RocBox 2

自分の持っているR&B、Rapアルバムを聴いての感想を偏見で綴る。音楽に関する知識はほぼ無し、雰囲気で語る。

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プロフィール

Queen

Author:Queen
生年月日:1983年11月28日
星座:射手座
性別:男
血液型:A型
趣味:古典的推理小説読書
    黒音楽に浸る

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Raekwon「The Wild」
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Wu-Tang Clanの中で“The Chef”の異名を持つ男、Raekwonの通算七作目となる『The Wild』を御紹介。Wu-Tang Clanの中ではGhostface Killahに次いでソロアルバムを出しているのがRaekwonで、客演なんかが多いのもRaekwon。ここ最近はWu-Tang Clanが活動再開したり、特にWu-Tang Clanの頭脳であるRZAの活動が活発。カンフー映画『Iron Fists』を監督&主演し、サントラ盤までガッツリ制作したり。あとはJames BlakeやRauryに客演したりもして存在感を遺憾なく発揮しております。Raekwonも負けずとコンスタントにアルバムをドロップしており、前作『Fly International Luxurious Art』からおよそ二年ぶりとなる本作も、Raekwonが巨大化したようなDan Lish制作のイラストジャケットからして素晴らしい。
てな感じで前置きはいい感じになったので本題に入ろうと・・・・・・まずはXtremeが制作の「This Is What It Comes Too」でスタートなんですが、相変わらずのビリビリと空気を緊迫させる鋼鉄ビート使いの中で、まるで刃物を研ぐように、鋭利な金切り音みたくRaekwonのラップが飛び交うのがもう最高なんです(痺)。The Vibrettes「Humpty Dump」をサンプリングした「Nothing」はFrank Gが制作を担当、ソウルヴォーカルを鉄槌ビートで叩いてぺしゃんこに伸ばしたようなループに、ひらひらと舞って刺すRaekwonのでっぷりとした毒蜂みたいなラップがブンブンと飛び込みます。同じくFrank Gが制作を担当した「Marvin」はタイトルそのままMarvin Gaye使いかと思いきや、Banks & Hampton「Passion and Promises」とJackie Jackson「Is It Him or Me」をダブルネタ使い。雨が煙るようなしとやかな音色が立ち込める湿っぽいダークメロウに、Raekwonの柔らかながらも剛力なラップがバキバキと空気をへし降り、その空気の破片を客演のCee Lo Greenが鳳凰ヴォーカルで震わせ潤ませるという見事な演出です(鳥肌)。ソウルレコードをそのまま生搾りしたような果汁が甘酸っぱい、好ミッド「Can't You See」はRoadsArt制作もネタ元が分からず。こういう完熟甘味のあるソウルフルトラックはWu-Tang Clan面々の十八番ですし、Raekwonの胡椒の効いたラップもいいアクセントになって涙腺を刺激するナイス一曲。 G Sparkzが制作の「My Corner」では客演にLil Wayneが参加、漏電したように光を震わせ輝くトラックが歪な曲線を描くのが美しく、だからこそ変幻自在にチロチロと舌を出す様なLil Wayneのラップが映える策士曲。あのDame Greaseが制作を担当した「M&N」は、いかにもDame Greaseらしいオルガン鍵盤が不穏に響く荘厳なシリアス曲で、そんな漆黒の闇の中で暗殺術の使い手であるRaekwonがP.U.R.E.(このMCが負けず劣らずカッコイイ)を従えて、的確に斬撃ラップを繰り出すのが最高にイル。Mally the MartianとDan the Bandが共同制作した「Visiting Hour」ではMelvin Bliss「Synthetic Substitution」をサンプリングし、客演にはあのAndra Dayが参加というスルー厳禁な一曲。空気をも斬ってしまうようなRaekwonの美しき斬撃ラップに、それによって散って舞う花びらのように響くメロディとAndra Dayのヴォーカルで、綺麗にモノクロ(Raekwon)とカラー(Andra Day)が混じり切り立った芸術作品に昇華されているのです(溜息)。Mark Henry制作の「The Reign」もやはり燻し銀なソウル妙味なトラックながらもネタ元不明、ソウルフルなトラックを発酵させて甘味を増させたようなトロミのあるトラックと、気持ち良いぐらいにシンプルなドラムブレイクだけで聴かせるRaekwonの斬鉄拳ラップが最高。The Montclairs「Dreaming's Out of Season」をバッチリと早回しサンプリングした「Crown Of Thorns」はJ. Dotが制作、様々なブレイクが花火のように打ち上がり夜空に舞い散るような壮麗さが秀逸で、その後に香る火薬の匂いにも似たRaekwonのラップに情緒を感じるのです(風物詩)。「Purple Brick Road」はなんとJ.U.S.T.I.C.E. Leagueが制作で、客演にはG-Eazyが参加して夜風のようにしっとりと揺れるトラックを艶っぽく演出していてグッド。最後はRoadsArt制作の「You Hear Me」で幕切れ、これは止まない氷雨のように淡々と鼓膜を打つRaekwonの刺す様なラップに身を委ねるだけ。

ここ最近のRaekwon作品に比べるかなり客演が少なめで、だからこそ良い意味でとてもスリムで聴き易さ抜群。毎回と書いてしまうのですが、これでRZA制作曲が一曲でもあったらば最高なんだけど(我儘)。もはやRaekwonのアルバムに説明は不要、ただただこの味わいある錆声に(だけれども聴き手の鼓膜をスパッと斬り捨てる)聴き入るばかりです。やっぱり90年代を生きた三十路の僕としては、Wu-Tang Clanの面々は無条件に贔屓にしてしまいます(笑)。








