBeastie Boysを思わせるロックチューンでカッコイイ(痺)。David Byrneが客演参加した「Snoopies」はPosdnousが制作で、Aap Ki Nazron Ne Samjha」をサンプリングした角切りゼリーみたいな電子音が鳴るキュービックなトラック挿入の後、ボムボムと弾力のあるビートと鬼スクラッチが横断しDe La Soulがここぞとばかりにラップをはめ込むリバーシブル仕様。Ethan Phillipsが制作した「Greyhounds」ではまさかのUsherが客演参加、夜光虫をそっと掌に閉じ込めたような淡く幻想的に明滅するトラックにスムースに囁くDe La Soulのラップ、そして静寂を壊さぬUsherの月光のように繊細で甘いヴォーカルとすべてが美しい(溜息)。Supa Dave West制作の「Trainwreck」はJames Brown「Sex Machine」を下敷きに、カンカンと打つ鐘音に揚々と抜けるトラックがまるで山の上の沿線を走る機関車のよう、しかし突然と脱線し大破するような終わりでバツン。The Anonymous Nobodiesが制作の「Drawn」ではLitlle Dragonが客演参加、と言ってもハープのような音色を爪弾き零すシャボンのようなトラックの大半はLittle Dragonの淡白なヴォーカルで、終盤30秒ほどでようやくとバツバツとビートを挫いてDe La Soulのタフな降ってくる意表を突く一曲。同じくThe Anonymous Nobodiesが制作の「Whoodeeni」では2 Chainz(これは驚きの起用)が客演参加、徐々に熱を放出しながら加速するオンボロモーターの様なトラックで、2 Chainzの相変わらずモッサリとした援護射撃ラップが抜群にカッコイイ一曲。De La SoulやATCQが得意とするベースのマットなグルーヴで硬く紡ぐ「Nosed Up」はSupa Dave Eastが制作、こういう勤倹質素な直角トラックこそ彼らの燻し銀なテイストが輝いてグッド。The Anonymous Nobodiesが制作で、あのDamon Albarnが客演参加した「Here In After」は南風のように乾いて軽い鮮やかなエアリートラックが翻るアッパーで、De La Soulの気張らないラップリレーも良いしDamon Albarnの土煙のように舞い上がるサラサラとしたヴォーカルもダメージ感を演出していてカッコイイ。最後を締め括るのもThe Anonymous Nobodies制作の「Exodus」で、太陽の端っこのように煌き散らす弦音の細やかな音色に、De La Soulの温かなポエトリーリーディングが漂うのがとっても心地良いのです。

De La Soulっぽさも残しつつも、あれこれと客演も招いて実験的な曲も多かった一枚で満足。生のセッションっぽいトラックの中で、De La Soulはふらっとラップして自由に出入りしてやっている感じがなんとも面白い。サウンドもラップも共に固めたものを回しているというよりも、三人が回しているうちに固まったものがそのままアルバムになったような。昔からのファンも新しいファンも単純に楽しめる一枚、Kickstarter万歳といった感じです。






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