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Seal「Human Being」
ブラジル人の父とナイジェリア人の母の間に産まれたロンドン出身のR&Bシンガー、Sealの通算三作目となる『Human Being』を御紹介。僕にUK Soul/R&Bの魅力に覚醒させてくれたのが、何を隠そうSeal、今ではかなり好きなアーティストの一人。本作のジャケットも芸術的で格好良いですよねぇ、2パターン有る様ですが、僕は国内盤なので上記のジャケットです(こちらの方がもう一つよりもカッコイイ)。
それでは気になる内容を御紹介しますと……まず最初に述べておきますと、全曲の製作をTrevor Hornが担当しています。幕開けを飾る表題曲「Human Beings」、この曲は射殺されこの世を去ったBiggieと2Pacの二つの悲劇を歌った一曲。暗く悲しいトーンを背負いながらもフックでは“光を遮っている♪光の中を歩いてみろ♪”と、微かに光る希望を一気に輝かせるSealらしいメッセージ曲。曇った内に響くような音使いがじっとりとぬるい肌触りの「State Of Grace」、結ばれない男女の愛を歌った悲しく儚いメロディとSealの歌声が身に沁みる(悲)。細かく鳴るキーボード音とシンセサイザーがちょっぴり近未来な感覚がフレッシュな鮮やかさを放つ「Latest Craze」はJazzアーティストのEarl Harvinが参加、電子音もSealがやるとこんな風にまろやかで丸みのある肌触りになるんだから不思議。Chris Bruceの奏でるアコースティックギターの音色に心洗われる「Just Like You Said」は、愛がひび割れ少しずつ崩壊してゆく様を描写した、ブルージーな失恋曲。優しく包み込むようなSealの歌声、静かに深々と鳴り響く楽器の生音は柔らかく人間みたいな温もりがある、一片の詩を読むような悲しくも切ないバラード(涙)。アコギ一本を爪弾き奏でる弾き語り曲「Princess」、これまたSealの独特な詩の世界観がブワッと広がる不思議なラヴソング。Sealのハスキーな歌声が痺れる程にカッコイイ「Lost My Faith」、ゆったりと雄大で全てを飲み込む大地のように大きな魅力をまとった一曲。恋に落ちた一人の男の高揚する感情を歌い上げた「Excerpt From」は、徐々にビートが加速するエレクトロ寄りの静寂疾走チューンで、Sealのこういうノリも爽快で聴いていて気持ちが良いので好き。恋愛における男の失敗を正当化する「When A Man Is Wrong」は、弱い男達に贈るSealなりの応援歌(笑)。優しく鳴るギターの音色とスーッとドラマチックに広がってゆくメロディ、“正しい解答を出すために、間違いを繰り返す事もある♪”と歌うSealなりの愛の解釈を歌ったラヴソング(惚)。マイナー調のメロディにプカプカと漂うSealの歌声が不思議な感覚を刺激する「Colour」、少しずつゆっくりと色を変えてゆくメロディが妖艶な一曲。Jazzyな雰囲気でしっとりと艶やかなメロディが美しい「Still Love Remains」、時折ファルセットを使いながら“お前以外の誰と、俺が生きていけるというのか♪”と切々と暗く歌うSealに涙が零れそうになる失恋曲(暗)。Sealの擦れた優しくも寂しい歌声に心打たれる静寂のバラード「No Easy Way」は素晴らしい(感動)、愛する女性が自分の元を去って行く心境を歌った切ない詩がたまらない(涙)、Sealの静かに瞼を閉じて恋人に“さよなら”を告げるような歌声が苦しいぐらいに胸を締め付けます(心臓発作)。失恋した時に静かに部屋でひとり、こんな曲を聴きたい、そんな美しくも儚く切ないお別れの一曲です(号泣)。最後には演奏のみの「Human Beings Reprise」も収録されていて、これもTrevor Hornの劇的で素敵なメロディを堪能できるのでお薦めですよ。
素晴らしいの一言、Sealの世界観にどっぷりと浸かって溺れてください(溺愛)。Seal作品って、けして幸せいっぱいという感じではないんですが、そこがまた魅力だったりします。人生もけして甘い出来事ばかりじゃないから、そこに正面から向き合わないといけないし。あとSealの書くラヴソングは情緒溢れる綺麗なものが多い、それは失恋も含めて。こういうラヴソングを書ける人はそういないから、そこも僕がSealを好きな理由のひとつです、このジャケットも素晴らしい国内盤の購入をお薦めします、是非聴いて下さい。
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