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「The Fate Of The Furious: The Album」
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大人気の映画シリーズ“The Fast and the Furious”の第八作目「The Fate Of The Furious」のサントラ盤、『The Fast & Furious 8: The Album』を御紹介。ここ日本でも大人気でもはや説明不要のカーアクション映画、残念ながら主演のPaul Walkerは亡くなってしまいましたが、その後もこうしてメインキャストで映画は続編を作れているので、本当に凄いことですね。勿論、役者陣もストーリーもアクションも超弩級で毎回と素晴らしいのですが、この映画シリーズで外せないのがサントラ盤ですね。特にR&BやRap好きならば絶対に購入すべき代物で、毎回その当時の旬な面子が勢揃いしています。例えば、当時の人気レーベル“Murder Inc.”が監修した『The Fast And The Furious: Original Motion Picture Soundtrack』や、The Neptunesが多くを手掛けた『Fast & Furious: Original Motion Picture Soundtrack』Paul Walkerへの哀悼も込めた「See You Again」が大ヒットした『Furious 7: Original Motion Picture Soundtrack』と、どれも絶対に必聴なアルバムばかりです。
てな訳で簡単にどんなラインナップか御紹介すると・・・・・・まずはVincent "Invincible" WatsonとThe Agencyが共同制作した「Gang Up」で幕開け、Young Thugに2 Chainz、Wiz Khalifa、PnB Rockがマイクリレー。ザクザクとしたメタリックなトラックは冷たく鋭利で、そこに相変わらずもっさりとしたラップでこんもりと鼓膜に溜まってゆく2 Chainz、ヘロヘロと有毒ガスみたく蔓延するYoung Thug、スモーキーな渋さが光るWiz Khalifa、振り子のように無機質に揺れるPnB Rockのフック。The FeatherstonesとMurda Beatz、Breyan Isaacが共同制作した「Go Off」は、Lil Uzi VertにQuavo、Travis $cottと旬過ぎる面子がマイクリレー。鉄工場みたいに火花を散らしながら角材ビートをラインで運ぶトラックもクールだし、錬金術師のようにラップの硬度を自在に変幻させて聴き手に打撃を加えるトリオの攻撃はミリ単位でバッチリ。G-EazyとKehlaniというこの業界でも異色のコンビが組んだ「Good Life」は、Ben Billion$にInfamous、Jason Evigan(Co制作にFrank EとDanny Majic)が制作したトラックは夕間暮れに虹が架かる様な色鮮やかさで、そこにKehlaniのキュートでカーヴィな歌声とG-Eazyの伊達男なラップが煌めくミッド。DJ Chose制作の「Horses」にはPnB Rock、Kodak Black、Boogie Wit Da Hoodieが参加し、万華鏡のように光を屈折させながら色が移ろうメロディアスなトラックで、エフェクトかけてボヤけた全員の滲みラップが映えます。現在最強のトリオであるMigosが登場する「Seize The Block」は30Rocが制作、ぶりぶりと肉付きのいいトラックの弾みに乗せてMigosらしい珠也になった三連符ラップが飛び交う一曲。Youngboy Never Broke Againに21 Savageが客演した「Murder (Remix)」はDJ Swiftが制作で、ヘナヘナと鼻にかかったYoungboy Never Broke Againとギザギザに鈍く尖った21 Savageのラップがじわじわときます。Lorin Ashton制作の「Speakerbox (F8 Remix)」はBassnectar、客演にOhana BamとLafa Taylorが参加、まあこれはもう完全なEDMという感じで、僕はなんとも思わない。異色のPost Maloneが制作もし歌った「Candy Paint」は、なんだかベッタリ甘ったるいシンセと、ふわふわとして漂うようなPost Maloneの白昼夢ラップが奇妙。実力はありながらも不運続きのKevin Gatesが登場する「911」はIndia.Arie「Good Man」をネタ使いし、カリブっぽいとろける熱感に委ねて揺れるKevin Gatesの怪獣声がなんとも愛らしいミッドチューン。本作で一番の注目曲とも言えるのが、Lil Yachtyが登場(客演にRico Nasty)の「Mamacita」で、Vincent "Invincible" Watsonが制作した鍵盤音を砕いて散らしたようなまったりグルーヴなトラックに、Lil Yachtyの欠伸のようにトローンと伸びるラップがなんともお似合いな間抜け曲(賛辞)。僕が本作で最も好きなのはやはり、JeremihにTy Dolla $ign、Sage The Geminiというナイスな布陣が滑る「Don't Get Much Bettr」で決まり。DZLとRicky Reedが制作したミントのように爽やかで眩いトラックに、ミネラルウォーターのようにサッパリ清涼なJeremih、ココナツミルクのような独特な甘さとトロミのあるTy Dolla $ign、筋の通った男前でスウィートなSage The Geminiのラップと見事なコンボが炸裂。最後はSpanish Ver.も用意された、SermstyleとTinashe "T-Collar" Sibanda、Pipが共同制作した「Hey Ma」。思わず踊りたくなるようなスパイシーなラテン曲は鉄板で、J BalvinとPutbullはその上で暑苦しくも熱気ムンムンに通常営業、そこに元Fifth HarmonyのCamila Cabelloがキュートで挑発的なプリプリのヴォーカルを聴かせるのが華やか。

2017年のトレンドをばっちり全て詰め込んだような、そんな洗練されたサウンドとスタイルを堪能できる、この映画のサントラ盤らしい鉄板な仕上がり。ただこうしてトレンドを並べると思うのは、似通ったトラックやスタイルが氾濫しているのを痛感するといいますか。トラップにマンブル、全員が似た様なスタイルでやはりキャラ立ちというのが難しいと言いますか。僕はサントラ盤で最強なのはやはり『Bad Boys II The Soundtrack』だと思うんですね、R&B曲とRap曲が混合している点を減算したとしても、やはり強烈な個性を持ったアーティストのごった煮で、聴いていて全く飽きない。90年代にこれだけキャラが出揃ったからこそ、現状が生まれているのかもしれませんが(群雄割拠)。個々のアルバムを聴き込めばまた覚えるし、そうなると三十過ぎたおじさんの僕ももっと面白くなるのかな。










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The Weeknd「Starboy」
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ネット世界から突如として出現したR&B界の異端児、The Weekndの通算三作目となる『Starboy』を御紹介。もはや現代R&Bを代表するSSWとも言えるThe Weeknd、14年『Kiss Land』傑作と名高い15年『Beauty Behind The Madness』と、その勢いは全く止まることを知りません。彼はその特異なヴォーカル&楽曲で世界を席巻し、客演依頼も後を絶ちませんね。音楽だけでなく女性関係も順調で、あの美人モデルのBella Haditと浮名を流したかと思えば、次はあのSelena Gomezとのロマンス勃発なんですから、なかなかの伊達男のようです(驚)。そんなThe Weekndが一部からはダサいと好評(?)だったドレッドヘアをばっさりカットし、新たな境地を魅せたのが本作『Starboy』。David Bowieの「Starman」をモチーフしているそうで、本作はDavid Bowieの影響を滲ませているのだとか。あとThe WeekndはあのPrinceとも一緒にレコーディングする予定があったとか話しているようで、実現しなかったけれどそれもなんだか聴きたかった。ちなみに本作のアートワークを手掛けたのはNabil Elderkin、要注目です。
という訳でボリュームたっぷりな内容について書きますと・・・・・・まずはあのDuft Punkを客演に迎えた表題曲「Starboy」で幕開け、制作はDaft Punk(Add制作にDoc McKinney、Cirkut、The Weeknd)で冷ややかにして滑らかなメタリックチューンがまるで宇宙を駆ける宇宙船のようで、浮遊感のあるThe Weekndの銀色なヴォーカルもミステリアスでクール。Ben BillionsにDoc McKinney、The Weekndが共同制作した「Party Monster」はキューブチックな光がゴロゴロと転がるように鳴る電子音が不可思議で、そんな光を透けさせて薄く閃きそよぐThe Weekndのヴォーカルもナイス。一聴すると単純にダンスチューンで華やかに感じるも、あちこちに危険な音色が潜み爆発し、ヒリヒリさが絶えず鼓膜を脅迫する「False Alarm」はDoc McKinney TheとThe Weeknd(Add制作にCirkutとMano)が制作を担当し、The Weekndの狂気に満ちたヴォーカルが膿んで破裂するのが鋭利(まるでひしゃげた様なヴォーカルエフェクトも効果的)。「Reminder」はDoc McKinneyにMano、Cirkutが共同制作をしたサイケメロウで、静かに星が瞬くようにチラチラとシンセとビートが囁くのがひっそりと美味。あのMax MartinとThe Weekndが制作を担当した「Rockin'」は小気味良いダンスチューンで、真夜中に光る携帯電話の画面みたいな、そんなセクシーで情緒のある光が疾走するトラックに、夜風みたいにスマートにしなやかにヴォーカルを躍らせるThe Weekndと共に舞い上がるのみ。Doc McKinney、The Weeknd、Cirkutが共同制作した「Secrets」もやはり銀河の上を滑降するようなギャラクシーなアッパーで明度抜群、The Weekndのサワークリームのように甘酸っぱい歌声も乗っかり心地良い。Benny BlancoにCashmere Cat、The WeekndにJake OneにSwishと名だたるメンバーが制作に名を連ねた「True Colors」は、ピアノ鍵盤の音色が遠く聴こえる波の音で、夏の夜の海に花火が散ってゆくような、あの光に似たThe Weekndの切なく甘いヴォーカルが鼓膜を焦らすのがなんとも美しい(溜息)。Doc McKinneyになんとLabrinthが共同制作した「Stargirl Interlude」ではLana Del Reyが客演参加、もうこれはLana Del Reyの錆びた三日月のような尖って切っ先の光るヴォーカルを堪能するばかり。「Sidewalks」ではあのKendrick Lamarが客演参加、Doc McKinneyとBobby RapsにAli Shaheed Muhammad(!)が制作に加わることで、焙煎された香ばしくもほろ苦いトラックが仕上がり、熱で輪郭を歪める様なThe Weekndの蜃気楼ヴォーカルと、Kendrick Lamarの的確でスキルフルなラップが秘孔を突くのもグッド。Doc McKinneyにCirkut、そしてMetro Boomin(!)にBen Billions、The Weekndが共同制作(ソングライトでFutureが参加し、少し声も足している)した「Six Feet Under」は、Metro BoominとFuture組の味気が強い、微睡みと毒を調合したようなパルファムミッドでじわじわと蔓延します。Max MartinとAli Payamiが共同制作した「Love To Lay」は、Max Martin関与らしい直線的な光線が交錯する閃光ポップで、そこにカラーセロハンのようなThe Weekndのヴォーカルが貼られ艶やかな色彩を溢れさせる好曲。続く「A Lonely Night」もMax MartinとAli Payamiが共同制作のレトロディスコな一曲で、この辺りはThe WeekndのMJフォロワーぶりが窺えます。熱が急激に冷やされ夜更けへと色が滲み暗くなってゆくような「Attention」は、Benny BlancoとCashmere Cat、Frank Dukes、The Weekndが共同制作。Doc McKinneyとCirkutが共同制作した「Ordinary Life」は従来型のThe Weekndに近く、夜の闇が寂しさも愛も切なさも熱も奪って膨れては萎んでゆくような暗澹メロウ。DiploにBen BillionsにThe WeekndにCirkutが共同制作した「Nothing Without You」はDiplo色強め、光を練って捏ねて造ったようなトラック&ヴォーカルがなんとも妖しくも綺麗。飲み込まれそうな暗闇を斬っ裂く無数の光のような、The Weekndのヴォーカルが眩く美しい「All I Know」は、Ben BillionsとCashmere CatとThe Weekndが共同制作しており、暗闇を轟々と燃やし尽くす強烈な青や赤の混じった光と熱を放出するFutureのラップがこれまた見事で幻想的で麗しい(溜息)。Doc McKinneyとCirkutとThe Weekndが共同制作(Add制作にCashmere CatとPrince 85)の「Die For You」は、ホーンを鳴らしつつどことなくRogerを華奢にしたような煌めきサウンドが壮麗なミッドで甘く優美。最後を飾るは、もはやThe Weekndのお家芸ともなりそうなMichael Jackson再生術で仕上げた「I Feel It Coming」。制作と客演には再びDuft Punkが関与して清涼で凛々しい電子音を紡ぎ、その電子蚕糸の上を軽やかにThe Weekndのサワークリーム風のヴォーカルが優しくステップする一曲。

もともとThe Weekndが持っていたあの暗さ、暗澹、これにぼんやりとぼんやりとした光を混ぜてほんのりと明度を増した本作。The Weekndのヴォーカルは真夜中に妖しく光るネオンサインのような、良い意味で少しいやらしい闇を演出しているんだけれど、本作はそんな夜空を超えて宇宙近くまでサウンドを上昇させています。とはいえ、僕はそこまでThe Weekndのヴォーカルが好きという訳ではないので、皆様ほどには手放し賞賛してはいないのが本音(愚)。でも完璧にこれまでのThe Weekndの世界観とは一線を画しているのは、そんな僕でも分かるので凄いと思います。









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Joe「#Mynameisjoethomas」
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90年代R&Bを語る上で欠かせない大人気シンガー、Joeの通算十二作目となる『#Mynameisjoethomas』を御紹介。Joeも本当に息が長くてずっと人気があるシンガーで、特にここ日本での愛され方もずば抜けているR&Bシンガーという印象があるのは僕だけでしょうか。いつでもすっきり清い正統派なR&Bを存分に楽しませてくれるJoeですので、メジャーからだろうがインディ(本作も自身のレーベル“Plaid Takeover”からリリース)からだろうが、いつだって高水準なアルバムを届けてくれています。そんなJoeの本作タイトルは、Joe最大のヒットアルバム(300万枚セールス記録だからその筈?)『My Name Is Joe』とも繋がっていて、Joe的には続編的な一枚なのでしょうか(疑問)。
という訳でみんなが大好きな本作の感想を惜しげもなく・・・・・・前作でもほぼほぼ全曲を制作していたDerek "DOA" Allen、そしてDamo FarmerとGerald Isaacで組んだ三人の制作チーム、DGD Efectでの制作がほぼほぼとなっているのでその曲群から。オープニングを飾る「Lean Into It」からもうJoeのあの甘ったるくも凛としたヴォーカルが炸裂、真夜中のベッドルームで揺れるキャンドルの灯みたく、チロチロと熱を舐めるようなJoeの繊細なファルセットがエロくも紳士。どこか部族的なネイティブなビートが乱舞する「Don't Look Me Out」は、その骨太にも思えるビートと原生的なメロディと裏腹に、Joeの滑らか清涼なペパーミントのようなヴォーカルが颯爽と吹き抜けるのが気持ち良い。まるで頬を涙が伝うように細く濡れて響くピアノ戦慄に胸が震える「So I Can Have You Back」では、Joeの哀願するようなヴォーカルが熱を放出し、反して微弱いメロディの冷たさに触れて結露するような悲哀バラード。外は雨が吹き荒れて窓を叩いて、それを部屋から眺めているような、くっきりとうるささと静けさが分かれたミステリアスさを感じる「Hurricane」、悲しくひび割れるメロディにJoeの優しいヴォーカルがシンクロするから起こる錯覚かな。「Can't Run From Love」は清らかに澄んだ雫が静かな水面に波紋を広げるようなミッドで、Joeのミントグリーンな清冽ヴォーカルとの相性が抜群。「Tough Guy」はストリングスとピアノ鍵盤の音色が寂しく木枯らしのように吹き抜ける、切ないスロウで泣けてくる。Joeの甘美でスッキリ微炭酸なヴォーカルが心地よい刺激をくれる「Lay You Down」も、王道のR&Bスロウジャムといった具合で聴いていて心底ホッとします(馴染)。Michael Jackson『Off The Wall』期を彷彿とさせるディスコブギーなダンス曲「Ceelebrate You」は、それこそJoeもMJばりにエッヂーなファルセットを翻しながら華麗に駆け抜けるのが爽快。とここまでがDGD Efectチームでの制作曲たち。砂塵混じりに吹く乾いた風のようなアコースティックギターの音色と、エキゾチックなパーカッションがどこか幻想的な「Wear The Night」はDerek "DOA" AllenとGerald Isaacの共同制作で、Joeのシルキーなヴォーカルが滑らかにはらりと脱ぎ去るドレスのように悩ましい。ゆるゆると時計の針をしなやかな指先で巻き戻すような、そんな儚さと胸の痛みがこみ上げる悲哀バラード「No Chance」はDerek "DOA" AllenとGerald Isaacの共同制作。ヒンヤリと氷結アイシーなシンセが結晶化しながらトラックを造形する「Happy Hour」はDamo FosterとGerald Isaacが共同制作、客演には復活したGucci Maneが参加。こういうアイシーなトラックには淡く透けてまるで結晶みたいなJoeのヴォーカルは当然映えるのだけど、ここにGucci Mane起用というのは僕にとって意外、だけどもこの氷結サウンドにGucci Maneのボムボムと跳ねる弾力ラップがバッチリ似合うのも意外(だけどGucciは思えば、頬にアイスクリームのタトゥーがあるから彼もアイシーか)。僕的に好みだったのがZach Crowellが制作の「Hollow」で、眩い蒼色が悠々と移ろうような壮大なカントリーロックテイストの空色ミッドで、風に乗ってどこまでも自由に羽ばたくようなJoeのヴォーカルがただただ胸を透くんです。ゼラチン質な電子音がボムンブムンと瞬く「I Swear」はDamo FarmerとGerald Isaacが共同制作、クールでグッド。Derek "DOA" AllenとGerald Isaacの共同制作の「Love Centric」は、王道まっすぐなレトロソウル曲でほっこりすること確実。朝露に濡れた花園のように、しっとりと湿やかに輝く香りを漂わせるレトロソウルな「Our Anthem」はDerek "DOA" AllenとGerald Isaacが共同制作で、途中ではOtis Redding「Try a Little Tenderness」の一節も飛び出します。最後を飾る「Hello」はAdeleの絶品カバー、Adeleとはまた一味違ったひりひりと悴むような切なさがこみ上げるナイスカバーに仕上がっています。

さすがはJoe、全16曲というボリュームながら全くダレることなく聴かせてくれます。16曲も入っているので全方位型のアルバムになっていて、R&Bからレトロソウル、ポップっぽい曲やカントリー風味までなんでもござれ。Joeのヴォーカルは良い意味で癖がないので、どの楽曲でもすんなりフィットしているのが素晴らしい。しかしJoeはやはりバラディアーの印象が強いので、レトロソウルの曲はなくてバラード増やしてもらったら嬉しかったかも。とにかく抜群の安定感、シンプルに良い、その一言。








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Charlie Wilson「In It To Win It」
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還暦を超えた今もなおR&Bの最前線に陣取る叔父貴、Charlie Wilsonの通算八作目となる『In It To Win It』を御紹介。この歳で(1953年生まれ)これだけバリバリに歌声衰えずに歌えて、しかもきっちりと需要があるというのがただただ凄い。2000年の『Bridging The Gap』から始まり、05年の『Charlie, Last Name Wilson』09年の『Uncle Charlie』10年の『Just Charlie』13年の『Love Charlie』15年の『Forever Charlie』と、本当にノンストップで立て続け。R&Bシンガーは数多くいれど、これほど頻繁に出せているシンガーは2000〜2010年代で他にそういないのでは。という訳で前作からでもおよそ二年ぶりとなる本作、最近ではBruno Mursの特大ヒット曲「Uptown Funk」がCharlie Wilsonの所属したThe Gap Bandの「Oops Up Side Your Head」を引用しているとして、結果Charlie Wilsonが「Uptown Funk」の作者にクレジットされるなんてこともありましたっけ。
それでは関係のない話はもうよして感想を書き書き・・・・・・まずはEmile GhantousとKeith Hetrick、Steve Dalyが共同制作した「I'm Blessed」で幕開け、しとやかな音色がまるで気泡のようにシュワシュワと消えるシャンパンゴールドなメロウで御洒落、Charlie Wilsonの芳醇なヴォーカルもやはり健在で濃厚スウィートですし、客演のT.I.はこういうドレッシーな曲にはバッチリな男前でシルクのように滑らかラップ。鍵盤音とストリングス、指スナップに電子音がキラキラとラインストーンのように小粒に輝く「Chills」は、Gregg PaganiとCharlie Wilsonの共同制作。キラキラに眩いスワロフスキートラックもナイスですがこの曲はフックが周到で、多重に録音したハーモニーと山なりにグラインドするメロディがなんとも癖になります。Emile GhantousとKeith Hetrick、Steve Dalyが共同制作の「Good Time」では、なんとあのPitbullが客演参加。バリバリと弾けるように鳴るホーンやビートが爽快なディスコファンクなアッパーで、やっぱりCharlie Wilsonの金管楽器のような咆哮ヴォーカルが鮮烈で美しいし、途中で参入するPitbullの熱いラップも曲をこんがりと焦がしてくれて甘さを際立たせます(高揚)。「Us Trust」はRob KnoxとEric Hudsonが共同制作しており、客演にはWiz Khalifaが参加。ピアノ鍵盤がふわふわと花弁を散らすように鳴るフローラルなミッドで、Charlie Wilsonのビターだからこそ甘み引き立つアダルトなヴォーカルが魅力的。そしてこれまたWiz Khalifaの細身でしなやかなラップもこういう御洒落なトラックにうってつけで、相変わらずなゆるく煙いラップで艶っぽく華を添えます。Emile GhantousとKeith Hetrick、Charlie Wilsonが共同制作した「Precious Love」も、絹糸のように繊細な瞬きを結んで飾ったような星座メロウで、Charlie Wilsonのホットチョコのようなヴォーカルがとろけるのが心地良いビタースウィートな一曲。Gregg PaganiとCharlie Wilsonが共同制作のオールディーズなサザンソウル風の「Smile」では、こういう古めかしいスタイルを得意とする客演のRobin Thickeと共に、コーヒーとミルクを混ぜるようにほろ苦で甘いカフェオレ風味になっていてとにかく美味。表題曲となる「In It To Win It」はGregg PaganiとCharlie Wilsonが共同制作、黄金色に輝くメロディに放射線状に広がる光芒のようなCharlie Wilsonのヴォーカルも煌びやかなシャイニーミッド。Rob KnoxとEric Hudsonが再び共同制作した「Dance Tonight」は、最近ではJustin Timberlakeなんかがやりそうなレトロなダンスチューンで、生バンドが演奏するような息吹がレッドカーペットの上を滑るような優雅なトラックに、ゾクゾクとさせられる大人アッパーな一曲で好き(体動)。本作で最も重要だといえるのがWirlie MorrisとCharlie Wilsonが共同制作した純朴バラード「Made For Love」で、Lalah Hathawayが客演で参加しているのです。恋人同士の指先がそっと触れるか触れないかの距離感で揺れるような、そんな絶妙な温もりをシンクロさせる二人のビターな掛け合いが素晴らしく、繊細で柔らかでもうたまりません(溜息)。アコースティックギターの弦音が優しく溢れる「Better」はRob KnoxとEric Hudsonが共同制作で、ギター弦の音がナチュラルでまるで森の雫のようにポロポロと潤いを含み、Charlie Wilsonの渋く深いヴォーカルでマイナスイオンが放出されるスロウジャム。盟友というより甥であるSnoop Doggが客演参加した「Gold Rush」はまたまたRob KnoxとEric Hudsonが共同制作、ランバダ風味なトラックに陽射しみたく鋭く眩いCharlie Wilsonの歌声と、砂漠の中の木陰かオアシスのように冷涼なSnoop Doggのゆるゆるラップのコントラストが絶妙な一曲。踊り勇むような鍵盤音とクラップに鼓舞される晴れやかなゴスペル風味の「New Addiction」はなんとJ.R. Rotemが制作を担当、こういう曲でのギラギラ燦々と輝く太陽のようなヴォーカルも素敵。最後はWirlie Morrisが制作した「Amazing Good」で、全てを洗い流す聖水のようなメロディがとにかく神々しい透明感溢れるバラードで、ただただうっとりとして天に召されるばかりです(昇天)。

最初聴いた時はなぜか一曲一曲が散らばっている印象だったのですが、何度か聴いたらそんなことなかった(笑)。制作陣においても前作とほぼほぼ同じメンバーが起用され、歌とトラックともに安定した仕上がりとなっております。やっぱり秀逸だなと思ったのは、Lalah Hathawayとビターな歌声を溶け合わす「Made For Love」で、この一曲のためにこのアルバムを聴くでも十分と思えるぐらい。




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The Lox「Filthy America…It's Beautiful」
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あのThe Notorious B.I.G.との現役共演の経験もあるベテラン衆、The Loxの通算三作目となる『Filthy America…It's Beautiful』を御紹介。The LoxはNew YorkはYonkersで結成され、言わずと知れたJadakiss、Styles P、Sheek Louchの3人で構成される実力者トリオ。デビュー当時はBad Boy Records、次にRuff Rydersと人気レーベルを牽引しました。その後はそれぞれがソロ作を発表し人気を獲得、特にJadakissとStyles Pは揃って外部客演することも多く、存在感も抜群です。そんな個々に人気のある彼らがおよそ16年ぶりとなる新作をドロップ、しかもあのJay Z率いるRoc Nationとパートナー契約を結んでです。もともとはJadakissとJay Zの間にビーフがあったと思うんですが(結局は側近のBeanie Sigelとのビーフにすり替わったような)、その後のJay Z「Roc Boys (And The Winner Is...)」にもカメオ出演していて、Roc-A-Fella(Roc Nationの前身)とも契約し傑作『The Last Kiss』もリリースしていましたっけ。その流れでか、The LoxのグループでRoc Nationと契約し新作まで発表したのは嬉しい限り。The Loxではなかったけれど、それを包括したより大所帯のD-Blockでは、あのWu-Tang Clanと合体したWu Block『Wu Block』なんてのもリリースしましたね。
という訳でお得意のザックリ感想をここで披露・・・・・・まずはBuda And Grandzが制作したオカルトホラーな「Omen」でスタート、ヒューヒューと隙間風のようにこだまする霊的な声ループが恐ろしく、冷酷で青白く光るThe Loxのラップと見事にマッチング。Daysel The Machineが制作した「What Else You Need To Know」はカリカリと氷を砕くように弾け鳴る鍵盤音がシリアスさを増幅させる一曲で、やはり氷点下なほどに冷たく悴むマイクリレー(Sheek Louchだけは熱っぽいが)がThe Loxらしい斬れ味。V Don制作の「The Family」ではSummer Witch Music「Ambient Dreams」をサンプリング、鉱石のような角張ったプリズム模様のシンセがふわふわと瞬くミッドトラックに、それを美しくカットするように綺麗に研磨されたThe Loxのラップがザクザクと突き出るのがなんともクール。Jimmy DukesとSmiley's Peopleが共同制作した「The Agreement」では、Fetty WapとDyce Payneが客演で参加。モヤモヤと薄明かりを溶かす朝靄のような電子音の揺らめきがなんとも美しく、これはフックに白い吐息のように靄のかかったFetty Wapの歌声を起用したのが巧く、その中でThe Loxもゆっくりジワジワと霜が降りるようにラップを垂れるのがグッド。「Move Forward」はあのDJ Premierが制作を担当しており、ピアノ鍵盤のループにビートとスクラッチをゴツゴツにドッキングさせたPrimo節な硬い一曲で、こういう白黒のシンプルな曲がThe Loxの燻し銀で研ぎ澄まされた熟練三羽烏のマイクリレーにばっちりハマります。Isaac Hayes「Hyperbolicsyllabicsquedalymistic」を大胆ネタ使いした「Savior」はDaysel The Machineが制作、これはもう下敷きのネタがナイスで鍵盤音からベースからドス黒いファンクが破裂していて、こういうビートビートしたトタン造りなトラックの方が、The Loxの硬質でエッヂーなラップを堪能できます。「Don't You Cry」はPav Bundyが制作を担当、90年代の東海岸を彷彿とさせるチクチクと棘の立った殺伐としたドラムスコーティングのアッパーで、冷気をも纏い殺気立ったThe Loxのマイクリレーに思わず凍り付いてしまうシリアスチューン。あのDame Greaseが制作した「Hard Life」では、同じくN.Y.出身の盟友Mobb Deepが客演参加。夜の霧を散らす月光のような瞬きが美しいトラックの中で、The LoxとMobb Deepというシリアスで鋭利なマイクリレーが飛び交うのが恐ろしくも綺麗。表題曲となる「Filthy America」はなんとPete Rockが制作を担当、Pete Rockらしい繻子のように滑らかで緻密な音色を編んだソウルフルなメロウで、The Loxの三者三様のラップがそこに艶やかな彩りを加えるのもナイス。最後はなんとGucci ManeとInfaRedを客演に招いた「Secure The Bag」で、Itrez Beatzが制作を担当したビコボコとチープな電子音をベタンベタンとスタンプしたトラックに、いかにもGucci Maneなラップで乗っかるThe Loxに少し違和感を覚えるラスト。でもとにかく全曲において、“ぶん殴る”ラップのSheek Louch、“突き刺す”ラップのStyles P、“切り裂く”ラップのJadakissの華麗なマイクリレーで聞き手を魅了するのは昔ながらの高度な芸当で素晴らしいです(拍手)。

本当になんの捻りもないトラックとラップで(褒言葉)、驚くほどに純正のRapアルバムといったところ。せっかくのRoc Nation配給なので、Jay Zやらその周辺が参加して欲しかったけれど叶わずなのは残念だったかな。確かに玄人受けするようなサウンドなんだろうけれど、それでもThe Loxの作品の中では最も地味な一枚になってしまっているのが残念な印象。やはりBad BoyやRuff Rydersの面々にも参加して欲しかった、つまりは久々の復帰作だからもっとド派手でも良かったかなと思います(我儘)。と言いつつもThe Loxは好きなMCの塊なので、またこうして集結してもらいたいです。








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Smoke DZA & Pete Rock「Don't Smoke Rock」
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誰もが平伏す大御所ProducerのPete Rockと、Smoke DZAがガッチリとタッグを組んだ話題作『Don't Smoke Rock』を御紹介。もはや説明不要のPete Rockですが、N.Y.を代表する伝説のデュオ、Pete Rock & CL Smoothの片割れにして頭脳。全曲の制作を手掛けており、そのトラック創作手腕から他のアーティストへも素晴らしい楽曲やRemixを提供している神様。最近でもJay ZとKanye Westがタッグを組んだ『Watch The Throne』にて、燻し銀過ぎる「The Joy」を提供していましたっけ。対するSmoke DZAに関してはN.Y.はHarlemの出身で、Ski Beatz『24 Hour Karate School』にもCurren$yなどと一緒にfeat.されていた、知る人ぞ知るといった実力者。共にNew York出身の新旧の猛者がガッチリとタッグ、これは興奮せずにいられません(鳥肌)。
それでは質素な文筆ではありますが感想を書きたいと思っています・・・・・・当然ながら全曲の制作は神様ことPete Rockが担当、この看板があるだけで三十路以上は絶対に聴くと思います(単純)。まずはDave Eastを客演に招いた「Limitless」はTrio Mocoto「Nao Adianta」をネタ使い、やはりPete Rockらしい埃っぽく砂塵を巻くようなザラザラした感触のトラックが吹き荒ぶ中、Smoke DZAの曇天に似たモクモクとしたラップと、Dave Eastの利き手を弾く様な強烈なラップが交錯する渋過ぎる一曲。Willie Hutch「Out There」を飴コーティングでねっとりとサンプリングしたスウィートな「Black Superhero Car」では、こういう漆黒ソウルフルなトラックに相性抜群のRick Rossが客演参加。Pete Rockが巧くツヤ出ししたトラックはクラシカルで品が良く、まるで黒塗りの高級車がゆっくりと通りを走るようなドリーミーさを演出。そんな高級感あるトラックにSmoke DZAの空気より軽いラップとRick Rossの空気より思いラップが混ざり、完全に分裂して魅せるコントラストが抜群。「Hold The Drums」ではこれまた鉄人のRoyce Da 5'9"が客演参加、Joell Ortiz「Latino」をサンプリングしたトラックはそぼ降る雨のような冷たい鍵盤音のループが印象的で、雨が煙るようにしっとりと響くSmoke DZAも、野太くタフながら優美なRoyce Da 5'9"のラップもナイス。「Moving Weight Pt. 1」ではCam'ronとNymloが客演参加、黒煙が立ち昇りじわじわと充満するようなダークなトラック上では、Smoke DZAもNymloもカッコイイけれど、やはりCam'ronのひりひりとするような静かなる殺気立つラップが異様に際立って超絶にクール(痺)。嵐に荒ぶる大波の海上を思わせるストリングスの、バミューダ海域ならぬバミューダストリングスを舵切る「Wilds 100」はPete Rockが操る弦の黒魔術。これほど重厚で壮大なトラックにも引けを取らない、Smoke DZAの黒い霧のように不穏なラップもとても素晴らしい(感嘆)。「Last Name」は繻子織りのように滑らかで光沢のある質感の弦繰るトラックが気品あってやはり素敵で、Smoke DZAのモクモクと煙るラップがトラックを美しく歪ませ曇らせるのも乙です。まるで気泡のようなきめ細かなシンセがプクプクと浮かんでは消える「1 Of 1」、Rete Rockならではな良い意味で質素なトラックメイク。「Milestone」ではJadakissにStyles P、そしてBJ The Chicago Kidが客演参加したとても豪華な一曲。New Yorkの街角を思わせる様な哀愁のあるメロディは、Smoke DZAにStyles P、Jadakissのスモーキーなラップが重なることで、まるで雑踏のノイズのような自然に馴染む空気感、そして雨上がりのアスファルトの匂いのように漂うBJ The Chicago Kidのヴォーカルが特に本当に見事なんです(溜息)。「Show Off」ではThe Free Design「I'm A Yogi」をサンプリング、客演のWaleは本当に幅広いトラックに適応できる全方位型のMCで、Pete Rock手製の質実剛健な黒塗りのトラックでも渋く映える。「Dusk 2 Dusk」ではBig K.R.I.T.にDom Kennedy、THEMindと通好みしそうな面々でマイクをリレー。Cloud One「Dust to Dust」を下敷きにした柔らかななメルティスウィートなトラックが華やかで、リラックスした全員の芳しいラップもなかなかフローラルでグッド。J.J. Band「Love In Them There Hills」をサンプリングした硬く尖った喧騒ホーンを背景に、Nas「No Idea's Original」のフレーズを散りばめより硬度を高めた一曲で、Smoke DZAの甲高い白煙のようなラップが似合う。最後はMac Millerを客演に迎えた「Until Then」は、The Stylistics「Stop, Look, Listen (To Your Heart)」を乾かし軋ませたようなメロディと、中から膨れて弾けるような、内包した温度を鼓膜で感じる地下熱トラックで、Mac Millerの内省的でそっと呟くような狂気ラップもイイ。

いやーーーー最高、Smoke DZAとPete Rockの相性も抜群ですし、やはりJay-ZとNasの頂上決戦を見守っていた僕としては、New Yorkの王権復古となるこの企画は最高の一言。やっぱり僕は神様級のProducerと問われると、安直にDJ
PremierとPete Rockと答えてしまう素人なんです。なのでこの二人を対で考えてしまうんですが(二人がDJで対峙したこの企画も手伝っているか)、なんというかDJ Premierのトラックはとても物質的で硬く、聴いてると鼓膜が摩擦を感じる(Primo独特の神業スクラッチも関係はしているだろうけど)のですが、Pete Rockは音自体は漆黒なんだけれどとてもツヤツヤと滑らかで、黒檀のような感触にして摩擦係数はかなり小さめなんです。兎にも角にも、Pete RockとSmoke DZAの相性が抜群ですごくカッチョイイの一言に尽きます。




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Bell Biv Devoe「Three Stripes」
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90年代に活躍した人気ボーカルグループのひとつ、Bell Biv Devoeの通算四作目となる『Three Stripes』を御紹介。言わずと知れたRicky Bell、Michael Bivins、Ronnie DeVoeの三人グループで、グループ名は分かりやすく三人の名前から来ています。この三人はそれぞれあのNew Editionのメンバーでもありますね、他のメンバーがソロで活躍していたので彼らはグループを結成したんでしょうか。Bell Biv Devoeといえばやはり特大ヒット曲の「Poison」、この曲はもうNew Jack Swing楽曲の中でも一、二を争う名曲なのではないでしょうか。Bell Biv Devoeのアルバムは全て所持しているんですが、NJS全開な1st、その反動かららミッドとスロウを中心に聴かせる2nd、エッヂーなサウンドで若手を圧倒した3rdと、どれも違った趣向でなかなか面白いグループであります。そんなベテランのBell Biv Devoeの本作は、前作からおよそ16年ぶりとなりまして、ベテランのこういう頑張りは嬉しい限りです(感涙)。
という訳でかなり肩入れしてしまいそうですが感想を・・・・・・まずはDoug E Fresh御大の年季の入った、泣く子も黙るヒューマンビートボックスが炸裂しスタートを切る「Ready」からもうアゲアゲ(死語)。やっぱりDoug E Freshのビートボックスは骨太シンプルで分かりやすいし、骨董品であり芸術品で御座います(伝家宝刀)。G1が制作を担当した「Find A Way」なんかはNew Jack SwingをよりR&Bライクに溶かした感じで、Bell Biv Devoe(以降はBBDと表記)の軽妙なノリでバチバチに跳ね回すのがもう痛快。完璧にNJS味を伝承した「I'm Betta」はなんとあのKayGeeが制作を担当しており、オールドスクールを熟知するKayGeeの裏で翻る弦音と発破ビートがナイスだし、BBDのクールミントなハーモニー&ラップが颯爽と駆け抜けるのもたまらなくカッコイイ(痙攣)。昔のTimbalandが好みそうな汗ばむような熱帯雨林アッパー「Hot Damn」はNova & Oceanが制作を担当、部族が踊り狂うように四方八方で騒がしく跳ねる土臭いビートに、BBDの切れ味抜群なシャープなハーモニーがサクサクと飛び交うのも面白い。The Notorios B.I.G.「Hypnotize」をネタ使いした「Run」、素材を活かす抜群の調理方法だなと思ったら制作はEric Sermonなんだから納得(笑)。Biggieが醸し出していたスリリングでヒリヒリとした空気を纏いつつ、ストリート感溢れる荒涼としたトラックは鉄板で、重厚さと渋みのあるBBDのどっしりしたハーモニーが鞣したレザーのような感触でグッド。現行のトラップとアンビエントを調合したような芳しい濃密パルファムミッド「All Dat There」はZachary Darnell Brunson(Co制作に Cyrus DeShield)が制作を担当で、それこそBBDの三者三様の香味エッセンスを凝縮し抜群に効かせた、気品溢れる香水のようなハーモニーで色っぽいのです(媚薬)。爪弾くギターがちょっぴりスパイシーな「Don't Go」は、これまた大御所のDJ BattleCatが制作を担当(鳥肌)。オリエンタルなメロディに乗せてBBDのヴォーカルがまるで、ひらひらと舞い踊るドレスのようにエレガントに揺らめくのもセクシー。Jermaine Dupro周辺で活躍したJames E Phillips "LRoc" Basajambaが制作を担当した「Finally」では、なんとSWVが客演参加という垂涎の共演が実現。キラキラと降り注ぐ音色がまるで春の陽光のように眩くも温かく、そこにBBDとSWVの春風のように柔らかなヴォーカルがふんわりとフローラルに香るのがたまらなくグッド。「One More」はこれまた往年の鉄人Calvin HagginsとIvan Barias、そしてRico AndersonとMichael Bivinsが共同制作。ここではなんとBoyz II Menを客演に招いて、ラグジュアリーなホーンが開花するように鳴るトラックに、上質シルキーな滑らかタッチな両者のヴォーカルがふわふわと花吹雪のように舞い上がる絢爛なアップ。最後を締め括るMarvin GayeかCurtis Mayfield調なソウルミッド「Incredible」、制作はこれまた良曲の名手であるLil Ronnieが制作を担当。十分に熟成されたBBDの芳醇なハーモニーでゆるやかに酔いが鼓膜中に回る、古き良きを体現したアンティークソウルチューンでとにかくお洒落。

Bell Biv Devoeが久しぶりに帰還しただけでも狂喜なのに、制作陣も90年代を彩った名Producer達が名を連ねていてビックリ。Bell Biv Devoeの面々のヴォーカルも全く衰えていなくて、寸分の狂いもなく重ねられ並走するハーモニーは長年の賜物。アルバムタイトル『Three Stripes』に掛けてか、三人構成のSWVとBoyz II Men(本来は4人だけど)が客演しているのも洒落ていて高得点。本作はBillboard R&B/Hip Hopチャートでも堂々の第二位を獲得したみたいです、三十路の僕は次回作にも期待しております。






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PARTYNEXTDOOR「PX3」
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Drake率いるOVO Sounds所属のSSW、PARTYNEXTDOORの通算二作目となる『PX3』を御紹介。現代において最強のラッパーといったら多分、Kendrick LamarかDrakeの二択になるんではないでしょうか。そのDrakeが認め自身のアルバムでも要所要所で起用するのが、このPARTYNEXTDOORで御座います。このPARTYNEXTDOORはそんなDrake作品だけではなく、Rihanna「Work」や「Sex With Me」Usher「Let Me」などのソングライトにも名を連ねるなどソングライターとしても優れた才能の持ち主なのです。そういう優れた裏方作業もしながら自身の二作目もきちんとドロップしてくれました、これは嬉しい限りです。
という訳で簡単にではあるけれど感想をぜひ書きたい・・・・・・まずは、じっとりと鼓膜から肺まで濡れて息苦しくなりそうな、濃霧のようなサウンドが蠢く止まるを繰り返す「High Hopes」はPARTYNEXTDOOR(以降はPNDと表記)が制作。停滞してどんどんとサウンドをドロドロの塊にしつつ、その泥濘んだトラックにPNDのネットリしたヴォーカルが塗れて鼓膜にへばり付くダークチューン。スローモーションで動くダークでノイジーな映像を見つめるような錯覚に陥る「Don't Run」、制作はSevn Thomasが担当(Co制作にLarry Sanders)。一点の黒いシミがジワジワと真白を侵食するようなトラックとヴォーカルが幻想的で、PNDのヴォーカルも幻影たっぷりに深淵で濃厚ビター、そんな芳醇なヴォーカルと共にゆっくりと深みにはまってゆくのが乙。PND制作の「Nobody」はリズムビートの鳴り方はどこかトロピカルっぽくもあり、だけど色味は少なくどことなく重たいのにも関わらず、なんだかウォータリーで瑞々しくもあるPNDのヴォーカルにここは浸るのみ(遊泳)。Drakeにも多用させてヒットさせた(Drakeのダンスホール寄りはRihanna発信かPARTYNEXTDOOR発信のきっとどちらかだと思う)リディム使いながらも、その風味は陽が落ちて夕闇に染まり、次第に熱が冷めてゆき肌寒くさえ感じるような情緒に似ている。そんなサンセットみたいなトラックの中で、焙煎されて香ばしいヴォーカルを疾走させるPNDが胸を清冽に透いてしまう「Not Nice」は、Nineteen85が制作(Co制作にDwayne "Supa Dups" Chin-Quee)。これまたトロピカルなサウンドを焦がすようにして鳴らす「Only You」は、Drakeみたいにべったり甘くなく濃厚ビターで香ばしいPNDのヴォーカルがほどよい微熱混じりなのがとても心地良く、まるで砂を踏んで歩くような柔らかくサラサラとした感触で素晴らしい(恍惚)。まるで流氷がじわりじわり流れるような青白く冷たい電子音が滑らかで幻想的なスロウ「Don't Know How」、制作はBizness Boiなる人物が担当。ここで聴かせるPNDの時折ひらりと翻るファルセットのヴォーカルは素晴らしく、冷たい水の中を泳ぎ光をキラキラと鱗で反射させる銀色の魚のよう(流麗)。G Ryが制作を担当した「Problems & Selfless」もやはりモヤモヤとし充満するトラックが印象的で、じれったくなるような熱に上気して、スチーム状のサウンドとPNDの敗退的で甘美なヴォーカルが蒸せるスロウ。ザワザワと波打ちながら彼方へと消えゆく夜の海のような黒に溶けゆく「Temptations」はPNDが制作、鈍痛のようにじわじわと重たいトラックの中で、PNDのビターなカフェインヴォーカルがゆっくりと意識をクリアにしてゆくような、鈍色と精彩のマーブル模様がなんとも歪で美しい(溜息)。キリキリと鳴って鼓膜を絡め取るギター弦の音がスパイシーなフォーキーな「Spiteful」はPND制作、PNDの直線的に広がるヴォーカルが壮麗でやはりなかなかの美味。これまでの暗澹としたシンセトラックとは全く違う、PNDとNoah "40" Shebibが共同制作の爪弾くギターで聴かせる「Joy」は間違いなく本作のハイライト。夕間暮れの海辺で風を聴きながら微睡むような、淡く涼しいメロウチューンにPNDのほろ苦いカフェインのようなヴォーカルがきりりと神経を柔らかに刺激するのが最高に気持ち良く、良い意味でのピンボケ感がポートレイトのような趣(溺愛)。Sean "Neenyo" SeatonとAdeyinka "FWDSLXSH" Bankole-Ojoが共同制作の「You've Been Missed」も、繰り返すけれどやはり朦朧にも似た深淵メロウ。絶え間なく揺れる青黒い闇で塗り潰す夜の海のようトラックの中で、やはりPNDの鎮痛剤ヴォーカルがシャープ。PNDのヴォーカルに反応してユラユラと光の波を漂わす夜光虫のようなシンセサウンドも抜群にクールで、神秘的な冷たさに鼓膜の先まで浸かってしまう。金剛のように硬い反響を利用したような「Brown Skin」はPNDとNoah "40" Shebibの共同制作で、直角的に右往左往するPNDのプラチナのようなヴォーカルがキラキラと硬く美しい。「1942」はPNDが制作を担当した鈍痛のようなトラックと鎮痛剤のようなヴォーカルの対比が見事な一曲で、彼ならではの味わい。親玉であるDrakeが客演参加した「Come And See Me」はNoah "40" Shebibが制作を担当、しとしとと降る長雨のようなトラックがほんのりの濡れて優しい(溜息)。これはトラックも勿論素晴らしいけれど、そんな静寂なトラック背景にシンクロしてPNDの甘い雨音のようなヴォーカルがポツポツと滴り溶けてゆくのがたまらなく美しく繊細、こうなるとDrakeさえ霞むほど。最後はPND制作(Co制作にNoah "40" Shebib)の「Nothing Easy To Please」がここにきてまた毛色の違うトラックで、バキバキとへし折るようなビートが空気を振動させ、その中で陽炎のように揺れるPNDのヴォーカルがぼんやりと虚ろに輝くのがたまらないくカッコイイしやられた(痺)。

僕的にはやはりOVO一派はみんな似ていて、誰かを聴けたらそれでいいかなという感じに思っているんです。となるとやはり皆はDrakeを聴くことになるだろうけど(僕も嫌いでないけど)、この一派の中でならば絶対に僕はPARTYNEXTDOORを好きだし彼は格別。いやOVO一派として片付けるのは失礼で、これからのR&B界ではこれからもっと重要な逸材になってゆくと思います(確信)。結構ヴォーカルにエフェクトが施されているからイマイチ分からないけれど、アコースティック背景で歌ってるのを聴いてみたいシンガーで、なかなか素直に上手いのかもしれない(推測)。トラックこそ重たくじわじわと侵食するような鈍色のものが多いんだけれど、それをもきりりとクリアにして清冽さを与えるPARTYNEXTDOORのカフェインのようなヴォpカルが秀逸で、低く優しく鈍く冴えてゆく感触は一種独特の鎮痛剤R&Bといった感じかな(確率)。昨年のTop10に入れなかったのを最も後悔した一枚、Drake無しで十分にやっていけます。






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Maxwell「blackSUMMERS'night」
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愛され待ち焦がれられる寡黙なR&B紳士、Maxwellの通算五作目となる『blackSUMMERS'night』を御紹介。パッと見だと前作『BLACKsummers'night』と同名のように思われますが、大文字となっている部分が違っているのです。このタイトルでの三部作となるのは当初よりアナウンスされており(つまりこの後には『blacksummers'NIGHT』が控えている)、いつかいつかと待ち焦がれていたんですが、その前作よりおよそ7年という時間を経ての続編となりました(長)。もうその三部作構想も水泡に帰したと思っていた矢先に、昨年ふわっと急にリリースされて驚いたのをいまだに覚えています(笑)。
それではもはや安心保証の中身の感想を誠悦ながら・・・・・・まずはほとんどの楽曲を制作した盟友、Hod DavidとMuszeのコンビが制作した楽曲から触れます。冒頭を飾る「All The Ways Love Feel」ではしっとりと湿ったドラムスに揺らされながら、ネオンのようにまったり輝くシンセと、夜風のようなMaxwellのヴォーカルが溶け合い幻想的に広がってゆくのが心地良い。雨で煙るようにキメ細かに濡れたドラムスのツタツタと軽快なビートが美しい「The Fall」もやはりウェットな感触、しかしながらMaxwellのヴォーカルは秋風のような乾いて淡い色彩を翻すようでなんとも刹那的。続く「III」もビヨビヨと細かく跳ねる飛沫シンセが印象的で、雨足が強くなり嵐になるようなMaxwellの徐々に強く叩きつけるヴォーカルには、どこかPrinceっぽいフィーリング(雷鳴のようにつんざめくホーンとの掛け合いにしても)を感じずにはいられない(痺)。静かな森を抜けて遠くから聴こえてくる水のせせらぎに鼓動をシンクロさせるような「Lake By The Ocean」は、そのトラックもさることながらMaxwellのヴォーカルもリキッド感覚の壮麗ミッドで、気づけば指先からつま先まで水浸しになって洗われているんです(沐浴)。これまたなんだかPrince趣味を思わずにいられない、Maxwellの甘く絡まる蜜味なヴォーカルが黄金に輝く「Fingers Crossed」も、ホーンやドラムスや鍵盤音が爽やかエアリーに舞い上がるのが美しく、聴いているだけで体も心もふわりと宙を舞うのを感じる春風のような一曲。夜更けの雨のようにそぼ降る音色が鼓膜を優しく濡らしてくれる好ミッド「Hostage」も、後半ではそんな濡れた音色も蒸発させるほどに熱いMaxwellの眩く烈しい朝の日差しのようなヴォーカルが輝くのが綺麗なんです(溜息)。抑えきれない身体の熱を夜風がクールダウンさせるように、Maxwellのしとやかで官能的なファルセットが月光のように静かに射し込む「1990x」もやはり秀逸過ぎる。キラキラと鳴る音色はそれこそ月明かりの切れ端で、温かな肌と息遣いを重ねるように波打つMaxwellの焦らすような甘美なヴォーカルはまるで、スルスルと脱ぎ捨てるドレスの絹擦れの音のよう(昇天)。まるでめくるめく転回する満点の星空を眺めるような天体観測メロウ「Gods」も、そんな夜長の中でネオンライトのように妖しく光るMaxwellのヴォーカルがセクシーでたまらない(震)。「Of All Kind」はほぼ全編をMaxwell得意のファルセットで紡ぎ上げ燦々と輝き、光のプリズムが幻想的で甘く鮮やかに放たれる天衣無縫メロウでもう昇天で御座います。とここまでがHod DavidとMuszeのコンビが制作した楽曲で、あとはもう一人の盟友であるStuarrt Matthewman(Sade)が制作した楽曲が二曲。まずは熱帯夜のように音色を微かに歪ませながら、じっとりと汗ばんで濡れたMaxwellのヴォーカルが仰け反り拉ぐ「Lost」、じっくりと情熱の底から天辺へと蒸発させられそうな情熱的なブルースソウル。あとは真夜中に虫がさざめき鳴くような、うるさい静けさをなんだか感じさせる「Listen Here」、これもひんやりと夜風が揺れるように歌うMaxwellのスマートさがナイスです。最後はソングライトがEarthとなっている波の音の短いインスト「Night」で幕を閉じます。

悲しいかな、やっぱり今こうして聴き返しているととっても心地良いし、去年の年間Top10になぜ入れてなかったのか不思議なぐらい(混乱)。というかMaxwellは僕のとっても大好きなシンガーですし、もはやランキングに入れるまでもなく突出していたのだと考えます(言訳)。でもやはり前作に比べるとあまり聴けていなかった(後回しになっていた)というのが正直なところかもしれません、ある意味Maxwellは(良い意味で)予想を裏切らないと知っていたから。前作に比べるとシンセの音色が結構足されている気がして、そういう意味でも夜景を思い浮かべつつもメタリックグレーな感触に思えました。やっぱりカッコイイの一言に尽きる、昨年のランキングも見直したくなる一枚(笑)。








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